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もし、2週間に間に合わないような場合でも、専門家が異議申立ての手続きをサポートしてくれます。
借金の支払いができず放置していたら、裁判所から「お知らせ」として支払督促という書面が届くことがあります。
書面の内容には、「このままだと強制執行として財産が差し押さえられます」といった旨が記載されていることがほとんどです。
また、文面の中には「仮執行宣言」というワードも欠かれているでしょう。仮執行宣言とは、裁判所が裁判が確定する前に強制執行を認めることを言います。
この記事では、件数の多い支払督促にしぼって、仮執行宣言付支払督促から強制執行までの期間や、仮執行宣言付支払督促が届いた時の対処法などについて解説します。
目次 ▼
1章 仮執行宣言とは
仮執行宣言とは裁判所は裁判が確定する前に強制執行を認める制度です。
日本では原則として、裁判が確定しなければ強制執行ができないとされています。
しかし、三審制として、第一審で納得できない場合には、控訴して第二審に、さらに納得できなければ上告して第三審に進むことができるため、判決がでるまでにかなりの時間を要します。
ケースによっては、この三審制を利用して被告側が時間稼ぎをすることもあるでしょう。
そのため、請求する原告側としては、判決が確定する前に強制執行をしたいと考えるのも当然です。そこで、判決前に強制執行の権利を得るために仮執行宣言を利用します。
なお、判決が覆り、強制執行が無効になった場合、債権者は債務者に対して受領した金品を返却しなければいけません。
もし、裁判所から仮執行宣言付の書面が届いたら迅速に司法書士などの専門家に相談しましょう。適切なアドバイスをもらえる可能性が高いです。
もし、自己破産・個人再生の手続きが間に合わない場合でも、異議申立書の提出をサポートしてくれるでしょう。
2章 仮執行宣言がついたらすぐに強制執行が可能になる|仮執行宣言までの流れ
結論から言いますと、仮執行宣言が出てから強制執行までの期間に余裕はありません。
裁判所は債権者らから仮執行宣言の申立てを受けると、仮執行宣言支払督促を債務者に送付します。
仮執行宣言付支払督促が債務者に到達すると、債権者はすぐに強制執行に着手することが可能になります。
つまり、仮執行宣言が届く前に手を打つ必要があるということです。
ここでは、支払督促に仮執行宣言が付与されるまでの流れを説明します。なお、仮執行宣言が届いた時の対処法については次章にて解説します。
2−1 STEP①支払督促の申立て
債権者が借金を返してもらうために、支払督促を簡易裁判所書記官に申し立てます。
支払督促は、訴訟に比べて簡易な手続きで、近年オンライン化もされたため、借金の回収方法として広く債権者に利用されています。
2−2 STEP②支払督促の送達
債権者から支払督促の申立てを受けた裁判所書記官は、問題なければ支払督促を債務者にたいして送達します。
2−3 STEP③異議申述期間
債務者は、支払督促が届いてから「2週間」の間、支払督促に対して異議を出すことができます。
この間、債権者は仮執行宣言をもらうことができません。
債務者から支払督促に対して異議が出されると、支払督促が通常の訴訟へと移行します。
2−4 STEP④仮執行宣言の付与
督促異議申述期間に債務者から異議が出なかった場合は、債権者は裁判所に仮執行宣言の申立てをすることができます。
この申立てを受けた裁判所は、「仮執行宣言付支払督促」をあらためて債務者に送達します。
3章 支払督促が届いた時の対処法
仮執行宣言付支払督促が届いたということは「強制執行まで間もない」ということです。
したがって、仮執行宣言が付く前に対処することが重要となります。
例え支払えないとしても、無視せず適切な対処をするようにしましょう。
対処としては以下の方法があります。
- 支払いに応じる
- 異議申立書を支払督促を2週間以内に提出する
- 債務整理をする
それぞれ詳しく解説します。
3−1 支払いに応じる
書面の内容に異論がなく、支払う資金があるのであれば、直ちに支払いに応じましょう。
全額完済すれば当然、解決したとして強制執行に進むことはありません。
しかし、仮執行宣言付支払督促が届くような状況の場合、すでに支払えない状態であることがほとんどでしょう。
仮執行宣言付支払督促に応じるために、別途借金をして支払うのは得策ではありません。その場しのぎに過ぎず、なんの解決にもならないだけでなく事態が悪化するリスクがあります。
3−2 異議申立書を2週間以内に提出する
- 時効を迎えている
- 支払督促の内容に覚えがない
- すぐに支払いに応じるのが難しい
- 分割払いであれば支払える
上記のような場合には、支払督促が届いてから2週間以内に異議申立書を提出しましょう。異議申立てをすると、通常の訴訟手続きに移ります。
裁判というと「支払う・支払わない」を争うと思われるかもしれませんが、支払いを怠っている側は「支払わない」という判決を受けるケースはほぼありません。
一方、借金が時効を迎えている場合や架空請求の被害に遭っているケースでは、勝てることもありますが、それも稀です。
ではなぜ、異議を出すかというと、時間の余裕ができるからです。
通常訴訟に移行すると、あらたに訴訟の期日が設けられ、この期日は1か月~1か月半くらい先に設定され、大きな時間的余裕ができます。
つまり、仮執行宣言までのタイムリミットであった2週間ではできなかったことが可能ということです。
具体的には、金策を行ったり、債権者と分割交渉する時間をもつことができます。
3−3 債務整理をする
支払督促が届いたということは、すでに返済能力を失っているケースが多のではないでしょうか。
その場合には債務整理を検討しましょう。
主だった債務整理の方法としては、「自己破産」「個人再生」「任意整理」「裁判上の和解」「過払い金請求」「時効」などがあります。
どのような手続きが適しているかは、司法書士などの債務整理の専門家の無料相談を利用することがおすすめです。
お気軽にお問い合わせください!
