偏頗弁済はいつからアウト?自己破産前に返済してはいけない時期とは

司法書士市川有美

監修者:グリーン司法書士法人   市川有美
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第9784号 【保有資格】司法書士

借金返済の知識
偏頗弁済はいつからアウト?自己破産前に返済してはいけない時期とは

この記事は約 12 分で読めます。

 この記事を読んでわかること
  • 自己破産の手続き前後の返済はいつから偏頗弁済になるのか
  • 偏頗弁済に該当しない行為の例
  • 偏頗弁済をしてしまった場合の対処法

自己破産を考えているものの、「今の返済はもう止めたほうが良いのか」「どの時点から偏頗弁済になるのか」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

偏頗弁済(へんぱべんさい)とは、自己破産や個人再生の前に、一部の債権者だけに優先して返済してしまう行為のことを言います。偏頗弁済は裁判所から債権者を不公平に扱ったとみなされ、免責が認められない可能性があります。

ただし、偏頗弁済とみなされるタイミングは状況によって異なり、支払不能になった時点や申立て後の返済など、判断が非常に難しいのが実情です。そのため、誤った判断で返済を続けてしまい、結果的に手続きに悪影響を及ぼすケースも少なくありません。

この記事では、偏頗弁済がいつから問題になるのかを中心に、該当する行為や該当しない支払いの例、そして偏頗弁済をしてしまった場合の対処法を解説します。どこまで支払いを続けて良いのか判断に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

1章 偏頗弁済とは?

偏頗弁済とは、自己破産や個人再生の手続きの前に、特定の債権者だけに返済を行うことを指します。たとえ少額でも、一部の債権者だけを優遇して支払ってしまうと、破産手続き上の問題になる可能性があります。

ここでは、どのような行為が偏頗弁済にあたるのか、そして行ってしまった場合にどのようなリスクがあるのかを解説します。

1-1 偏頗弁済に該当する行為

偏頗弁済に該当するのは、自己破産や個人再生の手続き前に、特定の債権者だけに返済を行う行為です。破産手続きではすべての債権者を平等に扱うことが原則とされているため、一部の相手だけに返済をすると不公平な返済と判断されます。例えば、以下のようなケースは偏頗弁済にあたる可能性があります。

  • 銀行や消費者金融のうち、特定の1社にだけ返済する
  • 保証人になっている家族に迷惑をかけたくないためその分だけ返済した
  • 知人や友人からの借金を「人間関係を壊したくない」と思い、優先的に返した
  • 給与天引きで会社からの立替金を返済した

1-2 偏頗弁済をするリスク

偏頗弁済をしてしまうと、自己破産の手続きに大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。たとえ「少しだけ返しておこう」「迷惑をかけたくない」といった善意からの返済でも、法律上は債権者を不公平に扱った行為とみなされるため注意が必要です。

まず、偏頗弁済は自己破産における免責不許可事由に該当します。裁判所が「債務者が公平に手続きを進めていない」と判断すれば、免責が認められない可能性があります。

また、破産管財人が選任される管財事件の場合には、偏頗弁済が確認されると、破産管財人が否認権を行使し返済したお金を取り戻すことがあります。この場合、返済を受けた債権者が破産管財人に返金を求められることになり、結果的に相手にも迷惑をかけてしまいます。

さらに、特定の債権者を意図的に優遇したり、財産を隠したりした場合には、詐欺破産罪に問われるリスクもあるでしょう。不安な支払いがある場合は、まずは弁護士や司法書士に相談し、偏頗弁済に当たらない方法を確認することが大切です。

2章 自己破産の手続き前後の返済はいつから偏頗弁済になる?

自己破産を検討している段階で、どの時点から返済が偏頗弁済にあたるのかを理解しておくことが重要です。「少しだけ返した」「申立ての直前だから大丈夫」と思っていても、その支払いが偏頗弁済と判断される恐れがあります。

ここからは、自己破産の手続き前後の返済はいつから偏頗弁済になるかを確認しましょう。

2-1 支払不能になってからの返済

自己破産で偏頗弁済と判断されやすいのは、支払不能になった後の返済です。支払不能とは、借金の返済を継続的に行うことが難しくなり、経済的に立ち行かなくなった状態を指します。

例えば、借入金の返済が滞り始め、複数の金融機関から督促を受けている段階や、生活費を借金で賄っているような状況は、すでに支払不能の状態といえます。この時点で特定の債権者にだけ返済をしてしまうと、債権者の間で不公平が生じるため、偏頗弁済に該当する可能性が高くなります。

