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過払い金の返還請求をするとき、司法書士と弁護士のどちらに相談するべきか悩む方は少なくありません。
そもそも過払い金とは、ローンやキャッシングの返済のうち、本来であれば払う必要のなかったお金であり、返還してもらうように金融会社に請求できます。
ただ、専門家に依頼せずに手続してしまうと、想定よりも戻してもらえるお金が少なくなったり交渉がうまくいかなかったりトラブルが起きてしまうことが問題です。
そこで、過払い金返還請求は司法書士と弁護士のどちらに相談すればお得なのか、依頼できる業務の違いについて次の章に分けて解説していきます。
- 過払い金を返還請求できる理由
- 過払い金返還請求で司法書士と弁護士が行う業務の違い
- 専門家に過払い金返還請求を依頼する4つのメリット
- 過払い金返還請求を専門家に依頼したときにかかる費用
- 司法書士に過払い金返還請求を依頼するべきケース
払い戻してもらえる利息があるけれど、どの専門家を頼ればよいかわからない方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
過払い金については、下記の記事でも詳しく解説しています。
目次 ▼
1章 過払い金を返還請求できる理由
「過払い金」とは、お金を借りたときに金融会社などに払いすぎていた「利息」のことです。
間違った契約を結んでいたわけではないのに、なぜ利息を多く支払ってしまうことになったのか疑問を感じる方もいることでしょう。
過払い金を返還請求できる理由は、次の2つで説明することができます。
- 過払い金が発生する仕組み
- 過払い金返還の可能性がある対象者
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1 過払い金が発生する仕組み
金融会社と正規の契約を結んでお金を借り、設定された金利に従い利息を払っていたはずなのに、過払い金が発生する理由として「金利」が大きく関係します。
一言で言えば、ある時期に結んでいた契約で定められた利率が、後から「高すぎる」と裁判所によって判断されたというのが過払い金の発生する理由です。
法律では消費者金融など貸金業者が設定できる金利に「上限」を定めていますが、2010年(平成22年)6月17日以前の上限金利は以下の通りでした。
2つの法律の上限金利に「差」があったため、仮に利息制限法を超えた金利で契約を結んでいても、出資法の上限金利を超えなければ刑事罰の対象にはならない「グレーゾーン金利」を存在させました。
多くの貸金業者は「刑事罰」が科せられない「出資法」の上限金利でお金を貸していましたが、2006年1月13日に最高裁判所が次の判決を出します。
『グレーゾーン金利部分の利息は任意による支払いと言えない』
これにより、グレーゾーン金利部分の支払いを「過払い金」として貸金業者に「返還請求」できるようになりました。
なお、2010年6月18日には、貸金業法と出資法が改正され、現在の出資法の上限金利は利息制限法の20.0%に引き下げられています。
1-2 過払い金返還の可能性がある対象者
過払い金の返還請求できる可能性がある対象者は、次の4つのすべてに該当する借入れがある方です。
- 貸金業者から借金をしている
- 2010年(平成22年)6月17日以前に借入れを開始した借金がある
- 完済後10年以内の借金がある
- 借りていた金融会社が存在している借金がある
「過払い金」は貸金業者とグレーゾーン金利で契約を結び返済をしていた借金で発生する可能性があります。
また、最後の返済日から10年以内でなければ請求できる権利を失ってしまうため、完済後10年以内の借金があれば返還請求できる可能性は高いと考えられます。
すでに倒産などで「消滅」してしまった金融会社を相手に請求できませんが、「債権譲渡」されている場合には状況に応じて取り戻せることもあるため、まずは正常に営業しているか確認してみましょう。
2章 過払い金返還請求で司法書士と弁護士が行う業務の違い
過払い金返還請求は、司法書士と弁護士のどちらに相談するべきか迷ったときには、それぞれの「業務」の違いも参考にしましょう。
