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- 親族からの援助があっても自己破産はできる
- 破産手続きで重要視されるのは借金が返済不可能であるかどうか
- 自己破産の手続きで援助してもらう場合は贈与として受け取るとよい
- 援助を受けた場合は裁判所にお金の使い道を申告する必要がある
自己破産は、税金など一部の債務を除いてすべての借金の返済義務がなくなる手続きです。
返済不能に陥った場合の最終手段である印象から、親族から援助を受けて生活をしている場合や援助を受けて借金を返済している場合は「親族から援助を受けていると、自己破産ができないのでは?」と心配に思う方もいるのではないでしょうか。
実は、親族から援助を受けていても自己破産の手続きは可能です。しかし、援助の内容やタイミングによっては手続きに影響が出るケースもあるので注意しましょう。
この記事では、援助を受けると自己破産に影響するケースを解説します。注意点をチェックして、破産手続きを成功させましょう。
目次 ▼
1章 援助を受けていても基本的に自己破産はできる
自己破産の手続きで重要視されるポイントは、借金が返済不可能であるかです。そのため、親族や知り合いから援助を受けている場合でも、借金を返済できない状況であれば自己破産ができます。
援助の有無は自己破産の手続きそのものに影響しませんが、裁判所が援助額や援助の継続性を考えて破産を認めるか判断します。そのため、援助を受けている場合は必ず申告するようにしましょう。
また、自己破産の手続きをしても援助をしている方に返済義務が移ることもありません。自己破産によって借金が免責されると、破産者の返済義務はなくなります。
2章 援助を受けると自己破産に影響するケース
援助を受けていても自己破産はできますが、援助の金額や内容によっては自己破産の審査に影響を及ぼすケースがあります。
では、どのようなケースで援助が自己破産の手続きに影響するのか見ていきましょう。
2-1 返済の約束をしているケース
援助を受けるときに援助者に対して返済の約束をしている場合、自己破産の手続きに影響します。なぜなら、返済の約束をすると借金として取り扱われるため、免責しなくてはいけないからです。
自己破産は、債権者が平等に扱われる手続きのため、特定の債権者だけ返済する行為はやってはいけません。
親族や知り合いが相手でも、返済が必要なお金を受け取った場合は債務と見なされ、手続きをする上で援助者は債権者として取り扱われるので注意しましょう。
2-2 援助によって返済が可能なケース
援助によって借金の返済が可能な場合は、自己破産が認められにくくなる可能性があります。
自己破産が認められるためには、返済不能な状態であると判断されなくてはいけません。そのため、親族や知り合いからの援助によって返済できると判断された場合は、自己破産以外の解決方法を提案されるケースもあります。
もし、援助があっても自己破産を選択したい場合は、司法書士や弁護士などの専門家とよく話し合ってから手続きをすすめるか判断しましょう。
3章 自己破産の手続きで援助をしてもらう場合の注意点
「自己破産の手続きをしたいけれど、専門家に依頼する費用がなくて困っている」という方は少なくありません。自己破産の手続きに必要な費用が捻出できない場合、親族から援助を受けるケースもあるでしょう。
しかし、援助の内容やタイミングによっては、自己破産の手続きや審査に影響を与えてしまうので注意が必要です。
では、自己破産の手続き費用を援助をしてもらう場合の注意点を解説します。
3-1 贈与としてお金を受け取る
自己破産の手続きで援助を受けるときは、贈与として受け取る形にしましょう。借金してしまうとそのお金に対する返済義務が発生するので、裁判所に新たな借金として見なされてしまいます。
ただし、贈与としてお金を受け取った場合は贈与税がかかる可能性があるので注意しましょう。年間110万円以上は贈与税が発生するので、受け取る場合は司法書士や弁護士に相談すると安心です。
3-2 援助を受けたことを裁判所に申告する
親族や知り合いから援助を受けた場合は、その事実を裁判所に申告しましょう。裁判所は、破産者の財産や収入をすべて把握してから免責を認めるか判断します。
そのため、援助を受けたことを申告しないと「財産隠し」として見なされる可能性があります。もし財産隠しと見なされた場合、破産手続きができないだけではなく「詐欺破産罪」が成立する恐れもあるので絶対に申告しましょう。
また、親族ではなく第三者から継続的に援助を受けている場合も注意が必要です。これから援助を受ける金額が決まっている場合は財産として扱われ、破産手続きのときにお金を支払わなければいけない可能性があります。
ただし、ほとんどないケースのため、司法書士や弁護士に相談しながら手続きを進めるのが確実でしょう。
3-3 援助を受けたときにお金の使い道を正直に伝える
自己破産の手続きでは、破産者のお金の動きを細かくチェックします。現状の財産や収入状況だけではなく、援助を受けたお金がどのように使われたかも把握しなくてはいけません。
そのため、援助を受けたお金の使い道を裁判所に正直に伝える必要があります。もし、お金の使い道について虚偽の申告をした場合や不正と見なされるため、自己破産の手続きができなくなってしまいます。
援助を受けたお金は、生活費や破産手続きの費用など適切に使うようにしましょう。
4章 自己破産をした後も援助を受けられる?
