奨学金の保証人トラブルで多いケースは?リスクを回避する方法を解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
奨学金の保証人トラブルで多いケースは?リスクを回避する方法を解説

この記事は約 12 分で読めます。

 この記事を読んでわかること
  • 債務者が奨学金を払えないと保証人に支払い義務が移る
  • 奨学金の一括請求を命じられるケースもある
  • 保証人になる人がいない場合は機関保証の利用がおすすめ
  • 奨学金の保証人をやめるのは実際に難しい
  • 奨学金の返済が難しい場合は債務整理が有効

「奨学金の保証人を頼まれたけれど、トラブルに発展しそうで迷っている…」

奨学金の保証人になると思わぬリスクを伴うことがあります。特に、返済が滞った場合は保証人に大きな負担がかかるため、トラブルに発展するケースが少なくありません。

この記事では、奨学金の保証人トラブルで多いケースを紹介し、リスクを回避するための方法を解説します。保証人になるリスクを理解して、本当になるべきか慎重に判断しましょう。

1章 奨学金の保証人とは?

奨学金は、学生に対して学費や生活費を貸したり与えたりして学業を支援する制度のことです。学生が債務者として奨学金を借りて、就職後に返済義務が発生します。

しかし、途中で債務者が返済不能に陥った場合は、保証人になった人が代わりに返済しなくてはいけません。つまり、奨学金を300万円借入して債務者が返済不能に陥った場合は、保証人が代わりに300万円を返済する必要があります。

1-1 奨学金の保証人になれる条件

奨学金の保証人は誰でもなれるわけではありません。以下に該当する人物が保証人の対象になります。もし保証人になるように頼まれた場合は、自分が該当しているか確認しましょう。

連帯保証人になれる条件

  1. 奨学生本人が未成年者の場合は親権者である
  2. 奨学生本人が成年者の場合は父母または兄弟姉妹・おじ・おば等の4親等以内の親族である
  3. 未成年者および学生でない
  4. 奨学生本人の配偶者でない
  5. 債務整理中でない
  6. 貸与終了時に奨学生本人が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満である

参考:第一種奨学金の人的保証制度/日本学生支援機構

保証人になれる条件

  1. 奨学生本人と連帯保証人が別生計である
  2. 奨学生本人との父母を除く、おじ・おば・兄弟姉妹等の4親等以内の親族である
  3. 奨学金の申込日時点で65歳未満である
  4. 成年者および学生でない
  5. 奨学生本人または連帯保証人の配偶者でない
  6. 債務整理中でない
  7. 貸与終了時に奨学生本人が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満である

参考:第一種奨学金の人的保証制度/日本学生支援機構

2章 奨学金の保証人になることで起こりやすいトラブル

奨学金の保証人トラブルは、債務者がしっかりと返済を続けていれば起こる可能性は非常に低いといえます。トラブルになりやすいのは、債務者が奨学金の返済をしなかった場合です。

では、債務者が奨学金の返済をしなかったことで起こりやすい保証人トラブルを紹介します。

2-1 奨学金の返済を代わりにする必要がある

債務者の返済が滞ると、金融機関から保証人に対して返済の督促が来ます。電話や書面で届くケースが多く、督促が届いたら対応しましょう。

最初は1ヶ月の引き落としの督促ですが、そのまま滞納を続けると一括請求など高額な返済を命じられる可能性があります。万が一のときは、奨学金の一部あるいは全部を支払う義務を負う必要があるので注意しましょう。

2-2 裁判上で争う可能性がある

債務者も保証人も返済ができない場合は、裁判上で争う可能性があるので注意が必要です。金融機関は奨学金を回収するために、裁判所を通して支払督促を申し立てることができます。

返済方法や分割交渉などをしたい場合は、支払督促を受けてから2週間以内に異議申し立てをして争わなくてはいけません。もし、異議を申し立てずに返済もしない場合は財産の差押えなどの強制執行に発展するおそれもあります。

2-3 一括請求を命じられる

保証人も奨学金の返済ができない場合は、一括請求を命じられる可能性があります。奨学金が百万単位と高額な金額であっても一括請求を命じられたら支払わなくてはいけません。

しかし、多くの場合は一括請求をすると返済できないケースがほとんどです。債務者が自己破産を選択するリスクを考えて、交渉次第で分割払いに応じてもらえる場合もあるのでご安心ください。

