自己破産でiDeCoは没収される?他の年金・退職金との違いも解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 登録番号第10262380号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
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 この記事を読んでわかること
  • 自己破産をするとiDeCoはどうなるか
  • 自己破産によるiDeCo以外の年金・退職金の扱い

「自己破産をするとiDeCo(個人型確定拠出年金)は没収されるのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。

結論から言えば、iDeCoの積立金は原則として差し押さえの対象にはなりません。iDeCoは老後の生活を支える年金制度として法的に保護されており、自己破産をしても没収されないのが基本です。

ただし、一定の条件下では、差押えの対象となるケースがあるため注意が必要です。

この記事では、自己破産とiDeCoの関係や、税金を滞納している場合の対応などを解説します。国民年金や企業年金、個人年金、退職金などが自己破産によってどうなるのかも紹介しているので、自己破産を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

1章 自己破産をするとiDeCoはどうなる?

iDeCoは、自分で掛金を積み立てて老後資金を準備する制度です。掛金は所得控除の対象となり、運用益も非課税になるなど、多くの税制優遇が受けられます。ただし、原則として60歳まで引き出すことができない点が特徴です。

一方、自己破産は、借金の返済が難しくなった場合に裁判所を通じて借金を免除してもらう手続きです。借金の支払い義務はなくなりますが、預貯金や不動産といった財産が没収され、債権者への返済に充てられます。

ここでは、自己破産時にiDeCoがどう扱われるのかを、仕組みや例外を交えて詳しく解説します。

1-1 原則として差し押さえられない

自己破産をしても、iDeCoの積立金は原則として差し押さえの対象にはなりません。なぜなら、確定拠出年金法第32条で、差押えその他の強制執行をしてはならないと定められているためです。

iDeCoの資産は、老後の生活を支えるための年金受給権として保護されており、現時点で自由に引き出すことができません。破産手続きで財産を換価処分する対象に含まれておらず、破産管財人でも差押えや処分を行えないのです。

また、金融機関がiDeCo口座を凍結したり、積立金を強制的に解約したりすることもありません。自己破産後も、本人の判断で積立を継続することができますが、生活再建のために家計を見直す必要がある場合は、拠出を一時停止する選択も可能です。

1-2 税金を滞納している場合は対象外

iDeCoは確定拠出年金法題32条によって差押えが禁止されていますが、同条では例外として国税徴収法に基づく滞納処分にはこの保護が及ばないと明記されています。そのため、所得税や住民税などを滞納している時に自己破産を行った場合、税金の滞納を理由に差し押さえられる可能性があります。

また、税金の滞納分は、自己破産でも免除されない非免責債権に該当します。そのため、破産手続きで他の借金が整理されても、税金の支払い義務は残り、差押えのリスクもなくなりません。

もし税金を支払えない状況にある場合は、徴収猶予や分割納付などの救済制度を利用できる可能性があります。滞納を放置するとiDeCoの差押えだけでなく、給与や預貯金の差押えにも発展する恐れがあるため、早めに税務署や専門家へ相談することが重要です。

1-3 受け取った後は差押えの対象

iDeCoの積立金は、受け取り前であれば差押えが禁止されていますが、年金や一時金として受け取った後は通常の財産として扱われます。そのため、iDeCoの積立金が口座に振り込まれた後は、差押えの対象になる可能性があります。

確定拠出年金法で保護されるのは、積立中の資産であり、一度受け取って現金化された時点で法律上の保護は失われます。つまり、破産手続きの最中にiDeCoを受け取った場合、処分可能な財産とみなされ、破産管財人による換価処分の対象となるのです。一方で、破産手続きが終わり免責確定後に受け取った年金・一時金については、没収されません。

2章 iDeCo以外の年金・退職金との違い

自己破産では、全ての資産が同じように扱われる訳ではありません。特に、年金や退職金のように生活のために必要な資金については、法律で差押えが制限されている場合があります。

ここでは、自己破産におけるiDeCo以外の年金・退職金の扱いについて、制度ごとの違いを見ていきましょう。

2-1 国民年金・厚生年金:差押えの対象外

国民年金や厚生年金といった公的年金は、自己破産をしても差押えの対象にはなりません。国民年金は国民年金法、厚生年金は厚生年金法によって、差押えができないと定められているためです。

ただし、税金を滞納している場合は例外です。国税徴収法に基づく滞納処分は、年金法上の差押禁止規定よりも優先されるため、所得税や住民税を滞納している状態で自己破産を行うと、国民年金・厚生年金は差し押さえられてしまいます。

また、年金が口座に振り込まれた後の現金も原則として保護対象外で、口座残高が多い場合は差押え対象になります。ただし、年金を原資とする預貯金が生活費に使われる場合は、差押禁止債権の範囲の変更の申立てが認められ、差し押さえられずに済みます。

このように、公的年金は基本的に守られますが、税金の滞納や振込後の管理には十分な注意が必要です。

2-2 企業年金:差押えの対象外

確定給付企業年金や確定拠出年金などの企業年金も、自己破産をしても原則として差押えの対象にはなりません。企業年金は、会社が従業員の老後資金を補うために設けている制度であり、国民年金や厚生年金と同様に将来の年金受給権として法的に保護されています。

