老後破産したら生活はどうなる?破産の原因と子どもへの影響を解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
老後破産したら生活はどうなる?破産の原因と子どもへの影響を解説

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 この記事を読んでわかること

  • 老後破産したら最低限以外の財産を失ってしまう
  • 老後破産の手続きでは家や車が引き上げられてしまう
  • 子どもが連帯保証人になっている場合は子どもに支払い義務が移る
  • 財産を失わない債務整理の手続きもあるので早めの相談がおすすめ

近年の物価の高騰により、生活が苦しいと感じている方も少なくありません。特に、年金暮らしをしている高齢者の老後破産が増えており、今後もますます増えると予想されています。

2024年には、老後は4,000万円が必要との見解もあり「こんなに老後の資金を貯められないのでは」と大きく話題となりました。何かと暗い話題が多く、自分が老後破産したらどうなるのだろうと心配に思うのではないでしょうか。

この記事では、老後破産したらどうなるのかを解説します。老後破産しやすい原因と子どもへの影響を解説するので、老後破産しそうな方や将来が心配な方は参考にしてください。

1章 老後破産とは?

老後破産とは、定年退職後の高齢者が、生活費や医療費、介護費用などが原因で借金が膨らんでしまい経済的に破綻する状態のことです。

年金だけでは十分な生活費をまかなえず、貯蓄を使い果たした結果、借金に頼るようになり、返済が困難になることにより老後破産が起こりやすくなります。

年金の少なさや医療・介護費用の増加、孤独などの問題が背景にあり、特に一人暮らしの高齢者に多く見られる傾向があるでしょう。

2章 老後破産したらどうなる?

物価の高騰や実質賃金の減少など近年の社会情勢を見ても、決して老後破産は対岸の火事ではないと感じている方も多いかと思います。

まずは、老後破産に陥ったらどうなってしまうのか見ていきましょう。

2-1 家族や親戚の支援が必要になる

老後破産すると、十分な収入や貯蓄がなく年金だけでは生活が維持できないため、日常的な生活費の負担を家族が肩代わりすることが多くなります。

特に、介護が必要な場合や医療費がかかる場合、家族の経済的負担も時間的負担も増える可能性があります。また、家族が経済的な援助をできない場合、公的支援や福祉サービスを頼る必要もあるでしょう。

2-2 生活保護を受給しなければいけない

生活保護とは、最低限の生活を維持するために国や自治体から食費や家賃、医療費などが支給される制度です。しかし、受給するには資産や収入状況の審査があり、条件を満たす必要があります。

老後破産で財産を失うと、最低限の生活費がまかなえなくなり、生活保護を受給せざるを得なくなる可能性があります。

また、生活保護を受けることで生活の最低限は保障されますが、贅沢や余裕のある生活は難しくなるため、経済的な自由が制限される可能性があるでしょう。

2-3 再雇用で働く必要がある

年金や貯蓄だけでは生活が維持できない状況のため、少しでも収入を得るために、シニア向けの再雇用やアルバイトなどの仕事に就く必要があります。しかし、再雇用の多くはフルタイムではなく、短時間労働やパートタイムの形式が一般的なため、多くの賃金が得られない可能性もあるでしょう。

また、年齢や健康状態によっては働くこと自体が難しい場合もあるので、その場合は生活保護や公的支援に頼らざるを得ない状況になります。

2-4 病院に通うのが難しくなる

老後破産により医療費を払う余裕がなくなるため、必要な治療や定期的な通院を続けることが難しくなります。

慢性疾患や高齢者に多い持病を抱えている場合は定期的な医療ケアが必要ですが、費用が負担になり、通院を諦めざるを得ない状況になる恐れもあります。

また、交通費や薬代も生活費を圧迫するため、医療サービスを受けること自体が難しくなる可能性も考えられるでしょう。

2-5 食費や光熱費が払えなくなる

生活費が足りないため、食事の回数や質を減らしたり電気を節約したりする必要に迫られる可能性があります。

特に、寒い冬や暑い夏の光熱費は大きな負担となるため、エアコンやストーブを使わない生活をして健康に悪影響を与えてしまうケースも少なくありません。

食費や光熱費すらままならない状態の場合、生活保護などの公的支援の利用を検討するのがおすすめです。早めに支援の活用をして、安定した生活を取り戻しましょう。

2-6 娯楽に使えず人付き合いがなくなる

経済的に余裕がなくなると、友人や家族との外食や旅行、趣味活動などの娯楽に費やすお金が捻出できなくなり、結果として社会的な交流の機会が減ってしまいます。

人付き合いは孤独感を和らげるので、イキイキとした生活を送るために大切ですが、破産によってその機会が失われるため心の健康にも悪影響を与える可能性があるでしょう。

3章 老後破産しやすい原因とは?

