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- 任意整理で辞任される原因や理由がわかる
- 任意整理が辞任された場合にどうなるかがわかる
- 任意整理で辞任された場合の対処法がわかる
「任意整理の手続きをしたはいいが、辞任されてしまった…」
この記事に辿り着いた方は、弁護士や司法書士から辞任されてしまい困っていることだと思います。
担当の弁護士や司法書士から辞任されると、任意整理の手続きができなくなるため注意が必要です。
この記事では、任意整理で辞任された場合の対処法を解説いたします。
また、辞任された原因ともう一度依頼する方法も解説するので併せてご確認ください。
任意整理のメリット・デメリットについては以下の記事をご参考にしてください。
目次 ▼
1章 弁護士・司法書士から届く辞任通知とは?
辞任通知とは、簡単に言うと債務者との契約を解消する通知のことです。
任意整理では、債権者と専門家が利息のカットや分割払いについて交渉を行い和解を目指します。
専門家の立ち位置としては、債務者の代理人として債権者と交渉を行います。
そのため、この辞任通知が来ることで「今後交渉を行いません」という意思表示になります。つまり今後の手続きが打ち切りになるということです。
当然、任意整理もできなくなるため、他の対処法を探して借金問題を解決する必要があります。
2章 任意整理で辞任される原因・理由
任意整理で辞任された原因を突き止めなければ、今後他の方法で任意整理を目指したとしても同じ失敗を繰り返してしまう可能性があります。
しかし、任意整理の手続き段階で辞任する確率は意外と多く、体感でも4割程度の債務者に辞任通知を送っています。それだけよくある原因ということになります。
辞任されてしまった分、任意整理が遅れてしまい完済までの道のりが遠のくため、辞任の原因が何だったのかを確認することが大切です。
ここからは、任意整理で辞任された原因を見ていきましょう。
2-1 任意整理にかかる費用を滞納した
1つ目は、任意整理にかかる費用を滞納したケースです。
任意整理は借金問題を解決する手続きですが、慈善事業ではないので、費用がなくては専門家は手続きすることはできません。
任意整理の手続きは以下のような流れで進みます。
この費用の支払いが終わらないと、債権者との交渉をスタートすることができないため費用の支払いは必須になります。
「費用と言っても借金の返済さえままならないのに支払えないよ」と思うかもしれませんが、債務整理に入った段階で取り立てをストップするように債権者に通知を送ります。
そのため、借金の返済を一時的にストップして、その分任意整理の支払いに充てることが可能です。それだけでなく、大抵の専門家は分割払いにも対応しているため、一括が難しい場合も支払いやすいです。
もし任意整理を検討している場合は、毎月積立金を支払えるか確認してから契約するのが良いでしょう。
費用の支払いのタイミングについては、以下の記事をご確認ください。
2-2 借金の返済代行中に滞納した
2つ目は、専門家に借金の返済代行をしてもらっている最中に滞納したケースです。
任意整理の交渉をして和解まで辿り着いたら、和解した内容通りに支払いを行う必要があります。
債務者が直接債権者に支払うのが一般的ですが、弁護士や司法書士などの専門家が債権者への支払いを代行し、その分債務者は専門家に支払い額を振り込む「返済代行」の形式をとるケースもあります。
「期日までに毎月この金額を支払います」とお互い合意した上での和解なので、その約束を破ったのであれば専門家も交渉した意味がなくなってしまいます。
当然、専門家も交渉したにもかかわらずお金が入金されないのであれば「約束と違うだろ」と不信感を抱くことになります。
任意整理の交渉自体は専門家が行いますが、結局のところ完済して再スタートできるかは本人次第です。
返済代行しているにもかかわらず、本人が支払えないようでは返済代行しても意味がないと見なされ、辞任されてしまうので注意しましょう。
2-3 専門家に不誠実な対応をした
3つ目は、専門家に不誠実な対応をしたケースです。
不誠実と聞くとざっくりした回答のように感じますが、具体的には以下のような項目が挙げられます。
- 面談の約束を破る
- 連絡をしても返事がない
- 必要書類や入金の期日を守らない
- 嘘をつく
- 度が超えた言葉使いや態度を取っている
あくまで一例ですが「交渉したくない」と思われてしまった場合は、辞任される可能性が高いでしょう。
任意整理の原因を作ったのは自分ということを自覚して、真摯な対応を心がけましょう。
3章 任意整理で辞任された場合は督促が始まる!
