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任意整理は、専門家に依頼しなくても個人でできます。
通常、任意整理する場合は、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することが一般的です。
しかし個人で行う場合には、引き直し計算や債権者との交渉における手続などをすべて本人で行わなければなりません。
個人で行うことで和解まで時間がかかる恐れや、債権者が任意整理に応じないなど手続が進まない可能性もあります。
そこで、任意整理について個人でできるのか、メリット・デメリットを含めた手続の流れを説明していきます。
- 任意整理を個人で行うことをおすすめできない理由とは何か
- 任意整理を個人でするメリットとは何か
- 任意整理を個人でするデメリットとは何か
- 任意整理を個人で行う流れについて
- 任意整理を司法書士・弁護士に依頼するメリットとは何か
- 司法書士・弁護士に任意整理を依頼する費用相場について
目次 ▼
1章 任意整理は個人で行うこともできる
任意整理は個人で行うこともできますが、本来、司法書士や弁護士などの「専門家」に依頼することが一般的といえます。
債権者である貸金業者と交渉し、無理なく借金を返済できるようにするための手続が「任意整理」です。
債務整理の1つであるものの裁判所を介さないため、専門家に依頼したほうがスムーズといえるものの、本人が手続することもできます。
ただし、任意整理では貸金業者から取引履歴を取り寄せ、借金総額や毎月の返済額・回数などの「交渉」が必要です。
法律の専門家ではない個人が交渉に挑んでも、相手にしてもらえなかったり話し合いが進まなかったりなど、手続が進まなくなる恐れもあります。
そのため任意整理は個人でできるものの、あまりおすすめではないといえるでしょう。
2章 任意整理を個人でするメリット
任意整理を個人で行う「メリット」は、司法書士や弁護士などに依頼するときにかかる費用を「削減」できることです。
司法書士や弁護士に任意整理を依頼すると、貸金業者1社あたり数万円の費用がかかります。
これに対し、個人で手続すれば専門家に対する報酬は発生しないため、余計な費用を支払う必要がありません。
ただし、債権者と個人の交渉において、足元を見られる恐れもあります。
専門家が交渉したときよりも、払い戻してもらえる金額が少なくなる恐れもあるため、借金整理に詳しい司法書士や弁護士に依頼したほうが安心です。
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3章 任意整理を個人でするデメリット
任意整理は、専門家に依頼しなくても個人で行うこともできます。
ただし個人で手続する場合には、以下の「デメリット」を理解しておくことが必要です。
- 債権者からの取り立てが止まない
- 借金の総額を自分で計算しなければならない
- 過払い金が発生していることを見落とす恐れがある
- 借金が時効を迎えていることに気付けない恐れがある
- 債権者との交渉に失敗する恐れがある
- 債権者に信用されない
- 平日日中にしなければならない
それぞれどのようなデメリットがあるのか説明します。
3-1 債権者からの取り立てが止まない
任意整理を個人でするデメリットとして、手続を開始しても債権者からの「取り立て」が止まらないことが挙げられます。
借金の返済が遅れている場合、司法書士や弁護士などの専門家に依頼すれば、債権者に「受任通知」が発送されるため、督促や取り立てが一時的に止まります。
しかし個人で手続しても、専門家が介入していないため督促や取り立てを止めることはできません。
請求を受けながら手続を進めなければならないため、交渉が長引けば督促や取り立ても続くと理解しておくことが必要です。
3-2 借金の総額を自分で計算しなければならない
任意整理を個人でするデメリットとして、債務者本人が借金総額を「計算」しなければならないことが挙げられます。
債権者から過去の借入れや返済などが記録された取引履歴を取り寄せ、「引き直し計算」を行って借金総額を正確に把握した上で交渉を進めます。
引き直し計算とは、利息制限法の利率で利息を計算しなおすことです。
本来、返すべきだった借金の額や過払い金の発生など、確認することができます。
エクセルのツールなどを使えば、個人で計算することはできるものの、正確な金額を知るためには専門家に依頼したほうが安心です。
3-3 過払い金が発生していることを見落とす恐れがある
任意整理を個人でするデメリットとして、「過払い金」の発生を見落とす恐れがあることが挙げられます。
長年に渡り借金を返済し続けている場合、引き直し計算で過払い金が発生することもあります。
「過払い金」とは、法律の上限を超えた金利により、払い過ぎた利息です。
本来払う必要のなかった利息は、債権者に「返還請求」することで払い戻してもらえますが、間違った引き直し計算では見落としてしまう恐れがあります。
専門家でなければ返還に応じてもらえなかったり減額されたりされる可能性もあるため、専門家に依頼したほうが安心です。
3-4 借金が時効を迎えていることに気付けない恐れがある
