自己破産後の生活で何が変わる?影響すること・しないことを徹底解説

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
自己破産後の生活で何が変わる?影響すること・しないことを徹底解説

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 この記事を読んでわかること
  • 自己破産後の生活への3つの影響
  • 自己破産後でも影響を受けない7つのこと
  • 自己破産後の家族の生活への影響

事情があり借金を抱えてしまった方でも、自己破産すれば借金返済は免除されますが、その後の生活はどうなってしまうのか不安を感じる方も少なくありません。

自己破産後に資産を失い、無一文となった状態では生活できませんが、多くの方たちが心配するような制限はないといえます。

借金問題を自己破産で解決したいけれど、その後どうなるのか不安に感じ一歩を踏み出せない方のために、自己破産後の生活について次の章に分けて詳しく解説していきます。

  1. 自己破産後の生活への3つの影響
  2. 自己破産後でも影響を受けない7つのこと
  3. 自己破産後の家族の生活への影響

多額の借金を抱えてしまったけれど、自己破産で人生をリセットしたいと考える方は、ぜひこの記事を参考にされてください。

1章 自己破産後の生活への3つの影響

自己破産は、多額の負債を抱えた方でもその借金を「リセット」し、経済的に立ち直ることを目的としています。

しかし自己破産した場合には生活に何も変化がないわけではなく、次の3つの影響があると考えられます。

  1. 必要最低限以外の財産の処分
  2. ブラックリストへの登録
  3. 官報への掲載

それぞれどのような影響か説明していきます。

1-1 必要最低限以外の財産の処分

自己破産では必要最低限を超える財産を「処分」することが必要になります。

財産は処分してお金に換え、債権者に分配しますが、残った借金は免除してもらえます。

すべての財産を処分しなければならないわけではなく、99万円以下の現金価値が20万円以内などの物品は手元に残すことができます。

1-2 ブラックリストへの登録

「ブラックリスト」とは、信用情報機関の収集・管理する信用情報に事故情報が載った状態のことですが、自己破産するとブラックリスト入りとなります。

信用情報機関とは
信用情報とは、

  • クレジットやローンなど信用取引の契約内容
  • 返済・支払状況
  • 利用残高

などに関する客観的な取引事実を登録した個人情報を収集・管理する機関です。

自己破産すると、「信用情報機関」で5~10年間は事故情報として登録され、その期間中は次の「制限」を受けます。

  1. 新たな借入れやローンの利用
  2. クレジットカードの作成・利用
  3. 携帯電話端末の分割払い
  4. 賃貸物件への入居
  5. 保証人になること

どのような制限があるのか説明します。

①新たな借入れやローンの利用

ブラックリストに登録されていると、返済能力がない状態と判断されることとなり、新たな借入れやローンの利用はできなくなります。

家を購入するときの住宅ローンや自動車購入のマイカーローン、子供のための学資ローンなど利用することが難しくなるのはデメリットといえます。

②クレジットカードの作成・利用

ブラックリストに登録されると、クレジットカードを新規で作成することも利用することもできなくなります。

そのため公共料金や携帯電話料金の支払いを「カード決済」にしているときや、「ETCカード」を使って高速道路を利用していた場合でも、利用することはできません。

ただ、多くの場合はデビットカードで代用できます。

③携帯電話端末の分割払い

ブラックリストに登録されると、携帯電話端末の「分割払い」もできなくなります。

携帯電話端末は高額のため、一括ではなく分割で契約し、毎月の利用料金と一緒に支払う方が多いといえます。

しかし分割による支払いは「ローン」とみなされるため利用できなくなり、新たにスマートフォンなど携帯電話端末を購入するときは現金一括で購入することなどが必要になります。