もし、司法書士や弁護士に任意整理を辞任された場合、これまでストップしていた督促が再開してしまいます。
司法書士や弁護士が任意整理を受任すると、債権者に対し「受任通知」を送付します。 受任通知を受け取った債権者は、債務者に対して取り立てを行ってはならないと決められているからです。
司法書士や弁護士に任意整理を辞任された場合の取り扱いを詳しく見ていきましょう。
3-1 債権者からの督促が再開される
任意整理が打ち切りになった時点で、債権者は支払いを止める義務がなくなるため再度督促が始まります。
一度受任通知を送ったことで「期限の利益」を失っているので、その後の請求は一括返済の請求となります。債務者によってはより強い精神的負担を強いられることでしょう。
当然支払えない場合は、督促だけでなく最終的には訴訟や差押えにまで進むので、次の対処法を考える必要があります。
3-2 支払えない場合は一括請求される
和解後の返済中に滞納した場合、督促を受けても支払えない場合は、一括請求されてしまいます。
一括請求はその名の通り、借金を一括で請求することです。当然、借金が100万だろうが1,000万だろうが返済しなくてはいけません。
ここで注意したいのが、任意整理の途中に滞納してしまった場合でも分割払いは復活しない点です。
任意整理の途中(和解成立前)に辞任された場合と同様、和解後の滞納が続いた場合も期限の利益を喪失するため、一括請求に切り替わるのです。
3-3 一括で支払えない場合は差押えになる
一括で支払えない場合は、やがて差押えとなります。
差し押さえになるものは、給料や預金口座など財産になるものが対象になります。
給料が差し押さえになると会社にバレてしまうため、バレずに任意整理をしたいと思っている方は何としても避けたいものです。
また、差し押さえまでいくと再度任意整理の交渉をするのは難しいといえます。
ここまで状況が進むと専門家もできることが限られてくるため、理想は督促の段階、遅くとも一括請求の段階で次の手を考えましょう。
給料の差し押さえについては、以下の記事で詳しく解説しています。
4章 依頼者が原因の辞任の場合は着手金は返金されない
なお、任意整理の手続き費用を滞納するなど依頼者原因の辞任による場合は、着手金は返金されないのでご注意ください。
着手金が負担になる、万が一辞任されたときの着手金が返金されないのは困ると感じた場合は、着手金無料の司法書士や弁護士に相談するのも良いでしょう。
グリーン司法書士法人では、着手金無料で借金問題に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。
5章 任意整理で辞任された場合の対処法
任意整理で辞任されてしまった場合、ここから奮起して自力で借金を完済できるのならベストですが、そうではない場合はすぐに次の方法を考える必要があります。
督促が再開してから一括請求、差し押さえまで進むのは時間の問題といえます。
もし辞任された場合は、以下の対処法で任意整理の手続きを目指しましょう。
5-1 【金銭面で難しい場合】法テラスを利用する
費用がネックで債務整理ができなかった場合は、法テラスを利用しましょう。
法テラスとは、国が設立した法的トラブルを解決するための総合案内所です。
経済的に余裕がない方を対象にした施設で、主に法律について相談できる機関の紹介や、専門家への依頼費用の立て替えなどを行っています。
ただし注意点として、法テラスの利用には審査があり、2週間程度待つ必要があります。
一括請求まで進んでいた場合など、そこまで待っていられない状況の方は別の専門家を探すなどですぐに対応する必要があります。
法テラスについての詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
5-2 【もう一度任意整理したい場合】別の専門家を探す
一刻も争っていられない状況の場合や、もう一度心を入れ替えて任意整理にチャレンジしたいという方は別の専門家を探しましょう。
