在留外国人でも自己破産ができる?永住権の扱いについても解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 登録番号第10262380号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
在留外国人でも自己破産ができる?永住権の扱いについても解説

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 この記事を読んでわかること
  • 在留外国人でも自己破産ができるか
  • 在留外国人が自己破産をすると永住権はどうなるか
  • 在留外国人が自己破産をする際の注意点

「借金で困っていても外国人は自己破産できない?」
「自己破産をすると永住権がなくなりそうで不安」

借金問題を抱えていながら、このような不安から自己破産に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、自己破産を理由に永住権が取り消されることは原則ありません。ただし、手続きの状況によっては、永住権に影響が及ぶ場合もあるため注意が必要です。

この記事では、在留外国人が自己破産を行う際の要件や永住権への影響を解説します。在留外国人が自己破産をする際の注意点も紹介しているので、借金問題でお困りの方はぜひ参考にしてください。

1章 在留外国人でも自己破産ができる!要件を解説

日本に在留している外国人でも、一定の条件を満たせば自己破産を行うことが可能です。外国人・外国法人ともに日本人と同様の扱いを受けられることが法律に明記されており、国籍による制限は設けられていません。

ここでは、外国人が自己破産を申し立てるために必要な要件を解説します。

1-1 日本国内に住所または財産などを有する

自己破産の申立てができるかどうかは国籍ではなく、「日本国内に住所または財産などを有するか」で判断されます。そのため、外国籍であっても、日本国内に住所・事業所、財産がある場合は日本の裁判所に申立てが可能です。例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 日本で生活し、住民登録や在留資格を持っている
  • 日本国内に勤務先がある
  • 日本の銀行口座に預貯金がある
  • 日本に不動産や自動車などの財産を所有している

また、すでに日本を離れて海外に居住している場合でも、日本国内に財産が残っていれば申立てできる場合があります。

1-2 支払不能である

自己破産の申立てには、借金の返済が事実上不可能になっている支払不能の状態であることが必要です。支払不能は一時的にお金が足りないという状況ではなく、今後も継続的に返済を続ける見込みが立たない状態を指します。

例えば、毎月の返済が滞っている、返済のために新たな借入をしている、収入が減って生活費すら賄えないといった場合は支払不能と判断される可能性が高いでしょう。

なお、外国人であっても、支払不能に陥っているかは日本人と同様の基準で判断されます。在留資格の有無や国籍によって手続きが制限されることはなく、収入・支出・借入状況などを総合的に見て返済が困難と認められれば、支払不能の要件を満たすと考えられます。

1-3 免責不許可事由がない

自己破産の手続きでは、裁判所が免責(借金の支払い義務を免除すること)を許可するかどうかを判断します。ただし、以下のような免責不許可事由に該当する行為があった場合、免責は認められません。

  • 財産を隠蔽する
  • 特定の債権者にだけ優先的に返済する
  • 自己破産の手続きに協力しない
  • ギャンブルや浪費などで借金をしている

なお、免責不許可事由に該当しても、申立人が反省し、今後誠実に生活を立て直す姿勢が見られる場合には裁量免責として裁判所が免責を許可することもあります。そのため、免責不許可事由に該当する恐れがある場合でも、隠したりごまかしたりせず、早い段階で正確に申告することが重要です。

2章 在留外国人が自己破産をすると永住権はどうなる?

冒頭でも述べた通り、自己破産を理由に永住権が取り消されることは原則ありません。ただし、永住権の取得前に自己破産をすると悪影響を受ける可能性があるため、制度について正しく理解しておくことが大切です。

2-1 取得済の永住権には影響がない

すでに永住許可を受けている外国人が自己破産をしても、永住権が自動的に取り消されることはありません。なぜなら、自己破産は経済的な再出発を認めるための制度であり、退去強制の対象となる犯罪や不正行為とは異なるからです。

借金が返せなくなったこと自体や、自己破産を申立てたことは取り消しの理由にはなりません。実際、多くの永住者が自己破産後も在留を継続しており、永住資格を維持したまま生活を立て直しています。

一方で、1年を超える実刑に処せられた場合や虚偽の住居地を届け出た場合、薬物事犯により有罪の判決を受けた場合は永住権が取り消される可能性があります。

2-2 永住権の取得前には影響を及ぼす可能性がある

自己破産によって永住権が取り消されることはありませんが、まだ永住権を取得していない段階で自己破産をした場合には、申請時の審査で不利に働くかもしれません。なぜなら、永住権の取得要件の一つである「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」を満たしていないと判断される場合があるためです。

そのため、永住権の申請を考えている場合は、破産手続きについては慎重に考える必要があるでしょう。なお、自己破産後でも、家計を立て直して安定した生活を送れていれば、永住権の申請が認められる可能性があります。

