偏頗弁済をしてしまったら自己破産・個人再生できない?適切な対応も

司法書士渡邊優太

監修者:グリーン司法書士法人   渡邊優太
【所属】札幌司法書士会 登録番号札幌第1092号 / 北海道行政書士会所属 登録番号第17260997号 【保有資格】司法書士・行政書士

借金返済の知識
偏頗弁済をしてしまったら自己破産・個人再生できない?適切な対応も

この記事は約 13 分で読めます。

 この記事を読んでわかること
  • 偏頗弁済をしてしまった場合に起きること
  • 偏頗弁済をしてしまった際に有効な対処法
  • 偏頗弁済に該当する行為と該当しない行為の具体例

「特定の相手にだけ返済してしまったけど、これって偏頗弁済になるの?」
「もし偏頗弁済をしていたら、もう自己破産や個人再生はできないの?」

自己破産や個人再生を検討している段階で、知らない間に偏頗弁済をしてしまう方も少なくありません。偏頗弁済とは、支払不能になった状態で特定の債権者だけに返済を行うことを指します。

確かに、偏頗弁済をすると自己破産の免責が認められなかったり、個人再生の返済額が増えたりします。しかし、正直に申告して適切に対処すれば、借金問題の解決に向けた手続きを進めることは十分に可能です。

この記事では、偏頗弁済をしてしまった場合に起きることや対処法、偏頗弁済に該当する行為と該当しない行為の具体例を紹介します。「もうやってしまったかもしれない」と不安な方も、この記事を読むことで、今取るべき行動と今後の流れが明確になるでしょう。

1章 偏頗弁済してしまったらどうなる?

偏頗弁済をしてしまった場合、以下のような影響を受けます。

  • 自己破産による免責が認められない
  • 返済したお金が回収される
  • 管財人や再生委員がつけられる可能性が上がる
  • 個人再生の再生計画案が不認可になる
  • 弁護士・司法書士に辞任される
  • 詐欺破産罪に問われる場合がある

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1-1 自己破産による免責が認められない

偏頗弁済をしてしまった場合、自己破産の手続きを進めても免責が認められない可能性があります。自己破産では、全ての債権者を公平に扱う債権者平等の原則が定められており、一部の債権者だけに返済を行う行為はこの原則に反するためです。

たとえ「感謝の気持ちで返した」「迷惑をかけたくなかった」という理由であっても、法律上は一部の債権者を不当に優遇した行為とみなされます。裁量免責が認められる場合もありますが、破産法上の免責不許可事由に該当し、免責が下りないリスクがある点には注意が必要です。

1-2 返済したお金が回収される

偏頗弁済をしてしまうと、破産管財人が返済したお金を回収する(否認権を行使する)場合があります。偏頗弁済は、特定の債権者だけを優遇する不公平な行為とみなされるため、破産管財人はその公平性を回復させるために返金を求める権限を持っています。

この場合、返済を受けた債権者が返金を求められるため、結果的に家族や友人など返済相手にも負担がかかる可能性があります。また、金額や状況によっては、破産管財人から自由財産からの支払いを求められる場合もあるでしょう。

1-3 管財人や再生委員がつけられる可能性が上がる

偏頗弁済をしてしまうと、破産管財人や再生委員が選任される可能性が高くなります。裁判所は、特定の債権者を優遇した行為があった場合、その経緯や金額、意図などを詳しく調査する必要があるためです。

本来であれば、一定の条件を満たせば管財人が不要の同時廃止事件として比較的スムーズに進められますが、偏頗弁済があると管財事件になって手続きが複雑化します。管財事件になると、破産管財人の報酬や事務費用などが発生するため、予納金が高額になる点に注意が必要です。

また、個人再生の場合でも、再生委員が選任されると追加費用がかかるほか、報告や面談などの対応が必要となり、時間的・金銭的な負担が大きくなる傾向があります。このように、偏頗弁済をすることによって、費用や時間の負担が重くなります。

1-4 個人再生の再生計画案が不認可になる

偏頗弁済の金額が大きい場合や、特定の債権者を明らかに優遇していると判断された場合、再生計画案が裁判所に認められない可能性があります。民事再生法第174条では、債権者の一般の利益に反する場合には、裁判所が計画案の認可を拒むと定めています。

また、偏頗弁済が発覚すると、清算価値保障原則により再生計画で定める返済額が増えるケースがあります。清算価値保障原則とは、個人再生の返済総額が「自己破産をした場合に債権者へ分配される金額(清算価値)」を下回ってはならないというルールです。

偏頗弁済で特定の債権者に多く返済していると、その分だけ清算価値が上がり、他の債権者に対する返済額も増えることになります。

1-5 弁護士・司法書士に辞任される

偏頗弁済を隠したり、返済を止めるよう指示された後も支払いを続けたりした場合、弁護士や司法書士に辞任される可能性があります。なぜなら、債務整理の手続きは「全ての債権者を平等に扱う」という前提で進められるものであり、依頼者がその原則に反する行為を続けると、専門家としての職務を果たせなくなるためです。