したがって、返済が苦しいと感じた時点で無理に支払いを続けるのは避けましょう。

2-2 裁判所に自己破産の申立てを行ってからの返済

裁判所に自己破産の申立てを行った後の返済は、ほぼ確実に偏頗弁済と判断されます。申立てが受理された時点で、借金の返済は破産手続きの中で公平に処理されることになるため、個別に返済を行うことは許されません。

裁判所に自己破産の申立てを行ってから一部の債権者にだけ返済してしまうと、債権者平等の原則に反するだけでなく、破産手続きそのものを妨げる行為とみなされます。申立て後に友人や家族などへ返済した場合、破産管財人が不当な返済としてその金額を返還請求する可能性があります。

また、悪質と判断された場合には、免責不許可事由や詐欺破産罪に問われる恐れもあるでしょう。申立て後の支払いは、たとえ少額でも偏頗弁済となるため、申立てが済んだ後は一切の返済をやめることが重要です。

2-3 支払期限よりも前の返済

支払期限よりも前に返済を行うケースはそれほど多くありませんが、友人や知人などとの個人間の貸し借りでは見られることがあります。例えば、「来月が返済期日だけど、自己破産の前に少しでも返しておこう」と思って支払ってしまうようなケースです。このような支払期限前に特定の債権者へ返済する行為も、偏頗弁済とみなされる可能性があります。

破産法では、返済期日を迎えていない債務の支払いを優先的に行うこと自体が、債権者間の公平性を損なうと考えられるためです。特に相手が家族や友人などの個人である場合、恩義や人間関係を理由に偏った返済をしてしまうことが多く、結果的に手続き上の不利を招くリスクがあります。

そのため、支払期日前の返済は控え、もし気持ち的に整理をつけたい場合でも、手続きが完了して免責が確定したあとに行うのが安全です。

3章 偏頗弁済に該当しない行為の例を紹介

先述のタイミングでの支払いでも、以下のような行為は偏頗弁済に該当しません。

  • 税金や社会保険料の支払い
  • 当月分の家賃や公共料金などの支払い
  • 支払停止までの契約通りの支払い
  • 家族や親戚などによる支払い

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

3-1 税金や社会保険料の支払い

税金や社会保険料の支払いは、偏頗弁済には該当しません。これらは国や自治体に対する公的な義務であり、一般の債権者への返済とは性質が異なります。

そもそも、税金や健康保険料、年金保険料などは自己破産をしても免責されない非免責債権にあたります。つまり、自己破産をしても支払い義務が残るため、破産手続き中に支払っても特定の債権者を優遇した行為には当たりません。​​税金や社会保険料の他、滞納分を除く養育費や婚姻費用なども非免責債権に該当するため、これらを支払っても偏頗弁済にはならないのが一般的です。

3-2 当月分の家賃や公共料金などの支払い

自己破産の手続き中でも、当月分の家賃や電気・ガス・水道などの公共料金を支払うことは偏頗弁済にはなりません。これらは日常生活を維持するために不可欠な支出であり、裁判所も生活費の一部として認めています。

ただし、過去分の滞納家賃や未払いの公共料金を支払う場合は注意が必要です。滞納分をまとめて支払うと特定の債権者を優遇した行為とみなされ、偏頗弁済に該当する可能性があります。

そのため、支払いを続ける場合は、手続き後も継続的に必要な生活費分のみに留め、過去の滞納分については弁護士や司法書士の判断を仰ぎましょう。

3-3 支払停止までの契約通りの支払い

自己破産を決意してから実際に支払いを止めるまでの期間に、契約通りの支払いをしていた場合は、偏頗弁済にはあたりません。例えば、専門家に相談する前や、まだ破産申立てを行う前にクレジットカードの自動引き落としやローン返済を続けていた場合などです。

この段階では支払不能と判断される前の状態とみなされるため、偏頗弁済と扱われることはほとんどありません。ただし、自己破産を正式に依頼して債権者に受任通知が発送された後は、支払いを続けると偏頗弁済に該当する可能性が高くなるため、その時点で必ず返済を止める必要があります。

3-4 家族や親戚などによる支払い

自己破産の手続き中に、家族や親戚が本人の代わりに支払いを行った場合は、偏頗弁済には該当しません。この場合、返済に本人の財産を使用していないため、法律上は本人による債務の弁済には当たらないと判断されます。

ただし、本人が家族にお金を渡して支払いを依頼した場合は、実質的に本人の財産を使っていることになるため偏頗弁済とみなされる恐れがあります。また、家族による支払いは詳細な確認を求められる場合があるため、「誰がどのお金で支払ったか」を明確に記録しておきましょう。家族や親戚が代わりに支払う場合は、事前に専門家に相談し、偏頗弁済にならない形で支援してもらうことが重要です。

