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- 個人間の借金は取り立て代行業者に依頼できない
- 弁護士に債権回収を依頼することはできる
- 弁護士に依頼した場合、してもらえること
- 個人から取り立てを受けた場合の対処法
個人間でお金の貸し借りをして相手が返済してくれない場合、人間関係が絡んだ大きなトラブルに発展しかねません。
できれば自分で取り立てをしたくないけれど、個人間の借金を代行業者に依頼できるのかな?と悩む人もいるでしょう。
しかし、個人間の借金を債権回収会社(取り立て代行業者)に依頼することは法律上禁止されています。
今回は、返済してもらえない借金について相談できる専門家や、逆に取り立てを受けた場合の対処法などを解説します。
目次 ▼
1章 個人間の借金は取り立て代行業者に依頼できない
冒頭でもお伝えしたとおり、個人が貸したお金を、債権回収会社に依頼して回収してもらうことは、法律上認められていません。
だからといって、無許可の債権回収会社に依頼してしまうと、大きなトラブルに巻き込まれる恐れがあるため絶対に避けましょう。
1-1 債権回収会社が扱える借金の種類は限定されている
「債権回収会社」とは、債権者に代わって回収が難しい債権を、債務者に対し取り立て業務を行う会社です。別名、「サービサー」とも呼ばれています
これらの業務を行うには、「サービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)」に基づいて、法務省の許可を受ける必要があります。
許可を受けた債権回収会社が取り扱える債権には、主に次のようなものがあります。
- 金融機関・貸金業者が有する貸付債権
- リース・クレジット債権
- 他の債権回収会社から譲渡された債権
つまり、個人の「友人や知人に貸したお金」などの債権は対象にならないため、債権回収会社に個人間の借金の取り立てを依頼することはできないのです。
1-2 無許可の債権回収会社に依頼すると違法行為の共犯者とされる恐れがある
「個人の借金を回収します」などの宣伝文句を、インターネット上で目にすることがありますが、それらの多くは無許可の違法業者です。このような業者に依頼した場合、次のようなリスクがあります。
- 違法な取り立て(脅迫、暴力、深夜早朝の訪問など)を行う
- 高額な報酬を請求される
- 情報漏洩やトラブルに巻き込まれる
また、違法業者と知らずに依頼した人自身も、「共犯」とされる恐れがあります。
個人間の借金を「取り立て屋」に頼む行為は、違法というだけでなく取り返しのつかないトラブルを招きかねないため、絶対にやめましょう。
1-3 弁護士に債権回収を依頼することはできる
個人間の借金については、弁護士や認定司法書士に相談・依頼すると、安全かつ状況に応じた対応をとることができます。
ただし、認定司法書士には「140万円を超える債権回収の交渉や、簡易裁判所以外では代理人になれない」などの制限があります。
一方、弁護士には制限がなく、依頼者の代理人として債務者と交渉したり法的手続きを行うことができます。
弁護士に依頼するメリットには、次のようなものがあります。
- 相手に対して強いプレッシャーをかけられる
- 回収手続きに伴うさまざまな負担を軽くできる
- 裁判や強制執行を行う場合も、専門家なので安心して任せられる
- 自分で取り立てるよりも回収できる可能性が高くなる
なお、専門家以外の無資格者や認可を受けていない業者が、代理人として取り立てを行うことは、「非弁行為(ひべんこうい)」にあたります。
「非弁行為」とは、弁護士のみに認められている行為を弁護士以外の者が行うことで、弁護士法に下記の通り定められています。
第七十二条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
非弁行為に該当するのは「報酬を得る目的」で行うことに限られるため、たとえば自分の友人や家族が完全に無償で行うことは可能です。
ただし、弁護士以外の第三者が代理人と名乗り返済を求めてきたとしても、債務者側は二重払いになるリスクもあり、取り立てに応じる可能性は低いでしょう。
2章 弁護士に個人間の借金の取り立てを依頼したときにしてもらえること
この章では、弁護士に個人間の借金の取り立てについて依頼をすると、どのようなサポートが受けられるのか解説します。
2-1 内容証明郵便の送付
最初に行われるのは、内容証明郵便による督促です。内容証明郵便とは、いつ・誰が・どのような内容の通知を送ったかを、郵便局が証明してくれるサービスです。そのため、裁判などで法的な証拠として活用できます。
また、内容証明郵便を受け取った債務者は、「本気で回収してくるつもりだ」「法的措置が取られるかもしれない」と感じ、返済に応じてくれる可能性が高まります。
2-2 債務者との交渉
内容証明郵便を送付しても支払いがない場合は、弁護士が債務者と直接交渉します。返済額やスケジュールについて話し合い、合意できれば合意書を作成します。
この段階で話がまとまれば裁判をする必要はなく、手続きにかかる時間や費用を省くことができます。
2-3 公正証書の作成
内容証明郵便を受け取った相手が弁済に応じるようであれば、契約書を取り交わしますが、このときに公正証書として作成することも可能です。公正証書とは、公証人が作成する公文書で、強い法的効力を有します。
「金銭の支払いについて強制執行を認める」旨の文言がある場合は、公正証書に基づき、支払いしない相手に対して直ちに強制執行が可能になります。
