自動車税を払わないとどうなる?差し押さえまでの流れや対処法

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

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自動車税を払わないとどうなる?差し押さえまでの流れや対処法

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悩む男性
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自動車税を払わないとどうなりますか?自動車が没収されますか?
司法書士
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自動車税を払わないでいると、延滞税がかかりますし、最終的には自動車や給与などを差し押さえられる恐れがあります。

自動車税を払わないでいると、延滞税がかかる、車検を通せなくなるなどのデメリットがあります。
自動車税の滞納が続くと、最終的には自動車や給与、預貯金などの財産が差し押さえられ滞納分の返済に充てられてしまいます。

自動車税が払えないときには、窓口への相談や自動車税の減免制度の利用を検討しましょう。
本記事では、自動車税が払えないときはどうなるのか、対処法と共に解説します。

税金が払えないときにどうなるのかや対処法は、下記の記事もご参考にしてください。

1章 自動車税を払わないとどうなる?

自動車税を払わないで滞納が続くと、下記のデメリットが発生します。

  1. 延滞税が発生する
  2. 車検を通せなくなる
  3. 自動車などの財産が差し押さえられる

それぞれいつのどの段階でデメリットが発生していくのか、詳しく解説していきます。

1-1 延滞税が発生する

自動車税を払わないでいると、延滞税が発生します。
自動車税の納付期限は毎年5月末日なので、期限までに支払わないとその後支払いが完了するまでの間、延滞税がかかってしまいます。

自動車税の延滞税の税率は、下記の通りです。

延滞している期間税率(令和4年1月1日~12月31日まで)
納付期限の翌日から1ヶ月を経過するまでの期間年2.4%
納期限の翌日から1ヶ月を経過した日以降の期間年8.7%

なお、延滞税の税率は金利状況によって毎年変動します。
また、延滞税は1,000円を超えた時点で発生するので、1,000円未満の場合は支払いが必要ありません。

自動車税の納付期限を過ぎても納付書は使用できる
自動車税の納付期限を過ぎたとしても、すでに届いている納付書は問題なく使用できます。
ただし、納付期限を過ぎた場合には下記の方法でしか自動車税を払えなくなります。

  • 金融機関や郵便局での窓口
  • 各自治体の窓口

1-2 車検を通せなくなる

自動車税を滞納すると、2年ごとに受ける必要がある車検を通せなくなります。
車検証の交付時には、下記の3つの書類が必要だからです。

  • 前回の車検証
  • 自賠責保険証
  • 自動車税納付証明書

自動車税を払っていないと、納税証明書を発行してもらえないので車検を受けることができません。
車検が切れた車を公道などで走らせると、車検証不携帯として罰則を受けてしまいます。

1-3 自動車などの財産が差し押さえられる

自動車税を払わないで滞納を続けると督促状が届き、最終的には自動車などの財産が差し押さえられてしまいます。
差し押さえが決定してしまうと、滞納分を払う以外の解決方法がなくなってしまうのでご注意ください。

法律上では、自動車税および軽自動車税ともに納付期限から20日以内に督促状が送付され、督促状送付日から10日経過しても滞納分の支払いがない場合は財産が差し押さえられると決められています。

また、給与や自動車などの差し押さえが決定すると、下記のデメリットもあります。

  • 勤務先に自動車税の滞納がバレる
  • 自動車が差し押さえられた場合、タイヤロックが掛けられ最終的には処分されてしまう

差し押さえられる財産とは
自動車税を払わなかった場合、自動車だけでなく給与、預貯金などの財産が差し押さえられる恐れがあります。
一方で、下記の財産は差し押さえ禁止財産に該当するので、手元に残せます。

  • 66万円以下の現金
  • 給与の4分の3※手取り金額が44万円を超える場合、33万円まで
  • 国民年金・厚生年金・生活保護費・児童手当費など
  • 生活に必要な衣類や寝具・家具・家電・建具
  • 1ヶ月に必要な食料や燃料
  • 仕事に必要な器具・機械
  • 実印や印鑑
  • 仏具や位牌などの祭祀財産
  • 勲章や賞状など名誉を表彰するもの
  • 学習に必要な書類や器具
  • 義手や義足など身体の補足に必要なもの
  • 消防用の機械・器具・避難器具・備品
  • 未公表な発明、著作に関わるもの
  • 日記、商業帳簿など

