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- 貸付自粛制度を利用しても完全に借金ができなくなるわけではない
- 貸付自粛制度の利用方法やメリット・デメリット
- 貸付自粛制度についての疑問点
- 貸付自粛制度以外の解決策
クレジットカードやキャッシュレス決済のアプリで行えるキャッシングは、簡単に借金したい人には最適です。クレジットカードや電子マネーなどのアプリでキャッシングをしていると、借金をしている感覚が薄れてしまいます。「気がつくと月の返済が高額になっていて、支払うのが難しい」というお悩みを多く耳にします。
「もう借りないようにしようと思っているのにまた借りてしまう。」そんな悩みをお持ちの方が、自らの借り過ぎを防ぐために利用できるのが、「貸付自粛制度」です。「でも、貸付自粛制度を利用しても借りれるのでは?」という不安や制度に関する疑問について解説します。
目次 ▼
1章 貸付自粛制度を利用しても借りれる?
せっかく貸付自粛制度を申し込んでも、簡単に借りれるのでは意味がないと考えるのは当然です。確かに、貸付自粛制度は完全に借入することを止める方法ではありません。具体的に、どんな状況や場面で借りられなくなるのか確認しましょう。
1-1 新たなローンの申し込みは難しい
貸付自粛制度を利用すると、新たなローンの申し込みは難しくなります。申請をすると、JICCとCIC、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つの個人信用情報機関に、「貸付自粛情報」が登録されます。すると、加盟している金融機関はそれ以降の貸付を行わないよう対応します。
1-2 現在契約中のローンは途上与信で借りられなくなる可能性がある
すでに契約中のカードローンやキャッシングは、限度額の範囲内で今までどおり借りられます。ただし、途上与信(クレジットカード発行後、定期的に利用状況や履歴を確認・判断すること)が行われると、金融機関が制度の登録を確認するため、それ以降は借りられなくなる可能性が高くなります。
1-3 返済中のローンやキャッシングはそのまま継続になる
現在返済中のローンやキャッシングについては、そのまま返済を継続します。貸付自粛をしたからといって、金融機関から一括返済を求められることはありません。
1-4 絶対に借金できないわけではない
貸付自粛制度を利用すると絶対に借金ができなくなるわけではありません。申込のあった貸付自粛情報は信用情報機関に登録されますが、加盟する金融機関がその情報をすぐに照会するとは限りません。金融機関が情報を照会するまでは、現在契約中のカードで借入ができてしまいます。金融機関が信用情報を照会するタイミングは、新たな借金申込み時の審査や途上与信のときなどです。
また、信用情報機関の加盟会員でない金融機関は、自粛の対応を取ることはありません。
2章 貸付自粛制度は借金抑制のための制度
「貸付自粛制度」は、「借金をやめたいのにどうしてもやめられない」という悩みを抱える方をサポートするための制度です。「日本貸金業協会」もしくは「全国銀行個人信用情報センター」のどちらかへ申告すると金融機関からの借入を5年間制限できます。制度を利用中は借りることができず、借金抑制の効果が期待できるでしょう。この章では、貸付自粛制度を利用する方法(「日本貸金業協会」への申込方法)やメリット・デメリットを解説します。
2-1 貸付自粛制度を申請できる人・条件
貸付自粛制度を申請できるのは、基本的には本人のみです。原則、家族でも手続きをすることはできません。ただし、下記の方は申請ができます。
- 法定代理人等(未成年者の親権者、成年後見人等)である場合
- 自粛対象者が所在不明(失踪中)である場合の配偶者または親族の場合
本人以外で申請できる人の詳細については、日本貸金業協会のホームページ「貸付自粛申告」のページでご確認ください。
2-2 貸付自粛制度の利用方法
貸付自粛制度を利用する際、「日本貸金業協会」への申込み手続きには下記の3つの方法があります。
- Webで申し込む
- 郵送で申し込む
- 最寄りの支部に来協して窓口で申し込む
いずれの手続きも、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど自粛対象者の本人確認書類が必要です。各手続きの詳細は、日本貸金業協会のホームページ「貸付自粛申告」のページでご確認ください。
2-2-1 Webで申し込む
日本貸金業協会のホームページにある申告フォームに必要事項を入力し、「貸付自粛に係る承諾条項」に承諾します。申請の際には、自粛対象者の本人確認書類2点の撮影が必要です。申込み受信後に協会より申告者に本人確認のための電話が入り、申告者のアドレス宛に結果の通知が届きます。
