無職でも任意整理は可能?収入がなくてもできる方法を徹底解説

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

任意整理
無職でも任意整理は可能?収入がなくてもできる方法を徹底解説

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借金がかさんでしまい毎月の返済が厳しくなったため、任意整理したいけれど、無職の状態でも任意整理ができるのかと心配になる方も多くいます。

任意整理は自己破産と違って借金がゼロにならず、支払いを続けることが必要な手続きです。このことを踏まえ、多くの人は「無職では厳しい」と考えてしまいがちです。

しかし、無職というだけで絶対に任意整理ができないわけではありません。手続ができるケースはあります。無職というだけで泣き寝入りする必要はありません。

ここでは、無職の方でも任意整理が可能となるケースを含め、次の4つについて詳しく解説していきます。

  • 無職のとき選ぶことができる債務整理の種類
  • 無職の方が任意整理を選びたい5つの理由
  • 無職で任意整理ができなくなる3つのケース
  • 無職で任意整理できないときは自己破産

任意整理では解決できない場合でも、他に無職の方が選べる債務整理についても解説していきますので、ぜひ今後の参考にしてください。
他の債務整理についても知りたい人は、下記記事をご参考にしてください。

1章 無職のとき選ぶことができる債務整理の種類

無職であろうとなかろうと、債務整理をする場合の選択肢は、大きく次の3つがあります。

  • 「任意整理」
    選択した債権者と交渉し、原則、金利をカットしてもらい元本のみ3年程度で分割返済する手続
  • 「個人再生」
    すべての債権者に対する返済総額を5分の1程度まで減額し、残りを原則、3年程度で分割返済する手続
  • 「自己破産」
    裁判所に申立てを行い、すべての借金を免除してもらう手続

無職の方が債務整理する場合も、これら3つの方法から選ぶことになりますが、現実的には任意整理と自己破産の二択となります。個人再生は継続的な収入がないと選択できません

そして、返済しないで借金自体がゼロになるのは自己破産だけのため、自己破産は無職の方に負担が少ない方法といえます。

ただし、自己破産は、保有する資産も処分しなければならないといったデメリットもあり、状況によっては別の債務整理のほうがよい場合もあります。

いずれにしても無職の場合には「将来的に収入の見込みがあるか」によって選択できる債務整理が限られます。

そこでまずは、「無職でも任意整理が可能となるケース」について説明していきます。

1-1 無職でも任意整理が可能となるケース

現在無職だとしても任意整理ができないわけではなく、近い将来に収入の見込みがあれば手続は可能です。

任意整理後は、将来利息をカットし残った元本を3~5年程度に分けて返済するため、この期間中に支払いを継続できなければ手続できません。

そのため無職で任意整理ができるケースは、主に次の3つに限られます。

  • 就職による収入の予定がある
  • 専業主婦や学生などで家族が返済を助けてくれる
  • 年金による収入がある

それぞれ詳しく説明していきます。

就職による収入の予定がある

今は無職だけど、就職を予定しており将来的に収入が見込めるという場合であれば、任意整理による手続が可能です。正社員でなくても、毎月の返済が少額で収まる場合には、パートやアルバイトでも収入があれば手続はできます。

ただし働く意思はあり就職先を探しているものの、長期間仕事が見つからないときは、任意整理を選ぶことが難しくなることもあります。

専業主婦や学生などで家族が返済を助けてくれる

専業主婦や学生など扶養されている立場の方の場合、本人は無職でも配偶者や親に十分な収入があり、借金の返済を助けてもらえるのなら任意整理は可能です。

だだし、当然ながら家族の協力が必要なので、手続について打ち明ける必要があります。

年金による収入がある

年金収入だけで生活している方も無職という扱いですが、受給した年金から返済ができるのであれば、任意整理による手続は可能です。

ただし、高齢のため和解条件が厳しくなる、という別の制約がかかる可能性はあります。(分割回数が短くなる等)

2章 無職の方が任意整理を選びたい5つの理由

無職の方が任意整理を選びたい理由は、他の債務整理の方法と違うメリットがあるからです。

任意整理を選ぶメリットとして挙げられるのは次の5つです。

  • 費用を比較的安く済ませることができる
  • 過払い金が戻ってくる可能性がある
  • 就職に影響することがない
  • 家族にバレずに手続できる
  • 所有する資産に影響がない

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 費用を比較的安く済ませることができる

無職であれば収入がないため、所持する現金もあと少し…といったこともめずらしくありませんが、生活も厳しい中で高額な借金整理の費用が必要となれば、手続を諦めてしまいがちです。

