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支払督促とは、簡易裁判所を通して債務者などに支払いを命じる手続きです。
裁判所にいかずとも手続きができますし、費用も安価であるため、債権者が債務者に支払いを命じる場合の手段として多く使われます。
もし、債務者が支払督促を無視した場合、債権者は債務者に対して強制執行を行うことが可能になります。
そのため、支払督促を受けた場合には決して無視してはいけません。
では、支払督促はどのような流れで行われるのでしょうか。詳しく解説します。
目次 ▼
1章 支払督促とは
支払督促とは、お金を返さない、家賃や給料を支払わないといった債務者に対して、債権者が簡易裁判所を通して金銭を請求する手続きです。
郵送やオンラインでの書類審査によって手軽に手続きができる上、手数料も安価であるため、債権者が請求を求める手段として多く使われます。
支払督促をしてもなお支払いがない場合には、債権者は債務者に対して強制執行を行うことも可能になります。
- 賃金
- 立替金売買代金給料
- 報酬請負代金
- 修理代金家賃
- 地代敷金
- 保証金
など
手続きが行われると、以下のような支払督促が裁判所から債務者当てに送付されます。
2章 支払督促の流れ
支払督促はおおまかに以下のような流れで行われます。
- 【申立人】簡易裁判所に申立て
- 【裁判所】簡易裁判所による審査
- 【裁判所】支払督促の発付・送付
- 【支払督促を受けた人】支払督促に対する異議申し立て
- 【支払督促を受けた人】債務の支払い
- 【申立人】仮執行宣言の申立て
- 【裁判所】仮執行宣言の発付・送達
- 【支払督促を受けた人】仮執行宣言付支払督促に対する異議申立て
- 【申立人】強制執行の申立て
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2−1 【申立人】簡易裁判所に申立て
債権者が、相手方の住所地を管轄する裁判所に対して、支払督促の申立てします。
申立ては郵送やオンラインで行うことができるため、遠方に住んでいる相手であっても簡単に行うことができます。
2−2 【裁判所】簡易裁判所による審査
裁判所は支払督促の申立てを受けると、申立て内容に問題がないか審査をします。
2−3 【裁判所】支払督促の発付・送付
審査を通過すると、次に、裁判所は請求相手に対して支払督促を発布し、相手方に送付します。
2−4 【支払督促を受けた人】支払督促に対する異議申立て
支払督促を受けた人はその内容に異議がある場合、支払督促を受けてから2週間以内に裁判所に「督促異議申立書」を提出して異議申し立てをします。
異議がある場合とは、以下が当てはまります。
- 支払督促の内容に覚えがない時
- 一括払いが難しい時
異議申立てをすると、裁判手続きに移ります。裁判というと「支払う・支払わない」を争うと思われるかもしれませんが、実際には「分割払いにするか」などを決定するのが通常です。
2−5 【支払督促を受けた人】債務の支払い
支払督促を受け、その内容に従い支払いを行った場合にはその時点で紛争は解決され、支払督促の手続きは終了します。
2−6 【申立人】仮執行宣言の申立て
支払督促を受けても支払わず、異議申立ても行わないと、申立人は仮執行宣言を申し立てることが可能になります。
これは、強制執行を申し立てるために必要な手続きです。
なお、仮執行宣言の申立ては、支払督促を受領後、2週間を経過した日から、30日以内に申し立てなければ支払督促が失効します。
2−7 【裁判所】仮執行宣言付支払督促の発付・送達
裁判所は、仮執行宣言の申立てを受けると、内容を審査した上で仮執行宣言を発布し、相手方に送達します。
2−8 【支払督促を受けた人】仮執行宣言付支払督促に対する異議申立て
仮執行宣言付支払督促を受けた場合にも、支払督促を受けた場合と同様に異議申立てを行うことができます。
これについても、支払督促を受けてから2週間以内に裁判所に「督促異議申立書」を提出して異議申し立てをする必要があります。
異議申立て後は、裁判にて争うこととなります。
2−9 【申立人】相手が支払わないときは強制執行の申立てが可能になる
仮執行宣言付支払督促を受けても支払わない場合、申立人は裁判所に差し押さえなどの強制執行を申し立てをすることが可能になります。
3章 支払督促を受けた時の対処法
支払督促を受けた場合、決して無視をしてはいけません。無視をすれば、強制執行がなされる可能性があるからです。
ここでは、支払督促を受けた時の対処法について解説します。
3−1 支払いに応じる
最善な対処法は、支払督促に応じて支払うことです。
支払いを応じれば、その時点で解決したとして、支払督促の手続きは終了します。
