税金を払わなかったら差し押さえに!納付できない場合の対処法は?

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
税金を払わなかったら差し押さえに!納付できない場合の対処法は?

この記事は約 12 分で読めます。

近年、増税や物価の高騰もあって、納税する税金の額が大きくなると支払いが厳しく感じる方も少なくありません。

納税は国民の義務であることから、税金は必ず払わないといけません。

また、税金はいくら滞納を続けて支払い額が膨らんだとしても、債務整理の対象ではなく返済義務が免除されないので注意が必要です。

もし、払わなければいけない税金を滞納し続けていると、やがて差押えに発展してしまいます。

差し押さえになると、財産や給料が差し押さえられてしまうので絶対に避けたいものですよね。

この記事では、税金を払わなかった場合の流れと、払えないときの対処法を解説いたします。税金の支払いにお困りの方はぜひご参考にしてください。

1章 税金を払わなかったらどうなる?

結論から言うと、税金から逃れることは絶対にできないため、たとえ差押えに発展してでも払う必要があります。

会社員やパートなどの組織に所属して働いている場合は、給料から自然と引き落としされるのであまり税金を滞納することは考えられないでしょう。

しかし、自動車税や固定資産税などの一部の税金や、自営業として働いている場合は、自ら納税する必要があるため税金の滞納は十分に考えられる話です。

延滞が起こりがちな税金は、以下の税金が挙げられます。

  • 自動車税
  • 固定資産税
  • 贈与税
  • 相続税
  • 所得税(自営業者)
  • 住民税(自営業者)

この章では、期日内に税金を払わなかったら、差し押さえまでどのような流れで進むのか解説します。

1-1 督促状が届く

督促状

納税の期日を過ぎてしまったら、まずは督促状が届きます。

督促状は、最初はハガキや封筒で来る場合が多く、払っていない税金の種類と金額が記載されています。

同時に再度納税の期日が記載されているため、うっかり支払いを忘れてしまった場合は期日内に納税するようにしましょう。

もし、この記載されている期日内に支払いが難しい場合は、すぐに担当の窓口に相談するのがおすすめです。払えない理由によっては、支払いを待ってくれたり分割払いなどを提案してもらえる可能性があります。

とにかく、督促状が届いても払えない場合は、無視し続けるのだけはおすすめしません。払えないのであれば「払えない」という連絡が必要です。

1-2 延滞金が発生する

督促状を受け取っても払わなかった場合は、延滞金が発生します。

延滞金は、借金やローンの支払いを滞納した場合に発生するケースも多く、支払い期日を過ぎても放置していた場合に発生してしまうお金だと覚えておきましょう。

元々のお金よりも更に余分に払うことになってしまうので、延滞金が発生しないうちに税金を払い切ることをおすすめします。

1-3 差し押さえになる

延滞金が発生して、再度に渡って督促状が届いたにもかかわらず税金を払わなかったら差し押さえになります。

差し押さえになると、給料や銀行の預金口座などの現金や、車やブランド品などの財産が差し押さえられてしまいます。

借金やローンを滞納した場合も最終的には財産を差し押さえられることになりますが、借金やローンの場合は裁判所から許可を得てから強制執行となります。

税金の場合は、裁判所を通さずに強制執行ができるため、滞納を続けているとあっという間に差し押さえまで進んでしまいます。

2章 税金が払えないときの対処法

税金は数万円単位で支払わなければいけないことも多く、経済状況によってはやむを得ず払えない状況の場合もあることでしょう。

その場合は、黙って滞納をするのは絶対におすすめしません。

税金を払わなかったらどんどん状況が深刻化してしまい、数ヶ月であっという間に差し押さえになってしまいます。

そのため、払えないと分かった時点で何かしらの対応が必要です。

ここからは、税金が払えないときの対処法を解説します。

2-1 税務署・市区町村に相談する

まずは、支払えない税金の担当の窓口に相談しましょう。

各税金によって、税務署や市役所・区役所など担当が異なるため、支払い明細に記載されてある窓口に連絡して、支払いが難しいことを伝えます。

その際に、期日までに支払いが難しい理由と支払える目処が立っているのかどうかを必ず伝えて、支払いに対して前向きな姿勢を見せることが大切です。

もし、何かしらの事情で今後の支払いも難しい場合は、次のステップを検討する必要があります。

2-2 分割払いを利用する

一括で支払いが難しい額の税金であれば、分割払いを利用できないか相談してみましょう。

税金は一括払いが原則となりますが、分割払いの相談に応じてくれることがほとんどです。税務署の場合は納付誓約書を書くこともありますが、分割払いは可能です。

もし、分割払いであれば納税できるというのであれば、相談してみてはいかがでしょうか。

ただし、分割中の税金には延滞税がかかるため、一括で支払えるのであればそれに越したことはありません。

2-3 猶予制度を利用する

現在失業してしまったり、病気や介護などで一時的に納税することが困難な状況に陥ってしまった場合は、税金の支払いを一時的にストップできる猶予制度を検討するのも方法の一つです。