一般的に司法書士は不動産や会社の登記が得意というイメージが強く、弁護士は法定の場で争っているイメージが強いといえます。
とはいえ、どちらの専門家も借金問題を解決する専門家でもあるといえますが、業務として次のような違いがあります。
司法書士 | 弁護士 | |
請求できる債権額 | 元金140万円以下(業者1社ごとの過払い金) ただし、裁判書類作成代行でのサポートは可能 | 制限なし |
訴訟できる裁判所 | 簡易裁判所のみ | 制限なし |
対応できる業務 | 業者1社ごとの元金140万円以下の債務のみ代理人として対応 | すべての業務で代理人として対応 |
費用相場 | 任意整理の場合3〜6万円 | 任意整理の場合4〜8万円 |
上記の表を参考に、次の2つを解説していきます。
- 司法書士で対応できる業務範囲
- 弁護士で対応できる業務範囲
2-1 司法書士で対応できる業務範囲
司法書士のうち、「認定司法書士」の資格を持つ司法書士であれば、上記の表にある業務を担当できます。
簡易裁判所で業者1社140万円以下という「制限」はあるものの、弁護士と同様に法律相談を受けて債権者など相手と「交渉」し、「代理人」として裁判で活動することが可能です。
この「業者1社140万円以下」という基準は、利息や遅延損害金は含まず「元金」で計算します。
たとえばA社に対する借金の元金は120万円であるものの、遅延損害金が50万円発生しているため借金は170万円という場合は、司法書士でも代理人として対応可能です。
また、費用面では弁護士より安く抑えることができます。
2-2 弁護士で対応できる業務範囲
弁護士は債権額や対応できる業務に制限がなく、訴訟できる裁判所もどこが取り扱っていても関係ありません。
ただ、業者1社の借金で、利息や遅延損害金を含まず元金のみ140万円を超えることは多くないといえます。
費用面では弁護士のほうが高くなることが多いため、まずは司法書士に相談してみるとコストをかけずに手続できます。
3章 専門家に過払い金返還請求を依頼する3つのメリット
過払い金の返還請求に費用をかけたくない場合、専門家に相談・依頼しなくても本人が手続できます。
しかし費用がかかったとしても、専門家に手続を依頼することには、次の3つのメリットがあるといえるでしょう。
- 時間や労力をかけず手続できる
- 過払い金を多く取り戻すことができる
- 家族や周囲に知られずに手続できる
それぞれのメリットについて説明します。
3-1 時間や労力をかけず手続できる
過払い金の返還請求を専門家に頼ることで、時間や労力をかけずに手続できるため、忙しい方などは依頼したほうが安心です。
たとえば「取引履歴」を取り寄せたり「引き直し計算」をしたりなど、過払い金返還請求では想像しているよりも時間や手間がかかってしまいます。
しかし専門家に手続を依頼することで、それらの業務と金融会社との「交渉」など任せることができます。
3-2 過払い金を多く取り戻すことができる
過払い金の返還請求を専門家に頼ることで、過払い金を多く取り戻すことができます。
手続で金融会社との「交渉」することが必要になりますが、法律知識などない「本人」が交渉に挑んでも十分に対応してもらえないこともあります。
しかし法律に詳しく過払い金返還請求を熟知した専門家が交渉することで、金融会社が強気な態度に出ても毅然と交渉を続けることができ、多く過払い金を取り戻すことができます。
金融機関側もプロなので、こちらも素人対応せずに専門家を立てて手続きをした方が良い結果を得やすいと言えます。
3-3 家族や周囲に知られずに手続できる
過払い金の返還請求を専門家に頼ることで、家族や周囲に知られず手続できます。
金融会社との「やり取り」や「連絡」はすべて専門家が行うため、自宅に業者から書類が届いたり電話連絡が入ったりということはありません。
家族や周囲に知られず過払い金を取り戻したいときには、専門家に依頼したほうが安心です。
4章 過払い金返還請求を専門家に依頼したときにかかる費用
過払い金返還請求を専門家に依頼したほうが安心とわかっていても、実際、費用がどのくらいかかるか不安を感じることもあるでしょう。