高齢者になると、仕事を退職して年金で暮らしていく必要があります。そのため、老後の資金が足りずに破産してしまう原因につながるでしょう。

特に、高齢者の場合は収入がない分、支払い負担が大きくなるため老後破産しやすくなります。では、老後破産しやすい具体的な原因を見ていきましょう。

3-1 年金の受給額が少ない

日本の公的年金制度では、年金額は現役時代の収入や納付期間に応じて決まります。しかし、非正規雇用や自営業だった方などは十分な額を受け取れないケースも少なくありません。

年金だけでは日常の生活費や医療費をまかなえないため、貯蓄を使い果たしたり、借金に頼らざるを得なくなり、結果として老後破産に陥るリスクが高まるでしょう。

3-2 住宅ローンの返済が残っている

定年退職後、年金だけで生活する場合は住宅ローンの返済が大きな負担となります。

特に、退職金や貯蓄をローン返済に充ててしまうと、生活費や医療費などの必要経費が不足し、生活が苦しくなる可能性が高いでしょう。

また、ローンが返済できない場合は家を手放さざるを得なくなるため、住宅ローンの残債と家賃の支払いが重なってしまい老後破産の原因となります。

3-3 老後の資金が少ない

老後の生活は、日常の生活費だけではなく医療費や介護費用などが必要になる場合が多く、想定以上の支出が発生することがあります。

老後の資金が少ないと、年金だけではこれらの費用をまかないきれず、貯蓄を使い果たしてしまう可能性があるでしょう。さらに、収入源が限られるため、結果的に借金に頼ることになり、返済ができずに経済的に行き詰まるリスクが高まります。

最近では単身者で3,000万円、夫婦の場合は5,000万円以上の老後資金が必要と言われています。

3-4 学費や仕送りなどの負担が大きい

老後も子どもの大学費用や生活費を支援している場合、貯蓄や生活資金が減少し、生活費や医療費に充てるお金が不足するリスクが高まります。

定年退職後の収入が減少する時期に多額の教育費や仕送りを続けると、自分の生活を維持するための資金が足りなくなり、借金を抱える原因につながるでしょう。

特に近年では、晩婚化により、60代以上になっても仕送りが必要なケースが増えています。

3-5 医療費や介護費の負担が大きい

高齢になると、病気やケガが増えて定期的な通院や入院が必要になったり、介護サービスを利用する機会が増えたりするケースが一般的です。

長期的な介護や入院が必要な場合など、費用がかさむと医療費や介護費が重くのしかかり、貯蓄を使い果たしてしまうリスクが高まります。医療費や介護費を払うために借金に頼ることになり、老後破産に陥る原因となるでしょう。

3-6 悪徳業者や詐欺に遭ってしまう

高齢者は、詐欺や悪質な投資話、悪徳業者による商法のターゲットになることが多く、騙されて大きな金額を失う恐れがあります。

例えば、保証された高利回りを謳う投資話や、不要な高額商品を押し売りされることが典型的な例です。一度大金を失ってしまうと、生活費や医療費が払えなくなるため借金を抱える可能性が高まります。

こうした詐欺被害に遭うことで、老後破産に陥るリスクが増すため、詐欺に遭わないためにも家族や市区町村の窓口などに相談をして信頼できる人物の助言をもらうようにしましょう。

4章 老後破産による子どもへの影響は?