極端な話、自動車税を滞納し続けると上記以外の財産は差し押さえられる可能性があります。

2章 自動車税を滞納したときの延滞税の計算方法

本記事の1章で解説したように、自動車税を滞納すると延滞税がかかります。
本章では、実際に自動車税を払わないでいると自動車税がいくらになるのかを計算してみます。

  • 自動車税:39,500円
  • 納付期限:5月31日

上記の条件において、滞納期間別の延滞税は下記の通りです。

滞納期間延滞税
1ヶ月(30日分)39,500円×2.4%×30日÷365日=77円
1,000円以下なので延滞税は発生しない
2ヶ月(60日分)39,500円×2.4%×30日÷365日=77円(期限後30日まで)
39,500円×8.7%×30日÷365日=282円(期限後30日以降)
77円+282円=359円
1,000円以下なので延滞税は発生しない
1年(365日分)39,500円×2.4%×30日÷365日=77円(期限後30日まで)
39,500円×8.7%×335日÷365日=3,154円(期限後30日以降)
77円+3,154円=約3,231円

上記のように、自動車税を1年間払わなかったとしても発生する延滞税は数千円程度です。
しかし、延滞税の負担が軽かったとしても、自動車税を払わないでいると最終的には自動車などの財産を差し押さえられてしまいます。

3章 自動車税滞納から財産差し押さえまでの流れ

自動車税を払わないでいると、最終的には自動車などの財産が差し押さえられ滞納分の支払いに充てられてしまいます。
自動車税の滞納後すぐに差し押さえが行われるわけではなく、下記の流れで実行されます。

  1. 督促状が届く
  2. 催告書が届く
  3. 差し押さえ予告通知書が届く
  4. 自動車などの財産が差し押さえられる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP① 督促状が届く

自動車税の納付期限である5月末を過ぎても自動車税を払っていない場合、20日以内に督促状が届きます。

司法書士
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自動車税を払わないと数回にわたり督促状が届くケースが多いです。

STEP② 催告書が届く

数回にわたり督促状が届いても自動車税を払わないでいると、督促状ではなく催告書が届きます。
催告書とは督促状と同様に返済期日が過ぎた借金などを早く支払ってもらうように促すための文書ですが、法的手段前の「最終通告」という意味を含んでいます。

督促状を何度も送っても自動車税を払わない人に対して催告書を送ることや催告書の内容に従わない場合、法的措置に至ることなどから文面は督促状よりも厳しい内容になっていることが多いです。

STEP③ 差し押さえ予告通知書が届く

催告書が届いても自動車税を払わないでいると「差し押さえ予告通知書」が届きます。
差し押さえ予告通知書とは、差し押さえを行う予告であり最終通告です。

司法書士
司法書士
これまで送った督促状や催告書と区別しわかりやすくするように、封筒の色を変えている自治体もあるようです。

自治体は差し押さえ予告通知書を送るとともに滞納分を差し押さえるために、滞納者の預貯金口座や勤務先の調査を始めます。

STEP④ 自動車などの財産が差し押さえられる

差し押さえ予告通知書が届いても自動車税を払わないでいると、最終的に自動車などの財産が差し押さえられ、滞納分の返済に充てられてしまいます。

なお、自動車税を滞納しているからといって真っ先に自動車が差し押さえられるとは限りません。
給与や賞与、預貯金など現金化しやすい財産が最初に差し押さえられることが多いからです。

とはいえ、自治体や税務署は裁判所での手続きを踏まずに差し押さえの手続きに移れるので、自動車税の滞納を理由に自動車を回収するケースもあります。

差し押さえにより自動車を回収されると日々の生活や通勤に支障が出てしまいますし、給与が差し押さえられる場合は勤務先に自動車税滞納の事実がバレてしまいます。

4章 自動車税が払えないときの対処法

本記事の3章で解説したように、自動車税を滞納し続けると最終的に財産を差し押さえられてしまいます。
そのため、自動車税を払えないからといって滞納し続け踏み倒すことは不可能です。

自動車税が払えないときには、下記の4つの方法をお試しください。

  1. 担当者や窓口に相談する
  2. 分割払いに応じてもらえないか交渉する
  3. 自動車税の減免制度を利用する
  4. 債務整理を検討する

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 担当者や窓口に相談する

自動車税を払えないときに最もしてはいけないことは、そのまま放置することです。
自治体から督促状や催告書が届いたときには、速やかに支払いましょう。

万が一、滞納していてすぐに支払えない場合には、窓口に相談して支払いが難しいことを相談してみてください。

司法書士
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「今支払うことは難しいが支払う意思はある」と示すことで、問題が大きくなりにくくなります。

4-2 分割払いに応じてもらえないか交渉する

自動車税は現金一括納付となっていますが、すべてのケースで分割払いを認めてもらえないわけではありません。
滞納している自動車税の現金一括納付が難しい場合には、分割払いを認めてもらえないか担当者に相談してみましょう。

