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一方、ローンを完済している場合、一般的な車であれば、債務整理によって差し押さえられる(処分される)可能性は低いでしょう。
借金を滞納したり、債務整理をしたりすると、車を差押えられる可能性があります。
生活する上で、車が欠かせないという方もいらっしゃるでしょう。
そのため、どのようなケースで車が差し押さえられるのか、逆に差押えの対象にならないケースはどのようなときかについて理解しておくことが大切です。
この記事では、車が差し押さえられるケース・差し押さえられないケース、差押えを回避する方法などについて解説します。
目次 ▼
1章 車が差し押さえられるケース
車が差押えられる主なケースは以下のとおりです。
- 借金を滞納した
- 自己破産をした
- ローンが残っている状態で個人再生・任意整理をした
- 自動車ローンの支払いを怠った
なお、ここでは便宜上、差押えではなく、所有権等の問題で引き上げられるケースも含んでいます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1−1 借金を滞納した
借金を滞納しつづけると、債権者は訴訟を起こすなど、裁判上の手続きを用いて債務者に請求します。
それをも無視していると、強制執行として財産を差し押さえられる可能性があります。
とはいえ、差押えの対象になりやすいのは、預貯金や給与などです。車のように、換価が必要なものは債権者としても処分に手間がかかるため、後回しにされる傾向があります。
よほど車が高価でない限り、車が差押えの対象になる可能性は低いでしょう。
1−2 自己破産をした
自己破産をすると、一定以上の財産は処分され、債権者へと分配されます。車の場合、査定額が20万円を超える場合には差し押さえられ、処分されます。
しかし、一般的な車であれば査定額が20万円を超えることはほとんどありません。
新車や高級車の場合には、処分の対象になる可能性があると思っておきましょう。
なお、自動車のローンが残っている場合には、債権者が所有権を留保しているため、裁判所に処分されるより先に、債権者に車を引き上げられます。
この点は1−3と同様です。
1−3 ローンが残っている状態で個人再生・任意整理をした
個人再生や任意整理の場合、自己破産のように財産が処分されることはありません。
しかし、ローンが残っている場合、車の所有権は債権者にありますから、個人再生や任意整理をした時点で債権者によって車を引き上げられてしまいます。
ただし、任意整理では手続きをする借金やローンを選択することができますので、自動車ローンを避けて手続きをすれば車の引き上げを避けることができます。
1−4 自動車ローンの支払いを怠った
自動車ローンの支払いを怠れば、当然債権者によって車を引き上げられてしまいます。
前述していますが、自動車ローンが残っている場合、所有権は債権者にあります。
そのため、債権者はローンが支払われないことが分かると、車を引き上げてローンの残債に充てるのです。
2章 車が差押えの対象にならないケース
ローンが残っていて、名義人が返済を怠った場合や債務整理をしたことで引き上げられることを避けるのは難しいのが現実です。
一方、自己破産や借金の滞納による差押えの場合、車が差押えの対象にならないケースもあります。
ここでは車が差押えの対象にならないケースについて解説します。
2−1 家族名義の車
自己破産でも、借金の滞納による差押えであっても、対象となるのは「本人の財産」のみです。
そのため、車の名義が本人以外のものは、同居していたとしても、差押えの対象にはなりません。
自己破産をしても家族名義の車は没収されませんが、破産者名義の財産を没収されるなど家族への影響は決して少なくありません。 自己破産をしたときの家族への影響は、下記の記事で詳しく紹介しています。
2−2 価値の低い車(自己破産の場合)
自己破産で処分の対象となる車は、査定額が20万円以上のものだけです。
そのため、価値の低い車は差押えの対象外になる可能性が高いでしょう。
「価値の低い車」というと、ボロボロのものを想像されるかも知れませんが、一般的な車であれば数年乗っただけで査定額は20万円を切ることがほとんどです。
実際、初年度登録から7年以上経過すれば、破産手続上は価値がないとみなされます。
新車や高級車でない限り、ローンが残っていなければ手元に残せる可能性が高いでしょう。
2−3 生活や仕事をする上で必要不可欠な車(自己破産の場合)
自己破産の場合、生活や仕事をする上で必要不可欠な車は、自由財産の拡張を求めることで残せる可能性があります。
「生活や仕事をする上で必要不可欠な車」とは具体的に以下のようなものです。
- 自身や家族に身体に障害があり、車がなければ生活ができない
- 配送業など車がなければ仕事ができない
ただし自由財産の拡張が実際に認められるハードルはそれなりに高いです。どうしても残したい場合は、事前に専門家に相談するようにしましょう。
3章 車の差押えを回避する方法
車が生活に欠かせないもので、手放すのを避けたいこともあるでしょう。
ここでは、車の差押えを回避する方法について解説します。
3−1 【ローンが支払えない時】返済の目処が立つなら債権者に相談する
一時的にローンが支払えない場合には、債権者に相談してみましょう。
債権者としても、車を引き上げるよりも、今後もローンを支払ってくれる方が良いため、1〜2ヶ月程度であれば、支払いを待ってくれる可能性があります。
