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医療費は診療に対する報酬の債権として扱われ、患者にとっては金融機関からの借金などと同様に債務のひとつです。
そのため、病気やケガなどで医療費が払えないとお悩みの人は、自己破産をすれば医療費の返済義務がなくなります。
一方で、未払い分の医療費が過度な美容整形によるものなどは浪費と捉えられる可能性があり、自己破産の免責不許可事由に該当する場合には自己破産が裁判所に認めてもらえない恐れもあるのでご注意ください。
本記事では、医療費が原因で自己破産できるのか、医療費の支払いが難しいときの対処法を解説します。
自己破産に関しては、下記の記事でも詳しく解説しています。
目次 ▼
1章 未払いの医療費は自己破産できる
医療費は非免責債権に該当しないため、未払いのまま滞納してしまった医療費も自己破産により返済義務を免除可能です。
自己破産で免責できる債権のことを一般に「破産債権」などと言います。
これに含まれないものは破産しても免責されませんが、その代表例は年金、税金、保険料、養育費などです。
そのため、急な病気や怪我をして仕事もなくなり経済的に困窮した人も、自己破産をすれば医療費問題を解消できます。
ただし、すべてのケースで医療費の滞納問題を解決できるわけではありません。
次の章で詳しく解説していきます。
2章 医療費未払いの問題が自己破産で解消できないケース
先ほど解説したように、未払いの医療費は自己破産をすれば、基本的に返済義務が免除されます。
一方で未払いの医療費の内容や保証人がついている場合には、自己破産では未払いの問題が解消できないケースもあるのでご注意ください。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 自己破産の免責不許可事由に該当するとき
自己破産にはいくつかの免責不許可事由が設定されており、該当する場合には自己破産が認められない可能性があります。
自己破産の免責不許可事由のひとつに、「借金の原因が収入に見合わない浪費」が設定されています。
例えば、未払いとなった医療費が美容整形などのケースでは、裁判所に浪費と判断され免責不許可事由に該当してしまう恐れがあるのでご注意ください。
ただし、免責不許可事由に該当するからといって、すべてのケースで自己破産できないわけではありません。
免責不許可事由に該当するケースでも裁量免責といって、裁判所が個別に判断し免責を認めてくれる場合もあります。
自分が滞納している医療費が自己破産の免責不許可事由に該当するかどうか不安な場合には、債務整理に詳しい司法書士や弁護士に相談するのも良いでしょう。
2-2 未払いの医療費に保証人がついているとき
未払いのまま滞納した医療費に保証人がついている場合には、自己破産をしても本人の返済義務しか免除されません。
自己破産はあくまで申し立てた本人の借金の返済義務を免除してもらう手続きであり、保証人の返済義務は残ります。
従って、未払いの医療費を自己破産した場合、病院側は保証人に対して一括請求を求める可能性が高いでしょう。
3章 自己破産後も医療サービスは受けられる
なお、自己破産をして医療費の未払い分の返済を免除してもらった後も、医療サービスは問題なく受けられます。
ただし、医療ローンは自己破産後5〜7年間は組めない可能性が高いのでご注意ください。
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 医師は正当な事由なく診療を拒んではならないと決まっている
自己破産して未払いだった医療費の返済義務が免除された後も、病院側に受診や治療を断られることはないのでご安心ください。
医師には応召義務があり、正当な理由なく治療を拒むことはできないと決められているからです。
支払い能力がなく医療費を払えないことは、治療を拒む正当な理由には該当しないので、治療は問題なく受けられます。
一方で、収入が安定していて支払い能力があるにもかかわらず医療費を支払わないのは、治療を拒む正当な理由に該当します。
3-2 自己破産後5~7年は医療ローンを組めない
病気やケガで高額な医療費がかかる際には、一括払いが難しく医療ローンを組みたいと考えることもあるでしょう。
しかし、自己破産後5〜7年間は医療ローンを組めない可能性が高いです。
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。
医療ローンを組むときには、信用情報機関で債権者の信用情報を照会します。
