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市民税を滞納してしまうと、後にまとまった金額を請求されることになるため、さらに家計が厳しい状況に追い込まれる可能性があります。
具体的には督促状が送られてきて、それでも滞納を続けると給料や売掛金、預貯金などが差し押さえられてしまいます。
なお、債務整理でも市民税は免除されず、支払い義務から逃れることはできません。
会社員の場合、勤務先の給与から天引きされる場合もある一方、天引きでない場合や自営業者などは納付書で支払うことが必要となるため、別の支払いを優先させることで滞納してしまいがちです。
そこで、市民税を滞納することでどのようなリスクがあるのか、免除してもらう条件や払えない場合の対処法について、次の3つの章に分けて詳しく説明していきます。
- 市民税とは
- 市民税滞納によるリスク
- 市民税を滞納したときの対処法
払っていない市民税の納付書が手元にあり、どうすればよいか困っているときには、この記事を参考に適切に対処することをおすすめします。
目次 ▼
1章 市民税とは
「市民税」は、地域に住む方たちが地域社会の費用を分担するための「住民税」の1つです。
1月1日に居住地のある市区町村に対し納める「税金」であり、都道府県の「県民税」と合わせて納めるため、市民税のみ支払うことはありません。
政令都市では市の中に「区」があるものの、名目としては「市民税」を納めることになり、東京23区の場合のみ「特別区民税」という扱いです。
行政サービスの活動に充てる目的で徴収される税金ですが、次の2つを確認しておきましょう。
- 徴収方法の種類
- 税額は収入により決定
それぞれについて説明します。
1-1 徴収方法の種類
市民税の「徴収方法」は、次の2つに分けることができます。
徴収方法の種類 | 対象者 | 徴収方法 |
---|---|---|
普通徴収 | 事業所得者など | 納税者本人に納税通知書が届き、年4回(6月・8月・10月・1月)に分けて本人が直接納める |
特別徴収 | 給与所得者など | 勤務先に特別徴収税額通知書が届き、給与支払いの際に天引きした分を翌月10日までに勤務先が納める |
「特別徴収」は自動的に勤務先が徴収(いわゆる源泉徴収)するため、払い忘れや滞納が発生する可能性は低くなるのに対し、「普通徴収」では本人が直接納めなければならず、滞納リスクが高くなりがちといえます。
1-2 税額は収入により決定
市民税は住民税の1つであり、次の2つで構成されます。
- 所得割(前年の所得金額により計算)
- 均等割り(所得にかかわらず定額)
「所得割」は、前年の1月1日から12月31日までが対象で税率は所得に対し「一律10%」です。
「均等割」は、市民税「3,500円」と県民税「1,500円」の合計「5,000円」を納めることになります。
仮に退職して収入がなくなった場合や、転職などでて収入が激減した場合でも、前年の収入が多ければそれに応じた税金を納めることになるため、事前の準備が必要です。
2章 市民税滞納によるリスク
市民税を滞納していると、負担が増えたり財産を失ったりと様々な「リスク」が発生します。
定められた期限までに支払いがないことで、早急な納付を促されることになるといえますが、影響として具体的には次の4つのリスクが挙げられます。
- 延滞金が加算される
- 督促状が届く
- 催告書が届く
- 財産を差し押さえられる
それぞれ簡単に説明していきます。
2-1 延滞金が加算される
市民税を滞納していると、過ぎた日数分の「延滞金」が加算されます。
「延滞金」は税金滞納だけでなく、納めた税金が少なかった場合にも「ペナルティ」として課せられてしまいます。
延滞金は納税期限を過ぎるほど増えるため、できるだけ早く納めることが必要です。
2-2 督促状が届く
市民税を滞納していると、役所から「督促状」が届くことになります。
「督促状」は納期限内に税金が納められなかったとき、早急に納税を促すために送付される書面です。
納付書を使って早急に納めることが必要ですが、もしも納付書を紛失してしまった場合でも、役所の窓口に連絡すれば再発行してもらえます。
なお、金融機関などですでに市民税を納めた場合でも、入金データが自治体に送信されるまで1~2週間かかるため、行き違いで督促状が送付されることはあります。
2-3 催告書が届く
市民税を滞納し、督促状が届いても納めなかった場合には、「催告書」が届くことになります。
「催告書」は、複数回に渡り督促しても滞納し続けた場合、納税を強く請求するために送付される書面です。
滞納者に対する「最終通告」ともいえる書面であるため、未納状況に応じて財産調査を予告する「財産調査に関する通知」や、差し押さえを予告する「差押執行予告」なども送達されます。
納税できない事情がある場合、放置するのではなく必ず役所の窓口に連絡し相談するようにしてください。
2-4 財産を差し押さえられる
市民税を滞納し、督促状や催告書を無視していると、財産を差し押さえられることになります。
税金滞納は、税務署に直接差し押さえ権限が認められているため、裁判所を通すことなくすぐに実行されるため注意が必要です。