2-4 民事訴訟の手続き
相手が支払いに応じない、合意できないなど交渉が決裂した場合には、民事訴訟を提起することになります。「貸金返還請求訴訟」を起こし、裁判所から債務者に返済を命じる内容の判決を出してもらいます。
支払いの請求額が60万円以下の場合には、「少額訴訟」という特別な訴訟手続きを利用することもできます。少額訴訟は、原則として1回の期日で審理を終えて判決が出ることになるため、個人の債権回収方法として多く利用される手続きです。
また、「支払督促」は、裁判所に申し立てを行い裁判所から債務者へ支払いを促してもらう方法です。通常の訴訟より簡単な手続きで、費用が安く済むメリットがあります。
2-5 強制執行の手続き
裁判で勝訴の判決を得てもなお、相手が支払わない場合には強制執行を行うことができます。
強制執行とは、債務名義を取得しても相手がその内容に従って弁済を行わない場合に、給与や預貯金、不動産などの財産を差し押さえて債権を回収する方法です。
ただし、相手が無職で資産もないなど現実的に回収が困難な場合もあり、そのため弁護士へ早期に相談・対応することが重要となります。
3章 個人間の借金の取り立てが来たときの対処法
この章では、自分がお金を貸した側ではなく、借りたお金を返せず、貸主からの取り立てに困っている場合の対処法について紹介します。
人間関係の悪化や法的トラブルを未然に防ぐためにも、無視や放置をすることは止めましょう。相手から依頼を受けた弁護士が、代理人として連絡をしてきた場合も同様です。
3-1 本人に確認・連絡してみる
まずは、相手に連絡をして、誠実に事情を説明しましょう。「返したくても返せない」状況であれば、今の収入や生活状況を正直に伝えることで、相手の理解を得られる場合もあります。
また、相手の代理人と名乗る人物や弁護士から通知や連絡があった場合、本当に相手が依頼をした人なのか本人に確認してみましょう。勝手に代理人を名乗っている可能性もあるからです。
3-2 返済計画を立てる
返済の意思がある場合は、返済スケジュールや猶予について話し合うために、返済計画を立てましょう。その際、以下の点を確認し、現実的な返済計画を検討します。
- 現在の収入・支出
- 返済にあてられる金額(月々いくら返済できるか)
- 他に借金はないか(複数の債務があれば整理が必要になる可能性も)
毎月いくら返せるか、いつまでに完済できるかを具体的に示すことができれば、相手も納得しやすくなるかもしれません。
また、合意ができたら、書面で合意内容を残しておくようにしましょう。
3-3 定期的に返済を続ける
返済計画を示して合意できたら、その後は定期的に返済を続けることが信頼回復につながります。
万一、返済が遅れるような場合は、すぐに連絡して遅れる事情と入金予定日を伝えましょう。
3-4 債務整理をする
事情があってどうしても返済が困難な場合には、債務整理を検討しましょう。
債務整理をすることで、返済負担を軽くしたり、支払い義務そのものを免れることができる場合もあります。
債務整理には次に示す3つの方法があり、司法書士や弁護士に相談することで、自分に適した方法を選ぶことができます。
任意整理
「任意整理」とは、裁判所を通さずに債権者と交渉し、借金の返済条件を変更する手続です。裁判所を介さない分、比較的気軽にできる手続きです。
また、任意整理は、整理の対象に含める債権者を選ぶことができるため、自動車ローンや保証人付きの債務を除外したい場合にも柔軟に対応できます。
個人再生
「個人再生」とは、大幅に減額してもらった借金を原則3年間で完済するよう再生計画案を作成し、裁判所に認可をもらう手続きです。
具体的には、借金の元本を5分の1程度に減額でき、再生計画どおりに完済すると、減額した分の借金について支払義務がなくなります。
ただし、安定した一定の収入が前提となるため、無職や不安定な収入状況では利用が難しい場合もあります。
自己破産
「自己破産」とは、税金の滞納分などを除いた借金の返済義務を法的に免除してもらう手続きです。
原則的に返済義務がなくなるという大きなメリットがある一方で、持ち家や車など高価な財産を失うリスクがあります。
また、免責不許可事由(ギャンブルや浪費など)に該当する行為がある人は注意が必要です。
なお、個人間の借金を債務整理する場合、次のような注意点を頭の片隅に置いておきましょう。
債務整理手続き終了後に、一般的な貸金業者などが「納得がいかない」などと取り立てをしてくることはありません。しかし、相手が個人の場合には、「返してもらうという約束で貸したのに、一方的に減額や免除など納得できない」と、取り立てをされるリスクがあります。
債務整理は法律に基づく手続きであり、手続きで減額・免除された借金については返済の義務はなくなります。しかし相手が個人の場合には、思わぬことが起きる可能性もあると知っておきましょう。
4章 個人間の借金の取り立てで悩んだら専門家に相談しよう
個人間の借金問題を、取り立て代行業者に依頼することはできません。他者の手を借りて適切に解決したい場合は、弁護士に相談・依頼するとよいでしょう。
一方で、お金を借りた側として取り立てを受けた場合にも、無視をせず、必要に応じて専門家に相談することが大切です。相手に適切な対応をすることや、債務整理を検討することによって、解決への道が開けるでしょう。
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