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- 国民健康保険料は収入の有無にかかわらず支払いの義務がある
- 支払いをしない状態が続くと医療費が全額負担になり差押えになる
- 国民健康保険料が払えない場合は市区町村の窓口に相談する必要がある
- 借金問題を抱えている場合は債務整理で返済負担を軽減する方法もある
フリーランスや自営業など会社に所属をしないで仕事をしている場合は、自身で国民健康保険料を払う必要があります。しかし、経済的事情などにより国民健康保険料を払えない方も少なくないでしょう。
国民健康保険料が払えないと、医療費が全額負担になったり財産が差押えになったりとさまざまなデメリットが生じるので注意が必要です。
この記事では、国民健康保険料を滞納するリスクと払えない場合の対処法を解説します。国民健康保険料が払えずにお困りの方は参考にしてください。
目次 ▼
1章 国民健康保険料は無職でも支払いの義務がある!
国民健康保険は、原則全ての国民が加入しなければならない制度です。そのため、無職で収入がない場合でも保険料の支払い義務が発生します。
ただし、退職直後などで収入がない場合や大幅に収入が減少した場合は、所得に応じて保険料が減額されるケースもあるのでご安心ください。また、払えない場合はお住まいの市区町村の窓口で減免や分割払いの相談も可能です。
収入がないからといって支払い義務が免除されるわけではないため、早めに対応するようにしましょう。
2章 国民健康保険料が払えない場合はどうなる?
結論から言うと、国民健康保険料を滞納し続けると最終的に財産が差押えになってしまいます。
しかし、あくまで滞納しているにもかかわらず無視をしている場合です。徴収猶予を利用している場合や分割払いでも払っている場合は差押えになりません。
では、国民健康保険料を滞納してから差押えになるまでの流れを見ていきましょう。
2-1 延滞金が発生する
納付期限内に国民健康保険料の支払いができないと、納付期限の翌日から延滞金が発生します。延滞金は「延滞金額=保険料額×延滞金割合×日数÷365」の計算式で算出され、延滞している日数が増えるごとに加算されます。
多くの場合、延滞期間が3ヶ月以上の長期になる場合は、さらに高い利率になるため注意が必要です。国民健康保険料を滞納した場合は、できるだけ早めに支払いを済ませましょう。
2-2 督促状や催促状が届く
納付期限を過ぎると督促状や催促状が届きます。いつ届くかは各自治体によって異なりますが、督促状や催促状に再設定された納付期限が記載されているため、この期限内に払いましょう。
もし、支払いをうっかり忘れていた場合は記載された期限内に払えば問題ありません。払えない場合は記載された連絡先に相談をして、適切な対応を聞きましょう。
2-3 短期被保険者証が交付される
督促状や催促状が届いても払えない場合は、手持ちの保険証を返却するよう通達が届きます。
保険証を返却すると代わりに短期被保険者証が交付されます。短期被保険者証は保険証と同じように保険適用になりますが、有効期限が短く設定されているので注意しましょう。
短期被保険者証の有効期限は、1ヶ月から6ヶ月に設定されており、有効期間が切れると市町村の窓口で更新手続きをしなくてはいけません。また、短期被保険者証を見せることで、国民健康保険を滞納していることがバレるのもデメリットといえます。
2-4 被保険者資格証明書が交付される
短期被保険者証に代わっても国民健康保険の滞納を続けていると、短期被保険者証が使えなくなります。代わりに被保険者資格証明書が交付されるため、今後はこちらを使わなくていけません。
被保険者資格証明書は、提示しても保険の適用を受けられないため、医療機関を利用した場合は医療費を全額支払う必要があります。後日申請をして、役所や病院の窓口で自己負担分以外の医療費の払い戻しを受けましょう。
2-5 医療費が全額自己負担になる
さらに滞納を続けると、国民健康保険の適用ができなくなります。つまり、医療費の全額を自分で払わなければいけません。
厚生労働省の試算を参考に、インフルエンザに感染した場合を例に挙げると、通常3割負担で最大4,450円で医療を受けられるところが、最大14,800円もの出費になってしまいます。つまり、怪我や病気になるたびに高額な医療費が発生し、経済的な負担が一気に増加するリスクがあるでしょう。
2-6 財産が差押えになる
国民健康保険の適用ができなくなるだけではなく、国民健康保険の滞納を続けると差押えになってしまいます。アルバイトなどで給料を貰っている場合は給料が差押えになる可能性があるでしょう。そうでない場合でも預金口座や現金、家や車などの財産が差押えられるため注意が必要です。
どれくらいで差押えになるかは役所の判断によりますが、消費者金融などの借金とは異なり、裁判をすることなく手続きを進められます。そのため、いきなり財産が差押えられるケースも珍しくありません。
滞納している金額を回収するまで差押えが続くので、差押えによって経済的に厳しくなる場合は市区町村の窓口に相談しましょう。
3章 国民健康保険料が払えない場合は市区町村の窓口に相談しよう
国民健康保険料の滞納が続くと、医療費が全額自己負担になったり差押えで財産が強制回収されたりと経済的負担が大きくなります。
国民健康保険の支払いが難しい場合は、できるだけ早めに住んでいる市区町村の窓口に相談しましょう。役所によって国民健康保険を担当している部署名が異なるので、受付で国民健康保険関連の問い合わせに対応してくれる部署を聞くのがおすすめです。
では、国民健康保険料が払えない場合にどのような対応が可能なのか見ていきましょう。
3-1 徴収猶予制度を利用する
徴収猶予制度とは、失業や廃業などにより収入が激減した場合や震災や火災、水害などの自然災害で損害が出てしまった場合に利用できる制度です。