4章 偏頗弁済をしてしまった場合の対処法

偏頗弁済をしてしまったとしても、正直に申告すれば多くの場合は問題なく自己破産を進められます。重要なのは、隠そうとせず、どの債権者に・いくら・どの時期に返済したのかを正確に伝えることです。

自己破産では、偏頗弁済は免責不許可事由にあたりますが、悪意や隠ぺいの意図がなければ、裁判所の判断で「裁量免責」が認められるケースが多くなっています。つまり、「うっかり返してしまった」「偏頗弁済になると知らなかった」という程度であれば、基本的に免責は取り消されません。

一方で、偏頗弁済を故意に隠したり、返済した事実を申告しなかったりすると、免責が下りない・詐欺破産罪に問われる恐れがあります。そのため、少しでも心当たりがある場合は、正直に申告し、専門家の指示に従って対応することが大切です。

また、すでに偏頗弁済を行っていた場合でも、破産管財人が返済分を取り戻すことで手続き上の問題が解消されるケースもあります。隠さず、誠実に協力する姿勢を見せることが、免責を得るための最も確実な方法です。

5章 支払いに困ったら早めに弁護士・司法書士に相談しよう

偏頗弁済を避けるために最も重要なのは、自己判断で動かないことです。どの支払いを続けてよいか、どの時点で止めるべきかは、状況や債権者との関係によって大きく異なります。
正しい知識がないまま返済を続けてしまうと、意図せず偏頗弁済に該当し、免責が認められない恐れもあります。

弁護士・司法書士に相談すれば、現在の支払い状況をもとに、偏頗弁済にならないためのアドバイスを受けられます。専門家が介入すれば、債権者へ受任通知が送付され、督促や取り立てがすぐに止まるため、精神的な負担も軽減されます。早い段階で相談するほど、偏頗弁済を未然に防ぎ、スムーズに手続きを進められるでしょう。

グリーン司法書士法人では、自己破産や債務整理の豊富な実績をもとに、一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策を提案しています。無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

偏頗弁済になるタイミングは、支払不能になってから、または自己破産の申立てをした後の返済です。つまり、「この返済をしたらもう返せなくなる」と感じる段階以降や、弁護士・司法書士に手続きを依頼した後の支払いは、偏頗弁済に該当する可能性が高くなります。

一方で、まだ支払不能に至っていない段階や、手続きを正式に依頼する前の契約どおりの支払いであれば、偏頗弁済とはみなされないのが一般的です。しかし、自己破産の判断基準は状況によって異なり、「どこからが支払不能なのか」を自分で見極めるのは非常に難しいものです。もし支払いを続けて良いか迷ったら、その時点で一度返済を止め、専門家に相談してください。

弁護士や司法書士に相談すれば、支払いを止めるべき正しいタイミングや、偏頗弁済にならない対応方法を具体的に教えてもらえます。

グリーン司法書士法人では、自己破産の豊富な経験をもとに、偏頗弁済のリスクを避けながら安全に免責を得るためのサポートを行っています。「いつから返済を止めるべきか分からない」という方は、ぜひ早めにご相談ください。

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自己破産と偏頗弁済に関してよくある質問

ここでは、自己破産と偏頗弁済に関してよくある質問を見ていきましょう。

偏頗弁済をしてしまったら自己破産は難しいですか?
偏頗弁済をしてしまっても、自己破産ができなくなる訳ではありません。確かに、偏頗弁済は免責不許可事由に該当しますが、悪意がなく正直に申告していれば、裁量免責によって免責が認められるケースが多くなっています。
重要なのは、返済した事実を隠さないことです。「いつ・誰に・いくら返済したのか」を正確に申告し、破産管財人や裁判所の調査に誠実に対応すれば、免責が下りる可能性は十分にあります。逆に、返済したことを隠したり虚偽の説明をした場合は、免責が認められなくなる恐れがあります。
もし「すでに返済してしまった」と不安に思う場合は、早めに弁護士や司法書士へ相談し、正しい対応を確認しましょう。
偏頗弁済にならないように、家族や友人に借金を返す方法はありませんか?
家族や友人への返済は、基本的に偏頗弁済になると考えましょう。たとえ相手が身近な人でも、他の債権者より優先して返済すれば、不公平な返済とみなされます。
どうしても返済したい場合は、自己破産の手続きがすべて終わり、免責が確定してから行うのが安全です。免責が下りた後であれば、法的な債務ではなく、道義的な返済として扱われるため、偏頗弁済には該当しません。
また、手続き中に家族があなたの代わりに返済する第三者弁済であれば、本人の財産を使わない限り偏頗弁済にはなりません。ただし、家族にお金を渡して支払ってもらう場合は、実質的には本人の返済とみなされるため注意が必要です。

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