退職金と貯蓄だけでは老後の資金が不安?定年後の資金計画対処術とは

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
退職金と貯蓄だけでは老後の資金が不安?定年後の資金計画対処術とは

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50代になると定年が近づいてきたと感じ、引退後の生活について考え始める人も多いです。
一般的には、50~60代は役職定年や定年退職後の再雇用などにより、収入が減少しやすい時期でもあります。

その一方で、子供の年齢や住宅購入時期によっては教育費や住宅ローンの負担が重く、収入が減少することに不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
退職後の生活を安定させお金に関して不安のない状態で老後を迎えるには、50代から資金計画を立てておくことが重要です。

また、すでに収入が減少していて住宅ローンの返済に悩んでいる人や現時点で借金を抱えていて自力返済が難しい人は、早い段階で借金問題について司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。

本記事では、老後の資金計画の立て方について解説します。

1章 退職金を賢く活用するためのステップガイド

退職金はあくまで福利厚生の一環であり、法律上義務化されているわけではありません。
退職金の有無や金額によっては勤務先ごとで差が大きいため、勤務先の退職金規定を確認し自分がいくら退職金を受け取れるのかを調べておくことが大切です。

なお、退職金の平均額は勤務先だけでなく学歴によっても変わり、平成30年就労条件総合調査によると学歴別の平均額は下記の通りです。

  • 大学・大学院卒:1,983万円
  • 高校卒(管理・事務・技術職):1,618万円
  • 高校卒(現業職):1,159万円

※勤続20年以上かつ45歳以上の退職者
※退職金の金額は退職一時金と退職年金(年金現価)の合計

上記を踏まえ、退職金の使い道や配分方法について詳しく見ていきましょう。

1-1 退職金の現実的な配分方法

退職金は退職後の従業員や家族の生活を支えるために支給されるお金であり、定年退職後の老後資金として活用を考えている人も多いはずです。
とはいえ、先ほど解説したように勤続年数が20年を超えた人の退職金は1,000万円以上になるケースも多いため、資産の配分方法に気を配る必要があります。

具体的には、退職金を受け取ったら下記のように配分を検討するのが良いでしょう。

  • 老後の生活費
  • 住宅ローンや教育ローンの一括返済
  • 不測の事態に備えた貯金
  • 投資

住宅購入時期によっては定年退職時に住宅ローンの返済をしている人もいるはずです。
その場合は、退職金を活用して住宅ローンを一括返済してしまえば、金利分を節約できます。

また、退職金を数十年かけて老後資金として活用する場合は、普通預金で貯めておくのではなく投資信託や株式などを購入すれば配当収入や売却益を得られる可能性があります。

1-2 不測の事態に備える貯蓄計画の立て方

メガバンクの普通預金金利は0.001%に設定されている低金利時代では、退職金を預貯金として保有しても増やせないと感じる人も多いはずです。
2024年から始まる新NISAなど投資の非課税制度も充実してくる中で、預貯金ではなく退職金を投資によって運用したいと考える人もいるでしょう。

しかし、退職金をすべて投資に回してしまうと、不測の事態に対応できない恐れがあります。
具体的には、下記の状態になり資産を引き出せない、損をしてしまう可能性があります。

  • お金が必要なタイミングで投資信託や株式を売却できない
  • お金が必要なタイミングで投資信託や株式を売却したら損失が発生した

上記の事態を防ぐためにも、退職金はすべて投資に回すのではなく一定額は貯金として保有するのがおすすめです。
具体的には、生活費の半年分程度を預貯金で保管しておくと良いでしょう。
例えば、1ヶ月の生活費が25万円であれば「25万円×6ヶ月=150万円」は預貯金で確保しておくと安心です。

2章 貯蓄不足を補う!退職後の資金繰りテクニック

老後の収入源のひとつに年金制度がありますが、令和3年の平均年金受給額は国民年金が51,514円、老齢厚生年金と合計した平均受給額は145,665円となっています。
例えば、サラリーマンをしていた夫と専業主婦をしていた妻であれば、年金は約197,179円もらえる計算です。

一方で、家計調査年報によると65歳以上の無職夫婦の消費支出は 224,436円という結果が出ています。
したがって「224,436円-197,179円=27,257円/年」の不足分に関しては退職金やこれまで貯めたお金で賄わなければなりません。