相談をする際には、支払えない事情や、支払いの目処について丁寧に説明するようにしましょう。
3−2 【ローンが支払えない時】他の借金を任意整理をする
任意整理とは、債権者と交渉することで将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。借金の元金は減りませんが、利息・遅延損害金がなくなることで、月々の返済額を減らせる可能性があります。
自動車ローン以外にも借金があるのであれば、他の借金を任意整理を検討しましょう。
任意整理はあくまで債権者と交渉を行うものですので、自動車ローンで手続きをしなければ引き上げられることはありません。
他の借金の返済負担を減らすことで、自動車ローンの返済に充てられるのであれば、任意整理を検討しましょう。
3−3 【自己破産をする時】自己破産をする前に、第三者にローンを返済してもらう
自己破産を申し立てた場合、裁判所によって処分されないとしても、ローンが残っていれば引き上げられてしまう可能性が高いでしょう。
自己破産の手続きを開始した後に、自身で自動車ローンなど特定の借金だけを返済するのは偏頗弁済として禁止されています。
しかし、ご家族などに返済してもらう分には問題ありません。
どうしても車を残したいのであれば、家族にローンを支払ってもらうようにしましょう。
ただし、家族が求償債権として破産債権者に含まれることになるため、その点は理解しておく必要があります。
4章 車が差押えられるまでの流れ
「車の差押え」と一口に言っても状況に応じて種類が異なります。具体的には以下の3つのケースがあります。
- 強制執行として裁判所の許可のもと、財産が差押えられるケース
- 自動車ローンの支払いが困難と判断され、債権者から引き上げられるケース
- 自己破産の手続きとして、破産管財人によって処分されるケース
上記のどのケースも「車が取り上げられる」ことには変わりありませんが、手続きとしては全く異なるものです。
ここでは、ケース別に差押えられるまでの流れについて解説します。
4−1 強制執行として裁判所の許可のもと、財産が差押えられるケース
強制執行として財産が差し押さえられるのは、借金の返済を滞納し続けた場合です。差し押さえまでの簡単な流れは以下のとおりです。
- 債権者からの督促
- 一括請求される
- 支払いを求める訴訟を提起される
- 強制執行として財産が差し押さえられる
借金を滞納すると、最初のうちは支払いを求める督促状が届いたり、電話が来たりするでしょう。それをも無視していると、債権者は債務者に対して訴訟を起こします。
借金を滞納した事実があれば、訴訟に応じても支払いを免れるのことはできません。支払いに応じなかった場合や、訴訟を無視した場合には、債権者は強制執行として財産を差し押さえる権利を得ます。
差し押さえのタイミングは債権者に委ねられており、実行される日が債務者に通知されることはありません。
なお、差押えまでの流れについては以下の記事で詳しく解説しています。
※給与の差押えとありますが、車の場合に同様です。
4−2 自動車ローンの支払いが困難と判断され、債権者から引き上げられるケース
- 自動車ローンの支払いを滞納した
- 自動車ローンが残った状態で自己破産・個人再生をした
- 自動車ローンを任意整理した
上記のようなケースでは、自動車ローンの債権者が「支払いは困難」と判断し、車を引き上げる可能性が高いでしょう。
引き上げがなされるタイミングは、自動車ローンの滞納が2ヶ月以上続いた時または、債務整理を依頼した専門家から債権者に対して受任通知が送付された時から1ヶ月〜3ヶ月程度です。
ローンを滞納している場合には、督促状が届き、引き上げの前には「この期日まで支払わないと、引き上げますよ」という旨の最終通知が届きます。
その支払いにも応じることができないと、引き上げが決定され、債権者から引き上げが決定した通知が届くのが一般的です。
車の引き上げは、債権者が中古車買取業者によって行われ、原則拒否することはできません。
4−3 自己破産の手続きとして、破産管財人によって処分されるケース
自己破産を申し立てると、処分の対象となる財産がある場合、管財事件として破産管財人が選任されます。(処分する財産がない場合、同時廃止として破産管財人が選任されることなく、手続きが進みます)
破産管財人が選任されると、破産管財人は申立人との面談や財産の調査などを行い、財産の処分手続きを開始します。
実際に、財産が処分されるのは、自己破産を申し立ててから約3ヶ月後です。
なお、車の査定額が20万円を超えない場合には、処分の対象にはなりません。
管財事件の流れについて詳しくは以下の記事をご確認下さい。
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よくあるご質問
- 車が差し押さえられるケースとは?
- 車が差し押さえられるケースは、主に下記の通りです。
・借金を滞納した
・自己破産をした
・ローンが残っている状態で個人再生・任意整理をした
・自動車ローンの支払いを怠った
車が差し押さえられるケースについて詳しくはコチラ
- 差し押さえられない車とは?
- 借金滞納などをしても差し押さえられない車は、主に下記の通りです。
・家族名義の車
・価値の低い車(自己破産の場合)
・生活や仕事をする上で必要不可欠な車(自己破産の場合)
車の差押えについて詳しくはコチラ