任意整理を個人ですると、借金が「時効」を迎えていることに気がつけない恐れがあります。
借金や住宅ローンなどの一般債権の消滅時効は、次のいずれか「早い」タイミングです。
- 債権者が権利を行使できることを知ったときから5年
- 債権者が権利を行使できるときから10年
貸金業者からお金を借りると、通常、契約書に返済期日などが明確に記載されています。
そのため上記のどちらも契約の際に取り決めた「返済期日」といえますが、個人で任意整理するとすでに時効を迎えているのにも関わらず、気がつかない恐れがあります。
消費者金融が時効まで請求せず放置するとは考えにくいですが、専門家に依頼したほうが消滅時効の期間を過ぎている状態に気がつかないといった状況を回避できます。
3-5 債権者との交渉に失敗する恐れがある
任意整理を個人でしても、債権者との交渉に「失敗」する恐れがあります。
個人で債権者と話し合いを進めても、法律知識のないことなど理由に、相手にしてもらえないかもしれません。
足元を見られ、不利な条件で和解交渉を進められることや、反対に訴訟を起こされて財産を差し押さえられるといった結末に至る恐れもあります。
専門家が介入していれば一時的に取り立てを停めることもできたのに、個人で手続すれば抑制力がないため、債権者が協力的な姿勢で和解交渉に応じるとは限りません。
そのため本人で任意整理を行う場合には、交渉が進まず失敗するリスクを理解しておくことが必要です。
3-6 債権者に信用されない
任意整理を個人でするデメリットとして、債権者に信用されないことが挙げられます。
司法書士や専門家が間に入らずに交渉を進める場合、債権者に伝える内容はあくまでも個人の申告であり、「客観性」が認められる財産状況や困窮状態ではありません。
虚偽の申告である恐れもあるため、金融機関内によっては個人との直接の交渉には応じないと取り決めている場合もあるようです。
債権者から信用してもらえなければ和解交渉も進まず、止まらない督促で苦しい状況に立たされ続けることになります。
3-7 平日日中にしなければならない
任意整理を個人でするデメリットとして、手続を「平日」の日中に行わなければならないことが挙げられます。
債権者の法務部や、債務整理を担当する部署は、平日の日中でなければ営業しておらず、個人が働いている時間帯に手続を進めることが必要です。
取引履歴の取り寄せや債権者との交渉、和解が成立した後の和解書作成におけるやり取りなども、すべて自宅を拠点に行うため家族にも任意整理していることを知られるでしょう。
家族に知られず任意整理をしたいときは、個人で手続するとバレるリスクが高いと留意しておくことが必要です。
4章 任意整理を個人で行う流れ
任意整理を個人で行う場合には、以下の4つの流れで手続を進めることが必要です。
STEP① 借入先に取引履歴の開示を要求する
STEP② 引き直し計算をする
STEP③ 債権者と交渉する
STEP④ 合意書を作成する
それぞれの流れを説明します。
STEP① 借入先に取引履歴の開示を要求する
任意整理を個人で行う場合には、借入先に取引履歴の開示を請求しましょう。
「取引履歴」とは、債権者との以下の「取引内容」がすべて記録された書類です。
- 借入日
- 返済日
- 利息
- 遅延損害金
貸金業者に電話または「取引履歴開示請求書」を送付するなどの方法で請求しますが、届くまでの期間は1週間から10日程度を目安にしてください。
STEP② 引き直し計算をする
任意整理を個人で行う場合には、債権者から取り寄せた取引履歴をもとに、引き直し計算を行うことが必要です。
「引き直し計算」では、貸金業者との過去の取引履歴をもとに、利息制限法に基づいた利率になおして利息を計算しなおします。
払い過ぎた利息である過払い金だけで借金が完済するケースもあるため、正しい計算を行うことが必要です。
STEP③ 債権者と交渉する
任意整理を個人で行う場合には、引き直し計算の結果に応じた債権者との交渉が必要です。
過払い金が発生していれば、貸金業者に返還請求を行います。
借金が残っている場合は、今後の返済について、将来利息をカットしてもらった上での返済額にしてもらうなど「交渉」します。
法律に詳しくない個人が交渉しても応じる姿勢を見せてもらえない場合や、社内規定などを理由に断わられる可能性もあります。
そのため任意整理は個人で行うよりも、司法書士や弁護士など専門家に依頼したほうが安心です。
STEP④ 合意書を作成する
任意整理を個人で行う場合には、債権者との交渉の結果に基づいた合意書の作成が必要です。
返済総額や返済条件などに「合意」できた場合、和解が成立するため和解書を取り交わします。
「和解書」は、債権者が作成した書面に署名・押印を求められることが一般的といえますが、以下の内容に誤りがないか確認することが必要です。
- 返済総額
- 毎月の返済額
- 返済日
- 返済期間
- 懈怠約款(分割払いを怠ったときの条項)など
「懈怠約款」とは、支払いを怠ったときの遅延損害金や、一括返済の義務などの取り決めです。
なお、貸金業者から提示された返済総額に納得できないときや、発生した過払い金を満額で返還請求するときには、訴訟の提起が必要になる場合もあるため専門家に相談したほうが安心といえます。