  • 一括納付は難しい
  • 一括納付が難しい理由
  • 分割払いであれば、延滞税も含めて全額払っていく

上記の3点を伝えると、分割払いに応じてもらえる可能性もあります。
ただし、分割払いを希望する正当な理由がない場合には、認めてもらえない恐れもあるのでご注意ください。

4-3 自動車税の減免制度を利用する

障がいを持つ人が移動手段として自動車を活用している場合には、自動車税が減免される可能性があります。
減免制度の適用要件や金額は自治体によって異なるので、ホームページや担当者に確認してみるのがおすすめです。

4-4 債務整理を検討する

自動車税以外にもカードローンやクレジットカード払いなど滞納している借金がある場合には、債務整理も検討しましょう。
債務整理をすれば、自動車税以外の借金の返済負担を軽くできます。

ただし、自動車税を始めとする税金に関しては債務整理をしても返済義務はなくなりません。
自動車税のみを滞納している場合には、債務整理では解決できないのでご注意ください。

債務整理には複数の方法があり、それぞれおすすめな人の特徴が異なります。

種類おすすめな人の特徴
任意整理連帯保証人や保証人が付いている借金がある人債務整理後も住宅や自動車を残したい人
個人再生債務整理後も住宅や自動車を残したい人借金を大幅に減額したい人
自己破産他の債務整理をしても借金の返済が難しそうな人

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5章 自動車税の滞納・払い忘れを予防する方法

自動車税を払うタイミングは年に1度であり、納付書が届いてから納付期限までは1ヶ月弱と短いです。
「うっかり自動車税を払うのを忘れてしまった」という事態を防ぐ工夫も大切です。

また、そもそも自動車税を払うのが負担と感じる場合には、自動車が本当に必要かどうかも見極める必要があるでしょう。
自動車税の滞納・払い忘れを防ぐためには、下記をおすすめします。

  1. クレジットカードで納税する
  2. エコカーに買換える
  3. 自動車を手放す

それぞれ詳しく解説します。

5-1 クレジットカードで納税する

自治体によっては自動車税をクレジットカードで納付可能です。
クレジットカード払いであれば支払い漏れもなくなりますし、自宅で手続きできます。

司法書士
司法書士
平日日中は仕事で忙しく、自動車税を払い忘れてしまう人におすすめです。

ただし、クレジットカードで払った自動車税を滞納すると、信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。
場合によっては、クレジットカードを利用できない、新たに作成できなくなる恐れもあるので注意が必要です。

5-2 エコカーに買換える

環境性能に優れたエコカーに買い替えると、自動車税が優遇されます。
現在乗っている車の自動車税が高いと感じる場合には、エコカーや軽自動車など自動車税の金額が安い来る前の乗り換えを検討しましょう。

司法書士
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エコカーは自動車税だけでなく、ガソリン代も節約できる点がメリットです。

5-3 自動車を手放す

自動車税だけでなくガソリン代や他の支払いも負担になっている場合やそもそも自動車にあまり乗らない場合には、自動車を手放すことも検討しましょう。
当たり前ですが、自動車を処分してしまえば自動車税はかからなくなります。
ただし、過去に発生した自動車税や延滞税は自動車を手放したとしても、免除されない点には注意が必要です。

司法書士
司法書士
自動車を利用するときには、レンタカーやカーシェアリングを活用すると決めてしまうのも良いでしょう。

まとめ

自動車税を滞納すると延滞税がかかりますし、自動車税納付証明書が発行されないので車検を通せなくなります。
また、滞納が続くと最終的には自動車や給与、預貯金などの財産を差し押さえられてしまうのでご注意ください。

自動車税を始めとする税金は債務整理の対象にならないので、窓口に相談して分割払いに応じてもらうなどの対処が必要です。
また、自動車税だけでなくカードローンや消費者金融から借金をしていて返済が難しい場合には、税金以外の部分について債務整理をすれば返済負担を軽くできます。

自動車税だけでなく複数の債権者から借入をしていて、返済が困難な場合には債務整理に詳しい司法書士や弁護士に相談するのがおすすめです。

グリーン司法書士法人では、債務整理に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

自動車税を滞納するとどうなる?
自動車税を滞納すると、延滞金が発生し最終的には自動車が差し押さえられる恐れがあります。
・延滞税が発生する
・車検を通せなくなる
・自動車などの財産が差し押さえられる
自動車税の滞納について詳しくはコチラ
自動車税の督促状が届くのはいつ?
自動車税の納付期限である5月末を過ぎても自動車税を払っていない場合、20日以内に督促状が届きます。
自動車税の滞納について詳しくはコチラ
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