相談をした専門家に辞任されてしまった場合でも、他の専門家に依頼することで任意整理の手続きができる可能性があります。
他の専門家に断られた原因を突き止めることができれば、他の専門家で注意すれば問題なく手続きを取れるはずです。
当メディアを運営するグリーン司法書士法人でも、他の事務所に辞任された方の手続きを多数行なっています。
まずは一度お気軽にご相談ください。
5-3 【代行返済を辞任された場合】自分で返済を続ける
辞任されてしまった場合は、自分でコツコツと返済を続けるのも一つの方法です。
任意整理を行うと、今後のクレジットカードやローンの審査が通らなくなったりと少なくとも影響を受けてしまいます。
数年単位でブラックリストにも載ってしまうため、自力で完済するに越したことはありません。余力が残っていたり、周りの人の支援が受けられそうであれば返済を続けるのも良いでしょう。
ただし、自分で任意整理の交渉にチャレンジするのはおすすめしません。
なぜなら法律知識がないまま交渉を行なっても上手くいかず、結局不利な契約で交渉をまとめられる可能性があるからです。
また、専門家ではないからと言って債権者に門前払いをされることも少なくありません。
任意整理をしたいのであれば、違う専門家に頼ることをおすすめします。
6章 新しい弁護士・司法書士に依頼する場合のポイント
新しい弁護士や司法書士に依頼する場合、同じ轍を踏まないためにも辞任される要素となるものをなくしておくのをおすすめします。
辞任されればされるほど、どんどん完済が遠のいてしまい借金も膨れ上がってしまうリスクがあります。
ここからは、新しい弁護士・司法書士に依頼する場合のポイントをご紹介します。
6-1 正直に辞任されたことを伝える
まずは、前の担当の専門家に辞任されてしまったことを正直に伝えましょう。
ローンなどの審査と異なり、辞任されたかどうかを調べる方法はありませんが、後から辞任されたことがバレてしまうと隠し事をする債務者だと思われて関係が悪くなる可能性があります。
お互い気持ちの良いやり取りを行うためにも、先に辞任されたことを伝えておきましょう。
6-2 辞任された理由や経緯を伝える
当然「前の担当の専門家に辞任されました」だけでは、次の担当してくれる専門家を安心させることは難しいでしょう。
同時に辞任された理由や経緯を伝えることで、どういったことが原因なのか把握することができるため、今後の対策にもなります。
理由を話すことで「また辞任されてしまうのでは」と不安になるかもしれませんが、よほどの理由がない限りは辞任されることはあまり考えにくいです。
辞任された理由も正直に伝えておきましょう。
6-3 費用がネックな場合は相談しておく
とにかく任意整理をして借金を何とかしないといけないと思い、焦ってすぐに契約してしまう方は少なくありません。
しかし、後から費用が払えずに辞任されてしまってはまた同じことです。
費用が心配で任意整理に踏み切れないという方は、契約の前に相談しておきましょう。
専門家によっては、分割払いの回数や一部後払いなどの対応をしてくれる可能性もあるので先に伝えておくことをおすすめします。
任意整理の費用相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
6-4 前任の専門家から必要書類をもらっておく
手続きが進んでいた場合は、前任の専門家から整理対象のカードや信用情報関連の書類をもらっておきましょう。
再度任意整理を行う際に必要な書類になります。
6-5 前任の専門家から債権者宛に辞任通知を送付してもらう
必要種類と同時に、前任の専門家が債権者に辞任通知を通達していない場合は、早めに通達をしてもらうように連絡をしましょう。
もしまだ辞任通知を通達していない場合は、新しい専門家が交渉できないため注意が必要です。
必要書類と同時に辞任通知も確認しておきましょう。
7章 辞任された後に二回目の任意整理は可能?