差し押さえ対象となる「財産」は次のとおりです。
- 預金
- 給与などの債権
- 生命保険
- 不動産
- 動産
いずれも取立てや公売で市民税に充てることになるため、自由に使ったり処分したりできなくなり、生活に支障をきたすことになるでしょう。
3章 市民税を滞納したときの対処法
本来市民税は納期限までに「自主的」に納めることが必要ですが、たとえ事情があって支払うことができず、滞納してしまった場合でも放置してはいけません。
市民税を滞納したときには、次の5つの「対処法」で問題を解決させましょう。
- 役所に相談に行く
- 分割払いなど交渉する
- 納税の猶予を受ける
- 換価の猶予を受ける
- 債務整理を検討する
それぞれの対処法について説明していきます。
3-1 役所に相談に行く
市民税を滞納したときの対処法として、まずは役所に「相談」に行くことが必要です。
役所には市民税担当の部署があり、納期限までに税金を納めることができない場合でも相談に応じてくれます。
もっとも問題なのは何の連絡もせず放置することですが、これは支払いの意思がないとみなされるからです。
たとえ少額であっても支払う意思があれば、相談に応じてもらえます。
なお、次のいずれかに該当する場合には市民税が免除されることがあります。
- 生活保護を受給している方
- 障害者・未成年者・寡婦(寡夫)・一人親で前年の合計所得金額が135万円以下の方(収入が給与だけの場合、年収204万4,000円未満)
- 前年中の合計所得が市区町村状態で定める額以下の方
- 配偶者や扶養親族がいる方の前年中の総所得金額等が「35万円×自分を含めた扶養家族の人数+42万円以下」の方
- 配偶者や扶養親族がいない方の前年中の総所得金額等が「45万円以下」の方
3-2 分割払いなど交渉する
市民税を滞納したときの対処法として、「分割払い」など交渉することが挙げられます。
収入が少なく納税が厳しい状態であるなら、たとえば月1,000円ずつなど少額でも分割による支払いを続け、収入が安定してきたら滞納分を返済する計画も立てることを交渉してみましょう。
3-3 納税の猶予を受ける
市民税を滞納したときの対処法として、「納税の猶予」を受けることが挙げられます。
「納税の猶予」とは、災害・病気・事業の休廃業などを理由に認められる税金の猶予制度で、認められれば「1年以内」で納税の猶予を受けることができます。
そのためにも役所にまずは相談に行くことが必要であり、税金を納めることができない理由を証明できる書類を持参するなど、現状を理解してもらう準備をしておくことも必要です。
3-4 換価の猶予を受ける
市民税を滞納したときの対処法として、「換価の猶予」を受けることが挙げられます。
「換価の猶予」とは、税金を納めることで事業継続や生活維持が困難となる恐れがある場合において、納税が猶予される制度です。
すでに財産を差し押さえられている場合でも「1年以内」で換価が猶予され、やむを得ない事情が認められれば「2年以内」で延長できます。
3-5 債務整理を検討する
市民税を滞納したときの対処法として、債務整理を検討することが挙げられます。
債務整理には次の3つの種類があります。
債務整理の種類 | 手続の内容 |
---|---|
任意整理 | 今後の利息をカットしてもらうなど、債権者と直接話し合い返済を軽減させる手続 |
個人再生 | 裁判所を介し、借金を大幅に減額してもらう手続 |
自己破産 | 裁判所を介し、借金を免除してもらう手続 |
ただし「個人再生」では滞納した税金は減額対象にならず、「自己破産」でも税金は免除の対象にはなりません。
「任意整理」であれば、他の借金を整理し納税できる返済額まで抑えることはできても、税金そのものを減額することはできず、手続が遅れれば大きな効果は望めないことが多いです。
さらに税金にも「消滅時効」はあるものの、役所が税金滞納を放置することはありえないため、現実的に時効を迎えることはありません。
税金以外の通常の借金があり、それらを整理すれば税金の支払いが可能だという場合には、その「税金以外の借金」を債務整理することにより、税金の支払いをできるようにするという手段はあります。
まとめ
市民税を滞納していると、延滞金が加算されるだけでなく督促状や催告書が届くことになり、いずれは財産を差し押さえられることになります。
滞納が発生しやすいのは、納税者本人が直接納める普通徴収による方法で、自主的な納税が求められます。
遅れれば遅れるほど延滞金は加算されることになり、納税の遅れを取り戻すことが難しくなるだけでなく、生活にも支障をきたすこととなるでしょう。
まずは役所の窓口に相談にいくことと、税金以外の借金の支払いで納税が難しくなっているときには、一度グリーン司法書士法人グループへ相談してみてください。
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よくあるご質問
- 住民税が払えないときの対処法とは?
- 住民税が払えないときの対処法は、下記の通りです。
・役所に相談に行く
・分割払いなど交渉する
・納税の猶予を受ける
・換価の猶予を受ける
・債務整理を検討する
住民税が払えないときの対処法について詳しくはコチラ