この記事は約 11 分で読めます。
- 債権回収会社の苦情は電話と書面で申し入れることができる
- 悪質なケースや詐欺の疑いがある場合は法務省や消費生活センターに相談
- 債権回収会社の苦情はできるだけ証拠を揃えて内容を明確化させる
- 詐欺だった場合でも実在する債権回収会社を使う場合もあるので注意
借金の返済などが滞っていると、債権回収会社から取り立てがくることがあります。債権回収会社は、法務大臣の許可を受けて債権回収を専門にしている会社のことです。
しかし、一部のケースでは、過剰な取り立てや不適切な対応が行われる可能性があり、その場合は全国サービサー協会や金融庁などが苦情を受け付けています。
また、実在する会社を装った架空請求も問題になっており、正規の債権回収会社か見極めなければいけません。
この記事では、債権回収会社の苦情の受付先や禁止行為、詐欺の見分け方を解説します。安全に対処するためにも参考にしてください。
目次 ▼
1章 債権回収会社とは?

債権回収会社とは、貸付金や未払い代金などの「債権」を回収する専門会社です。銀行や貸金業者が回収困難となった債権を引き受けたり、委託を受けたりして債務者から返済してもらう役割があります。
債権回収会社は、法律に基づいて設立されているため、適切な回収をしなくてはいけません。そのため、法律や倫理規定を守りながら活動することが義務付けられています。
また、正式な債権回収会社ではありませんが、廃業して自社の残りの債権回収のみをしている貸金業者も存在しています。この場合、取立て方法が違法なケースもあり、苦情の対象になることも多いです。
1-1 債権回収会社は法律で認められている
債権回収会社は、法務省の認可を得た上で適切な手続きのもと、債権の回収業務をすることが認められています。具体的には、以下の条件を満たしていなければいけません。
- 資本金5億円以上の株式会社であること
- 常務に従事する取締役に弁護士が1名以上いること
- 暴力団などの反社会勢力との関りがないこと
- 債権回収業務を適正に行うための人員が確保できていること
この条件は、債権回収会社が信頼性と公正性を確保しながら円滑に業務をするために、債権者と債務者両方の権利を保護する目的があります。
限られた企業のみが活動できるため、無許可の業者や不当な取り立てがあった場合は苦情の対象となるので覚えておきましょう。
2章 債権回収会社への苦情は全国サービサー協会に申し入れよう
債権回収会社の対応に問題があると感じた場合は、全国サービサー協会への申し入れが可能です。全国サービサー協会が協会が苦情を受け付け、債権者へ対応を促してくれます。
また、悪質なケースや詐欺の疑いがある場合は法務省や消費生活センターに相談をしましょう。少しでも疑問に感じることがあれば、一人で対応しないで確認することが大切です。
全国サービサー協会への苦情を申し入れる方法は、電話と書面の2つがあります。では、それぞれ苦情の申し入れ方法を見ていきましょう。
2-1 電話で苦情を申し入れる
苦情に対してすぐに回答を得たい場合は、電話で苦情を申し入れることができます。連絡先や受付時間は、全国サービサー協会のWebサイトでご確認ください。
できるだけ早く対応してほしいときは、電話で苦情を申し入れるのがおすすめです。
2-2 書面で苦情を申し入れる
苦情の内容を詳しく伝えたい場合は、書面で苦情を申し入れることができます。
全国サービサー協会の公式ホームページで「苦情申出・相談申込書」をダウンロードできるので、こちらを記入して郵送します。
受付窓口は全国サービサー協会のWebサイトでご確認ください。
書面だと、しっかりと準備をして苦情を申し入れられるのがメリットです。ただし、書類を記入したり郵送したりする手間がかかる点と回答を得るまでに時間がかかってしまう点には注意しましょう。
3章 債権回収会社への苦情を申し入れられるケース
債権回収会社への苦情を全国サービサー協会に申し入れられるケースは、回収業務において法律や倫理規定に反する行為があった場合や、不適切な対応を受けた場合などが該当します。