二回目の任意整理自体は可能ですが、一回目よりも和解までの返済条件が厳しくなる可能性があるので注意が必要です。
もし、任意整理中に支払い計画が頓挫してしまい辞任されてしまった場合は、再度取り立てが再開します。
残りの借金が自力で返済できない場合は、二回目の任意整理を検討する必要がありますが、一度約束を破った状態での再度の交渉になるためかなり難航することは覚悟しておきましょう。
和解できたとしても、一回目の和解内容よりも良い条件で和解できるケースは少ないといえます。
次の担当の専門家も場合によっては引き受けてくれずに困ってしまう可能性もあるため、必ず計画通りの完済を目指しましょう。
8章 任意整理で返済できない場合は別の方法も検討しよう
任意整理では完済が難しいと感じた場合は、他の債務整理も検討しましょう。
債務整理の種類は、他に個人再生と自己破産があります。
債務整理の種類 | 特徴 |
---|---|
任意整理 | 借金の利息や遅延損害金など元金以外のお金をカットできる 交渉で和解するため債務整理の中でも手軽で信用情報が回復しやすい |
個人再生 | 財産を残したまま借金の総額をカットできる ギャンブルや浪費が原因でも許可が降りるので自己破産できない場合におすすめ |
自己破産 | 全ての借金を免除することができる 借金の総額が膨れ上がり返済不能な場合におすすめ |
どちらも任意整理よりも借金の返済負担が軽くなるので、任意整理以外の選択肢を考えている方はご検討ください。
債務整理の種類については、以下の記事をご参考にしてください。
8-1 【個人再生】借金の元金を大幅にカットできる
個人再生とは、借金の総額を大幅にカットして完済を目指す手続きです。
借金を5分の1〜10分の1に減額してくれるため、借金が膨れ上がって完済が難しい方に有効的な債務整理といえます。
ただし、原則3年で完済するための再生計画を立てなければいけないため、3年間で完済が現実的なのかを確認する必要があります。
また、借金を返済するため毎月給料が出ているなど、支払い能力があることも条件になるので注意しましょう。
任意整理と個人再生の違い、個人再生の費用については、以下の記事をご参考にしてください。
8-2 【自己破産】借金そのものが免除になる
自己破産は、借金そのものが免除になる手続きです。
3年〜5年かけても分割払いで完済できない場合は、返済不能と見なされ自己破産の選択肢も視野に入ります。
自己破産は、支払い能力がないと見なされたら職業や収入に関わらず誰でも申し立てができます。
ただし、効力が強い分自己破産ができる基準や今後の制約も厳しいため、簡単に手続きができるわけではないので注意しましょう。
自己破産の条件と費用については、以下の記事で解説しています。
9章 任意整理で辞任されてしまったらご相談を!
任意整理で辞任されてしまった場合でも、他の専門家に依頼することで任意整理の手続きを取ることが可能です。
もし辞任された場合は、なぜ辞任されてしまったのかを突き止めて繰り返さないことが大切です。
辞任された後にどうするか迷ってしまい「とうとう差し押さえにまでなってしまった…」ということがないように次の対策を立てることが重要です。
グリーン司法書士法人では、任意整理で辞任されてしまった債務者のご相談も可能です。
まず一度お気軽にご連絡ください。
任意整理に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
アクセス数が多いキーワード:任意整理 クレジットカード
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よくあるご質問
- 債務整理を途中で辞任されるケースとは?
- 債務整理を辞任されるケースは、主に下記の通りです。
・任意整理にかかる費用を滞納した
・借金の返済代行中に滞納した
・専門家に不誠実な対応をした
債務整理の辞任について詳しくはコチラ
- 債務整理を途中で辞任されるとどうなる?
- 債務整理を辞任されると下記のデメリットがあります。
・債権者からの督促が再開される
・支払えない場合は一括請求される
・一括で支払えない場合は差押えになる
債務整理の辞任について詳しくはコチラ