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- 電話で債務の承認をしてしまうケース
- 支払い督促の電話に出た際の対応方法
- 電話で債務の承認のような発言をしてしまった場合の対処法
借金を滞納してから5年~10年が経過すると、時効を迎えて返済義務が消滅します。しかし、債権者も時効の成立を防ぐために、電話で債務者と直接話をして支払い督促を行います。もし債務者が電話で債務の承認をすれば、時効が更新されて債権を回収できる可能性が高まるためです。
そのため、債務者は督促の電話がかかってきても債務の承認をしないようにしなければなりません。そして、借金問題に詳しい弁護士・司法書士に相談し、適切に対応する必要があります。とはいえ、「そもそもどのような言動が債務の承認に該当するのかわからない」「債権者からの電話への適切な対応方法を知りたい」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、電話で債務の承認をしてしまう典型的なケースを解説した後、債権者への適切な対応方法を説明します。また、電話で債務の承認のような発言をしてしまった場合の対処法についても紹介しているので、債権者から連絡が届いて焦っている方はすぐにチェックしてみてください。
目次 ▼
1章 債務の承認とは?電話で承認してしまう典型的なケース
債務の承認とは、消滅時効が成立する前に借金が存在することを認める発言や行動のことです。通常は返済予定日もしくは最終返済日から起算して5年~10年が経過すると、時効が完成して借金が消滅します。
しかし、債務の承認をすると時効が更新されるため、債権者からの電話には慎重な対応が必要です。ここでは、電話で債務の承認をしてしまう典型的なケースを見ていきましょう。
1-1 総じて借金を認める発言
借金の存在を認める言動は、債務の承認と見なされる可能性が高いです。例えば「確かに借りた覚えがあります」「以前に借りた分だと思います」といった発言は、債務の存在を認める行為にあたり、債務の承認に該当します。
1-2 支払いの約束をする発言
債権者からの電話で支払い督促を受けると、精神的に大きな負担がかかります。そこで電話をすぐに終わらせるために、「来月までに支払います」「文書に記載されている期限までに支払います」と答える方もいるでしょう。
支払いの約束をする発言も債務の承認に該当し、時効が更新されるリスクが高いです。支払う意思を表明することで時効を援用できなくなる可能性があるため、債権者からの電話では返済に関する具体的な約束はしないように注意しましょう。
1-3 猶予を求める発言
債権者からの電話に対して支払いの猶予を求める発言も、債務の承認に該当する典型的なケースです。「今は返済が難しいので、少し待ってほしい」「来月から収支状況に余裕が生まれる予定なので今月は見逃してほしい」などと電話で債権者に伝えると、借金の存在を認めて支払いの約束をしたと解釈されてしまいます。
また、「返済スケジュールを見直してほしい」「分割払いを認めてほしい」なども返済に猶予を求める発言なので、債権者から電話に焦って伝えないようにしましょう。
2章 電話で債務の承認をすると時効は更新される
先述の通り、債権者からの電話に対して借金の存在を認めたり、支払いの約束をしたり、返済猶予を求めたりする発言をすると、債務の承認と見なされて消滅時効が更新され、時効期間が5年にリセットされます。債務の承認をすると時効援用が難しくなるため、電話督促には適切に対応しなければなりません。
もし、債権者から電話がかかってきたら「不用意なことは言えないので、ちょっと確認してまたお電話します」と伝えてください。多くを話さず回答を一旦保留にすることで、時効の更新を防げます。そして、その後は専門家の弁護士・司法書士に相談し、電話督促への適切な対処法をアドバイスしてもらいましょう。
3章 電話以外で債務の承認が認められる2つのケース
「電話にだけ気を付ければ時効は更新されないのか」「ほかにも債務の承認に該当する行為はあるのか」と、疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。債務の承認は、電話での発言以外にも以下のような行動によって認められます。
- 債務を返済する
- 債務を認める書面に署名捺印をする
それぞれ詳しく解説しましょう。
3-1 債務を返済する
借金を一部でも返済すれば、債務の承認が認められて消滅時効がリセットされます。債権者が支払い督促をする際に、「少額でも返済すれば遅延損害金が少なくなる」「利息だけでも大丈夫だから支払ってほしい」と伝えるケースがあります。
しかし、督促に応じて借金の一部や利息を返済すれば債務を承認したと見なされるので、時効の更新を防ぎたいなら回答を保留して専門家に相談しましょう。