猶予制度が認められると、差し押さえが猶予されるほか、猶予期間中の延滞税の全部または一部が免除されます。

税金は本来であればいかなる事情があっても納税するのが原則となります。

猶予制度を利用するには条件を満たす必要があるため、詳しくは国税庁の公式ホームページを確認して、該当する理由があるかチェックしましょう。

2-4 生活保護を受給する

長期的に税金の支払いが難しく、今後も働ける目処が立たない場合は生活保護の受給を相談しましょう。

生活保護を受給すると、所得税などの税金や健康保険料等の保険料が免除されます。

また、受給前に滞納していた税金や保険料の滞納処分も猶予されるので、生活保護の受給後に差し押さえに発展することがなくなるのでご安心ください。

当然ですが効力が強い分、簡単に生活保護を受給できるわけではありません。しかし、相当の理由がある場合は躊躇せずに相談してみてはいかがでしょうか。

2-5 税金の原因になっている資産を売却する

今払えない税金をなんとか解決したとしても、今後もまた同じ税金が発生するのであれば、思い切って税金の原因になっているものをなくすのも方法の一つです。

例えば、マンションなどの物件や土地に発生する固定資産税や車に発生する自動車税などが挙げられます。

調子が良いうちにタワーマンションや高級車を購入したは良いが、その後に状況が悪くなり維持費が捻出できなくて売却してしまったというケースはよくあることです。

良いものを購入したとしても、現状の生活を圧迫している原因になっているのであれば元も子もありません。

差し押さえになった場合は、どのみち強制的に財産を失うことになってしまいます。自分で対応できるうちに売却するのもおすすめです。

3章 税金にも時効があるがほとんど適用されない

税金は、生活保護の受給など相当の理由がない限りは必ず納税する義務があります。

しかし、税金にも時効があり、納付期限から5年が経過すると消滅時効が完成します。これは、法律でも定めされており適用することが可能です。

地方税法 第十八条 (地方税の消滅時効)

地方団体の徴収金の徴収を目的とする地方団体の権利(以下この款において「地方税の徴収権」という。)は、法定納期限(次の各号に掲げる地方団体の徴収金については、それぞれ当該各号に定める日)の翌日から起算して五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。

しかし、5年間納税から逃れられることは現実的ではありません。

督促状や連絡を受けると時効が中断することや、すぐに差し押さえを行使できることを踏まえると、5年間もそのままにしておける確率はほとんどないと言ってよいでしょう。

念のため、頭の片隅に時効もあるということを覚えておいて損はありませんが、実際のところほとんど適用されることはありません。

3-1 生活保護受給から3年経過すると納税が免除される

一部例外として、過去の税金を払わなくてもよいケースを挙げるのであれば、生活保護を3年以上受給するケースです。

生活保護の申請が降りて、生活保護受給者となった場合、税金の滞納の猶予制度を利用した状態で3年間経過すると納税義務が消滅します。

例えば、2020年9月に生活保護受給がスタートして2023年10月時点でも生活保護を受けていれば、2020年9月の税金の納税義務は消滅して差し押さえは行われなくなります。

長期的に支払いが困難でも、過去の税金を遡って取り立てられるということはないのでご安心ください。

4章 借金問題で税金が払えない場合は債務整理を検討しよう

もし、借金やローンの支払いで税金が払えない場合は、原因となっているものを解決する必要があります。

その解決方法の一つとして、債務整理があります。

借金にしても税金にしてもどちらかの支払いができなくなった時点で、今後差し押さえになる可能性は十分に考えられます。

どちらかが差し押さえになると、生活費すらも危うくなります。なんとか払えていた片方も滞納してしまい、連鎖的に差し押さえになるケースもよくあります。

そうならないためにも、早いうちに手を打って借金の債務整理に踏み切ることをおすすめします。

債務整理の種類は、以下の3種類が一般的です。

債務整理の種類特徴
任意整理・借金の利息や遅延損害金など元金以外をカットする手続き
・長期的に返済している借金におすすめ
個人再生・借金の元金を大幅にカットする手続き
・車や持ち家など失いたくない財産がある方におすすめ
自己破産・全ての借金を免除することができる手続き
・支払い能力がなく返済不能に陥った場合におすすめ

また、自己破産の手続きが視野に入るほど支払い能力がない場合は、税金の猶予制度や生活保護を受給できる可能性もあります。

仮に、生活保護を受給していたとしても、自己破産の手続きを取ることもできるのでご安心ください。

ただし、生活保護のお金から借金を返済する行為は禁止されています。そのため、必然的に債務整理をする場合は自己破産しか選択肢がなくなるので注意が必要です。

早い段階で、借金問題での債務整理は専門家に相談して、同時に税金は税務署や市区町村に相談してみることをおすすめします。

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4-1 税金は債務整理できないので注意

債務整理をする上で注意したいのは、税金は債務整理できない点です。

もしあちこちの税金を滞納して総額が膨れ上がったとしても、債務整理をすれば免除になるということはありません。

司法書士や弁護士などの専門家でも、税金だけ滞納している場合はできることがないので覚えておきましょう。

専門家で対応できることは、以下のお金の問題で生活を圧迫している場合です。

  • 住宅ローンやカーローンなどのローン
  • クレジットカードやカードローンなどの金融機関からの借金
  • 連帯保証人などの肩代わりした借金
  • 会社や親・友人などの身内からの借金
  • 奨学金の返済

また、慰謝料や養育費、罰金も税金と同じく債務整理の対象ではないので注意が必要です。

もし税金のみが生活を圧迫している原因であれば、2章を参考に対処しましょう。

5章 税金を払わなかったら差し押さえに!早めの対策が大切

税金は、他の借金と比較して差し押さえまでのスピードが早く、必ず支払わなければいけないお金のため緊急性が高いものとなります。

「まだ大丈夫だろう」と思っていて状況を先送りにしていると、あっという間に差し押さえになって自分の大切な財産を失ってしまう可能性があります。

期日前だったとしても、支払いが難しいと判断した時点ですぐに税務署や市区町村に連絡をして支払いの相談をしましょう。

とにかく黙って滞納を続けているのは一番の悪手です。早めの早めの対策をして、現状の問題を解決することが大切です。

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