老後破産すると、借金が全てなくなる代わりに必要最低限以外の自分の財産を失ってしまいますが、基本的に配偶者や子どもに影響が出るわけではありません。

しかし、状況によっては配偶者や子どもに影響が及ぶ可能性もあるので注意しましょう。ここからは、老後破産することによる配偶者や子どもへの影響を解説します。

4-1 連帯保証人になっている場合は支払い義務が移る

子どもが借金の連帯保証人になっている場合、その支払い義務が子どもに移ってしまいます。

連帯保証人は、契約者が借金の返済を滞納した場合、代わりに全額を支払う義務があるため、親が破産して借金の返済ができなくなると、子どもがその返済を肩代わりしなければなりません。

連帯保証人として契約している限り、法律上の責任を免れないため、子どもが自分の生活に加え、親の借金まで背負うことになります。

子どもの生活に大きな影響を与えるため、もし連帯保証人になっている場合は老後破産をする前に子どもとしっかり話し合ってからにしましょう。

4-3 借金を残したまま亡くなると借金が相続される

親が借金を残したまま亡くなると、その借金が子どもに相続されてしまいます。親の遺産を相続する場合に、財産だけでなく借金も一緒に引き継ぐことになります。

そのため、親が多額の借金を抱えた状態で亡くなった場合、子どもがその借金の返済義務を負うことになるので注意が必要です。

ただし、借金の相続を避けるために相続放棄という手続きを取ることもできます。相続放棄をするとプラスの財産を相続しない代わりに借金も相続しなくてよいので、多額の借金がある場合に有効です。

親の借金がある場合は、亡くなる前に借金問題を解決しておくようにしましょう。

5章 借金の返済が難しくなったら老後破産を検討しよう

生活苦による借金が返済不能に陥ったり住宅ローンなどの返済が難しくなったりした場合、老後破産を検討しましょう。

老後破産は、借金自体を免除できるため支払い義務がなくなります。そのため、今後借金に追われることなく生活を立て直せるメリットがあります。ただし、持ち家に住んでいる場合や自家用車に乗っている場合は引き上げられる可能性があるので注意しましょう。

今後の生活に困る可能性がある場合は、老後破産に陥る前に別の債務整理を検討するのもおすすめです。債務整理は、自己破産以外にも2つの種類があります。それぞれの特徴をまとめたのでご確認ください。

債務整理の種類手続きの方法こんな人におすすめ
任意整理利息や手数料など元金以外の支払いをカットする手続き借金の返済が長期化して利息が膨らんでしまった人
減額する借金を選んで返済したい人
個人再生借金そのものを大幅にカットして完済を目指す手続き借金の総額が大きい人
家や車など失いたくない財産がある人
自己破産借金自体を免除して支払い義務をなくす手続き完済の目処が立たず返済不能に陥った人
経済的に厳しくこれ以上返済ができない人

任意整理や個人再生を選ぶと、家や車を残したまま借金を減額できます。返済が厳しいと感じたら、早めに専門家に相談し、老後破産を含めた債務整理を検討するようにしましょう。

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5-1 年金は債務整理で処分の対象外

債務整理をすることで、年金を失ってしまうのではと心配に思う方もいるかもしれません。しかし、年金は生活を維持するために必要な収入源と見なされているため、法律で保護されています。

もし老後破産を選んでも、年金の受給そのものが差し押さえられることはありません。つまり、借金を免除してもその後の年金は引き続き受け取ることができ、最低限の生活が維持できます。

ただし、年金が振り込まれた口座に一定以上のお金が入っていた場合や個人年金に加入していた場合は処分の対象になります。そのため、借金の総額によっては任意整理や個人再生で返済を続けるほうがよいでしょう。

5-2 成年後見人が必要になる場合がある

高齢化により判断能力を失い、自分で財産管理や契約が難しくなっている場合は成年後見人が必要になるので注意しましょう。

認知症や精神的な障がいなどが原因で、日常の生活費管理や借金返済などの重要な意思決定ができなくなった場合、家族や第三者が成年後見人として選任されます。

成年後見人に選任された人物が、借金問題の対応や財産の管理などのサポートをしてくれるため、判断力が低下したことにより借金を繰り返していると感じたら早めに検討するのがおすすめです。

6章 老後破産したら財産を失う可能性あり!早めに専門家に相談しよう

老後破産したら、必要最低限以外の財産を失ってしまうため、返済不能に陥る前に早めに専門家に相談することが大切です。債務整理では、老後破産の手続き以外にも任意整理や個人再生など財産を失わずに借金を減額できる手続きがあります。

グリーン司法書士法人では、債務整理のプロが一人一人に合った最適な方法を提案します。初回相談は無料のため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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