3-2 債務を認める書面に署名捺印をする
債権者が発送する債務承認書や債務承認弁済契約書に署名・捺印をすれば、債務を承認したことになります。債務承認書は、借金の存在を認めることを示した簡易的な書面です。
また、債務承認弁済契約書は、債務の承認とともに返済計画や条件を取り決めて、今後の返済義務を明確にするための書面です。債務承認書や債務承認弁済契約書といった債務を認める書面に署名・捺印をすれば不利益を被る可能性が高いので、安易に応じないようにしましょう。
4章 債権者から電話があったら債務の承認前に弁護士・司法書士に要相談
債権者からの突然の電話への対応を誤ると、債務の承認が認められて消滅時効の援用が難しくなります。意図せず債務を承認する発言をしてしまう恐れもあるため、電話があっても回答を保留してすぐに弁護士・司法書士に相談しましょう。
また、電話ではなく書面で督促が届くケースもあります。「借金のことで伝えたいことがあるので連絡ください、もし連絡がなければ裁判を起こします」といった書面を受け取ると慎重に判断できなくなるかもしれません。しかし、間違った対応をすると苦しい借金生活から抜けられないので、古い借金についての書面が届いたら連絡する前に専門家に相談してください。
経験豊富な専門家が多数在籍するグリーン司法書士法人でも、債権者から電話がかかってきた方へのサポートを行っています。無料相談も実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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5章 電話で債務の承認のような発言をしてしまった場合の対処法
「債権者からの電話に出て債務の承認のような発言をしたかもしれない」「すでに債務を承認してしまっていたらどうすればいいのか」と不安に思っている人もいるでしょう。
ここでは、債権者からの電話で債務の承認のような発言をしてしまった場合の対処法を解説します。
5-1 承認に当たらないケースがあるので諦めない
債権者からの電話に出た際、債務の承認について知らない人が多いでしょう。「すでに債務を承認してしまっているのでは?」と不安になる気持ちもわかりますが、発言内容が債務の承認に該当しないケースもあります。
また、債権者の口調が荒くて怖い場合、債務を認めたり支払いを約束したりする発言をしても、脅迫と見なされて債務の承認には該当しません。このように電話に出たからといって債務の承認に該当するとは限らないため、専門家に相談するなどして諦めずに解決策を探しましょう。
5-2 債務整理を検討する
もし電話での発言が債務の承認と見なされてしまい、返済義務が生じた場合は自己破産や債務整理の検討が必要です。これまでに滞納し続けた分の遅延損害金が年率14.6%以上で加算されるためです。もし遅延損害金が年率20%で加算される場合は、時効を意識する4年~5年滞納し続けると借金額は2倍以上に膨れ上がります。
さらに一括請求を求められれば、滞納している借金の完済は非常に難しいでしょう。したがって、債務を承認して返済が厳しい場合は借金が帳消しになる自己破産、借金を大幅に減額する個人再生などを活用してください。
なお、債務整理の手続きは非常に複雑で、個人で行うと書類不備や条件不足で認められない恐れがあります。そのため、債務整理を行う際は弁護士・司法書士に相談しましょう。
まとめ
債務の承認とは、消滅時効が成立する前に借金が存在することを認める発言や行動のことです。債権者からかかってきた電話に対して以下のような発言をすると、債務を承認したと見なされて時効が更新されてしまいます。
- 総じて借金を認める発言
- 支払いの約束をする発言
- 猶予を求める発言
債権者から支払いを催促する電話がかかってきたら安易に回答せず、「不用意なことは言えないので、ちょっと確認してまたお電話します」と伝えましょう。また、電話での発言のほか、債務を一部でも返済したり、債務承認書や債務承認弁済契約書に署名・捺印をしたりすると、債務の承認が認められて時効が更新されます。
すでに債務を承認してしまった場合は、遅延損害金が加算されるうえに一括返済を求められることによって支払いが困難になる可能性が高いです。債務整理による借金解決が必要になるため、弁護士・司法書士に相談して手続きをサポートしてもらいましょう。
グリーン司法書士法人では、債権者から電話がかかってきた際の適切な対応をアドバイスいたします。もし電話で債務の承認をしてしまった場合のサポートも行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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