税金滞納による差押えはいつ? 差し押さえられないための対処法は?

   司法書士渡邊優太

監修者:グリーン司法書士法人   渡邊優太
【所属】大阪司法書士会 登録番号大阪第4454号 / 大阪府行政書士会所属 会員番号第17260997号 【保有資格】司法書士・行政書士

借金返済の知識
税金滞納による差押えはいつ? 差し押さえられないための対処法は?

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税金の納付は国民の義務であり、納付を怠ると財産が差し押さえられてしまう可能性があります。

税金は貸金業者などからの借金と違い、裁判所を通さず差し押さえることができるため、一般的な借金に比べ迅速に差し押さえられてしまいます。

また、税金の滞納は債務整理で解決することができません。

一方、やむを得ない事情により納付ができない場合には、分割での納付や納付の猶予、免除が認められる可能性があります。

この記事では、差押えまでの流れや差し押えられないための対処法などについて解説します。

1章    税金未払いにおける差押えはいつ行われる?滞納から差押えの流れ

税金を滞納すると督促状が届き、それから11日間が経過すると自治体や税務署は差押えが可能になります。

とは言え、実際には財務調査などがあるためもう少し猶予があるでしょう。

税金の滞納の場合自治体や税務署が、裁判所を通すことなく差押えが可能なため、一般的な借金よりスピーディーであることは理解しておきましょう。

税金の滞納から差押えまでの流れは以下のとおりです。

  • 【納付期限から20日程度】督促状が届く
  • 【督促状から11日】財産差押えが可能になる
  • 【督促状から11日以降】財産・人物調査
  • 【督促状から11日以降】差押えの開始

それぞれ詳しく解説します。

1−1    【納付期限から20日程度】督促状が届く

納付期限から20日程度経過すると、管轄の税務署や自治体から督促状が届きます。

なお、督促状の送付は「原則、納付期限から20日以内」と決められていますが、実際のいつ送付されるかは各税務署・自治体によって異なります。

督促状の形式についても各税務署・自治体によって異なりますが、「至急」という文言が記載された封筒に納付書が入っていることがほとんどです。

納付期限から督促状が届いた時点で納付すれば特に問題はありません。

1−2    【督促状から11日】財産差押えが可能になる

督促状の送付から11日が経過すると、税務署・自治体は財産の差押えが可能になります。

とはいえ、実際には財産調査などが行われるため、もう少し時間がかかるのがほとんどです。

ただし、税務署や自治体は税金の滞納に対して裁判所の手続きなしに差押えが可能ですので、一般的な貸金業者からの借金の滞納に比べスピーディーであることは理解しておきましょう。

1−3    【督促状から11日以降】財産・人物調査

督促状の送付から11日が経過すると、税務署や自治体は差押えに向けて財産や滞納者の身辺についての調査を行います。

この調査は、国税徴収法に基づいて行われるものですので個人情報保護法に抵触することはなく、対象者も協力的でなければいけません。

1−4    【督促状から11日以降】差押えの開始

財産・人物調査が完了すると、財産の差押えが実行されます。不動産や現金、預金、給料などが差押えの対象です。

すべての財産が差押えられることはなく、以下の財産は法律で差押えが禁止されています。

  • 66万円以下の現金
  • 給与の4分の3※手取り金額が44万円を超える場合、33万円まで
  • 国民年金・厚生年金・生活保護費・児童手当費など
  • 生活に必要な衣類や寝具・家具・家電・建具
  • 1ヶ月に必要な食料や燃料
  • 仕事に必要な器具・機械
  • 実印や印鑑
  • 仏具や位牌などの祭祀財産
  • 勲章や賞状など名誉を表彰するもの
  • 学習に必要な書類や器具
  • 義手や義足など身体の補足に必要なもの
  • 消防用の機械・器具・避難器具・備
  • 品未公表の発明、著作に関わるもの
  • 日記、商業帳簿など

なお、比較的差し押さえられやすい財産としては、現金や預金、給料が挙げられます。これは、差押えにあたって手続きが少なく、容易だからです。

一方、不動産や車などの財産は、査定や売却の手続きが必要なため、現金や預金・給与を差し押えても不足している場合で、評価額が高額である場合でなければ差し押さえられる可能性は低いでしょう。

