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様々な事情で家賃が払えない時など、誰にも悩みを打ち明けられず対処法に困ることはありますが、滞納したまま放置すればいずれ退去を迫られることになります。
収入が減少したり仕事を失ったり、借金返済などに追われていたりなど家賃が払えない理由は人それぞれですが、対処法がわからなくても一人で悩まず相談することが必要です。
そして、家賃を払えないときには、家賃が安い物件に引っ越す、家族や親族と同居して住居費を抑えるなどの対処が必要な場合もあるでしょう。
本記事では、家賃を滞納するリスクや、払えない時の相談先や解決方法を次の3つの章に分けて詳しく解説していきます。
- 家賃を滞納するリスク
- 家賃が払えない時の相談先
- 家賃が払えない時の対処法
現在、家賃の支払いで悩んでいる方は、ぜひこの記事を解決の糸口として参考にしてください。
目次 ▼
1章 家賃を滞納するリスク
生活する上で基盤となる「住まい」を確保するために支払うのが「家賃」であり、毎月の生活費で大きな割合を占めます。
支払う割合が大きいゆえに、仕事を失ったり収入が激減したり、予定外の出費などで「滞納」してしまうこともあるでしょう。
しかし家賃を滞納してしまうと、次の6つの「リスク」が発生します。
- 保証人に迷惑をかける
- 契約解除で強制退去させられる
- 信用情報に傷がつく
- 時効の更新手続を取られる
- 賃貸入居審査に通りにくくなる
- 民事訴訟を起こされる
それぞれどのようなリスクがあるのか説明します。
1-1 保証人に迷惑をかける
家賃を滞納するリスクとして、「保証人」に迷惑をかけることが挙げられます。
保証人は、債務者が借金を返さないときに代わって「返済義務」を負う人であるため、家賃滞納の「責任」は保証人にも及びます。
そのため賃借人が家賃を支払わず滞納した状態を続ければ、保証人に「迷惑」をかけることになり信頼も失うことになるでしょう。
1-2 契約解除で強制退去させられる
家賃を滞納するリスクとして、いずれ契約解除となり「強制退去」させられることが挙げられます。
賃貸物件を借りるときには賃貸借契約を結びますが、多くの賃貸借契約書には家賃滞納を「契約違反」とみなすことが記載されています。
法律では賃貸住宅に住む「賃借人」の権利は比較的手厚く保障されているため、1~2か月家賃を滞納してもすぐに家を退去しなければならないわけではありません。
実際、強制退去は明渡訴訟を提起した後で判決を得て、強制執行手続を行うという流れが必要となるため何か月もかかります。
しかし3~6か月以上など滞納した状態が長期間に及べば、賃貸借契約は「解除」されることになり、強制退去させられることとなるでしょう。
1-3 信用情報に傷がつく
家賃を滞納するリスクとして、「信用情報」に傷がつくことが挙げられます。
賃貸借契約を結ぶときに家賃保証会社の利用が必要な場合がありますが、「信販系」の家賃保証会社は「信用情報機関」であるCICやJICCと連携しています。
「信販系」の家賃保証会社に保証してもらっていたときや、クレジットカード決済で家賃を支払っていたときにおいて家賃滞納などがあれば、その事実が信用情報機関のデータベースに「記録」されるため、信用情報に「傷」をつけることになるでしょう。
1-4 時効の更新手続を取られる
家賃を滞納するリスクとして、「時効の更新」手続を取られることが挙げられます。
何か月も滞納していると、数か月分の家賃をまとめて支払うことはできないと感じ、消滅時効の成立を狙いたくなることもあるでしょう。
しかし家賃滞納の消滅時効は次の2つの「要件」を満たすことが必要です。
- 家賃滞納から5年以上経過している
- 家賃を5年以上未払いである
実際には、時効成立までの次に挙げる「債務者」の行為や「債権者」の行動によって、消滅時効期間は「リセット」されゼロからのスタートとなります。
- 債務者の支払い義務の承認
- 債権者による支払督促・訴訟手続
- 債権者による財産の差し押さえ
そのため、家賃を滞納している賃貸物件に住み続けた状態で時効を狙おうとしても、「時効の更新」により成立させることは極めて「困難」です。
1-5 賃貸入居審査に通りにくくなる
家賃を滞納するリスクとして、「賃貸入居審査」に通りにくくなることが挙げられます。
賃貸借契約を結ぶ際に、家賃保証会社の「保証」が必要という場合には、保証会社の「入居審査」もクリアしなければなりません。
「信販系」の家賃保証会社では、先に述べたとおりCICやJICCなど信用情報機関の情報を入居審査に採用するため、家賃滞納の事実も記録され共有されます。
さらに「LICC(一般社団法人全国賃貸保証業協会)」という賃貸業界独自の保証協会もあるため、協会加盟の家賃保証会社間でも申し込みや家賃滞納の情報を共有しています。
家賃滞納の事実は「5年間」データベース上に履歴として残るため、新たな賃貸物件へ引っ越したくても入居審査に通りにくくなると考えられます。
1-6 民事訴訟を起こされる
家賃を滞納するリスクとして、「民事訴訟」を起こされることが挙げられます。
賃貸人も本来であれば支払ってもらうべき家賃が滞納状態のまま放置するわけにはいかないため、「支払督促」を手続する可能性があります。
支払督促とは、借金の返済がないときや家賃を支払ってもらえない場合などに、簡易裁判所の裁判所書記官に申立てを行い支払うように命じてもらう制度です。
