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- 任意整理は債権者を選んで借金を整理することができる
- 住宅ローンや自動車ローンなど返済を続けたい借金がある場合におすすめ
- 連帯保証人に迷惑をかけたくない場合におすすめ
- 任意整理を選んでも事故情報の登録は避けられない
- 借金額が大きい場合は個人再生や自己破産も視野に入れて専門家に相談しよう
借金の返済が苦しくなり、生活に不安を感じている方にとって債務整理は現実的な選択肢の一つです。
そのなかでも、任意整理は債権者を選んで借金を整理できる柔軟性の高い手続きです。
「住宅ローンは残したい」「保証人付きの借金は避けたい」などの要望に対応しやすく、生活への影響を最小限にしながら借金問題を解決できるため、手続きを検討しやすいといえるでしょう。
この記事では、債権者を選んで任意整理するメリットと注意点を解説します。任意整理をすべきか悩んでいる方は、ほかの債務整理と比較しながら参考にしてください。
目次 ▼
1章 任意整理は債権者を選んで借金を減額できる!
任意整理とは、司法書士や弁護士が債権者と直接交渉し、利息や延滞損害金のカット、分割返済の交渉などを行う手続きです。
債務整理のなかでも柔軟性が高く、対象となる債権者を任意で選ぶことができる点が特徴です。住宅ローンや自動車ローンを整理の対象から外せるため、生活を維持しながら経済的な再建を目指すことができます。
ただし、任意整理は債権者との個別交渉となるため、交渉結果に差が出る可能性があります。自分で交渉をして失敗するリスクを考えると、専門家に依頼して交渉してもらうほうが結果的によいでしょう。
1-1 任意整理の特徴
任意整理は、自分で整理対象の債権者を選べるだけではなく、ほかにも以下の特徴があります。
- 裁判所を通さず、スピーディーに手続きが進められる
- 将来の利息や延滞金の免除交渉が可能
- 分割払いにより月々の返済負担を軽減
- 財産を処分せずに借金整理が可能
- 官報に掲載されないため、周囲にバレにくい
- 受任通知により返済と督促が一時停止される
任意整理は手続きの自由度が高く、内緒の借金や失いたくない財産がある方におすすめです。
また、少額から借金を減額できるため、借金が膨らむ前に手続きができる点もよいでしょう。再スタートを切るための負担が少なく、社会的信用の回復も比較的早いことが任意整理の魅力です。
2章 債権者を選んで任意整理をするメリット
任意整理の大きな利点は、整理対象の債権者を自分で選べる点です。生活に必要不可欠な契約や、家族に影響が出るような借金を除外し、任意に選んだ借金だけを交渉の対象にできます。
では、具体的に債権者を選んで任意整理をするメリットを見ていきましょう。
2-1 住宅ローンや自動車ローンを守れる
住宅や車は生活の基盤であり、手放したくないと考えるのは当然のことでしょう。
任意整理では住宅ローンや自動車ローンを対象外にできるため、生活を維持しながら、そのほかの借金だけを整理することが可能です。特に、家族と同居している場合や、通勤・通学に車が必須な場合は、大きなメリットとなるでしょう。
2-2 分割払い中の商品を守れる
日常生活に欠かせないパソコン、スマートフォン、家具などを分割払いで購入している場合、完済するまで商品を担保に取られていることがあります。
任意整理で分割払い中の借金を外せば、商品を引き上げられることなく利用を続けられます。仕事や学業に支障をきたさずに済むため、生活に影響を与えることがありません。
2-3 連帯保証人に迷惑をかけない
連帯保証人がついている借金を整理対象とすると、保証人に返済義務が移ってしまいます。
任意整理で保証人がついている債務を外すことで、保証人とのトラブルを回避できます。親族や友人など、保証人になっている方に迷惑をかけずに手続きを進める手段としても有効です。
2-4 債務整理の手続き費用を抑えられる
任意整理の費用は、整理する債権者の数に比例します。
そのため、必要最低限の債権者だけを選んで手続きを行えば、費用を大幅に削減できます。費用を分割払いで積み立てできる事務所も多く、経済的な負担を軽減しながら進められる点も利点です。
ただし、整理しない借金の返済が続けられるかは事前に確認しましょう。
2-5 家族に内緒にしやすい
