生活保護の返還金の時効は何年?返還金を払えないとどうなる?

司法書士渡邊優太

監修者:グリーン司法書士法人   渡邊優太
【所属】大阪司法書士会 登録番号大阪第4454号 / 大阪府行政書士会所属 会員番号第17260997号 【保有資格】司法書士・行政書士

時効の援用
生活保護の返還金の時効は何年?返還金を払えないとどうなる?

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 この記事を読んでわかること

  • 生活保護の返還金とは何か
  • 生活保護の返還金の時効と延長されるケースについて
  • 生活保護の返還金を払えない場合に起こること
  • 生活保護の返還金を請求された場合の対処法について

生活保護の返還金とは、不正受給と判断されたときに返還義務を負う生活保護費ですが、5年で時効を迎えます。

ただし、国民が納めた税金が原資である制度のため、返還金を支払わなくてもよい状態になるとは考えにくいといえます。

また、法律で罰せられる恐れもあるため、不正な手続で受け取った生活保護費は速やかに返還するべきといえますが、もしも返せなかった場合にはどうなるでしょう。

そこで、生活保護の返還金について、時効の年数や、支払えないときはどうなるのか解説していきます。

1章 生活保護の返還金とは

生活保護の「返還金」とは、不正受給と判断されたために返還義務が生じた「生活保護費」です。

生活保護法でも、生活保護費の返還義務について以下のとおり規定されています。

第63条(費用返還義務)

被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。

例えば、事実と異なる内容で生活保護を申請したときや、不正な手段で生活保護費を受け取っていた場合には、返還金の支払いが必要となります。

また、生活保護費の全部または一部を徴収されるだけでなく、徴収額に100分の40を掛けた額以下の金額も別途請求されます。

3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される場合もあるため、生活保護費を不正受給してはいけません。

なお、返還金ではなく「徴収金」の場合は、就労収入があるにも関わらず、無収入と偽り不正な手段により受け取った生活保護費について、福祉事務所が徴収します。

返還金と徴収金はどちらも不正受給したために返すべき生活保護費といえますが、不正受給に至った経緯が悪質でなければ返還金とされ、悪質であるとされれば徴収金を請求されます。

2章 生活保護の返還金の時効は5年

生活保護の返還金の「消滅時効期間」は、保護を受けたときの翌日から5年間を経過したときとされています。

しかし、生活保護費の財源は「税金」であるため、時効まで支払いをせず、逃げ続けることができるとは考えにくいでしょう。

実際、生活保護の返還金に関して、消滅時効期間が過ぎるまで待つことは現実的とはいえません。

2-1 返還金の支払い請求の訴訟判決が出ると10年に延長される

生活保護費は公の債権といえますが、時効は地方自治法第236条3項の規定が適用されます。

そのため民法の時効と同じ解釈となり、単なる納付の催促で時効は更新されず、訴訟を提起することが必要です。

生活保護の返還金について、支払請求の訴訟を提起されて確定判決を取られた場合、時効期間は5年から10年へと延長されてしまいます

敗訴になれば強制執行で、所有する財産があれば未納金を回収されるとも考えられます。

そのため、生活保護の返還金の時効成立については、何事もなく時効期間が経過する可能性は現実的にはかなり低いでしょう。

3章 生活保護の返還金を払えないと起きること

不正に受け取った生活保護費は速やかに返すことが必要ですが、万一、返還金を支払いできなかった場合には以下の3つが起こります。

  • STEP① 返還金についての通知や請求書が届く
  • STEP② 督促状や催告書が届く
  • STEP③ 裁判所に訴訟を提起される

それぞれ説明します。

STEP① 返還金についての通知や請求書が届く

生活保護の返還金を払えない場合、行政から通知や請求書が届きます。

通知または請求書で示されている納期限から、半月~1か月以上経っても返還しなかった場合、さらに督促状や催告書が届くことになるでしょう。

STEP② 督促状や催告書が届く

生活保護の返還金を払えない場合、行政から督促状や催告書が届きます。

「督促状」は早急に返還を促す文書であるのに対し、催告書」は法的措置を前提とした通告です。

たとえすぐに返還できない状況であっても、強制執行で財産を差し押さえられる前に、早めに行政へ連絡することが必要といえます。

STEP③ 裁判所に訴訟を提起される

生活保護の返還金を払えない場合、行政から裁判所に訴訟を提起されます。

裁判に負ければ、財産は没収されますが、行政の担当者が自宅を訪問して生活の実態や財産状況などを調査することもあります

4章 生活保護の返還金を請求されたときの対処法

生活保護の返還金は非免責債権です。

非免責債権とは

非免責債権とは、自己破産で免除されない債権であり、たとえば税金・年金・養育費・悪意で加えた損害賠償金など。

平成30年10月1日施行の改正生活保護法により、生活保護法に基づく保護費の返還債権も「非免責債権」に含まれることになりました。

「自己破産」して借金の返済義務は免除されても、生活保護の返還金を含む非免責債権は免責されないため注意してください。

なお、返還金は原則、「一括」で返さなければなりません

返せないことを理由に請求を無視し続ければ、裁判に発展し財産を没収される恐れもあります。

一括で返還できない理由がある場合は、以下の2つを検討しましょう。

  1. 分割払いの交渉をする
  2. 免除を申請する

それぞれ説明します。

4-1 分割払いの交渉をする

一括で生活保護の返還金を返せない理由がある場合、行政に支払いができない事情を説明し、分割払いを認めてもらえないか交渉しましょう。

生活保護受給者は経済的に厳しい状況にあることは行政も把握しているため、受給金額の10分の1程度ずつ支払う分割払いを認めてくれるケースもあります。

ただし分割払い後に長期滞納することがあれば、一括請求される恐れがあるため注意してください。

4-2 免除を申請する

一括で生活保護の返還金を返せない理由がある場合、行政に返還の免除を申請しましょう。

生活保護法第80条の規定により、法律上の返還免除も可能となっています。

ただし生活保護の返還金が免除されることは現実的にはかなり厳しく、申請しても行政から分割払いを打診されることもあるようです。

自治体によって対応も異なるため、まずは相談してみることが必要です。

まとめ

生活保護の返還金の時効が成立することは、現実的に難しいと考えられます。

仮に時効期間を過ぎたときには、自動的に請求権が消滅するため、時効援用訴求は不要とされています。

自治体によって判断は異なるものの、時効まで逃げ続けても訴訟を提起され、裁判に負ければ強制執行により財産を没収されます。

速やかに返還することが必要ですが、支払いができないときには行政に分割払いや免除申請などに関して相談してみましょう。

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