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「債権回収会社(サービサー)」とは、回収できずに不良化した債権を、お金を貸した「債権者」に変わり、お金を借りた「債務者」に対し取り立て業務を行う会社です。
債権回収会社から取り立てがくると、身に覚えのない会社から取り立てが来たと思って焦ってしまうケースもあるでしょう。
債権回収会社から取り立てや連絡が来たときには、正規の債権回収会社からの連絡かどうか確認することが大切です。
また、借金には消滅時効が設定されています。
時効を迎えた借金であっても、返済する意思を示す、一部でも返済することで時効がリセットされるので注意しなければなりません。
そのため、債権回収会社から取り立てや連絡が来たときは、自分で判断せずに借金問題に詳しい司法書士や弁護士に相談するのがおすすめです。
本記事では、債権回収会社から連絡が来たときの対処法や債権回収会社の時効について解説します。
目次 ▼
1章 債権回収会社(サービサー)とは
「債権回収会社(サービサー)」とは、回収できずに不良化した債権を、お金を貸した「債権者」に変わり、お金を借りた「債務者」に対し取り立て業務を行う会社です。
債権者が債務者にお金を返して欲しいと要求しても、返済に応じてもらえない場合もあります。
その場合、債権者は債権回収会社に返済を請求できる「債権」を譲渡し、債権を買い取った債権回収会社が借金を「回収」します。
債権回収会社は、「債権管理回収業に関する特別処置法(サービサー法)」という法律に基づいて、債権回収を「業務」とすることを認められた特別な会社です。
債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)とは、債権回収における知識やノウハウを持つ民間業者に債権管理回収業務を解禁する上で、回収業務が適正に運営され暴力団など参入させないために作られた法律です。
借金の取り立てのイメージは、時間問わずに家に押しかけ、恐喝まがいの請求などをイメージする方も多いことでしょう。
確かに反社会的勢力などが債権回収のため、脅迫まがいの取り立てを行うケースもゼロではありません。
このような状況を改善するべく定められた法律が「債権管理回収業に関する特別処置法(サービサー法)」であり、この法律によって、法務大臣の許可を受けていなければ債権回収を業として営むことはできなくなりました。
もっとも、どのような会社でも許可を取得できるわけではないため、許可なく借金取り立てを業としたり不正に許可を取得したりすると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこの両方の罰則の対象になるとされています。
- エーシーエス債権管理回収株式会社
- アビリオ債権回収株式会社
- パルティール債権回収株式会社
- ニッテレ債権回収株式会社
- オリンポス債権回収株式会社など
2章 債権回収会社に渡る債権の種類
債権者から債権回収会社に渡る債権は「特定金銭債権」です。
特定金銭債権は、債権回収会社が回収してもよいとされている次の「金銭債権」などが該当します。
- 銀行や貸金業者など金融会社が債権者の債権
- 割賦販売によるクレジット債権
- ファクタリング業者が買い取った債権
- 法的倒産者である債権者の有する債権
- 保証契約に基づき保証した債権
など
債権者は債権回収に向けて、債務者に何度も粘り強く催促することがあります。また、法的手続が必要になれば手間も時間もかかります。しかし、大量の不良債権についてそのようなコストをかけ続けるには限界があります。
そこで債権回収を専門に扱う債権回収会社に回収業務を「委託」または債権を「売却」し、回収を代行してもらうのです。
手続により、金融会社は手数料負担が必要になることや債権額が大幅に割り引かれるといった「デメリット」はあるものの、何も回収できないより損失を抑えることができる「メリット」もあると考えられています。
3章 債権回収会社の債権回収までの流れ
債権回収会社が債務者から債権を回収の「流れ」は、基本的に銀行や消費者金融などと同じです。
ただ、債権者から請求する権利が譲渡された上で回収業務を行うことになるため、次の6つの流れで手続が進みます。
- 債権者から催促
- 債権者から内容証明による連絡
- 債権回収会社への債権譲渡の通知
- 債権回収会社からの督促
- 債権回収会社による支払督促の申立て
- 債権回収会社による訴訟
それぞれどのような流れか説明していきます。
3-1 債権者から催促
債権者が債務者から債権を回収するため、まずは債務者へ断続的に電話・書面で「催促」します。
この際に発生するのは通話料や請求書発行にかかる費用で済むことや、債務者との物理的な「距離」を近づけることができるため、手軽な方法として実行されています。
3-2 債権者から内容証明による連絡
電話や書面で催促しても、債務者から応答や返済がない場合には、支払いを催促する旨を記載した「内容証明郵便」が送付されます。
内容証明郵便で請求した場合、その後6か月間は消滅時効の完成を遅らせることができ、債務者にも心理的なプレッシャーを与えることができるため、内容証明郵便が利用されるのです。
ただ、内容証明郵便そのものに法的拘束力はありません。
内容証明郵便とは、一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスであり、
- いつ
- どのような内容の文書を
- 誰から
- 誰に
差し出されたか差出人が作成した謄本で郵便局が証明する郵便です。
3-3 債権回収会社への債権譲渡の通知
「電話」や「書面」による連絡や「内容証明郵便」による請求でも返済がない場合、金融会社から債権回収会社に債権が移り、回収業務が委託された「通知」が債務者に届きます。