一括請求を命じられたら債権者に連絡をして、返済方法を見直してもらえないか相談しましょう。

2-4 自分も自己破産に陥る可能性がある

保証人も奨学金の返済ができない場合は、自己破産に陥ってしまう可能性があります。

債権者が分割払いの交渉に応じない場合や失業などで分割払いでも返済が難しい場合は、自己破産をして奨学金の返済義務をなくす手続きをしなくてはいけません。ただし、自己破産は端的に、その後の生活にも大きく影響してしまいます。

債務整理は自己破産以外にも方法があるため、司法書士や弁護士などの専門家に相談して最適な方法を選択しましょう。

3章 奨学金の保証人トラブルを防ぐ方法

奨学金の保証人になった時点で、万が一のときは奨学金を肩代わりしなければいけません。どうしても奨学金の保証人にならなければいけないときは、事前にトラブルを防ぐ行動が大切です。

ここからは、奨学金の保証人トラブルを防ぐ方法を解説します。

3-1 返済に不安がある場合は保証人にならない

保証人トラブルを防ぐ一番の方法は、返済に不安がある場合は保証人にならないことです。保証人になれば予備的に借金を背負うことになります。

債務者が奨学金を返済し続けてくれるとは限らないため、返済が滞って自分が肩代わりする可能性を考えると完済するまで気が休まらないおそれがあるでしょう。自分自身の経済状況を確認した上で、いざというときは肩代わりする覚悟で保証人にならなければいけません。

3-2 債務者と小まめに状況を確認する

保証人になった場合は、債務者の経済状況を小まめに確認することが大切です。返済が始まったら現在の経済状況や将来設計を話し合って、返済計画を立てておきましょう。

債務者は学校を卒業してからいきなり借金を背負うことになりますが、あまり事態の深刻さを理解していない可能性があります。そのため、もし返済ができなかった場合にどのようなことが起こるのかを話しておきましょう。

必要に応じて月々の返済額を引き下げたり余裕があるときは支援したりと、返済不能に陥らないよう意識しなければいけません。

3-3 機関保証の利用をすすめる

金融機関によっては、機関保証制度を設けている場合もあります。機関保証とは、奨学金から保証料が天引きされる代わりに保証人を立てなくてもよい方法です。

最近は保証人になる人が減っていることから、機関保証制度を設けている金融機関も増えています。周りが保証人になることに対してネガティブに感じている場合は、機関保証を利用するのがよいでしょう。

4章 奨学金の保証人をやめることは可能?

ここまで、奨学金の保証人トラブルを解説しましたが「こんなにデメリットがあるなら保証人にならなければよかった…」と後悔している方も少なくないでしょう。

奨学金の保証人をやめたいと思っても、保証人と債務者の意思のみで奨学金の保証人をやめることはできません。なぜなら、保証人は債務者ではなく奨学金を借入している金融機関と契約を結んでいるからです。

ただし、奨学金の保証人を交代してもらうことでやめることはできます。ほかの保証人を立てて、新たに金融機関と契約を結んでもらえば保証人をやめられるでしょう。

4-1 やめられる可能性があるケース

では、実際にどのようなケースの場合に保証人をやめられる可能性があるのかを見ていきましょう。以下の条件が合えば、保証人をやめられる可能性があります。

  • 債権者(金融機関)の同意がある
  • 自分以外の保証人を立てられる
  • 債務の残債が少ない
  • 取引自体が無効である
  • 時効が成立している
  • 担保を準備できる

残債が多い場合は保証人になってもらう人を探す必要があるため、現実的に難しいかもしれません。もし、どうしてもやめたい場合は債務者の家族や金融機関に相談しましょう。

5章 奨学金の返済を求められた場合の対処法

債務者が奨学金を返済できない場合は、債権者が保証人に返済を求めることがほとんどです。もし、奨学金の返済を求められた場合は、一括で返済するか返済方法の変更を交渉しなくてはいけません。

いざというときに慌てないためにも、奨学金の返済を求められた場合の対処法を見ていきましょう。

5-1 債権者と交渉する

原則として保証人になった以上は支払い拒否ができません。しかし、債権者と交渉することによって分割払いなど返済計画を相談することは可能です。

債権者にとっても、自己破産をして貸した奨学金が返済されないのはネガティブなことなので、少しでも回収できる方法を選択する傾向があります。特に、早めに連絡することで柔軟な対応をしてもらえるケースが多いので、滞納による一括請求や差押えのリスクを軽減できるでしょう。