5章 任意整理を司法書士・弁護士に依頼するメリット
任意整理は個人でも手続できますが、やはり専門家である司法書士や弁護士を頼ったほうが安心です。
司法書士や弁護士に手続を依頼する「メリット」として、以下の5つが挙げられます。
- 借金の取り立てや督促が止まる
- 無理なく返済できる条件で和解を目指せる
- 過払い金請求にも対応してもらえる
- 時効の援用を行ってもらえる
- 家族・勤務先に借金がバレるリスクを減らせる
それぞれどのようなメリットがあるのか説明します。
5-1 借金の取り立てや督促が止まる
任意整理は個人で手続せず、司法書士や弁護士に依頼するメリットとして、借金の取り立てや督促が一時的に「停止」することが挙げられます。
依頼を受けた司法書士や弁護士は、代理人になった旨を通知する「受任通知」を債権者に送付します。
受任通知を受け取った債権者は、債務者への請求や督促を停止しなければならないと法律で決まっています。
そのためその後のやりとりは専門家を経由して行われることになり、取り立てや督促に頭を悩ませることはなくなります。
5-2 無理なく返済できる条件で和解を目指せる
任意整理は個人で手続せず、司法書士や弁護士に依頼するメリットとして、無理なく返済できる条件で「和解」を目指せることが挙げられます。
債権者との交渉に慣れている専門家なら、無理のない返済条件で和解できるように話し合いを進めることができます。
個人で交渉したときには、将来利息や遅延損害金はカットしないなどの条件で交渉を進められる恐れもありますが、専門家に依頼すれば不利な条件での交渉はなくなります。
5-3 過払い金請求にも対応してもらえる
任意整理は個人で手続せず、司法書士や弁護士に依頼するメリットとして、「過払い金請求」にも対応してもらえることが挙げられます。
個人で手続すると見落としてしまいがちな過払い金も、司法書士や弁護士に依頼することで発生の有無を正確に確認できます。
過払い金が発生している場合、返還される金額は貸金業者との「交渉」で決まります。
法律知識や交渉の「経験」が豊富な専門家に任せることで、個人の交渉よりも多く取り戻せる可能性が高まるでしょう。
5-4 時効の援用を行ってもらえる
任意整理は個人で手続せず、司法書士や弁護士に依頼するメリットとして、消滅時効期間を過ぎているときに「時効の援用」を行ってもらえることが挙げられます。
「時効の援用」とは、債務などが一定期間行使されないことによって、返済義務が「消滅」した旨を主張することです。
個人でも手続できますが、本当に消滅時効期間を過ぎてるのか確認が必要であり、専門的な知識も必要となります。
債権者と「時効の援用」に関するトラブルが発生した場合は、専門的な法律知識や交渉能力が求められるため、専門家ではない一般個人では対処が難しいといえます。
専門的な判断が求められる場面で適切に対応するためにも、専門家に依頼したほうが安心です。
5-5 家族・勤務先に借金がバレるリスクを減らせる
任意整理は個人で手続せず、司法書士や弁護士に依頼するメリットとして、家族や勤務先に借金が「バレる」リスクを減らせることが挙げられます。
個人で任意整理をすると、取引履歴の取り寄せや債権者との交渉は、「自宅」を拠点に行います。
電話をかけたり「郵送物」が届いたりなどの理由で、家族に手続していることを知られてしまうかもしれません。
司法書士や弁護士に手続を依頼すれば取り立てや督促も一時的に止まり、書類のやり取りや交渉の窓口も専門家の「事務所」となるため、家族にバレるリスクは軽減されます。
6章 司法書士・弁護士に任意整理を依頼したときの費用相場
任意整理は、借金返済の負担を軽減したいために行います。
そのため司法書士や弁護士などの専門家に相談したほうがよいとはわかっていても、依頼する費用がかかり過ぎて「赤字」になっては意味がありません。
実際、任意整理にかかる費用は専門家に事務所によって異なるものの、借金は減額されたのに手続費用で赤字になるといったケースも散見されます。
なお、グリーン司法書士法人では、赤字になる任意整理は基本的に受けていないため安心です。
任意整理の料金相場は、借入先1社につき5〜15万円程度が相場であり、成功報酬が加算されます。
司法書士と弁護士のどちらに依頼するかによって異なるものの、一般的に司法書士の方が料金は低く抑えられています。
借金の件数や総額、交渉にかかる時間などによって変わることもあるため、見積もりを依頼するとより安心です。
まとめ
任意整理は個人で手続できるものの、司法書士や弁護士などの専門家を頼ったほうが安心です。
個人で手続せず、専門家を頼ることで、取り立てや督促は一時的に止まり、無理なく返済できる条件での和解を目指しやすくなります。
また、過払い金が発生していたときや消滅時効期間を過ぎているときにも対応してもらえること、家族に手続がバレるリスクを減らすことができることもメリットです。
借金返済が長期化していると、終わりの見えない返済で精神的負担も重くなりがちです。
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