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時効援用とは、債務者が債権者に対し時効を迎えたことを主張する手続きです。
借金には消滅時効が用意されていますが、単に時効期間を経過しただけでは返済義務はなくなりません。
時効援用を行い成功することによってはじめて、借金の返済義務がなくなります。
時効援用をすれば、借金の返済義務がなくなり取り立てもなくなるメリットがあります。
他にも、手続きにかかる費用や手間が少なく、家族や職場などにばれにくいのも利点といえるでしょう。
本記事では、時効援用のメリットやデメリットを解説します。
すでに返済せず放置している借金がある人は、下記の記事もご参考にしてください。
目次 ▼
1章 時効援用のメリット6つ
時効援用すれば、借金の返済義務がなくなるなど下記6つのメリットがあります。
- 時効が成立した借金がなくなる
- 借金の取り立てがなくなる
- 自分の財産を失わずに手続きできる
- 手続きにかかる費用・手間が少ない
- 家族や勤務先にバレにくい
- 登録された事故情報は一定期間後に抹消される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1 時効が成立した借金がなくなる
時効が成立し、時効援用の手続きを行えば、借金の返済義務がなくなります。
ただし、借金が時効を迎えただけでは返済義務はなくならず、時効援用の手続きをしなければなりません。
借金の時効や起算点については、下記の記事もご参考にしてください。
1-2 借金の取り立てがなくなる
時効援用により借金の返済義務がなくなれば、借金の取り立てもなくなります。
返済が難しく借金の取り立てに悩んでいた場合、心理的な負担から解放されるでしょう。
1-3 自分の財産を失わずに手続きできる
時効援用は自己破産などの債務整理と異なり時効を主張するだけなので、自分の財産を失わずに手続きできます。
住宅や車などを手元に残したいけれど、長年返済できずにいる借金がある人は時効援用ができないか司法書士や弁護士などの専門家に相談するのも良いでしょう。
1-4 手続きにかかる費用・手間が少ない
時効援用は、債権者に内容証明郵便を発送するのみで完了します。
また、時効援用の成功率を上げ手続きにかかる手間を少しでも軽減したい場合には、司法書士や弁護士への依頼も可能です。
時効援用を専門家に依頼した場合の費用の内訳と相場は、下記の通りです。
- 内容証明郵便の費用:440円〜700円程度
- 専門家への依頼費用:5万円〜8万円程度
自己破産や個人再生などの債務整理と異なり安価で行えるので、長年にわたり借金の返済に悩んでいる人に特におすすめの方法といえるでしょう。
1-5 家族や勤務先にバレにくい
時効援用は債権者に対し内容証明郵便を送るだけなので、裁判所を通さずに行えます。
そのため、家族や勤務先、知人に時効援用したことがばれにくいのもメリットです。
1-6 登録された事故情報は一定期間後に抹消される
時効援用した借金は返済義務がなくなり、完済と同様の扱いになります。
そのため、借金の延滞によりこれまで登録されていた信用情報機関の事故情報は抹消される可能性が高いです。
信用情報機関の事故情報が抹消されれば、下記の取引も行いやすくなるので大きな金額の買い物もしやすくなります。
- 新たなクレジットカードの申し込み
- 現在所有しているクレジットカードの利用
- 新たなローンの借り入れ
このように、時効援用をすれば借金の返済義務がなくなるなど様々なメリットがあります。
一方で、時効援用にはデメリットもあるので注意が必要です。
次の章で詳しく見ていきましょう。
2章 時効援用のデメリット
時効援用には様々なメリットがありますが、成功しない恐れがあるなど下記のデメリットがあります。
- 失敗する可能性がある
- 過払い金請求ができなくなる場合がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 失敗する可能性がある
時効援用は必ず成功するわけではなく、失敗してしまうケースもあります。
というのも、債権者が訴訟を起こすなど、時効が中断もしくは更新されているケースがあるからです。
具体的には、下記に該当する場合には、借金の時効が中断もしくは更新されていて時効援用しても失敗する恐れがあります。
- 債権者に訴訟を起こされていた(時効の中断)
- 裁判所が判決を下し手続きが行われていた(時効の更新)
- 過去に借金の一部を返済していた(時効の更新)