自己破産によって借金が免責されると、借金の返済義務はなくなりますが生活を立て直すために援助を受けたいと思っている方も少なくないでしょう。
援助をするかどうかは相手の裁量によりますが、自己破産をした後も援助を受けることができます。
しかし、援助があるからといって自己破産後の生活が楽になるとは限りません。数年間は借入やクレジットカードの利用ができなくなるため、援助や借金に頼らない収支管理を学ぶ必要があります。
4-1 援助がないと生活できない場合は公的制度の利用を検討しよう
もし援助がないと生活ができない場合は、援助に頼るのではなく公的制度の利用を検討しましょう。生活保護や住居確保給付金、生活困窮者自立支援制度など生活を支える支援が受けられる可能性があります。
信用情報に自己破産の履歴が残るため、通常の借入は難しいですが公的制度の利用は可能です。市区町村の相談窓口に足を運び、生活費や住居費などの支援を受けましょう。
4-2 闇金などの誘いには絶対乗ってはいけない
破産者がお金を借入できない状況を狙って、闇金業者が官報の情報を見て連絡してくるケースがあります。しかし、自己破産後にどうしてもお金が必要になった場合でも、闇金などの誘いには絶対乗ってはいけません。
闇金業者は違法な貸付をしているため、正式な消費者金融ではありません。法外な金利で貸付をしてから過激な取り立てをするため、再び経済的に追い詰められるリスクが非常に高いです。
闇金での借金問題は債務整理では解決しないため、弁護士を間に入れて長期的に解決を目指すしかありません。闇金の存在に怯えるリスクを考えても、親族の援助や公的支援制度に頼るほうが安心です。
5章 自己破産以外の債務整理の手続きも検討しよう
自己破産以外の債務整理を提案された場合や、必要最低限の財産以外を失うリスクから「ほかの債務整理も検討したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
債務整理の手続きは、自己破産以外にも、任意整理と個人再生があります。どちらも、債務整理後も借金を返済する必要がありますが、状況によってはメリットになる可能性もあるでしょう。
では、自己破産以外の債務整理の方法を解説します。
5-1 任意整理
任意整理は、債権者と専門家が直接交渉して和解を目指すのが特徴です。
裁判所を通さないため、自己破産よりも手続きが簡易的でスムーズに手続きが進みます。また、援助の有無に関係なく手続きを進めることができるのもメリットです。
任意整理の手続きは、交渉は利息や遅延損害金をカットして返済負担を軽減するため、借金の総額によっては完済が難しいケースもあるので注意しましょう。
ただし、債権者を選んで交渉できる点や周りにバレにくい点などリスクが少ない方法のため、一定の収入があれば選択しやすい手続きといえます。
5-2 個人再生
個人再生は、借金を5分の1〜10分の1に減額するのが特徴です。自己破産と同じく裁判所で手続きをするので時間と手間がかかるデメリットがあります。
しかし、元金が減るため任意整理よりも借金の完済が目指しやすく、持ち家などの財産を手放さずに済む点が大きなメリットです。住宅ローンを抱える方にとって有効な手段でしょう。
自己破産で財産を失いたくないけれど、借金を減額したい方は個人再生を選ぶのがおすすめです。
6章 援助を受けている場合は早めに債務整理の相談をするのがおすすめ!
親族から援助を受けている状況で借金を抱えている場合は、早めに専門家の相談がおすすめです。債務整理の手続きには費用がかかるため、援助を受けていて多少余裕があるうちに手続きを開始する方がよいでしょう。
また、援助の内容やタイミングによって手続きに影響が出る可能性があるため、事前に専門家へ相談しておくと安心です。
司法書士や弁護士からアドバイスを受けながら一緒に進めることで、リスクを抑えて手続きを進められるでしょう。確実に破産手続きを成功させるためにも、まずは専門家の力を借りることをおすすめします。
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