しかし任意整理は裁判所を介さず手続できるため、自己破産や個人再生などに比べれば安い費用で手続できます。

2-2 過払い金が戻ってくる可能性がある

何年にも渡り借金を返済し続けた方の中には、過払い金が発生しているため任意整理と同時に過払金請求することで、払い過ぎた利息を返してもらえる可能性があります。

毎月の借金の返済額を少なくするために手続したつもりが、手元のお金を増やすことに繋がることは、無職で収入がない方にとっては大きなメリットです。

なお、過払い金について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

2-3 就職に影響することがない

今は無職でも就職する予定がある方の場合、任意整理の手続が就職に影響するのではないか?といった不安を感じることもあるようです。

しかし、任意整理は債権者とのみ交渉を行う手続のため、その事実が就職先に伝わるといったことはありません。安心して手続ができます。

2-4 家族にバレずに手続できる

家庭の事情により、借金を抱えていることを内緒にしている方もいるでしょうが、任意整理による手続が家族に知られることもありません。

家族が保証人になっている借金があり、任意整理することを知られたくないという場合には、その債務を外して手続ができます

なお先述したとおり、家族の協力を得る必要がある場合には内緒にしておくことはできません。

2-5 所有する資産に影響がない

家や車などを所有しているとき、任意整理すると処分しなければならないのか?と不安を感じる方もいるようですが、任意整理では保有する資産に影響を及ぼすことはありませんので安心して手続できます。

3章 無職で任意整理ができなくなる3つのケース

無職でも任意整理できる方や手続によるメリットを解説していきました。

しかしすべての無職の方が任意整理により借金を整理できるわけではありません。

任意整理による手続ができなくなるのは、次の3つのケースです。

  • 安定した収入が見込めないとき
  • 債権者が交渉に応じてくれないとき
  • 借金総額が大きいとき

それぞれ詳しく説明していきます。

3-1 安定した収入が見込めないとき

今は無職だとしても、今後は就職して収入を得る予定があるのなら任意整理はできます。

ただし任意整理後は3~5年程度で完済することが必要なため、短期バイトや期限付の雇用契約など不安定な収入の場合には、債権者が交渉に応じてくれず手続できない場合もあります。

3-2 債権者が交渉に応じてくれないとき

完済する可能性が見込めないときには、債権者に交渉しても任意整理に応じてもらえない可能性は高くなります。

そもそも任意整理そのものに応じてくれない債権者も存在し、仮に応じてくれても返済期間を制限されたり利息を要求されたりといったケースもあるため、任意整理自体が厳しい債権者もいると留意しておいてください。

3-3 借金総額が大きいとき

借金の総額が大きく、仮に就職し収入を得るようになっても、完済まで5年以上かかる場合には任意整理による手続は不利となります。

たとえば借金総額が180万円の場合、5年(60か月)で分割払いすると、毎月の返済額は3万円です。

就職後に毎月の給料から3万円程度ずつ返済できるのなら、たとえ今は無職でも任意整理で手続できると考えられます。

どのくらいの債務の額なら任意整理が可能となるかはケースバイケースのため、まずは専門家に相談することをオススメします。

4章 無職で任意整理できないときは自己破産

就職先も見つからず、今後何の収入の見込みもなく家族の支援も得られないという場合、任意整理で借金を整理することは難しいと考えられます。

この場合、任意整理ではなく自己破産を選択するべきですが、

  1. 無職の方が自己破産で手続するメリット
  2. 無職の方が自己破産するデメリット

の2つについて解説していきますので、それぞれ内容を把握した上で検討するようにしてください。

4-1 無職の方が自己破産で手続するメリット

任意整理では3~5年程度で返済を続けるという要件を満たさなければならないのに対し、自己破産では支払いできない状態にあることが要件となります。

その上で、無職の方が自己破産で手続するメリットとして挙げられるのは次の4つです。

  • 無職なら支払不能と認められやすい
  • 就職先が決まらなくても手続可能
  • 次の就職先に影響はなし
  • 新たな気持ちで人生をスタートできる

それぞれ詳しく解説していきます。

無職なら支払不能と認められやすい

自己破産の手続をするときには、支払いができない状態になっていることが前提条件ですが、無職であれば収入がないため認められやすいと考えられます。

もちろん、ただ何もせず無職というのではなく、就職活動をしているがどうしても見つからないとか、就職活動ができない何らかの事情があるといった説明は必要です。

就職先が決まらなくても手続可能

就職先を探しても、なかなか見つからないため無職の状態が続いている方も中にはいます。しかし自己破産の手続は、就職先が決まらず今後の収入が見込めなくても手続できることがメリットです。