3−2 異議申立てをする
支払督促に応じられない事情がある場合、異議申立てをします。
異議申立てをするケースは主に以下の3つです。
- 支払いが難しい
- 時効を迎えている
- 支払督促の内容に見に覚えがない
支払督促を受けても、支払いが難しいケースもあるでしょう。そのような場合には、支払督促に対して異議申立てをしましょう。
異議申立てをすることで裁判にて支払い方法などについて争うことになりますが、債権者としても、全く支払われないよりは分割払いでも支払われたほうが良いはずですので、一定の事情を申し出ることで分割払いが認められる可能性もあります。
また、すでに時効が成立している場合には、異議申立てをした上で時効の援用(時効を迎えていることを主張し、成立させること)します。
なお、そもそも支払督促の内容に覚えがないような場合にも、その点について裁判で争います。
昨今では支払督促を悪用した架空請求も横行しています。裁判所は異議申立てをもって請求が認められるか審理するからです。身に覚えのない督促だからといって決して無視はせず、必ず異議申立てをするようにしましょう。
3−3 債務整理をする
支払督促を受けても、支払いが難しいような場合には債務整理を検討しましょう。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあります。
なお、債務整理を司法書士などの専門家に依頼すると債権者からの督促はストップします。
債務整理を検討される方は、お早めに専門家に相談することをおすすめします。
3−3−1 任意整理
任意整理とは、債権者と交渉することで、将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。
借金の元金は減りませんが、家や車などの資産を残したまま返済額を減額することができます。
裁判所を通すことのない手続きですので、債務整理の中で最も手軽でリスクの低い手続きとなっています。
3−3−2 個人再生
個人再生とは、裁判所で手続きをすることで、借金額を5分の1〜10分の1程度に減額する手続きです。
家や車などの資産を残したまま、借金を大幅に減額することが可能です。
ただし、手続き後も借金を減額しなければいけませんので、一定の収入がなければ手続きは認められません。
3−3−3 自己破産
自己破産とは、裁判所で手続きをすることで、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
借金はすべてなくなりますが、家や車などの資産を手放すこととなります。
なお、自己破産をしても税金や年金など公租公課については免除されませんので注意が必要です。
4章 支払督促の費用は債権者から請求される可能性がある
申立人は支払った支払督促の申立て費用について債務者対して請求することができます。
それに加え、債権者は申立書作成費用などの名目で申立て手続きに要した労力分を一律800円で請求する権利があります。
支払督促にかかる費用については以下のとおりです。
- 手数料:請求額に応じて算出(参考:裁判所 手数料額早見表)
- 郵券切手代:1,082円×債務者の数
- 資格証明書:450円
- 登記簿謄本:600円
郵券切手代:1,082円×債務者の数
督促を受けた人は、上記の費用を請求される可能性があるということも理解しておりましょう。
5章 支払督促を受けたら、グリーン司法書士法人にご相談を
支払督促を受けた場合、決して無視をせず状況に応じて適切な対応をしなければいけません。
グリーン司法書士法人は、借金問題について1万件以上のご相談を承った実績がございます。
支払督促への対応方法についても、的確にアドバイスさせていただきます。
初回のご相談は無料です。オンラインでのご相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談下さい。
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よくあるご質問
- 支払い督促とは?
- 支払督促とは、簡易裁判所を通して債務者などに支払いを命じる手続きです。
支払督促について詳しくはコチラ
- 支払督促の流れとは?
- 支払督促の流れは、下記の通りです。
①【申立人】簡易裁判所に申立て
②【裁判所】簡易裁判所による審査
③【裁判所】支払督促の発付・送付
④【支払督促を受けた人】支払督促に対する異議申立て
⑤【支払督促を受けた人】債務の支払い
⑥【申立人】仮執行宣言の申立て
⑦【裁判所】仮執行宣言付支払督促の発付・送達
⑧【支払督促を受けた人】仮執行宣言付支払督促に対する異議申立て
⑨【申立人】相手が支払わないときは強制執行の申立てが可能になる
支払督促の流れについて詳しくはコチラ