返済が厳しい場合は、無理をせずに早めに相談して、自分の状況に合った返済プランを立てることが大切です。

5-2 債務者と相談をする

債務者の返済が滞ると保証人に返済義務が発生します。その場合は、債務者と相談をして現在の経済状況や返済計画を確認しましょう。

もし、債務者がすぐに返済が難しく保証人が肩代わりをせざるを得ない場合は、求償権の行使を検討しましょう。求償権とは、債務者の代わりに返済した保証人が債務者に肩代わりしたお金を請求できる権利です。

求償権では債務者が滞納した期間の約定利息や損害賠償額も合わせて求償できるため、覚えておきましょう。

5-3 債務整理をする

奨学金の返済が難しい場合は、債務整理を検討するのも有効です。債務整理の手続きをすることで、借金を減額したり免除したりできます。

債務整理によって、ほかの借金もまとめて減額できる手続きや奨学金のみを選んで減額できる手続きがあるので専門家に相談して最適な方法を選びましょう。

6章 奨学金の返済ができない場合は債務整理を検討しよう

奨学金の返済ができない場合は、債務整理で減額しながら返済するのがおすすめです。債務整理とは、借金の返済負担を軽減するための法的手続きで、大きく分けて3種類の方法があります。

債務整理の手続きはそれぞれ特徴が異なるため、まずは自分に向いている手続きをチェックしましょう。

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6-1 【任意整理】保証人に迷惑をかけたくない人におすすめ

任意整理とは、司法書士や弁護士が債権者と直接交渉して、利息の減額や返済期間の延長などにより返済負担を軽減する手続きのことです。裁判所を通さないため、手続きが比較的短期間で済むので周りにバレにくいのもポイントでしょう。

また、任意整理は借金を選んで減額できるのがメリットです。例えば、奨学金はもともと金利が低いので、保証人に迷惑がかからないように、奨学金を除いて行うことも可能です。

任意整理は金利のカットがメインになる手続きのため、金利や支払月額の低い奨学金では大きな効果がありません。よって、金利の高い借金を任意整理してできた余剰で奨学金を支払うのがおすすめです。

6-2 【個人再生】財産を残したまま借金を減額したい人におすすめ

個人再生とは、裁判所を通じて借金を5分の1〜10分の1に大幅に減額する手続きです。残りの債務を原則3年から5年で分割して返済するため、減額すれば完済が可能な場合によいでしょう。

個人再生のメリットは、持ち家や車を手放すことなく借金を減額できる点です。住宅ローン特則を利用すれば、持ち家を守りながら経済的に立て直せるため、安定した生活を続けることができるでしょう。

持ち家や車を失うことで家族に迷惑をかけてしまう場合は、個人再生を使用するのがおすすめです。

6-3 【自己破産】別の借金がある場合や奨学金が返済不能な人におすすめ

自己破産とは、裁判所を通じてすべての借金を免除してもらう手続きです。奨学金以外の借金も免除になるため、もし別の借金がある場合や車のローンや住宅ローンがある場合も返済の義務がなくなります。

多重債務に陥っている場合や奨学金の返済が不可能な状況に陥った場合に有効ですが、必要最低限以外の財産はすべて失うため注意が必要です。貴金属やブランド品など財産になるものだけではなく、持ち家や車なども失ってしまいますが、借金の苦しみから解放されてゼロからのスタートが実現できます。

もし、自己破産を考えている場合は、早めに専門家に相談をして最適な方法であるかアドバイスをもらいましょう。

7章 奨学金は保証人トラブルが起こりやすい!慎重に判断しよう

奨学金の保証人になる場合は、返済が滞った場合に大きな問題となることが多いため、慎重な判断が大切です。返済が始まってからの将来のリスクを理解して、本当に引き受けるべきかよく考えましょう。

もし、どうしても保証人になる必要があれば、最初に返済計画を立てて、定期的に状況を確認することでトラブルを未然に防ぐことができます。

債務者との信頼関係を保ち、安心して支援できるよう計画的に行動しましょう。

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