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- フリーランスとして働いている方も債務整理は可能
- フリーランスの方が債務整理をする場合には専門家への相談が必須
- フリーランスの方と会社員との債務整理の手続きの違い
現在、フリーランスで働く方は非常に増えていて、その数は1,000万人以上(副業・兼業を含む)と言われており、日本の労働人口の約6分の1を占めています。
フリーランスが増えている理由には、副業を許可する会社が増えてきたこと、自由度の高い働き方へあこがれる方が増えてきたことなどがあります。
しかしフリーランスの収入には波があるため、これだけで生活している人の中には生活費のために借金をしているケースも見られます。
そのような場合に借金の返済に追われ、生活がままならなくなるケースは珍しくありません。
フリーランスの方の借金は債務整理で解決できますが、その方法は一般的な会社員が債務整理を行う場合と異なる部分があります。
ここでは、フリーランスの方が債務整理を行うとどうなるのか、債務整理を行う際に会社員とどのような手続き上の違いがあるかという点について解説していきます。
目次 ▼
1章 フリーランスが債務整理をするとどうなる?
フリーランスの方が債務整理を行う際に、最も気になるのは債務整理後に事業を継続できるかということではないでしょうか。
債務整理の中でも自己破産を選択した場合には原則廃業する必要がありますが、それ以外の方法であれば事業を継続できる可能性はあります。
また自己破産により廃業を余儀なくされても、大掛かりな設備を必要としなかったり身一つでできたりする業種で、なおかつ取引先に迷惑をかけていない場合にはすぐに再度開業できるため、この点についてはあまり心配する必要はありません。
ただし自己破産を行った場合、申し立てから免責までの間特定の職業に就くことが制限されるため、フリーランスでそのような仕事をしている場合には注意が必要です。
この特定の職業とは、以下のようなものです。
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 保険の募集人
- 貸金業
- 不動産鑑定士
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 社会保険労務士
- 旅行業
債務整理を行うと、任意整理と個人再生の場合には返済期間に加えて5年間、自己破産の場合には破産手続きの開始決定から7年間ブラックリストに載るため、その間はクレジットカードの利用や新たなローンを組むことができなくなります。
そのため事業を継続する場合には、支払い方法をクレジットカードやローン以外の方法に変更する必要があります。
2章 フリーランスの債務整理が会社員の債務整理と異なる点
フリーランスが債務整理を行う場合には、会社員の場合とは異なる手続きや作業を行う必要があります。
ここでは、フリーランスの方が自己破産する場合に必要になる手続きや作業について解説していきます。
2-1 帳簿をつけていない場合は遡って帳簿を作る必用がある
フリーランスの方の中には、きちんとした帳簿をつけいていないという方もいらっしゃいます。
帳簿をきちんとつけていないと、「どこから・いつ・いくらの入金があったか」や「何に・いつ・いくら支払ったのか」を正確に把握することができません。
個人再生や自己破産を行う際には、財務状況を示すために裁判所へ帳簿を提出する必要があるので、帳簿をつけていない場合には遡って作る必要があります。
2-2 債務整理とともに収入を増やす必要がある
任意整理や個人再生を行った場合には、その後も減額された残債の返済が続きます。
そのため収支が改善できない場合には、その後の返済が困難であるため任意整理や個人再生を行えない可能性が出てきてしまいます。
フリーランスの方が債務整理を行うときには、受注を増やしたり労働収入を得るなどして、収入を増やす必要があります。
2-3 自己破産でも免責されない公租公課・労働債務の問題解決が必要になる
自己破産を行っても、公租公課と労働債務は免責の対象にはなりません。
公租公課とは税金や国民年金保険料、国民健康保険料、公共下水道料金などのこと、労働債務とは雇用者が従業員に対して労働の対価として支払うべきものの未払い額のことを言います。
会社員であれば税金などは給与から天引きされ、人を雇用することもありませんが、フリーランスの場合にはこのような非免責債権の債務が残ってしまうケースもあるでしょう。
公租公課の中には支払いが困難な場合、申請を行えば猶予や減免措置を受けられるものもあるため、このような制度を活用することで、自己破産後の生活を立て直す助けにできます。
労働債務は、自己破産手続きを行った後に残った資産の中から優先的に支払わなければなりません。