- 債権者に対し支払いを約束していた(時効の更新)
上記の場合、債務者が認識していた時効の起算点と実際の起算点に違いが生じ、時効援用通知書を送った時点で借金の消滅時効が成立していない恐れがあります。
また、時効援用通知書に不備がある場合も債権者が指摘してくれる可能性は低く、そこから取立てが開始される可能性もあります。
時効援用は時効の起算点の判断や通知書の作成が難しいので、自分で行うのではなく司法書士や弁護士への依頼がおすすめです。
2-2 過払い金請求ができなくなる場合がある
時効援用すると過払い金請求ができなくなる場合があり、過払い金請求と時効援用のどちらが自分にとってメリットが大きいのか判断しなければなりません。
額面上で債務が残っている状態での過払い金の請求は借金の存在を認めたことになり、時効が更新されます。
時効が更新されるとそこから取立てが始まり、時効援用は難しくなるでしょう。
一方で、過払い金請求には借金を完済してから10年という時効があります。
過払い金請求よりも消滅時効の成立や時効援用を優先させた場合、過払い金請求ができなくなる恐れがあります。
なお、過払い金はすべての借金で発生するわけではなく、2010年の貸金業法が改正されるまでに借り入れ開始していた借金で発生している可能性があります。
該当機関に借り入れをし完済できていない借金がある場合には、そもそも過払い金が発生しているのか、いくら発生しているのかを専門家に計算してもらうのが良いでしょう。
3章 時効援用を司法書士に依頼すべき理由
2章で解説したように、時効援用は必ず成功するわけではなく、時効の起算点の判断や時効援用通知書の送付方法や記載内容に細心の注意を払わなければなりません。
時効援用の成功率を少しでも上げたいのであれば、司法書士や弁護士に依頼しましょう。
中でも、時効援用を司法書士に依頼すべき理由は、下記の3つです。
- 時効援用の成功率を上げられる
- 手続きを代行してもらえる
- 弁護士費用よりも安価ですむ
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 時効援用の成功率を上げられる
借金の問題に詳しい司法書士や弁護士に時効援用を相談すれば、自分で行うよりも成功率を大幅に上げられます。
専門家であれば、時効援用のタイミング、時効援用通知書に記載すべき内容を熟知しているからです。
時効援用を失敗したくないと考えている人は、専門家に依頼しましょう。
3-2 手続きを代行してもらえる
司法書士や弁護士に依頼すれば、時効援用に関する下記の手続きをすべて代行してもらえます。
司法書士 | 弁護士 | |
---|---|---|
時効援用通知書の代行 | ○ ※ただし1社あたり元金140万円未満のものに限る | 〇 |
時効援用通知書の作成 | ○ | 〇 |
上記のように、司法書士は弁護士と異なり、時効援用通知書の代行の一部に制限があります。
ただし、実際のケースでは1社からの借り入れの元金が140万円以上となるケースは稀であり、ほとんどのケースで司法書士が代行可能です。
万が一、1社あたりの借り入れの元金が140万円以上の場合には司法書士ではなく、弁護士に相談しましょう。
3-3 弁護士費用よりも安価ですむ
依頼先の事務所によっても金額は異なりますが、一般的に司法書士費用は弁護士費用よりも安価ですむ場合が多いです。
司法書士と弁護士も行う実務は共通しているので、1社からの借り入れ元金が140万円未満の場合には、報酬を抑えられる司法書士への依頼が良いでしょう。
なお、グリーン司法書士法人では時効の援用を税込21,780円~対応しております!
まとめ
時効援用をすれば、長年返済できずに悩んでいた借金の返済義務をなくせます。
また、時効援用は借金を完済したものと同様の扱いになるので、信用情報機関に登録されていた事故情報も抹消され、大きな買い物やローンの利用をしやすくなるでしょう。
一方で、時効援用はすべてのケースで成功するわけではなく、債権者と債務者で時効の起算点を争うことになる、争ったものの時効援用に失敗してしまうリスクもあります。
時効援用を行う際には、時効の起算点を正確に判断し、不備のない時効援用通知書を作成するためにも司法書士や弁護士に相談するのがおすすめです。
グリーン司法書士法人では、時効援用に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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