老後の生活に苦労しなくてすむように、50代のうちから老後資金の用意や資金計画を立てておきましょう。

2-1 予期せぬ出費に対応する秘策

老後資金の準備をする際には、年金で補いきれない生活費を貯めるだけでなく、予期せぬ出費に備えておくことも大切です。
50代以降になると、下記の事態により出費が重なる可能性があります。

  • 自分や配偶者の病気
  • 両親の介護
  • 家のリフォームや車の買い替え
  • 子供の結婚費用や住宅購入費用の援助

例えば、生命保険文化センターが行った調査によると、月々の介護費用の自己負担分は約8.3万円、介護期間は平均5年1ヶ月とされています。
「8.3万円×5年1ヶ月(61ヶ月)=約506.3万円」の費用がかかる計算になり、これだけのお金を親が用意しているのか、年金で賄えるのかの確認は必要でしょう。

2-2 貯蓄と退職金のバランスをとるポイント

「退職金で老後資金をすべて用意できるのか」と不安を抱えている人も、中にはいるのではないでしょうか。
本記事で解説したように、老後資金は①年金のみで不足してしまう生活費②不測の事態に備えたお金を用意する必要があります。

それぞれいくら必要なのかは、老後の生活スタイルや両親が介護費用を用意できそうかなどによって1人ひとり変わってくるはずです。
したがって、退職金で老後資金をすべて賄えるのか不安な場合は、老後資金としていくら用意すべきかの計画を立てる必要があるでしょう。

自分で老後資金の計画を立てるのが難しいのであれば、ファイナンシャルプランナーに相談してみるなどもご検討ください。

3章 退職金を使い切らないための支出管理術

退職金を使い切って老後資金が枯渇してしまうのを防ぐためには、毎月の支出を抑える工夫も必要です。
定年退職して多額の退職金が入ったことに気が緩み、支出を減らせず老後破産してしまう事態は避けなければなりません。

退職金の浪費を防ぐには、毎月の固定費削減や定年退職後も年金以外の収入源を得る工夫が必要です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 毎月の固定費削減の秘訣

老後は年金収入がメインになるため、生活費の中で無駄を減らし支出を抑える工夫が必要です。
生活費を節約する際には、一度実行すれば節約効果が持続する固定費から削減してみましょう。

老後の固定費を節約したいのであれば、下記の方法がおすすめです。

  • 住宅ローンの繰り上げ返済・借り換え
  • 光熱費の見直し
  • 通信費の見直し
  • 保険の見直し
  • 車の維持費の見直し

例えば、定年退職後も住宅ローンの返済期間が続くのであれば、退職金で一括返済してしまえば金利を支払わずにすみます。
退職金で一括返済が難しい場合でも、変動金利の安い住宅ローンに借り換えるだけで、金利の差額分を節約可能です。

他にも、子供がすでに実家を出て独立している場合や電気の契約アンペアを見直す、車を軽自動車に買い替えるなどで生活費を下げられます。
各家庭によって節約すべきポイントは異なるため、優先順位をつけて固定費カットを始めてみてはいかがでしょうか。

3-2 収入源を増やすための戦略

老後資金の不足に悩む場合は、定年退職後も年金のみに頼るのではなく、収入源を確保する意識を持ちましょう。
定年退職後に収入を得る方法は、主に下記の通りです。

  • 勤めていた会社で再雇用制度を利用して働く
  • パートやアルバイトで働く
  • 趣味や特技を活かした仕事をする

定年退職に再雇用制度を利用して働くことは政府も後押ししており、2023年4月以降は70歳までの就業機会の確保が義務付けられるようになりました。
60歳になり定年退職したら一切働かないと決めるのではなく、自分の健康状態や理想とする老後の過ごし方を意識し、自分に合う働き方を見つけるのが良いでしょう。

4章 リスクを恐れずに退職金を増やす方法

2023年における日本人の平均寿命は男性が 81.05年、女性は87.09年であり、60歳で定年退職した後も20年以上にわたり生活が続く可能性があります。
老後資金の枯渇を防ぐためには、貯蓄だけに頼らず退職金や余剰資金を投資に回して増やすことも検討しましょう。

