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借金問題が悪化したときに、陥りやすい多重債務。多重債務とは、複数の消費者金融から借金をしていて、返済に苦しんでいる状況のことです。
もし多重債務者に陥っても、クレジットカードの現金化や闇金など、間違った対応をすると余計に状況が悪化する恐れがあるため絶対にやめましょう。
この記事では、多重債務者に陥った場合の対処法と借金を放置するリスクを解説します。借金問題でお困りの方はご参考ください。
目次 ▼
1章 多重債務者とはどのような人のこと?
多重債務者とは、複数の消費者金融から借金をしていて、返済に苦しむ方を指します。
多重債務の定義は明確に決められていませんが、目安として3社以上の借入から審査落ちする可能性が高く、多重債務者と認識するケースが多いです。
3社以上の消費者金融から借金をしていると聞くと「自分はまだ大丈夫」と思いがちですが、多重債務者になるリスクは誰にでもあるので気を付けましょう。
例えば、下記の状態に陥っている方は、多重債務者予備軍に挙げられます。
- 返済する金額よりも借入する金額が多い
- ここ最近で借入するペースが短くなっている
- 支払いにリボ払いを利用している
- クレジットカードの分割払いを使い始めた
- 後払い制度を多く利用している
- 督促状や催告状が常に届いている
- ローンなどの審査に落ちることが増えてきた
- 周りから金遣いを指摘されることが増えてきた
- SNSや知人に生活を自慢するために借金に手を出した
- ギャンブルや浪費が自分でコントロールできなくなってきた
もし自分が当てはまっていた場合は、今後多重債務者になる可能性あるため注意が必要です。
1-1 多重債務者は年々増加している
決して多重債務者は対岸の火事ではないことは、データからでも読み取れます。
国民生活センターの多重債務による相談件数を見てみましょう。
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年度 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|
相談件数 | 20,777件 | 20,381件 | 21,288件 |
新型コロナウイルスの影響をきっかけに、2021年から多重債務者が年々増加しています。2023年では、前年同期よりも相談件数のペースが増加しており、ここ数年でピークを迎える見込みです。
もし、現時点で借金をしている方は、いつ自分が多重債務者になってもおかしくない状況といえます。
2章 多重債務者になってしまう原因
多重債務者になった方も、借金を増やそうと思って増やしているわけではありません。
それなのに、なぜ多重債務者になってしまったのでしょうか。
多重債務者になってしまう原因で、よくあるケースを見ていきましょう。
2-1 借入をしていた金融機関から断られた
多重債務者になる原因として多いのが、お金を借りたいのに借入を断られてしまったから、次の金融機関に手を付けたのがきっかけで多重債務者になったケースです。
年収や返済実績によって、借入できる金額が決められているため、この金額に達した場合は追加の借入を断られてしまいます。
また、返済不能に陥るほどの無茶な借入を防ぐために、正規の金融機関は総量規制を設定しています。総量規制とは、貸金業者から借りられるお金の総額の上限を規制する法律のことです。
他社を含めた借入総額が年収の1/3を越えたら、他社でも追加の借入ができないため注意しましょう。
2-2 借金を借金で返済している
当然ですが、お金を借りたら返済しなくてはいけません。しかし、多重債務者になるほどお金に苦しんでいる方は、返済すらままならない状況に陥っていることがほとんどです。
困った多重債務者が、ひとまずその場の返済をなんとかしようと、返済するためのお金を借金して対応しているケースがあります。
これによって、借金を借金で返済する悪循環になり、借金が膨らんでいくのが多重債務の原因です。
2-3 浪費やギャンブルが止められない
本来であれば、借金することがなかった理由で借金をしているのも原因として挙げられます。
例えば、浪費やギャンブル、夜遊びなど派手な暮らしを求めて、徐々に借金が増えていったケースです。
「いい加減やめよう」と心では思っていても、欲求が高まると散財をやめられず、借金をしてまで遊んでしまい気付いたときには多重債務者に陥っている方も多いです。
2-4 低収入により生活が困難である
本当は借金をしたくないけれど、金銭的に困っていて生活が困難なため、借金を抱えてしまうケースです。
この場合は、そもそも一気に返済できる力がないため、毎月借金と返済を繰り返す自転車操業タイプが多いでしょう。
いくら生活を切り詰めていても、病気や冠婚葬祭など生きていく上でどうしても避けられない出費も出てきます。そうなると、生活のために借入を増やしてしまい、多重債務者になってしまう方も多いです。
3章 多重債務を放置するとどんなデメリットがある?