3章 在留外国人が自己破産をする際の注意点

在留外国人が日本で自己破産を行う場合、基本的な流れや要件は日本人と同じです。ただし、外国籍特有の注意点がいくつかあります。

ここでは、在留外国人が自己破産をする際の注意点について確認しておきましょう。

3-1 日本以外の財産も申告しなければならない

自己破産の手続きでは、申立人が保有している全ての財産を明らかにしなければなりません。破産手続きの目的は、所有している財産を換金して債権者に公平に分配し、残りの借金については返済を免除してもらうことです。

そのため、どのような財産をどこに持っているのかを正確に裁判所へ申告する義務があります。この申告対象には、日本国内の財産だけでなく、母国や海外にある資産も含まれます。例えば、外国に所有している不動産や自動車、現地の銀行口座、株式や預金なども全て対象です。

価値のある財産があれば、それは破産手続きの中で換価され、債権者への配当に充てられることになります。

また、海外にある財産を確認するために、現地の登記簿や銀行残高証明書などを取り寄せる必要が生じる場合もあります。「日本の裁判所には分からないだろう」と考えて申告を省略したり、財産を隠したりすることは絶対に避けましょう。後から発覚すると、裁判所に財産隠しと判断され、免責が認められない可能性があります。

3-2 海外の借金も債権者名簿一覧に掲載する必要がある

自己破産では、日本国内の債権者だけでなく、海外の金融機関や個人からの借入についても、全て債権者名簿に記載する必要があります。全ての債権者を平等に扱わなければならず、債務の発生地が日本か海外かは関係ありません。例えば、以下のような借入も債権者一覧に含める必要があります。

  • 母国の銀行やカード会社からのローン
  • 海外在住の親族・友人からの借入金
  • 外国企業勤務時の立替金や給与前借り
  • 留学時代の奨学金や教育ローン

ただし、注意が必要なのは、海外の債権については日本の裁判所の免責の効力が及ばないという点です。日本の自己破産で免除されるのは、原則として日本の裁判所の管轄内で生じた債務に限られます。

そのため、たとえ日本で免責許可が下りたとしても、海外の債権者から請求や督促を受ける可能性は残りますが、それでも債権者名簿から海外債権を省くことはできません。

破産法上、全ての債権者を申告することが義務とされており、記載を怠った場合、免責が認められない恐れもあります。海外の借金がある場合は、事前に専門家に相談し、日本の手続き後にどのような対応が必要かを確認しておくことが重要です。

3-3 日本語でのやり取りができるようにしておく必要がある

自己破産の手続きは、裁判所や管財人とのやり取り、書類の提出など全て日本語で行われます。そのため、日本語での理解や会話に不安がある場合は、通訳を手配するか、外国人案件に慣れた弁護士・司法書士に依頼することが大切です。

手続き中には、借金の経緯や収入状況、財産について質問を受ける場合があります。内容を正確に理解できないと、誤った説明をしてしまい、虚偽申告と誤解される恐れもあります。

スムーズに進めるためには、事前に日本語での対応環境を整え、必要に応じて専門家のサポートを受けることが重要です。

4章 在留外国人が自己破産を行う際は弁護士・司法書士に要相談

在留外国人が日本で自己破産を行う場合、日本人以上に専門家のサポートが欠かせません。破産手続きそのものは国籍を問わず可能ですが、外国籍特有の事情(海外資産・外国語での契約・在留資格の問題など)が絡むため、慎重な対応が必要です。

弁護士・司法書士に依頼すれば、申立書の作成や裁判所とのやり取りを代行してもらえるだけでなく、海外財産の取扱いや永住権への影響についても適切な助言を受けられます。特に、日本語での書類作成や面談に不安がある場合は、外国人対応に慣れた弁護士・司法書士に依頼しましょう。

自己破産は、経済的に行き詰まった方が再出発するための制度です。外国人であっても、正しい手続きを踏めば再び日本で安定した生活を築くことができます。不安を抱えたまま一人で進めず、早めに専門家へ相談しましょう。

グリーン司法書士法人では、在留外国人の方の借金問題の解決に向けたサポートを行っています。英語での相談にも対応しておりますので、安心してお問い合わせください。

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まとめ

外国人であっても、日本国内に住所や財産があれば自己破産を申し立てることが可能です。日本の破産制度は国籍を問わず利用できるため、永住者はもちろん、就労ビザや配偶者ビザで在留している人でも手続きができます。

また、自己破産を理由に永住権が取り消されることはありません。自己破産は経済的に再出発するための制度」であり、犯罪行為や退去事由には該当しないためです。

ただし、永住権を申請中の場合は、破産によって一時的に経済的安定性が失われるため、審査で不利になる可能性があります。破産後は安定した収入と納税実績を積み重ね、日本で自立して生活できることを示すことが重要です。

さらに、手続きでは海外にある財産や借金も含めて正確に申告しなけらばなりません。そして、日本語でのコミュニケーションも必要になります。そのため、日本語での対応が難しい場合は多言語に対応している弁護士・司法書士に依頼し、スムーズにやり取りができる状態にしておきましょう。

グリーン司法書士法人では、英語に対応している専門家が在籍し、借金問題の解決をサポートしております。これまでに多数の在留外国人の破産手続きをサポートした経験がありますので、安心してお任せください。

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