2-2-2 郵送で申し込む
郵送で申し込む場合は、下記の書類を用意して最寄りの支部に送付しましょう。
- 申告書(※貸金業協会HPより取得可)
- 貸付自粛申告確認書(※貸金業協会HPより取得可)
- 本人確認書類2点の写し
- 返信用切手
送付先の最寄りの支部については、ホームページで確認してください。書類が到着すると、協会より申告者に本人確認のための電話が入ります。その後、申告書の控えが1週間程度で送付されます。
2-2-3 最寄りの支部に来協して窓口で申し込む
最寄りの支部をホームページで確認し、来協前に電話で受付窓口の開設日時を確認します。本人確認書類2点(原本)を準備の上、最寄りの支部に出向き受付窓口で申し込みます。
2-3 貸付自粛制度のメリット
貸付自粛制度の大きなメリットは、今後の借入を抑制できることです。また、手数料がかからないため、どなたでも気軽に制度を利用できます。
2-3-1 借入を抑制できる
貸付自粛制度を利用すると借入ができなくなるため、借金が今以上に増えることはなくなります。まず借入総額を増やさないことが重要で、借りたくても借りられない状況を作ることは借金抑制に効果があります。借りては返すを繰り返すことによって、多重債務に陥ってしまうケースは少なくありません。貸付自粛制度を利用して自分自身に制約を設けることで、今ある借金に向き合うことができます。
2-3-2 無料で制度を利用できる
貸付自粛制度はどなたでも無料で利用できます。登録手数料がかかるのでは?といった費用の心配は無用です。ただし、郵送で申し込みをする場合は、返信用切手の代金が自己負担になります。
2-4 貸付自粛制度のデメリット
メリットと同時にデメリットもあります。実際に申し込みをした場合に、どんなデメリットがあるのかも確認しておきましょう。
2-4-1 完全に借金を止めることはできない
第1章「貸付自粛制度を利用しても借りれる?」でも触れたとおり、貸付自粛制度は完全に借金を止める制度ではありません。ご本人から貸付を求められても応じないよう、金融機関に対して自粛を求めるものです。最終的に貸し付けるかどうかは、金融機関の決定が優先されます。
2-4-2 違法な金融業者からは借金ができてしまう
貸付自粛の情報は、JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つの信用情報機関に登録されます。つまり、3つの信用情報機関に加盟している会員(貸金業者・銀行)しか情報を閲覧できないため、加盟していない金融機関からは借入ができてしまうのです。3つの信用情報機関いずれにも加盟していない金融業者の中には、違法な業者も含まれています。そのため、違法な金融業者から借金ができてしまうというデメリットがあります。
3章 貸付自粛制度についての疑問点
貸付自粛制度がどのようなものか理解できたところで、質問の多い疑問点について解説します。
3-1 特定の金融機関の借金だけを自粛させることはできるのか
貸付自粛制度を利用すると、3つの信用情報機関に自粛情報が登録されます。加盟している金融機関はこの情報を閲覧して審査を行うのであって、協会から各金融機関に自粛の通知をするというわけではありません。そのため、特定の金融機関だけに貸付自粛を求めることはできません。
3-2 貸付自粛制度の申請を家族がすることはできるのか
貸付自粛制度の登録は、原則本人からの申請が対象です。家族からの申請は受付してもらえません。ただし、本人が未成年者でその親権者である場合や、本人が所在不明(失踪中)でその配偶者かまたは二親等内親族である場合に限り、要件を満たしていれば申告が可能です。要件については、日本貸金業協会のホームページ「貸付自粛申告」の中の「本人以外が申告できる要件」でご確認ください。
3-3 貸付自粛制度申請後の撤回や継続はできるのか
貸付自粛制度の申請をした人は、個人信用情報機関に登録されてから3か月を経過すると撤回が可能になります。つまり3か月が経ち、ご自身が「やっぱりまた借りたいので自粛制度を止めてしまおう。」と思えば、撤回の申請をして借入を再開できてしまいます。また、貸付自粛制度の期間は5年間と決まっていますが、引き続き利用したい場合はその旨申請すれば継続が可能です。
3-4 貸付自粛制度中に借入が必要になったらどうするか
借入が必要になった場合でも、ヤミ金のような無登録の貸金業者から借金をすることは絶対に避けましょう。違法な貸金業者は高金利で貸付を行うため、借入額は雪だるま式に膨らみすぐに返済不能になってしまいます。どうしても必要な場合は、公的支援の借り入れなど小口の貸し付けを利用しましょう。「生活福祉資金貸付制度」は、市区町村の社会福祉協議会で資金の貸付や相談・支援を行っています。お住まいの地域の市区町村に確認してみましょう。