しかし、人を雇用したフリーランスの方に労働債務を弁済する資産がない場合には、自己破産手続き開始後に回収できる売掛金があればそこから支払うこともできます。
2-4 他に安定した収入を得る手段を考える必要がある
フリーランスの方が自己破産を行った場合、破産手続開始決定時点の売掛金を受け取ることができなくなってしまいます。
売掛金を回収して生活費を捻出しているフリーランスの場合、まったく生活費がなくなってしまうという事態に陥ってしまう可能性があります。
自己破産後の生活費を得るために、フリーランスの仕事を再度開業できたとしても生活していくための十分な収入を得ることが難しい場合には、フリーランスの仕事と並行して労働収入を得なければなりません。
フリーランスの収入だけで生活するのを諦めて、企業に就職することも念頭に置いておく必要があります。
2-5 会社員が債務整理する場合よりも費用が高くなる
フリーランスの方が自己破産を行う際には、ほぼ100%管財事件となります。
管財事件とは自己破産の手続きのひとつで、裁判所が選任した破産管財人が破産者の財産を調査・換価して債権者に配当する手続きです。
フリーランスの方の場合、給与所得者と比べて財産の状況が分かりにくいため、管財事件となります。
管財人には手数料を支払う必要があるため、債務整理に必要な費用が20万円から50万円程度高くなってしまいます。
2-6 給与所得者等再生の利用が難しい
給与所得者等再生とは、給与またはそれに近いような定期的な収入がある人が利用できる個人再生の手続きのことです。
債権者の同意を得ることなく再生計画が認可されるため、個人再生のハードルが非常に低くなります。
フリーランスの方の場合には、収入が安定しないためこの手続きを利用するのは非常に難しいと言えます。
フリーランスの方が個人再生を行う場合には、その多くが小規模個人再生となります。
小規模個人再生を行う場合には、債権者の半数以上かつ総債権額の過半数の同意を得る必要があります。
ただし、フリーランスの方が給与所得者等再生で個人再生を行える可能性が全くないわけではありません。
特定の発注元から一定の発注が2年程度続いており、再生計画の遂行中もこの状況が継続できる見込みであると強く推測される場合には、この手続きで個人再生を行える可能性があります。
3章 債務整理の方法によっては廃業せざるを得ないケースがある
フリーランスの方が債務整理を行う場合には、その方法によっては廃業する必要があるものがあります。
それは、自己破産です。
任意整理、個人再生、自己破産の3つの任意整理の特徴・メリット・デメリット・向いている人については、以下の表をご覧ください。
特徴 | メリット | デメリット | 向いている人 | |
---|---|---|---|---|
任意整理 | ・将来利息と遅延損害金のカットにより毎月の返済額を低く抑える | ・事業用資産を保護できる ・手続き費用を低く抑えられる ・裁判所を通す必要がない ・任意整理の対象とする債権を選択できる ・以後の事業継続も可能 | ・ブラックリスト入りするためクレジットカードを利用している場合には以後の支払い方法を変更する必要がある ・元本はカットできない ・任意整理後も返済は続くため安定した収入が必要となる | ・毎月の利息の負担がなければ返済が可能な方 |
個人再生 | ・裁判所に申立てを行い借金の総額を減額してもらう | ・借金の元本を残債の額に応じた割合で減額できるため返済総額を大幅に減らすことができる ・マイホームを手放さなくて済む可能性が高い ・職業が制限されない ・以後の事業継続も可能 | ・ブラックリスト入りするためクレジットカードを利用している場合には以後の支払う方法を変更する必要がある ・手続きに費用と手間がかかる ・債権者の同意が必要な手続きもある ・以後も返済が継続するため安定した収入が必要 | ・任意整理ではその後の借金の返済が困難な方 ・住宅ローンを除いた負債総額が5000万円以下の方 |
自己破産 | ・裁判所に申立てを行い借金の返済を免責してもらう | ・以後借金を返済する必要がなくなる ・生活に必要な最低限の財産を手元に残せる | ・ブラックリストに載るため以後7年はクレジットカードの利用や新たなローンを組むことができない ・廃業する必要がある ・一定以上の価値がる財産が処分され債権者に配当される ・制限される職業がある ・フリーランスの場合は管財事件になるため費用が高額になる ・連帯保証人に迷惑がかかる | ・借金の返済が困難で、他の債務整理では完済できない方 ・手元に残したい財産が少ない方 ・自己破産で制限されない職業の方 ・借金をする際に連帯保証人や保証人を立てていない方 ・連帯保証人や保証人の理解を得ている方 |