専門家が辞任すると、代理人としての立場を失うため、債権者との交渉や裁判所への申立てがストップします。その結果、手続きをやり直さなければならず、借金問題の解決が大幅に遅れることになります。また、別の専門家に再度依頼する際には、着手金などの追加費用が発生するケースも少なくありません。

1-6 詐欺破産罪に問われる場合がある

偏頗弁済を故意に行ったり、隠して虚偽の申告をした場合には、詐欺破産罪に問われる恐れがあります。詐欺破産罪は、破産手続きで財産を不正に処分したり、債権者をだますような行為をしたりした場合に適用される刑事罰です

悪意があると判断されれば、懲役または罰金刑が科されるリスクもあります。実際に刑事事件になるケースは少ないですが、偏頗弁済を隠す行為はそれほど重大な違反とみなされる点を理解しておきましょう。

2章 偏頗弁済してしまっても適切に対処すれば借金問題は解決できる

偏頗弁済をしてしまったからといって、必ずしも債務整理が失敗する訳ではありません。重要なのは、隠さず正直に申告し、専門家の指示に従うことです。弁護士・司法書士が介入すれば、自己破産や個人再生の手続きを続行できるケースもあります。

偏頗弁済をしてしまった事実そのものよりも、隠ぺいや虚偽の説明を行うことの方が問題視されるという点を理解しておきましょう。

3章 偏頗弁済をしてしまった時はすぐに専門家に相談

偏頗弁済をしてしまった場合は、一人で判断せず、できるだけ早く弁護士・司法書士などの専門家に相談することが大切です。偏頗弁済の事実を隠したまま手続きを進めると、後になって発覚し、免責不許可や再生計画の不認可に繋がる恐れがあります。

専門家に相談すれば、偏頗弁済の内容を整理し、裁判所にどのように説明すべきかを明確にしてくれます。また、すでに破産管財人や再生委員が選任されている場合は、専門家を通じて事情を伝えることで、信頼回復を図ることが可能です。

特に、家族や友人などへの返済を行ってしまったケースでは、感情的な要素も絡むため、対応を誤ると問題が大きくなりかねません。そのため、どんな小さな金額でも偏頗弁済に該当する可能性があると思ったら、早めに専門家や裁判所へ報告し、指示を仰ぐことが最も安全な対応です。

4章 偏頗弁済に該当する行為の具体例

一見すると問題のない支払いでも、手続きの時期や返済の目的によっては偏頗弁済と判断されるケースがあります。ここでは、偏頗弁済に該当する行為の具体例について見ていきましょう。

4-1 特定の債務だけ優先的に返済する

家族や友人、担保のあるローンなど、特定の債務だけを優先的に返済するのは偏頗弁済になります。例えば、友人や家族から借りたお金を「人間関係を悪くしたくない」と先に返済したり、勤務先や取引先への借入を「信用を守りたい」という理由で優先して支払ったりする場合などが当てはまります。

特定の債権者を優遇して返済する行為は全ての債権者を平等に扱うという債権者平等の原則に反するため、偏頗弁済に該当してしまうのです。

自己破産や個人再生を検討している段階では、「少しだけなら」「お世話になった人だから」といった感情を抑え、原則として返済を一時的に止める判断が必要です。こうした対応は自分では難しいため、必ず専門家に相談し、正しい順序で手続きを進めましょう。

4-2 受任通知を送った後にクレジットカード決済やキャリア決済を使用する

弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、各債権者に対して受任通知が送られます。この時点で、債務者と債権者の直接的なやり取りは停止し、以後の返済や後払いシステムの利用は行ってはいけません。

それにもかかわらず、受任通知の送付後にクレジットカードでの買い物やキャリア決済の利用を続けると、偏頗弁済や新たな債務の発生とみなされる可能性があります。特に、分割払いやリボ払いが発生する取引は、特定の債権者への返済と判断されやすく、悪質な場合には免責不許可事由に該当する恐れもあります。

また、キャリア決済で立て替え払いを行う携帯会社は、通信費と同時に債権者の立場にもなるため、受任通知後の支払いが偏頗弁済と判断されるリスクが高いでしょう。受任通知が送られた後は、クレジットカードやキャリア決済を一切利用せず、現金またはデビットカードでの支払いに切り替えておくと安全です。

4-3 弁済期限を迎えていない借金を返済する

返済期限前の借金を繰り上げて支払う行為も、偏頗弁済に該当する恐れがあります。例えば、「前もって払っておこう」「これ以上迷惑をかけたくない」と考えて、返済期限がまだ来ていない借入を先に支払った場合などです。このような繰り上げ返済は、他の債権者よりも一部の債権者を優遇する結果となり、債権者平等の原則に反すると判断されます。

特に、返済不能の状態に近づいている時期や、弁護士・司法書士への相談後に行った返済は、偏頗弁済として扱われる可能性が高いでしょう。返済期限を迎えていない債務については、自己判断で支払うのではなく、必ず専門家に確認することが重要です。