本章では、退職金の運用方法や老後資金を投資で用意する方法について解説します。

4-1 低リスクで退職金を増やす投資術

メガバンクの普通預金金利は0.001%に設定されている低金利時代では、老後資金を貯金のみで貯めるのはあまり現実的ではありません。
2024年から始まる新NISAは非課税期間が無期限になるため、老後資金を長期運用で積み立てるのにも適しています。

退職金を比較的低リスクで増やすには、下記の方法があります。

  • 個人向け国債を購入する
  • インデックス型の投資信託を購入する
  • 退職金向けの定期預金に預ける

退職金のベストな運用方法は、退職金の金額や他の金融資産の額、リスク許容度によって変わってきます。
金融機関などで相談するのも良いですが、最終的に決定するのは自分なので投資について少しでも勉強してから運用を始めることをおすすめします。

4-2 収益性と安全性を両立させる方法

退職金を運用に回すときや老後資金を投資によって増やす場合には、収益性だけでなく安全性も意識しなければなりません。

老後まで数十年程度の期間がある20~30代の人と比較して、50~60代の人は運用期間が短いです。
複利の効果も得にくくなりますし、投資資産を売却して現金化するタイミングで世界的な金融危機などが発生するリスクもあります。

したがって資産の一部は元本保証の金融商品にするなど、下記のリスク管理が必要です。

  • 退職金や貯金をひとつの金融資産に集中させない
  • 株式と債券の両方に投資するバランスファンドを購入する
  • 定期預金や国債など元本保証の金融商品も購入する
  • 老後資金を使うタイミングが近づいたら、元本保証の金融商品の割合を増やしていく

5章 定年退職後も安心!債務整理のプロが教える金融術

退職金が少ないのではないかと老後資金について不安を抱えているだけでなく、現時点で借金を抱えている人は早い段階で借金問題について司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。
自力返済が難しくなってきた借金を放置していても、問題が解決する可能性は低いからです。

50代という年齢を考えると、今後も年収が上がる可能性は低く返済に回せるお金が増えるとは考えにくいです。
しかし専門家に相談し債務整理を行えば、借金の減額や返済猶予などの方法で返済負担を軽くできる可能性があります。
債務整理は年齢や収入状況に関係なく行えるものもあるので、高齢であっても収入が減少した人でも手続き可能です。

債務整理は、主に4種類あり、それぞれの特徴は下記の通りです。

種類特徴
任意整理話し合いで将来支払う利息分を減額し、残りを3~5年で分割返済する
個人再生裁判所の許可を得て借金を5分の1程度まで減額し、残りを3年で返済する
自己破産裁判所の許可を得て借金全額の返済義務を免除する
特定調停 話し合いで月々の返済額を抑え支払いを楽にする
簡易裁判所で行う

上記のように、債務整理ごとに特徴が異なり、借金や収入、資産状況によって行うべき手続きは変わってきます。
どの債務整理をすべきかわからない、そもそも債務整理をすべきなのかもわからないとお悩みの場合は、債務整理に詳しい司法書士や弁護士に相談してみてください。

6章 グリーン司法書士法人による返済計画アフターフォロー

グリーン司法書士法人では、債務整理や借金問題に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、ご相談者様の借金や収入、希望に合う債務整理をご提案可能です。

当法人の初回無料相談からご依頼までの流れは、下記の通りです。

  1. お問い合わせ・無料相談予約
  2. 司法書士による丁寧なヒアリング
  3. ご相談様の状況に合ったご提案
  4. 受任通知の送付
  5. 今後の方針決定

司法書士や弁護士が債務整理のご依頼を受けると、債権者に対して受任通知を送付します。
受任通知を送付すれば、債務者への取り立てがストップするので、その間に依頼費用や手続き費用を貯められます。
なお、グリーン司法書士法人では着手金無料であり、報酬の分割払いも対応可能です。

借金に関する問題が深刻化した場合、自力での解決は現実的ではありません。
借金問題をできるだけ早く解決し、老後の不安を少しでも解消したいのであれば、まずは司法書士や弁護士に相談してみましょう。

グリーン司法書士法人では、債務整理に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

退職金があっても債務整理はできますか?
退職金があっても債務整理を行うことは可能です。
ただし、自己破産の場合は財産を処分する必要があるため、退職金が没収される恐れはあります。

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