自己破産や個人再生と異なり、任意整理は裁判所を通さないため、官報への掲載がありません。また、通知や郵送物も事務所によって配慮されるため、家族に知られずに手続きを進めることが可能です。
内緒の借金がある場合や、同居している家族への心理的な配慮が必要な場合には、大きなメリットとなるでしょう。
3章 債権者を選んで任意整理をするときの注意点
任意整理では債権者を自由に選べる反面、注意点も存在します。
注意点を把握しないまま進めてしまうと、手続き後に不利益を被る可能性があるため注意しましょう。
では、債権者を選んで任意整理をするときの注意点を解説します。
3-1 カードを残しても更新時に使えなくなる可能性がある
一時的にクレジットカードが使用できた場合でも、信用情報に任意整理の記録が残ることで、次回の更新時に強制解約されることがあります。
なぜなら、整理対象外のカード会社も信用情報機関を通じて事故情報を確認できるからです。つまり「任意整理に含めなかったからカードが残る」との考えは間違った認識となります。
将来的に一定期間はすべてのカードが使えなくなる可能性が高いため、現金やデビットカードへの切り替えを視野に入れましょう。
3-2 整理しない借金の返済が続けられるか確認する
任意整理では、対象としなかった債務はこれまで通りの条件で返済が求められます。
そのため、整理対象の債務を軽減しても、残った債務の返済が家計を圧迫するようであれば、状況が好転しない可能性が高いでしょう。
対象の借金を除いて整理する場合は、家計簿や収支表を用いて、自分の返済能力を冷静に見極めてから判断する必要があります。生活費や突発的な出費も考慮し、無理のない返済プランを立てましょう。
3-3 ブラックリストの登録は避けられない
任意整理を行った事実は、信用情報機関に事故情報として記録されます。
完済から5年程度は、新規のクレジットカードやローンを組むことができません。債権者を選んで一部のみ任意整理を行っても、事故情報は金融機関全体で共有されるため、審査に影響します。
今後の住宅購入や自動車ローンなど、将来のライフプランに影響を及ぼす可能性があるため、リスクを十分に理解しておくことが必要です。
3-4 ほかの手続きに移行した際に偏頗弁済と判断される可能性がある
任意整理で一部の債権者だけに返済を行い、その後に自己破産や個人再生に切り替えた場合、過去の返済行為が「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と判断される恐れがあります。
偏頗返済とは、特定の債権者だけを優遇して返済することを指し、破産法や民事再生法において問題視される行為です。
免責許可が下りなかったり、再生計画が認可されないリスクがあるため、将来的にほかの債務整理を検討する可能性がある場合は、慎重に判断しなければなりません。
4章 任意整理をしても意味がないケース
任意整理は、借金の負担を軽減させるために効果的な手続きですが、すべてのケースでメリットが得られるわけではありません。
自分の借金の総額や利息の割合などを把握し、ほかの債務整理手段と比較し、検討しましょう。
では、任意整理をしても意味がないケースを解説します。
4-1 借金額が少ないケース
任意整理の費用は債権者1社ごとに発生します。
借金額が少額の場合、手続き費用のほうが高額になる可能性があります。任意整理を行うメリットよりコストが上回ってしまうため、自力での返済を検討するほうが現実的です。
任意整理を検討する目安は、借入額30万円以上です。およそ10万円の支払額が減らせるため、専門家への依頼費用を考えても利用するメリットが大きくなります。
4-2 借金の利息が低いケース
任意整理は、利息や延滞損害金のカットが可能です。
奨学金や公的制度による貸付など、もともと利息が低い借入の場合、任意整理によるメリットはほとんど得られません。
利息が低い借金を中心に借入している場合は、生活の見直しや猶予制度などを利用して対処したほうが効果的といえるでしょう。
4-3 非免責債権が中心であるケース
非免責債権とは、損害賠償金や税金、罰金など、法的に免責が認められない債務のことです。非免責債権は任意整理の対象にならず、交渉しても免除されることはありません。
非免責債権が借金全体の大部分を占めている場合、任意整理の効果がないため別のアプローチが必要です。