多重債務で苦しんでいたとしても、支払日は必ず訪れるので、毎月返済をしなくてはいけません。
しかし、できることであれば支払いを放置したいと考える方もいるでしょう。
多重債務を放置すると、追加の借入ができなくなるだけではなく、財産の差押えや追加の支払いを請求される恐れがあるため絶対に放置してはいけません。
では、具体的に多重債務を放置するとどんなデメリットがあるのか解説します。
3-1 ブラックリストに登録される
返済を滞納したことで、金銭的に信用ができない人物と見なされて、ブラックリストに登録されます。
ブラックリストは、正式には信用情報機関に登録されることです。信用情報機関は、後払いや分割払いが利用できるサービスや貸金業社が加入している機関で、ローンや借入の審査に使います。
ブラックリストに登録されていた場合は、事故や延滞情報がある顧客だと見なされるので、追加の借入を断られたり、クレジットカードの作成ができなくなるため注意しましょう。
3-2 滞納している借入に遅延損害金が発生する
借金を支払日までに返済できなかった場合は、遅延損害金が発生します。
遅延損害金は、期日までに払えなかったときに発生するお金です。支払い期日の翌日から発生し、滞納すればするほど加算されていきます。
また、遅延損害金は借入の際に発生する利息とは異なるため注意しましょう。よって、借りた元金に加えて遅延損害金と利息を支払わなければいけません。
遅延損害金は年率14.6%から20%が一般的で、消費者金融の場合は特に高額になります。
3-3 滞納しているサービスが強制解約される
滞納が続くと、滞納している対象のサービスが強制解約されます。クレジットカードやスマホなど、強制解約になると使用できなくなるため注意が必要です。
強制解約になった後は、再度審査に申し込んでも審査落ちするので今後も使用できません。それだけではなく、強制解約されたこともブラックリストに載るため、他社の審査も確実に落ちてしまいます。
また、強制解約されたからといって、今までの借金がチャラになるわけではありません。サービスが使えなくなっても、滞納した借金は完済しましょう。
3-4 家族や職場にバレる
多重債務を放置すると、金融機関から督促の封筒や電話が来るようになります。
「どうせ督促の連絡だろう」と放置していると、審査のときに記載した家や職場の連絡先に届くようになるため、家族や職場にバレる可能性が高いです。
家族に内緒で借金していたのがバレて、トラブルになるケースもよくあります。また、職場で私生活を指摘され恥ずかしい思いをするかもしれません。
3-5 財産を差し押さえられる
多重債務を放置したまましばらく経つと、財産を差し押さえられてしまいます。
差押えの対象になるのは、自分の預金口座や給料が多いです。また、給料の差押えは正社員だけではなく、アルバイトや派遣、パートも対象となります。
もし給料を差し押さえられた場合は、100%職場にバレてしまうので気まずい思いをするでしょう。
3-6 場合によっては家や車を没収される
滞納した金額が大きい場合、預金口座や給料だけではなく家や車を差し押さえられる恐れがあります。
特に、家を差し押さえられた場合は競売によって強制売却されるので、自分の持ち家ではなくなってしまうので注意しましょう。
競売にかけられると、家を出ていかなくてはいけません。ここまで状況が悪化すると、司法書士などの専門家でも対応できることが限られてしまいます。
家や車を失いたくない方は、できるだけ早めに借金問題を解決しましょう。
4章 多重債務者になってもやってはいけないこと
多重債務者になると、生活が苦しく毎日が辛く感じることでしょう。
しかし、多重債務者になっても絶対にやってはいけないことがあります。もし、絶対にやってはいけないことに手を出してしまうと、借金の解決が非常に困難になるため、選択肢が狭くなる恐れもあるでしょう。
ここからは、多重債務者になってもやってはいけないことを解説します。
4-1 クレジットカードの現金化
クレジットカードの現金化とは、ショッピング枠を利用して現金を手に入れることです。
例えば、クレジットカードのショッピング枠でハイブランドのバッグやジュエリーなどを購入して、買取業社などに売って現金を手に入れる手法が挙げられます。
現金がないとどうしても生活できない状況に陥る場合もあるかもしれません。しかし、クレジットカードの現金化はカード会社が厳しく禁止しています。
もしクレジットカードの現金化が発覚したら、強制解約になるため絶対にやってはいけません。
4-2 ギャンブルや投資で一発逆転を狙う
あまりにも借金に追われていて、苦しい思いをすると、有り得ないことを考え始めてしまいがちです。
よくある例として、ギャンブルや投資での一発逆転が挙げられます。「これでもし儲かったら借金がチャラになる」と、やけになって一発逆転を狙う方も少なくありません。
しかし、追い込まれているときに一発逆転で借金を返済できるのは、ドラマや漫画の世界だけです。ほとんどの場合はさらに借金をつくってしまい、大変なことをしてしまったと後悔するでしょう。
本来であれば、増えるはずのない借金を増やしてはいけません。
4-3 闇金での借入
総量規制によって、正規の金融機関から借入を断られてしまった方が、次に手を出してしまうのが闇金です。
闇金は、正規の金融機関ではなく「ヤミ」の金融機関のため、当然ながら法律に則った貸付はしていません。よって、正規の金融機関で決められた利息をはるかに上回る、法外な利息が設定されています。
「それでもお金を借りたい」と闇金に手を出すケースも少なくありませんが、闇金は一度借りてしまうと、完済するまで激しい督促など嫌がらせを受けてしまいます。