任意整理と個人再生の場合は事業継続が可能なケースもありますが、債務整理終了後も返済が続くため安定した収入を確保しておく必要があります。
そのため、労働収入を得られるようにしておくと良いでしょう。
フリーランスの方が自己破産する場合には、いったんは廃業することとなります。
4章 債務整理について専門家に相談すべきタイミング
フリーランスの方が借金問題で悩んでいても、「この程度で専門家に相談するのは大げさかもしれない」と考えてしまいがちです。
しかし、そのような考えからずるずると時間が過ぎてしまうと、タイミングを逃してしまい債務整理を行う際の選択肢が非常に少なくなってしまいます。
ここでは、フリーランスの方が借金問題に関して専門家に相談すべきタイミングについて解説していきます。
4-1 借金が増えている
生活が苦しくて借金をした場合、複数回の借入や返済のための借入を繰り返している間に借入額が徐々に大きくなり、借金が増えてしまう可能性があります。
そのような状態に気づいたら、すぐに専門家に相談しましょう。
4-2 貯金が減ってきている
フリーランスの方が仕事に必要な道具や機材を購入するなどして、貯金が一時的に減少するのはよくあることなので問題はないでしょう。
しかし、生活費や毎月の借金返済のために貯金を取り崩す状態が続くと、残高は確実に減少していきます。
このような状況になってしまうと、返済不能になるまでに時間はかからないので、すぐに専門家に相談し最適な対策をとる必要があります。
4-3 毎月お金が足りない
毎月売り上げはあるものの、それで生活費を賄うことができずに少額であっても毎月借金を重ねている場合には、家計の収支を見直しましょう。
特に贅沢な生活をしているわけではないのに毎月お金が足りないという場合には、早急に専門家への相談が必要です。
4-4 事業が不調
フリーランスで仕事をしていると、収入に波があるのは一般的なことです。
しかし事業が不調な状況が続き、今後新たな受注が見込めないなど再建の兆しが見えず借金を重ねている場合には、専門家に相談しましょう。
4-5 何年もリボ払いをしている
借金をした際に返済方法をリボ払いにすると、利用額や利用回数を問わず毎月一定の金額を支払うことになるため、自分が今総額でいくら借金をしているのか把握できなくなるケースもあります。
特に長期間にわたってリボ払いをしていると、感覚が麻痺してしまい返済額を毎月の固定費のようにとらえてしまうことも少なくありません。
そのため、リボ払いを何年も続けている場合には、現在の残債と完済までに支払う利息、完済までの期間など、借金の内容を一度しっかりと確認する必要があります。
しかし今までいくら返済し、今後いくら返済する必要があるのかを把握するためには煩雑な手続きや計算が必要になるので、このような場合にも専門家に相談し借金問題を解決することをおすすめします。
5章 フリーランスが自己破産した場合には報酬はどうなる?
売掛金とは、商品やサービスの代金を後払いで受け取る権利のことで、フリーランスの方の報酬はこの方法で支払われるのがほとんどでしょう。
フリーランスの方が自己破産した場合、売掛金は、原則として財産とみなされ、破産管財人が回収し債権者に配当されます。
ただし、売掛金の額が一般的な会社員などと大きく変わらないケースもあります。
このような場合に売掛金を財産として回収されてしまうと、自己破産するフリーランスの方の生活が困窮することは想像に難くありません。
そのため、実質的に会社員の給料とあまり変わらず、生活を維持するために必要であると認められた場合には、自由財産として認められることもあるため、売掛金を手元に残せる可能性もあります。
また、フリーランスの方が自己破産をする際には、税務申告書の控えと決算書が必要です。
フリーランスの方の中には確定申告をしていない方もまれにいるため、この書類を提出するために遡って確定申告を行う必要がありますが、このような場合にはペナルティとして追徴課税が発生する可能性があります。
6章 フリーランスが債務整理をする際には専門家への相談が必須
ここまでお読みいただいた方には、フリーランスの方が債務整理をする場合には、会社員の方と比較すると手続きが複雑だったり、必要書類が多くなったりすることがお分かりいただけたと思います。
そのため、フリーランスの方が債務整理を検討している場合には、専門家への相談が必須であるといえるでしょう。
ただし、専門家であればどこに相談しても良い結果が得られるとは限りません。
債務整理については、債務整理に関する豊富な経験と実績を持つ専門家に相談する必要があります。
債務整理を得意とするグリーン司法書士法人にご相談いただければ、1番メリットが多い債務整理の方法を提案し、煩雑な手続きの代行も行います。
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