この支払督促に応じなければ「民事訴訟」へ移行され、賃貸人の訴えが認められれば「強制執行」の対象となります。
2章 家賃が払えない時の相談先
家賃が払えないまま数か月溜まってしまうと、途方に暮れてつい逃げたくなるものでしょう。
しかしすぐに強制退去になるわけではないため、自身を追い込まずに冷静に対処するためにも、次の相手に「相談」することが必要です。
- 家主または管理会社
- 保証人
- 公的機関
それぞれの相談先について説明します。
2-1 家主または管理会社
家賃が払えない時の相談先の1つ目が、「家主」または「管理会社」です。
たとえば事情があって1か月程度家賃の支払いが遅れる場合などは、賃貸人である家主や管理会社へまずは相談してみましょう。
いつまでであれば支払いができるか伝えるなど、支払う「意思」を示すことにより、一時的に待ってもらえる可能性もあります。
2-2 保証人
家賃が払えない時の相談先の2つ目は「保証人」です。
家賃滞納が続くときや、度重なる督促に応じなかった場合には、最終的に保証人へ連絡が入ることになります。
賃貸借契約の保証人になっているのは、親や親族など賃借人に比較的近い立場の方であることが多いため、一時的に家賃を立て替えてもらえないか相談できるなら頼んでみましょう。
代わりに支払ってもらえる場合には、立て替えてもらったお金を保証人へ返済することも忘れないでください。
2-3 公的機関
家賃が払えない時の相談先の3つ目は、「公的機関」です。
たとえば「離職」や「廃業」などを理由に家賃を支払うことが難しい状態であるのなら、「住居確保給付金」を申請できる可能性があります。
一定要件を満たすことで、市区町村ごとに定める生活保護制度の住宅扶助額を上限として、家賃分が原則「3か月間(2回まで延長・最大9か月間まで)」支給されます。
申請や相談は最寄りの「自立相談支援機関」で受け付けているので、相談してみるとよいでしょう。
また、緊急かつ一時的に生計維持が困難になった際、原則10万円まで無利子で借りることができる「緊急小口資金」や、生活福祉資金貸付の「総合支援資金」などの制度もあります。
ただし収入が途絶えた方や低所得者を対象としていることが多いため、まずは地域の「社会福祉協議会」に相談することをおすすめします。
3章 家賃が払えない時の対処法
家賃を1~2か月滞納したとても、すぐに退去しなければならないわけではないものの、3~6か月以上など「長期」に及べば強制退去させられることになるでしょう。
最悪の事態を防ぐためにも、家賃が払えない時には次の3つの「対処法」を検討してください。
- 出費を見直す
- 家賃の安い物件へ引っ越す
- 家賃以外の借金など完済する
それぞれの対処法について説明します。
3-1 出費を見直す
家賃が払えない時の対処法として、「出費」を見直すことが挙げられます。
毎月の水道光熱費・通信費・食費・交際費など、家賃以外にも支払う「費用」はいろいろですが、その他の支払いにお金をかけ過ぎていることで家賃が払えなくなっているとも考えられます。
明確に毎月の固定費などの支払いを洗い出し、「削減」できる部分はないか見直ししてみましょう。
3-2 家賃の安い物件へ引っ越す
家賃が払えない時の対処法として、家賃の「安い」物件へ引っ越すことが挙げられます。
収入に見合わない家賃である場合、支払いが困難になる可能性は高いといえます。
家賃が手取りの「3分の1」を超えると、家計が圧迫され生活維持が困難になるといわれているため、収入に見合う物件へ引っ越すことも検討しましょう。
3-3 家賃以外の借金など完済する
家賃が払えない時の対処法として、家賃以外の借金を「完済」することが挙げられます。
借金返済が「家計」を圧迫していることで、家賃に充てるお金がなくなっているのなら、早めに借金を完済することが必要です。
たとえば借金を「任意整理」で手続すると、債権者との交渉で将来発生する利子がカットされ、残りを3~5年程度に分けて支払う返済計画に変更できます。
毎月の返済額や借金総額を抑えることにつながるため、借金返済に追われていることが家賃滞納の理由である場合には、早めに専門家などに相談し解決させたほうがよいでしょう。
まとめ
家賃が払えない時には、滞納したまま放置せず対処することが必要です。
何か月も滞納していると、溜まってしまった数か月分の家賃を一度に支払うことはできないと諦めてしまい、時効が成立するまで逃げたくなることもあるでしょう。
しかし家賃の滞納は時効の更新により、消滅時効期間がリセットされることが多く、時効の成立は難しいといえます。
そもそも家賃を滞納した状態を続けることは、ブラックリストに載り続けることや保証人に迷惑をかけるなどデメリットが大きすぎるため、早急に解決させることが必要です。
もしも滞納した家賃の支払いや借金返済などで困まっているのなら、まずはグリーン司法書士法人グループへご相談ください。
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よくあるご質問
- 家賃滞納は何ヶ月までなら許される?
- 3~6か月以上など滞納した状態が長期間に及べば、賃貸借契約は「解除」されることになり、強制退去させられることとなるでしょう。
家賃滞納によるリスクについて詳しくはコチラ
- 家賃が払えないときの対処法とは?
- 家賃が払えないときの対処法は、下記の通りです。
・出費を見直す
・家賃の安い物件へ引っ越す
・家賃以外の借金など完済する
家賃が払えないときの対処法について詳しくはコチラ