4章 貸付自粛制度以外の解決策
貸付自粛制度を利用しても問題が解決できない、制度の内容がご自身には合っていないと感じる場合には、他の解決策を検討してみましょう。
4-1 借金についての相談先
借金についてのお悩みは、理由や状況が人によって異なります。そのため、困っている内容や事情を聞いて解決策を提示してくれる相談先が有効です。
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依存症対策全国センター
「毎回やめようと思っているのに気がつけばやり続けてしまう」それは「依存症」かもしれません。一人で抱えこんだり自分で解決しようとしたりするのは止めましょう。こちらのホームページから、全国の依存症専門相談窓口や依存症専門医療機関を探して相談できます。専門家に相談することで解決できる可能性が見えるかもしれません。
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多重債務についての相談窓口(金融庁HP)
金融庁のホームページにある、多重債務についての相談窓口です。各都道府県の財務局多重債務相談窓口の問い合わせ先がわかります。
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消費者ホットライン
「消費者ホットライン」は、契約や悪質商法などさまざまなトラブルに関する相談先です。相談員が相談内容を聞き取り、消費生活センターや消費生活相談窓口などを案内してくれます。
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多重債務ほっとライン
「多重債務ほっとライン」は、クレジットや消費者ローンを利用して多重債務に陥っている方の相談先です。 公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)が、消費者保護の立場から公正・中立なカウンセリングを行っています。電話で相談する以外にも、カウンセリングセンターや相談室で面接相談ができます。
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生活再建支援カウンセリング
「生活再建支援カウンセリング」は、日本貸金業協会が行っているカウンセリングサービスです。収入不足や浪費癖、他にもギャンブルや買い物依存などあらゆる理由で、多重債務に陥ったり借入額が膨らみ過ぎたりした人の相談を受け付けています。カウンセリングでは、原因を分析するほか「行動パターン改善」や「家族への心理的支援」「家計の健全性を回復」などのサポートをしてもらえます。
下記リンクの記事もぜひ参考になさってください。
4-2 司法書士などの専門家へ相談
公的機関への相談によって借金の原因を自覚し、改善のための一歩を踏み出せれば解決の道が見えてくるかもしれません。しかし、返済ができないほど膨らんだ借金がある場合は、こちらも解決の道を図る必要があります。そんなときは、借金問題に詳しい司法書士などの専門家にご相談ください。具体的には、債務整理という「借金で悩む人を救うために国が認めた手続き」を行います。債務整理の主な種類には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあります。どの手続きがご自身に向いているかは、債務整理の専門家である司法書士にご相談ください。
借金額が大きい方には貸付自粛制度よりも債務整理がおすすめ
債務整理をすると5〜7年はブラックリストに登録されますが、その後は事故情報が削除されます。一度ブラックリスト入りしてしまうと一生そのままなのでは?という心配は無用です。自力で返せない額の借金がある方にとっては、貸付自粛制度よりも債務整理手続きを行う方がスピーディな解決につながる可能性が高まります。
5章 まとめ
貸付自粛制度は、ご本人以外の親や兄弟、配偶者などが「これ以上借金を増やされたら困る」と利用することはできません。ご自身が「借金をどうしても止めたい。」と真剣に悩んでいる場合に、利用する価値のある制度といえるでしょう。ただし、貸付自粛制度を利用しながら、一方で返済ができないからと借金をそのまま放置していても、完全な解決にはなりません。返済が難しい場合は、債務整理と併用することで、効果的な解決につながる可能性が高くなります。
債務整理や借金問題に詳しいグリーン司法書士法人グループでは、丁寧に状況をお伺いし、ご相談者にあった債務整理方法を提案させていただきます。無料での相談もできますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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