司法書士と弁護士を比較すると、一般的には司法書士のほうが費用は安く抑えることができますが、どちらに依頼した場合でも事務所の「対応力」などでいつまでにどのくらいのお金が戻るか変わってきます。
過払い金返還請求を専門家した場合、次の「調査料」は無料になることが多いといえます。
- 過払い金が発生しているか
- 発生しているのならどのくらいの金額か
- 過払い金から費用を差し引き返ってくる金額はどのくらいか
ただし「相談料」として5,000円程度発生する場合もあり、「着手金」として1社あたり1~2万円程度請求されることもありますが、事務所により無料になる場合もあり対応は様々です。
過払い金返還請求後の「成功報酬」は、日本司法書士会連合会と日本弁護士連合会で、次のように「上限」が定められています。
和解交渉(話し合い)で解決した場合の成功報酬 | 取り戻した過払い金合計額×20% |
裁判で解決した場合の成功報酬 | 取り戻した過払い金合計額×25% |
ただ、司法書士には着手金・基本報酬・成功報酬の合計は50,000円までという規定があるため、弁護士よりも費用を安く抑えやすいといえるでしょう。
いずれも対応する事務所により異なるため、あくまでも「目安」として参考にしてください。
5章 司法書士に過払い金返還請求を依頼するべきケース
司法書士と弁護士のどちらの専門家に過払い金返還請求を依頼するか迷ったときにおいて、司法書士を選んだほうがよいのは次のケースです。
- 借金が1社140万円以下の場合
- 費用を抑えて手続したい場合
司法書士は、法律で140万円を超える民事事件の相談・和解・代理を行えないことになっていますが、1社ごとの借金のうち元金部分が140万円以下なら扱うことができます。
たとえば借金総額が1000万円の場合でも、100万円ずつ10社から借りているケースでは司法書士が代理人として対応できます。
一般的に貸金業者1社から140万円以上借りているケースは少ないといえますが、司法書士のほうが弁護士よりも「費用」を抑えて手続できることを考えれば、司法書士に依頼したほうがコスト面でお得です。
いずれの場合でも専門家には「得意分野」があり、すべての司法書士や弁護士が過払い金返還請求に詳しいわけではありません。
経験が乏しい専門家に依頼すると、対応が遅れたり対処してもらえなかったり、十分に過払い金を取り戻せなかったりなどトラブルも発生してしまいます。
そのため過払い金返還請求で司法書士を選ぶ場合でも、債務整理や過払い金返還請求に詳しく実績もあり、丁寧・迅速に対応してくれる事務所を選ぶことがポイントです。
まとめ
過払い金返還請求を専門家に依頼したいけれど、司法書士と弁護士のどちらを頼るか待っているのなら、司法書士を選ぶことで費用を抑えて手続できます。
複数社からお金を借りているときには、それぞれの金融会社とのやり取りや交渉が必要となるため、仮に1社ごとに着手金がかかる事務所を選ぶとコストがかさみ十分な金額を取り戻すことはできません。
また、司法書士の扱うことができる借金は140万円以下ですが、1社ごとの借金の元金部分で判断するため、費用を抑えて手続するのなら司法書士がお得であるといえるでしょう。
過払い金返還請求の実績がない事務所では、返還まで時間がかかったり十分な金額を取り戻せなかったりする可能性もあるため、もしも過払い金をしっかり戻してほしいならグリーン司法書士法人グループへご相談ください。
過払い金に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
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よくあるご質問
- 過払い金の司法書士の限度額はいくら?
- 過払い金の司法書士の限度額は元金140万円以下(業者1社ごとの過払い金)です。
過払い金の司法書士の限度額について詳しくはコチラ
- 過払い金請求を司法書士に依頼するメリットとは?
- 過払い金請求を司法書士に依頼するメリットは、主に下記の通りです。
・時間や労力をかけず手続できる
・過払い金を多く取り戻すことができる
・家族や周囲に知られずに手続できる
過払い金を司法書士に依頼するメリットについて詳しくはコチラ