申請に通過すれば半年から1年間、国民健康保険料の支払いを猶予してもらえるため、すぐに国民健康保険料が払えない場合に向いているでしょう。
徴収猶予制度は、今後払う予定の保険料の納付期限を延長してもらう制度ですが、すでに滞納している保険料の納付期限の延長ができる制度もあるため、合わせて聞いてみるのがおすすめです。
3-2 減免制度を利用する
減免制度とは、倒産や失業で職を失ってしまった場合や収入が激減した場合に利用できる制度です。
状況に応じて、全額、4分の3、半額、4分の1のいずれかの減額や免除を認めてもらえます。徴収猶予制度と同じく、震災や火災、水害などの自然災害に遭った場合でも適用できるためこちらも検討しましょう。
3-3 分納の相談をする
徴収猶予制度や減免制度を利用できなかった場合でも、保険料が払えない場合は分納納付を認めてもらえるケースがあります。原則は1年間の保険料を6月から翌年3月までの10回に分けて納付しますが、申請に通過すれば一定の期間内に分割して納付に変更が可能です。
もし分納を考えている場合は、払えない理由や現在の収入などを詳しく説明して、払える金額を提示するとよいでしょう。
3-4 家族の扶養に入る
もし年間収入が130万円未満の場合、家族の扶養に入るのも有効です。例えば、パートナーや親など、家庭の生計を立てている人物が会社員や公務員の場合は健康保険の扶養に入れます。
扶養に入った場合は国民健康保険に加入しないため、今後保険料の納付義務がなくなります。今滞納している国民健康保険料は支払う必要がありますが、今後も支払いが難しい方で被扶養者の要件に該当する場合は、家族の扶養に入るのも検討するとよいでしょう。
3-5 生活保護の相談をする
経済的に厳しく今後も収入の目処が立たない場合は、生活保護を検討しましょう。生活保護は、収入や資産が不足している方を支援する制度で、最低限の生活を維持するために必要な費用が支給されます。
生活保護を利用すると、医療費が全額公費で負担されるため必要な医療サービスを受けることが可能です。そのため、国民健康保険料の支払いをしなくても健康を維持しながら生活を続けられます。
市区町村の窓口では、生活保護に関する相談が受けられるので、必要だと感じた場合は遠慮せずに利用を考えましょう。
4章 国民健康保険料を踏み倒すのは現実的に難しい
国民健康保険料は、無職で収入がない状態でも支払いしなくてはいけません。しかし、払えないからと国民健康保険を滞納してしまい、どんどん滞納額が膨らんでしまっている方も少なくないでしょう。
実は、国民健康保険料も時効の制度があります。時効の長さは住んでいる地域が「国民健康保険料」と「国民健康保険税」のどちらで呼んでいるかによって異なります。例えば「国民健康保険料」と呼んでいる東京都足立区は時効が2年ですが「国民健康保険税」と呼んでいる愛知県豊橋市は時効が5年です。
時効があるなら国民健康保険料を踏み倒せるのではと考える方もいるかもしれませんが、残念ながら現実的に難しいといえるでしょう。なぜなら、時効は督促状が届いた時点で時効が中断して、時効まで最初からのカウントになるからです。
また、短期被保険者証などが送られてくる性質上から、滞納から差押えまで2年以上放置することは考えにくいでしょう。よって、時効が成立する前に差押えになるケースがほとんどです。
5章 国民健康保険料の滞納は債務整理では解決しない
国民健康保険料は時効の適用が非常に難しいだけでなく、滞納した分は債務整理でも解決しないので注意が必要です。仮に、収入の目処が立たずに自己破産を選択した場合でも、支払いの免除がされません。
そのため、国民健康保険料の支払いが難しい場合は、市区町村の窓口で徴収猶予制度や減免制度の相談をしましょう。差押えになってから慌てないためにも、できるだけ早めの相談をおすすめします。
5-1 別の借金がある場合は債務整理を検討しよう
もし、借金の返済に追われて国民健康保険料を支払えない場合は、借金の債務整理をして返済の負担を軽減するのがおすすめです。国民健康保険料や税金は債務整理で解決できませんが、別の借金問題を解決することで、納付資金を確保できる可能性があります。
債務整理の手続きは、大きく分けて任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。自身の経済状況に合わせてそれぞれ向いている方法をチェックしましょう。
債務整理の種類 | 手続きの方法 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
任意整理 | 利息や手数料など元金以外の支払いをカットする手続き | 借金の返済が長期化して利息が膨らんでしまった人 借金を選んで返済したい人 |
個人再生 | 借金そのものを大幅にカットして完済を目指す手続き | 借金の総額が大きい人 家や車など失いたくない財産がある人 |
自己破産 | 借金自体を免除して支払い義務をなくす手続き | 完済の目処が立たず返済不能に陥った人 経済的に困難で支払いができない人 |
また、長期的に返済している借金の場合は、過払金が発生している可能性があります。過払金の返還により滞納している国民健康保険料が払えるケースもあるため、まずは一度ご相談ください。
6章 保険料は支払い義務あり!払えない場合は早めに相談しよう
保険料は収入の有無にかかわらず支払い義務があります。滞納すると延滞金の発生や財産が差押えになるため注意しましょう。
もし支払いが難しい場合は、市区町村の窓口に相談して、分割払いや減免措置など状況に応じた対応するのが大切です。安心して生活を続けるためにも、早めに経済的負担を軽減しましょう。
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