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自己破産 |
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裁判所に申し立てることで、借金の返済義務を免除してもらう手続き |
個人再生 |
裁判所に申し立てることで、借金を5分の1〜10分の1まで圧縮し、原則3年で完済する再生計画を立てる手続き |
任意整理 |
債権者と交渉することで、将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらう手続き |
裁判上の和解 |
調停や訴訟など、裁判上の話し合いを通して、債務者と債権者の間で話し合いをし解決を目指すことです。債務者が裁判で勝つことは難しいですが、債権者にメリットがあると感じれば分割払いなどに応じてもらえる可能性もあります。 |
過払い金の請求 |
過払い金の請求とは、利息制限法の上限を超えて課されていた利息を、債権者に返還してもらうよう請求してもらう手続き |
時効の援用 |
時効の援用とは債務者が債権者に対し時効を迎えたことを主張する手続きです。 |
4章 強制執行で差し押さえられる財産
仮執行宣言の申立てを止めることができず、仮執行宣言付支払督促を受け取ってしまった場合は、強制執行で財産が差し押さえられます。
とはいえ、差し押えられる財産は法律で決められていますので、すべての財産を失う心配はありません。
差押えの対象となりやすい財産は以下のとおりです。
- 給料の4分の1または33万円を超える分
- 預貯金
- 生命保険金
- 資産価値のある財産
- 不動産
それぞれ詳しく見ていきましょう。
なお、より詳しく知りたい方は、以下の記事を御覧ください。
4−1 給料の4分の1または33万円を超える分
給与額の4分の1または33万円を超える部分のいずれか高いほうが差押えの対象となります。
例えば、手取り額が60万円の場合4分の1が15万円、33万円を超える部分が27万円となりますので、差押えの対象は27万円です。
一方、手取り額が40万円の場合、4分の1が10万円、33万円を超える部分が7万円となりますので、差押えの対象は10万円です。
4−2 預貯金
預貯金も差押えの対象です。給与とは違い、限度額は決められていませんので、債務の残債分の預貯金はすべて差し押さえられてしまう可能性が高いでしょう。
差押え時点ですでに入金された給与は預貯金として取り扱われるため、すべて差し押さえられてしまうおそれがあります。
強制執行が執り行われると、債権者は債務者が所有する口座の銀行宛に差押命令を出すため、差押えが完了するまで口座は凍結されます。
なお、差押え後に入金されたお金は差押えの対象外ですので、自由に引き出すことが可能です。
ただし、差押えは何度も繰り返し行うことができるので、注意が必要です。
4−3 生命保険金
債務者が生命保険に加入している場合、以下のものも差押えの対象になります。
- 解約返戻金
- 配当金
- 満期金
- 保険金請求権
4−4 資産価値のある財産
下記のように資産価値のある財産も、差押えの対象になります。
- 自動車やバイク
- 貴金属
- 骨董品
ただし、差し押さえることで生活に支障が出る財産については差押えの対象から外れます。(実際に差押えられるかどうかは、裁判所の判断によります)
上記のような財産は差押え後、債権者が換金するため、債権者にとっては給与や預貯金よりも手間が多く、差押えの順位としては低い傾向があります。
5章 支払督促が届いたら至急ご相談ください
支払督促を受け取ったら、決して放置してはいけません。2週間程度で強制執行として財産を差し押さえられる可能性があります。
請求の内容に応じることができれば良いですが、支払える状況ではない方がほとんどでしょう。
支払いに応じることができない場合や、請求の内容に納得できない場合には送達から2週間以内に異議申立書を提出する必要があります。
また、支払督促や仮執行宣言付支払督促は、期限や期間が複雑なので、専門家の力を借りた債務整理を検討することをおすすめします。
グリーン司法書士法人にご相談いただければ、ご相談者様の状況に合わせて、適切な対処方法を提示いたします。
異議申立てをする場合には書面の作成、債務整理が必要な場合には手続きに迅速に対応することが可能です。
初回相談は無料です。オンライン相談も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
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よくあるご質問
- 仮執行宣言がされるとどうなるの?
- 仮執行宣言とは、裁判所が裁判が確定する前に強制執行を認めることを言います。
仮執行宣言がされると財産を差し押さえられる恐れがあります。
仮執行宣言について詳しくはコチラ
- 仮執行宣言の流れは?
- 仮執行宣言の流れは、下記の通りです。
STEP①支払督促の申立て
STEP②支払督促の送達
STEP③異議申述期間
STEP④仮執行宣言の付与
仮執行宣言の流れについて詳しくはコチラ