4-4 返済が苦しくなってから不動産に抵当権を設定する

債務整理を検討するほど返済が厳しくなった段階で、不動産に新たに抵当権を設定する行為は、偏頗弁済とみなされる可能性があります。抵当権を設定するということは、特定の債権者に優先的に回収できる権利を与える行為であり、他の債権者との間に不公平が生じるためです。

例えば、返済不能の状態に陥った後に、取引先や親族などの特定の債権者から不動産を担保にしてほしいと求められ、それに応じて抵当権を設定した場合には、債権者平等の原則を著しく損なうと判断される場合があります。このような行為は、破産手続きや個人再生の際に否認の対象となり、最悪の場合には自己破産や個人再生の手続きが成立しない恐れもあります。

5章 偏頗弁済にならない支払いもある

偏頗弁済は、特定の債権者だけを優遇した返済行為を指しますが、全ての支払いがこれに該当する訳ではありません。中には、生活の維持や公的義務の履行といった性質を持つ支払いで、法律上も偏頗弁済とはみなされないものがあります。

ここでは、自己破産や個人再生の手続き中でも行って良い支払いについて見ていきましょう。

5-1 税金や社会保険料の支払い

税金や社会保険料の支払いは、返済しても偏頗弁済にはなりません。これらは公的義務に該当するもので、一般の債権(クレジットカード・消費者金融など)とは性質が異なります。

また、税金や社会保険料は自己破産や個人再生をしても支払い義務がなくならない非免責債権です。滞納が長引くと延滞金や差押えのリスクもあるため、可能な限り支払いを行いましょう。

5-2 当月分の家賃や公共料金などの支払い

電気・ガス・水道などの公共料金や、当月分の家賃といった生活に必要な支払いも偏頗弁済には当たりません。これらは生活の維持に欠かせない出費であり、裁判所も生活費の一部として扱います。

ただし、過去の滞納分をまとめて支払う行為は、特定の債権者を優遇する行為とみなされることがあるため注意が必要です。当月分のみ支払い、滞納分は弁護士や司法書士と相談のうえで対応するのが安全です。

5-3 支払停止までの契約通りの支払い

弁護士や司法書士に債務整理を依頼する前、まだ受任通知が送付されていない段階で行った契約通りの支払いは、偏頗弁済に該当しません。この時点では、手続きが正式に始まっていないため、通常の返済として扱われます。

5-4 家族や親戚などによる支払い(第三者弁済)

家族や親戚が本人の代わりに返済する第三者弁済は、本人の財産を使わなければ偏頗弁済にはなりません。例えば、家族が自分の口座から通信費や家賃を支払う場合などが、第三者弁済に当たります。

ただし、本人がお金を家族に渡して支払いを依頼した場合は、実質的には本人の返済とみなされるため注意が必要です。第三者弁済を行う際は、事前に専門家へ相談し、偏頗弁済とならない形で支援を受けることが大切です。

6章 債務整理を考えるようになったら早めに弁護士・司法書士に相談しよう

偏頗弁済を避ける最も確実な方法は、できるだけ早く専門家へ相談することです。どの支払いを続けて良いか、どの時点で止めるべきかは、手続きの種類や債権者の状況によって異なります。自己判断で返済を続けてしまうと、知らないうちに偏頗弁済に該当してしまい、手続きが複雑化する恐れがあります。

弁護士や司法書士に相談すれば、債権者に受任通知を送付してもらえるため、その時点で督促や取り立てが止まり、返済をストップしても問題ありません。また、偏頗弁済にあたる可能性がある支払いがないかを整理し、安全に債務整理を進めるための正しい手順を教えてもらえます。

「返済を止めたら迷惑をかけるのでは」と不安に思う方も多いですが、偏頗弁済を防ぐことは全ての債権者にとっても公平で、手続きを円滑に進めるために欠かせません。

グリーン司法書士法人では、自己破産・個人再生・任意整理などの債務整理に対応しています。偏頗弁済をしてしまった方も、どの支払いを止めるべきか迷っている方も、早めの相談で最適な解決策を見つけられます。初回相談は無料ですので、安心してご相談ください。

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まとめ

偏頗弁済をしてしまったからといって、手続きが終わりになる訳ではありません。確かに、特定の債権者だけに返済を行うと、免責が認められなかったり、再生計画決定後の返済が増えたりと、不利益を受ける可能性があります。しかし、重要なのは偏頗弁済をした事実ではなく、その後にどう対応するかです。

偏頗弁済をしてしまった場合でも、隠さず正直に申告し、専門家の指示に従って対応すれば、自己破産や個人再生の手続きは問題なく進められることが多くなっています。一方で、事実の隠蔽や虚偽の説明をした場合、免責不許可や詐欺破産罪などの重大な結果を招く恐れがあります。

正直に申告すれば問題ないケースが多いので、「偏頗弁済をやってしまったかもしれない」と感じた段階で、すぐに弁護士や司法書士に相談しましょう。専門家が状況を整理し、破産管財人や裁判所への説明を含めた最適な対応を行ってくれます。

グリーン司法書士法人では、偏頗弁済をしてしまった方の相談にも多数対応しています。相談が早ければより多くの選択肢の中から解決先を選べますので、返済に困ったらなるべく早めにご相談ください。

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