信用情報照会時に事故情報が登録されていると、「きちんと支払いできない恐れがある」と判断され審査に落とされる可能性が高いです。
ただし、自己破産後に信用情報機関に事故情報が登録されるのは、5〜7年です。
そのため、自己破産をして7年以上経過すれば医療ローンを組める可能性もあります。
4章 医療費の支払いが難しいときの対処法
医療費の支払いが難しくなったときには、自己破産以外にもいくつか選択肢があります。
自己破産は借金の返済義務をすべてなくせる一方で、デメリットも大きい制度です。
そのため、医療費の支払いが難しいと感じたときには、すぐに自己破産を選択するのではなく、デメリットが少ない他の対処法がないか検討しましょう。
医療費の支払いが困難になったときの対処法には、公的支援や医療保険を活用する、他の債務整理を検討するなどの方法があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1 公的支援を受ける
日本では何らかの理由で医療費の支払いが難しくなった人向けに、いくつかの公的支援が用意されています。
急な病気やケガで高額な医療費がかかったときや治療が原因で仕事ができなく医療費を工面できないときには、下記の支援の利用もご検討ください。
公的支援 | 特徴 |
---|---|
高額療養費制度 |
|
高額医療費貸付制度 | 高額療養費制度で払い戻しをしてもらうまでの間、医療費を無利子で借りられる制度 |
傷病手当金 | 病気やケガが原因で3日以上休んだときに、勤務先の健康保険から給料の約3分の2を受け取れる制度 |
医療費控除 | 1年間で払った医療費の金額が一定額以上の場合は確定申告を行えば、所得税の還付を受けられる制度 |
生活保護制度 | 病気やケガなどが原因で働くことができず、生活保護を受けている人は医療費の本人負担が原則として免除される |
急な病気やケガで医療費の支払いにお悩みの人は、自分がどの制度を利用すれば良いのかすぐに判断できない人も多いはずです。
4-2 医療保険の保険金・給付金を申請する
健康なときから医療保険に加入していれば、入院や手術などで医療費の負担が大きくなったときに保険金や給付金を申請可能です。
生命保険会社が提供している医療保険に加入しておけば、毎月一定の保険料を払うかわりに不測の事態が発生したときに保険金や給付金を受け取れます。
入院や手術などで高額な医療費がかかると予想できる場合には、あらかじめ加入している生命保険会社に連絡し、保険金や給付金の申請方法や必要書類を確認しておきましょう。
4-3 債務整理をする
債務整理は自己破産だけでなく、下記の種類があります。
債務整理の種類 | おすすめな人の特徴 |
---|---|
自己破産 |
|
個人再生 |
|
任意整理 |
|
特定調停 |
|
自己破産は他の債務整理と比較して、借金の返済義務をすべてなくせるメリットがある一方で、財産を手放す必要があるなどデメリットも大きい制度であり、すべての人に利用をおすすめできるわけではありません。
借金が未払いとなっている医療費のみであれば、自己破産以外の債務整理で解決できる可能性もあるでしょう。
債務整理はそれぞれメリットとデメリットがあり、借金の内容や金額、収入や資産状況によっても取るべき選択肢が変わってきます。
自分でどの債務整理が合っているか判断するのは難しいので、医療費の支払いが難しいと感じたときには債務整理に詳しい司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
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まとめ
未払いの医療費は借金のひとつに分類されるので、自己破産をすれば返済義務をなくせます。
病気やケガなどで医療費がかさみ、自力での返済が難しい場合には自己破産をはじめとする債務整理を検討するのが良いでしょう。
ただし、自己破産にはデメリットもありますし、未払いの医療費に保証人がついている場合には自己破産後は保証人に請求がいってしまいます。
本当に自己破産しか選択肢がないのか、他に取るべき方法がないのか判断するためには、債務整理に詳しい司法書士や弁護士に相談するのがおすすめです。
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よくあるご質問
- 自己破産すると医療費はどうなる?
- 自己破産をすれば医療費の返済義務がなくなります。
ただし、過度な美容整形によるものなどは浪費と捉えられる可能性があり、自己破産出来ない可能性もあります。
医療費の自己破産について詳しくはコチラ