さらに、闇金は債務整理では解決できない可能性が高いので注意しましょう。弁護士を間に入れて、長期的に解決していくしか方法がないため、この先も闇金業者に怯えた暮らしをしなくてはいけません。
お金だけではなく、命まで取られる勢いで毎日消耗することになるため、絶対に闇金での借入はやめましょう。
4-4 夜逃げ
借金の苦しさから逃れようと、夜逃げを考えるケースもあります。
しかし、夜逃げをしたところで、ただ逃げているだけなので何の解決にもなりません。
また、夜逃げ後に住民票を変更したり、郵便局で届け先の住所変更をしたりすると、債権者にバレてしまうので、どのみち借金から逃れられないでしょう。
生活のお金をつくりながら完璧に逃げ切るのは現実的ではないため、夜逃げをするのは意味がありません。
5章 多重債務者になった場合の対処法
多重債務に陥った場合でも、違法行為に手を出さずに、正規の方法で解決することが大切です。
多重債務者になった場合の解決策は、多重債務に陥った原因や現在の状況によって異なるため、適切な対処をしましょう。
ここからは、多重債務者になった場合の対処法を紹介します。
5-1 【生活が困難な場合】市役所などに相談する
生活が困難な場合は、公的融資制度を受けられる可能性があるため、市役所などの借金相談の窓口で相談するのがおすすめです。
特に、多重債務者への窓口対応は強化されており、平成19年には膨大な借金をしないための施策や闇金による被害を防ぐための施策として「多重債務問題改善プログラム」が策定されました。
公的融資制度の相談だけではなく、生活困難に対する借金の相談や借金問題を解決できる専門家への相談も可能です。
今までよりも、借金問題の相談がしやすい環境に整えられているため、ぜひ検討してはいかがでしょうか。
5-2 【借入先が増えすぎた場合】おまとめローンを利用する
多重債務で借入先が増えすぎた場合は、おまとめローンを利用しましょう。
おまとめローンは、複数の金融機関で借入した借金を一つにまとめて返済する方法で、多重債務によって債務の管理が困難になっている方におすすめです。
おまとめローンは、借入ができる金融機関よりも低金利を設定しているケースが多く、返済しやすい傾向があります。また、支払日が1回になったため、今後の返済スケジュールが立てやすくなるでしょう。
ただし、返済専用のローンのため、追加の借入はできません。絶対に追加の借入をしないという意思を持って完済を目指しましょう。
5-3 【返済自体が困難な場合】債務整理を利用する
この先も状況が好転しないと判断したら、債務整理を利用しましょう。
債務整理は、借金を減額、もしくは免除する手続きです。多重債務によって完済できないと感じた場合は、借金を減額して完済を目指すのも選択肢として考えられます。
つくった借金を減額することに負い目を感じるかもしれませんが、債務整理は国が認めた法的制度です。借金をこれ以上膨らませる前に決断するのがおすすめです。
6章 多重債務に陥ったら債務整理を検討しよう
多重債務に陥ったら、借金問題を解決する方法の一つとして、債務整理を検討しましょう。
債務整理は、大きく分けて3種類の方法があるため、今の経済状況に合わせて確認してみてください。
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債務整理の種類 | 手続きの方法 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
任意整理 | 利息や手数料など元金以外の支払いをカットする手続き | 返済が長期化して利息が膨らんでしまった人 借金を選んで返済したい人 |
個人再生 | 借金そのものを大幅にカットして完済を目指す手続き | 借金の理由がギャンブルや浪費の人 失いたくない財産がある人 |
自己破産 | 借金自体を免除して支払い義務をなくす手続き | 完済の目処が立たず返済不能に陥った人 借金を返済するための支払い能力がない人 |
ただし、債務整理は法的な手続きが必要なため、専門家と一緒に進めるのが一般的です。専門家の手続きには費用が必要なため、余力があるうちに手続きするのをおすすめします。
6-1 債務整理をした後の生活について
「債務整理をしたら何かペナルティがあるのでは」とその後の生活が心配になり、債務整理を決断できない方は少なくありません。
しかし、債務整理をしたからといって、その後の生活に大きなペナルティがあるわけではないのでご安心ください。
ただし、効力が強い分、債務整理後は一定期間できないこともあるので注意が必要です。
- 新たな借入
- ローンや商品の分割払い
- クレジットカードの作成や利用
- 賃貸物件への入居
- 保証人になる
選んだ債務整理によっても期間が異なるため、何か制限されたくないことがあれば、専門家とよく相談してから決めるようにしましょう。
7章 多重債務で借金の返済が苦しくなったらグリーン司法書士法人にご相談を
多重債務者に陥ってしまうと、借金地獄から抜け出すのは困難なため、長期的に苦しむ方も多いです。
返済が進まず、借金が膨れる一方だと感じたら債務整理で借金問題を解決するのも選択肢として考えてはいかがでしょうか。
多重債務者は年々増加しており、決して珍しいケースではありません。また、債務整理を利用して多重債務を解決している方も多いので、相談だけでもしてみるとよいでしょう。
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