債権者から債権回収会社に債権が移る方法は「債権譲渡」と「代位弁済」の2種類あり、どちらの方法で移転されるかによって時効中断の有無や元本などが変わります。(債権が移る方法の違いによる時効中断の有無に関しては、4-2で詳しく説明します。)
なお、債権譲渡の通知と同時に、次に説明する「督促」も行われることが多いようです。
3-4 債権回収会社からの督促
債権回収会社は債権者から譲渡された「債権」について、借りた元金に利息や遅延損害金を加えた金額を「一括」で支払うように債務者に「督促」します。
督促の方法は書面・電話・訪問など様々です。
3-5 債権回収会社による支払督促の申立て
債権回収会社からの督促に対し、債務者から返答がない場合や返済がない場合には、「裁判所」に支払いを命じてもらう「支払督促」を申立てられます。
支払督促の申立てで債務者に送達された後、2週間以内に異議の申立てがなければ「仮執行宣言」を得て「強制執行」することが可能になります。
ただし債務者から異議の申立てがあれば「訴訟」に移行します。
3-6 債権回収会社による訴訟
債務者から異議の申立てがあった場合、強制執行を見据えた訴訟が提起されます。
判決で決着をつけることになり、債権回収会社が勝訴することで財産の差し押さえなど強制執行の手続が取られます。
訴訟になった場合には、裁判所から債務者に対し訴状が届き、答弁書を提出するように指示されます。
答弁書を提出せず出頭もしなければ、債権回収会社の言い分を全面的に認めたとみなされるため、その主張する金額の全てを支払う旨の判決が出ることになるでしょう。
それでも支払いをしなければ差し押さえを受けるリスクが高くなります。
4章 債権回収会社から連絡があったときの対処法
債権回収会社から連絡があったときには、身に覚えがない会社であると即座に判断し、無視することは危険です。
たとえ借りた覚えのない会社からの請求であっても、次の3つで対処するようにしましょう。
- 正規の債権回収会社か確認する
- 消滅時効期間を過ぎていないか確認する
- 専門家に相談する
それぞれの対処法について説明していきます。
4-1 正規の債権回収会社か確認する
債権回収会社から連絡があったときには、まずは「正規」の債権回収会社か確認しましょう。
実在する債権回収会社と似た会社名で、架空の債権を請求する「詐欺」なども発生しているため注意が必要です。
身に覚えのない請求や聞いたことのない債権回収会社から通知が届いた場合、法務省の「債権管理回収業の営業を許可した株式会社の一覧」で検索すれば、正規の債権回収会社か確認することができます。
4-2 消滅時効期間を過ぎていないか確認する
債権回収会社から連絡があったときには、「消滅時効期間」を過ぎていないか確認しましょう。
消滅時効期間を過ぎていれば、「時効の援用」をすることで返済義務はなくなります。
ただし債権者から債権回収会社に債権が移る方法が「債権譲渡」か「代位弁済」かにより、時効が中断されている可能性もあります。
「債権譲渡」であれば消滅時効期間は引き続き進むのに対し、「代位弁済」なら債権者が変わった時点で消滅時効期間は「リセット」され、新たにスタートすることになります。
仮にすでに消滅時効を迎えている場合でも、1円でも返済したり返す意思を見せたりすると、時効はリセットされ時効の援用もできなくなってしまいますので注意してください。
4-3 連絡を無視しない
債権回収会社から督促や連絡を受けたときには、絶対に無視しないようにしましょう。
債権回収会社は債権者に代わり取り立てを行う業者のため、債権回収会社から連絡が来ても「こんな会社から借りた覚えはない」と感じることもあるはずです。
しかし、借りた覚えがないからといって債権回収会社からの取り立てを放置してしまうと、最終的には財産を差し押さえられる可能性もあるのでご注意ください。
4-4 専門家に相談する
債権回収会社から連絡があったものの、対応に「不安」があるときには「専門家」に相談しましょう。
正規の債権回収会社なのか判断がつかないときや、消滅時効期間を過ぎているかわからない場合など、自己判断してしまうのは危険です。
消滅時効期間を過ぎている場合の「時効の援用」についても、専門家に相談することで適切な対応が可能となり、自身の負担も最小限に抑えることができます。
法律に詳しくない個人の自己判断で対応するよりも、よい結果を生むことにもつながるため、専門家を頼ることをおすすめします。
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まとめ
債権回収会社とは、債権者では回収できなかった債権を譲り受け、回収する専門の会社であり取り立てのプロともいえます。
そのため債権回収における法律・専門的な知識やノウハウも豊富であるため、通知があったのにもかかわらず無視したり放置したりすれば、財産を差し押さえられることになるでしょう。
しかし正規の債権回収会社なのかわからないときや、すでに消滅時効期間を過ぎている可能性がある場合など、どのように対応すればよいか判断がつかないものです。
もしも債権回収会社から通知が届き、どうすればよいかわからないときには、気軽にグリーン司法書士法人グループへご相談ください。
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よくあるご質問
- 債権回収会社とは?
- 「債権回収会社(サービサー)」とは、回収できずに不良化した債権を、お金を貸した「債権者」に変わり、お金を借りた「債務者」に対し取り立て業務を行う会社です。
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- 債権回収会社から通知が来たときの対処法とは?
- 債権回収会社から連絡が来たら、下記の方法で対処しましょう。
・正規の債権回収会社か確認する
・消滅時効期間を過ぎていないか確認する
・専門家に相談する
債権回収会社について詳しくはコチラ