2章    財産を差し押さえられないために|税金が払えないときの対処法

税金の滞納を続けると、財産が差し押さえられてしまいます。しかし、やむを得ない事情でどうしても納付できない方もいらっしゃるでしょう。

その場合には、以下のような対処をしてみましょう。

  • 税務署・自治体に相談する
  • 分割払いにしてもらう
  • 猶予制度を利用する
  • 生活保護を受給する
  • 税金が発生している資産を売却する

それぞれ詳しく解説します。

2−1    税務署・自治体に相談する

まずは、税金の支払いが難しい旨を税務署や自治体に相談してみましょう。

期日までに支払いが難しいこと、その理由、支払いの目処についてしっかりと説明し、「支払う意志があること」を伝えることが大切です。

相談することで、対処方法などについて案内してもらえる可能性が高いでしょう。

なお、相談先は税金ごとに管轄が異なりますので、納付書に記載されたところに相談してください。

  • 自治体が管轄の税金・・・住民税、固定資産税、自動車税など
  • 税務署が管轄の税金・・・所得税、法人税、相続税、贈与税、自動車重量税

2−2    分割払いにしてもらう

一括での支払いが難しい場合には、分割払いを利用できないか相談してみましょう。

例えば、住民税や固定資産税などは一括または、4期に分けて支払うのが一般的ですが、これを12分割にするなど対処してもらえる可能性があります。

ただし、分割払いにすると延滞税がかかりますので、その点は理解しておきましょう。

2−3    猶予制度を利用する

失業や傷病、介護などで一時的に納税が難しい状況に陥ってしまった場合には、税金の支払いを猶予してもらう「猶予制度」を検討してみましょう。

猶予が認められれば、差押えが猶予される上に、猶予期間中の全部または一部が免除されます。

ただし、税金は本来いかなる事情があっても納税するのが原則であり、猶予制度を利用するためには条件があります。詳しくは、国税庁のホームページで自身が条件を満たしているか確認しましょう。

2−4    生活保護を受給する

長期的に働けない事情があり、税金の支払いが難しい場合には、生活保護の受給を検討しましょう。

生活保護を受給中は所得税などの税金や健康保険料などの保険料が免除されます。

また、受給前に滞納していた税金や保険料の滞納に対する処分についても猶予されるため、生活保護受給中に差し押さえられることはありません。

ただし、生活保護の受給には厳しい条件があります。自身が置かれている状況が生活保護の受給の条件に該当する場合には、管轄の自治体に相談してみましょう。

2−5    税金が発生している資産を売却する

現時点で納付するべき税金をなんとか支払ったとしても、今後も同じ税金が発生すれば、いつか完全に支払いができなくなってしまいます。

その場合には、税金の原因となる資産を手放すことも検討しましょう。

例えば、不動産や土地には固定資産税、車には自動車税・重量税が課されます。

収入がある時にタワーマンションや高級車を購入したものの、その後状況が悪くなり維持費が支払えなくなることもあるでしょう。

税金の支払いが生活を圧迫しているのであれば、売却する決断も必要です。

差し押さえになったら、最終的には失う可能性が高い財産ですので、そうなる前に売却するほうがよいでしょう。

3章    税金の他に借金があるなら債務整理を検討しよう

税金は債務整理で解決することはできません。しかし、税金以外の借金の支払いがある場合には、それを解決することで税金の支払いに充てられるでしょう。

債務整理には以下のの3つがあります。

  • 自己破産
  • 個人再生
  • 任意整理

それぞれ詳しく解説します。

3−1    自己破産

自己破産とは、借金の支払いが困難な状況に陥っている債務者が裁判所に申し立てることで、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。

借金の返済の必要はなくなりますが、その一方で所有する財産が処分され、債権者への返済に充てられます。

その点では、財産の差押えと変わりないと思われるかもしれません。しかし、税金の滞納で差し押さえられても、その後も税金が発生する原因があるのであれば、納付義務は続きます。

一方自己破産をすれば、借金の返済義務がなくなりますので、今後借金をしない限り生活に余裕ができるはずです。

借金額が高額なケースや、収入がないケースでは自己破産をおすすめしています。

3−2    個人再生

個人再生とは、裁判所に申し立てることで、借金を5分の1〜10分の1程度に圧縮し、原則3年で返済する再生計画を立てる手続きです。

自己破産は返済不能(収入が不足し、返済ができない状況)であることが要件ですが、個人再生の場合は、返済不能のおそれがあるだけで十分です。むしろ手続き後も返済が続くことから、安定した収入があることが要件となります。

また、裁判所が財産を処分することがなく、住宅ローン特則を利用することで家を残したまま手続きすることも可能です。

ただし、返済額は所有する財産に応じて決定しますので、高額な財産を所有している状態では効果がない可能性もあります。

安定した職についていて、失いたくない財産があるかたには、個人再生をおすすめしています。

3−3    任意整理

任意整理とは、債権者と交渉することで今後発生する利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。

任意整理は、自己破産や個人再生とは異なり、当事者間で解決を目指す手続きですで、財産を所有する財産が裁判所によって処分されることはありません。(ローンなどを任意整理した場合には、債権の対象となるものが債権者によって回収される可能性が高いです)

また、裁判所を通さないため、手続き自体も比較的シンプルです。

ただし、カットするのは利息や遅延損害金のみですので、減額効果としては自己破産や個人再生には劣ります。

クレッジットカードの借入れやリボ払い、少額の借金の場合には任意整理がおすすめです。

4章    借金トラブルならグリーン司法書士法人にご相談ください

税金の納付を怠り続けると、最終的に財産が差し押さえられます。また、差し押さえされたからといって納付義務がなくなるわけではありません。

失業などで一時的に支払えないのであれば、納付の分割払いや猶予制度を受けることで対処できる可能性があります。

しかし、長期的に支払えない状況なのであれば生活保護の受給も検討しましょう。

また、税金は債務整理で解決することはできませんが、他の借金を債務整理することで税金の支払いに充てることができるでしょう。

他に借金があるという方は、ぜひグリーン司法書士法人にご相談ください。当事務所ではこれまで多くの借金トラブルを解決に導いてまいりました。

依頼者様に最適な解決策を提案することができるはずです。

初回相談は無料です。オンライン相談にも対応していますのでお気軽にご相談ください。

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