ただし、借金の返済が原因で非免責債権を滞納している場合は、債務整理をすることで支払いに集中できるため効果的といえるでしょう。
5章 任意整理を断られる可能性があるケース
任意整理は、借金の整理手段として有効ですが、すべての人が必ず利用できるわけではありません。
状況や条件によっては、司法書士や弁護士から任意整理の手続きを断られてしまうこともあります。
ここでは、任意整理を断られる可能性があるケースを解説します。任意整理を検討する前に、自分の状況が当てはまっていないか確認しておきましょう。
5-1 安定した収入がないケース
任意整理は、債権者と和解した後に分割で返済を続けていく手続きです。
そのため、毎月の返済に充てることができる安定した収入が必要不可欠です。無職や病気などで収入が不安定な場合、返済計画が立てにくいため、専門家から任意整理をすすめられないことがあります。
返済できる収入の確保が難しい場合は、個人再生や自己破産を検討しましょう。
5-2 借金額が大きすぎて返済が難しいケース
借金が高額で、任意整理後に分割返済をしても完済までに時間がかかりすぎると判断された場合、任意整理を断られる可能性が濃厚です。
個人再生や自己破産など、より減額幅が大きい手続きを選択するほうが根本的な解決につながります。
任意整理は、元金が減らない手続きであることを理解しておきましょう。
5-3 債権者が和解に応じないケース
任意整理は裁判所を通さず、債権者との私的な交渉で進めるため、相手側が和解に応じない限り成立しません。よって、債権者によっては方針として任意整理の交渉に応じない場合があります。
また、過去に和解が不成立だった場合も再交渉が難しいケースがあります。事前に交渉の難易度を専門家と確認し、交渉が期待できる相手かどうかを見極めることが重要です。
5-4 過去に債務整理をして間もないケース
過去に債務整理を行ってから期間が短いと、債権者からの信用が低下しているため、再度の手続きが難しくなる可能性があります。
特に、数年以内に同じ債権者に対して整理を行っている場合、再交渉は困難でしょう。
過去に債務整理をした場合は、生活再建のための資金調達を検討し、専門家と相談しながら対応を考える必要があります。
6章 任意整理をするか迷ったら専門家に相談しよう
任意整理を検討しているものの、自分に適しているのか判断がつかないという方は多いでしょう。
任意整理をするか迷ったら、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。借金の総額や収入、家計の状況などをもとに、最適な債務整理の手段を提案してくれるため、任意整理を前向きに検討するきっかけになるでしょう。
また、専門家に相談することで、任意整理に限らずほかの債務整理の選択肢や、公的支援制度の利用可否など、より幅広い情報を得ることができます。
自分だけで判断するのではなく、専門的な視点を取り入れて判断しましょう。
6-1 任意整理以外の債務整理
債務整理の種類は、任意整理以外にも、個人再生と自己破産があります。
個人再生は、借金を5分の1〜10分の1に減額して原則3年で完済を目指す手続きです。元金を大幅に減額できるため、元金が膨れてしまった場合に有効です。
また、住宅ローン特則を利用すれば、家を手放さずに手続きができます。家を手放したくないという理由で任意整理を選ぶ方は、個人再生も検討しましょう。
自己破産は、借金を全額免除してもらう手続きです。すべての借金の返済義務がなくなるため、支払不能に陥った方や事情があって働けない方に有効です。
ただし、一定の財産は処分され、家や車も失ってしまうため注意しましょう。メリット・デメリットを比較して専門家と相談しながら検討しましょう。
7章 債権者を選んで借金を減額したい場合は任意整理がおすすめ!
任意整理は、生活に必要なローンを守りながら、負担の大きい借金だけを整理することができるため、生活の安定と再建が両立できる手続きです。
また、任意整理は家族に知られずに手続きを進めやすく、官報に掲載されないなどプライバシー面でのメリットもあります。
信用情報への影響は避けられませんが、早めに手続きをすることで完済が現実的となり、短期間での信用回復が期待できるでしょう。
任意整理すべきか悩んだら専門家に相談をして、前向きな一歩を踏み出しましょう。
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