次の就職先に影響はなし

いずれは就職したいと考えている方の場合、自己破産による手続が就職先に伝わり、何か影響が及ぶのでは…と不安になるものでしょう。

しかし自己破産した事実が今後の就職先に伝わることはなく、先の就職に影響することはありません

新たな気持ちで人生をスタートできる

任意整理で手続をしても返済は続きますが、自己破産であれば借金自体が免除されるため、ゼロから心機一転スタートしやすいことがメリットです。

無職から新しい生活を再建させていく準備期間として、前向きに捉えることもできるでしょう。

4-2 無職の方が自己破産するデメリット

無職の方が自己破産の手続をすることにはいろいろなメリットがあると考えられますが、よいことばかりではありません。当然ながらデメリットもあります。

無職の方が自己破産するデメリットとして挙げられるのは次の4つです。

  • 免責不許可事由に該当すれば借金は免除されない
  • 所有する資産を失う
  • 職業制限に該当すると仕事ができなくなる
  • 手続にかかる費用は任意整理より高額

それぞれ詳しく説明していきます。

免責不許可事由に該当すれば借金は免除されない

無職で支払い不能状態にある場合でも、「免責不許可事由」に該当する理由で借金が増えたのなら、自己破産しても借金は免除されなくなります。

免責不許可事由として挙げられるのは、たとえばギャンブルや浪費による借金などです。

ただし例外的に、浪費やギャンブルなどで免責不許可事由に該当するとされた場合でも、裁判官の判断で免責となる「裁量免責」が認められることもあります。

なお、免責不許可事由・裁量免責について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

自分名義の資産を失う

無職の方でも家や車など資産を保有している場合、自己破産では処分の対象となるため、資産を失いたくないという方にとってはデメリットといえます。

ただしすべての資産を処分しなければならないのではなく、原則として99万円以内の範囲で財産を残すことはできます。

職業制限に該当すると仕事ができなくなる

資格を持っているものの、療養中ですぐに就職できないというケースもあるでしょう。

自己破産の手続期間中は「職業制限」により、

  • 宅建業・宅地建物取引士
  • 生命保険募集人
  • 警備員
  • 旅行業務取扱登録者

などの仕事はできなくなります。

ただし、免責許可が決定したことが確定すれば、元通り仕事をすることは可能です。

手続にかかる費用は任意整理より高額

自己破産は任意整理よりも手続に費用がかかることがデメリットです。

裁判所による手続が必要になることや、自分で手続することは難しいため、司法書士や弁護士など専門家に依頼すれば報酬もかかるからです。

さらに自己破産には同時廃止と管財事件という2種類があり、どちらに該当するかによって裁判所に払う予納金も異なります。

債務の総額にもよりますが、同時廃止では20万円、管財事件では50万円の「予納金」が発生します。

無職の場合には収入がなく、自己破産したくても手続にかかる費用を準備できず、どうすればよいかわからなくなることもめずらしいことではありません。

4-3 無職の生活保護受給者であれば自己破産なら可能

無職で生活保護を受給している方でも、自己破産による手続は可能です。

「生活保護制度」は憲法で保障される生存権を制度化しているため、国民が健康で文化的な最低限度の生活を送るために存在します。

生活保護制度で支給される「生活保護費」は、家賃や水道光熱費、生活するための必需品など購入するための資金であり、借金の返済に充てることは許されません

そもそも任意整理したくても、債権者が生活保護費から返済を続けることに応じてくれることはないと考えられます。

仮に生活保護費を借金の返済に充ててしまい、それが自治体に知られれば支給は打ち切りとなる可能性が高くなります。

そのため、無職の生活保護受給者は、自己破産により借金をゼロにする方法しか選べないとも言えるでしょう。

まとめ

たとえ無職でも、今後は就職する予定があるなど安定した収入の見込みがあれば、任意整理により借金の整理が可能です。

ただしすべての無職の方ができる手続ではなく、状況によっては任意整理ではない他の方法を選んだほうが良い場合もあります。

任意整理が難しい場合には自己破産を選ぶことになるでしょう。しかし、この場合にもメリット・デメリットがあり、そもそも無職で所持金が乏しい状況の中、自己破産手続にかかる高額な費用負担は無理だという場合もあるでしょう。

もし借金を整理したいけれど、無職でどうすればよいかわからないと迷ったときには、グリーン司法書士法人グループへ一度相談してみてください

それぞれの事情に応じて、どの方法が最も解決への近道か一緒に考え、最善の方法を提案させていただきます。

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借金の返済が難しいときには、債務整理も有効です。
債務整理には個人再生や任意整理、自己破産などいくつかあるので自分に合うものを選びましょう。
債務整理に詳しい司法書士や弁護士に相談するのもおすすめです。
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