ただし、企業年金にも例外はあります。税金の滞納がある場合は、国税徴収法の優先規定により滞納処分の対象となる可能性があるでしょう。また、企業年金も口座に振り込まれた時点で預貯金とみなされ、差押えの対象となる場合がある点にも注意が必要です。

2-3 個人年金:差押えの可能性がある

個人年金は、保険会社などと私的に契約して老後資金を準備する制度の総称です。一時払いや分割払いで保険料を納め、契約時に定めた年齢に達すると、納めた保険料に応じた年金を受け取る仕組みになっています。

個人年金に含まれる国民年金基金やiDeCoは法律で差押えが禁止されていますが、個人年金保険については差押禁止の規定がありません。そのため、自己破産の手続き中に個人年金保険を解約され、解約返戻金が債権者への配当に回されるケースもあります。

なお、全ての個人年金が換価処分される訳ではありません。破産手続きでは、原則として20万円以上の価値がある財産のみが換価処分の対象となるため、解約返戻金の額が20万円未満であれば、解約を免れ、引き続き契約を継続できる可能性もあります。

2-4 退職金:差押えの可能性がある

退職金は、自己破産において差押えや換価処分の対象となる可能性がある財産です。ただし、その扱いはすでに受け取っているか、これから受け取る予定かによって大きく異なります。

すでに退職金を受け取っている場合は、預貯金や現金と同じ扱いとなり、手続き時点で残っている金額が全て差押えの対象です。ただし、預貯金の残高が20万円以下であれば破産管財人が選任されず、同時廃止として処理されることが多いため、没収されることはありません。

一方、退職後にまだ退職金を受け取っていない場合は、給与と同様の基準で一部が差押え対象となります。具体的には、手取り退職金の1/4または33万円を超える部分が差押え可能とされており、手取り退職金が 1,000万円の場合、967万円が処分対象になります。

また、在職中で退職金の支給を受けていない場合には、退職金の支給見込額の1/8が差押え対象です。例えば、退職見込額が400万円であれば50万円が換価処分の対象となります。ただし、支給見込額が160万円未満の場合は1/8が20万円未満となるため、処分されずに済みます。

さらに、換価対象となる金額が20万円を超えたとしても、他の財産と合わせて99万円以内であれば自由財産として全額残せる場合もあります。このように、退職金は支給時期や金額によって扱いが変わるため、手続き前に受取時期や金額を確認し、専門家に相談しておくことが重要です。

3章 自己破産をするか迷ったら弁護士・司法書士に相談しよう

自己破産を含む債務整理は、借金を整理して生活を立て直すための大切な制度です。しかし、iDeCo・年金・退職金などの扱いは複雑で、手続きの進め方を誤ると、不要な財産まで処分されてしまうリスクがあります。

そのため、自己判断で動く前に、できるだけ早く弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。専門家に相談すれば、あなたの収入・資産・借金の内容をもとに、自己破産以外の方法を含めた最適な解決策を提案してもらえます。

また、弁護士や司法書士に依頼することで、債権者とのやり取りを代行してもらえるため、督促や返済のプレッシャーからすぐに解放されるというメリットもあります。相談を早めに行えば行うほど、取れる選択肢が増え、iDeCoや年金などの大切な財産を守りながら生活を再建できる可能性が高まるでしょう。

グリーン司法書士法人では、自己破産をはじめ、任意整理・個人再生などの債務整理の相談に対応しています。状況に合わせて最適な解決方法を提案するので、自己破産をするか迷っている方はお早めにご相談ください。

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まとめ

自己破産をしても、iDeCoは原則として差押えの対象になりません。確定拠出年金法によって、老後の生活を支える資金として法的に保護されているためです。ただし、税金を滞納している場合や、iDeCoを受け取った場合は差押えの対象となる可能性があるため注意が必要です。

また、個人年金保険や退職金については、制度によって扱いが異なります。解約返戻金がある個人年金や、支給済みの退職金などは破産財団に含まれるケースもあるため、事前に内容を確認しておくことが大切です。

こうした判断は非常に複雑で、誤った対応をすると守れる財産まで処分されてしまう恐れがあります。少しでも不安がある場合は、早めに弁護士や司法書士などの専門家へ相談し、自分に合った債務整理の方法を検討しましょう。

グリーン司法書士法人では、iDeCoや年金などの資産を守りながら生活再建を目指すサポートをしております。初回相談は無料で承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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自己破産に関してよくある質問

ここでは、自己破産に関してよくある質問とその回答を見ていきましょう。

自己破産の後も拠出を継続した方が良いですか?
自己破産後も、iDeCoへの拠出を続けることは可能です。iDeCoは差押禁止財産であり、積立金が没収されることもありません。ただし、拠出は任意であり、家計の状況に余裕がない場合は一時停止する選択を検討すべきでしょう。
NISAも自己破産の影響を受けませんか?
NISA(少額投資非課税制度)については、iDeCoとは異なり差押え禁止の規定がありません。そのため、株式や投資信託などのNISA口座内の資産は、自己破産時に換価処分の対象となります。

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