具体的には、以下のケースは苦情の対象になるので確認しておきましょう。
- 暴力的な態度を取られた
- 大声を上げたり乱暴な言葉を使われた
- 多人数で債務者の自宅に押しかけた
- 正当な理由なく21時から8時までの間に取り立てた
- 張り紙や落書きなどで取り立てをした
- 正当な理由なく職場など自宅以外の場で取り立てた
- 近隣者に対して来訪目的を喋った など
苦情の対象になる行為があった場合、全国サービサー協会に苦情を申し入れることで事実関係を調査してくれます。必要に応じて該当会社への指導や改善要請があるので、改善が期待できるでしょう。
4章 債権回収会社への苦情を申し入れるときのポイント
債権回収会社の対応に苦情を申し入れたいけれど、どのように伝えるべきか悩んでいる方も少なくないでしょう。債権回収会社へ苦情を申し入れる場合は、冷静に事実を整理して早めに苦情を申し入れる必要があります。
では、苦情を申し入れるときに抑えておきたいポイントを見ていきましょう。
4-1 できる限り早く苦情を申し入れる
債権回収会社とのトラブルが発生した直後に苦情を申し入れましょう。
時間が経つと記憶が曖昧になったり、記録や証拠が不十分になったりすることがあるため、苦情内容の確認や調査が難しくなる場合があります。
事実関係が鮮明なうちに状況を伝えるためにも、電話で苦情を申し入れるのがおすすめです。
4-2 債権回収会社名と苦情内容を伝える
苦情を申し入れる場合は、債権回収会社の社名と苦情内容を明確に伝えましょう。どの債権回収会社に問題があるのかを特定しやすくなるので、迅速な対応につながります。
また、苦情内容を伝えるときは、発生した事象や問題点を詳細に説明するようにしましょう。例えば、債権者の発言や行動、トラブルが発生した日時などを記録して説明すると効果的です。
苦情内容が曖昧だと、調査や対応が遅れる可能性があるため、正確で具体的な情報を心がけましょう。
4-3 証拠になりそうなものがあれば取っておく
苦情内容の原因になったものに証拠があれば、苦情の内容を裏付ける根拠となるため、調査が進みやすくなります。
例えば、電話での会話内容をメモした記録や送られてきた書類やメール、トラブルが発生した日時や状況を記載した記録などが挙げられます。
また、録音やスクリーンショットなどのデジタルデータも有効です。証拠があれば事実確認を進めやすくなるので、可能であれは証拠を取っておきましょう。
5章 身に覚えがない連絡は詐欺の可能性もある
もし、債権回収会社から身に覚えのない連絡があった場合、詐欺の可能性もあるため注意が必要です。特に、不審な請求や個人情報を求める業者は詐欺を疑うようにしましょう。
正規の債権回収会社かどうかを確認するためには、会社名や登録情報を調べることが大切です。また、以下のケースは詐欺の手口としてよくあるケースなので覚えておくとよいでしょう。
- アダルト向けサイト利用料金の代金回収を騙っている
- 目隠しシールのないハガキでの請求や督促をする
- 多数の電話番号を連絡先として載せている
- 返信先の電話番号が携帯電話である
- 支払先が個人名義の口座である
もし、詐欺の疑いがあると判断したら法務省や消費生活センターに相談をしましょう。
5-1 実在する債権回収会社の名前を使うケースに注意
注意点として、連絡があった債権回収会社が実在するからといって、必ずしも安心できるとは限りません。
信頼されやすい実在の会社名やロゴを使い、正規の請求であるかのように装って金銭を騙し取ろうとするケースも多いです。そのため、記載されている会社名を確認して公式ホームページから直接問い合わせるようにしましょう。
また、公式ホームページの振込先と電話などで伝えた振込先が違う場合も注意が必要です。
第三者の名義貸しや口座売買などで手に入れた使い捨ての振込先である可能性も考えられるため、内容に不自然な点がないかを慎重に見極め、すぐに返済しないようにしましょう。
6章 債権回収会社から取り立てがあっても放置はNG!
もし正規の債権回収会社から取り立ての連絡があった場合、放置は絶対に避けましょう。放置を続けると、ブラックリストへの登録や差押えなどの法的措置に発展する可能性が高いです。
連絡があったらまずは内容を確認し、返済計画を立てましょう。返済額が大きいと感じた場合は、債務整理で借金の減額をするのがおすすめです。
自力で完済を目指す場合でも債務整理をして最短で完済を目指す場合でも、まずは債権者に状況を説明するようにしましょう。放置してしまうと状況がどんどん深刻化してしまうため、できるだけ早めの対策が大切です。
6-1 消滅時効期間を過ぎている可能性もある
もし債権回収会社の取り立てが昔の借金だった場合、消滅時効期間を過ぎている可能性があります。消滅時効が成立する条件は2つです。
- 5年(個人間の借金では10年)にわたって債権者が法的措置を取らなかった場合(※)
- 債務者によって時効の援用がなされた場合
※時期や債権者の種類によってことなることがあります。
この両方を満たした場合、時効が成立するため支払い義務がなくなります。
消滅時効期間を成立させるには、時効援用通知書を作成し、配達証明付きの内容証明郵便によって債権者に送付する必要があります。専門的な手続きになるので必ず専門家と一緒に進めるのがおすすめです。
また、債権回収会社に「すぐには払えないから返済日時を伸ばしてほしい」「分割払いで払いたい」など返済の交渉をした場合や、1円でも債務の一部を返済した場合は時効の援用が認められなくなる可能性があります。
そのため、時効が成立している可能性がある借金は、債権回収会社と連絡のやり取りをしないで先に専門家に相談するのがよいでしょう。
6-2 返済できない場合は専門家に相談しよう
債権回収会社から取り立てがあった借金の返済が難しい場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談をして債務整理を検討しましょう。
債務整理は、大きく分けて3種類の方法があります。どの方法が自分に向いているかは、下記をチェックしてみてください。
債務整理の種類 | 手続きの方法 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
任意整理 | 利息や手数料など元金以外の支払いをカットする手続き | 返済が長期化して利息や遅延損害金が膨らんでしまった人 借金を選んで整理したい人 |
個人再生 | 借金そのものを5分の1〜10分の1に減額して完済を目指す手続き | カードの滞納の理由がギャンブルや浪費の人 失いたくない財産がある人 |
自己破産 | 借金自体を免除してもらい支払い義務をなくす手続き | 完済の目処が立たず返済不能に陥った人 借金を返済するための支払い能力がない人 |
放置すると取り立てが悪化したり裁判を起こされたりする可能性があるため、早めに専門家に相談をして状況に合った手続きを進めるのがおすすめです。
特に、差押えまで進んでしまうと手続きの選択肢が限られてしまうので注意が必要です。
7章 債権回収会社とのトラブルは専門家に相談しよう!
債権回収会社とトラブルになった場合、自己判断で対応するのではなく、全国サービサー協会や法務省などの専門家に相談するようにしましょう。
特に、現在借金を抱えている方は詐欺かどうか判断しにくいため、少しでも怪しいと思ったらすぐに返済しないように注意が必要です。もし、借金の滞納が続いている場合は債務整理で借金を減らす方法も検討しましょう。
当メディアを運営するグリーン司法書士法人では、債務整理や時効の援用など借金問題を解決する方法を提案いたします。初回相談は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。
お気軽にお問い合わせください!
借金返済のご相談はグリーンへ
借金返済に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
アクセス数が多いキーワード:債務整理 クレジットカード
借金返済の無料相談ならグリーンへ

お気軽にお問い合わせください!