④賃貸物件への入居

ブラックリストに登録されると、賃貸物件への「入居審査」で断られることがあります。

賃貸住宅の入居契約で、「家賃保証会社」との契約を必要とするケースも増えてきました。

しかし「信販系」の家賃保証会社の場合、審査で信用情報機関に「照会」をかけ、信用情報を確認します。

それにより自己破産した事実が発覚してしまうと、家賃を支払う能力がないと判断され、入居できなくなってしまいます。

⑤保証人になること

自己破産するということは、返済能力を失った状態であることを意味するため、誰かがお金を借りようとする場合の「保証人」になることはできません。

特に注意したいのが、子どもが大学に進学するときに利用する奨学金ですが、この場合も同様です。

ただし奨学金の場合、保証会社が保証人代わりになる「機関保証制度」を利用することで、奨学金の利用が可能となります。

1-3 官報への掲載

自己破産をすると、「官報」に氏名や住所が掲載されてしまいます。

官報とは
官報とは、内閣府発行の機関紙で、政府や省庁などが発表する文書・告知、会社の決算報告などが掲載されますが、自己破産した場合でも氏名や住所が掲載されます。

ただし官報は、金融業・不動産業・公的機関など一部の職種のみは見ることがありますが、一般人が見ることはほとんどありません。

そのため官報から自己破産したことが周囲に知られることはほとんどないと考えられます。

官報に載ることを懸念して自己破産をしない、というのはお勧めできません。

2章 自己破産後でも影響を受けない7つのこと

自己破産すると、新規でカードを利用したりローンを組んだりできないなど、一定の制限を受けてしまいますが、手続が生活のすべての影響するわけではありません。

自己破産後でも影響を受けないこととして、次の7つが挙げられます。

  1. 自己破産後に得た収入や財産
  2. 戸籍謄本・住民票
  3. 選挙権
  4. 勤務先
  5. 起業
  6. 海外出国
  7. 銀行口座の開設

それぞれ説明していきます。

2-1 自己破産後に得た収入や財産

「自己破産後」に得た収入や財産は没収されるなど影響を受けることはありません。

したがって、自己破産後に宝くじを購入することも自由ですし宝くじが高額当選しても没収されることもありませんし、自己破産による免責が取り消されることもありません。

ただし自己破産申立て前に支払いが決まっていた給与や、申立て前に購入した宝くじの当選発表が自己破産開始決定前に行われ当選確定した場合において、当選金が20万円を超えると取り上げられて債権者の配当に充てられてしまいます。

生活保護の受給に対する影響もなし
「生活保護」は、生活に困窮する方が保護されるための制度のため、自己破産後でも一定の条件を満たせば新たに受給することはできます。自己破産前にすでに生活保護を受けていたという場合でも、手続後に自己破産を理由として支給を断られることはありません。

2-2 戸籍謄本・住民票

自己破産後に、「戸籍謄本」や「住民票」にその旨が記載されることはありません。

そもそも戸籍謄本や住民票に自己破産の有無を記載する欄は存在しませんが、本籍地の市町村の「破産者名簿」には次の場合載ることになります。

  • 免責不許可になった場合
  • 免責申立てが却下された場合

自己破産で免責許可が認められなかった場合のみ破産者名簿に載ることになりますが、第三者に公開されることはありません。

2-3 選挙権

「選挙権」は満18歳以上の日本国民に認められる憲法上の権利であり、これを制限するには非常に厳格な条件が必要になります。

そのため、自己破産を理由に制限されることは一切ありません。

2-4 勤務先

勤務先からお金を借りている状態で破産していなければ、自己破産した「事実」が「勤務先」に通知されることはないため、職場に知られることはありません。

また、自己破産を理由に「解雇」されることはなく、仮に自己破産が原因の解雇があれば、それは不当解雇です。

ただし自己破産で免責許可されるまで、一定期間制限される資格や職業が関連する場合には、一時的に仕事ができなくなる可能性はあります。

自己破産手続中に制限される資格・職業
警備員・宅地建物取引士・生命保険外交員・募集人・貸金業・会社の取締役・不動産鑑定士・弁護士・司法書士・税理士・公認会計士・社会保険労務士・旅行業など

制限されるのは自己破産手続中で、免責が許可されれば制限も解除されるため、自己破産後に影響することはないといえます。

2-5 起業

自己破産した後でも、「起業」や新規事業の立ち上げなどは可能です。

ただし自己破産後の5〜10年間は信用を失っている状態であるため、金融機関から融資を受けることはできません

自己破産後に取得した収入や財産は自由に使うことができるため、その範囲で起業するのなら問題ないと考えられます。

2-6 海外出国

自己破産しても、「海外出国」することはできます。

自己破産手続き中は、転居や長期旅行などの制限はありますが、手続完了後に海外出国について制限されることはありません。

2-7 銀行口座の開設

自己破産しても、「銀行口座」の開設はできます。

すでに開設済でローンなどの利用があった銀行口座でも、3か月程度は使用できませんが、保証会社の代位弁済があった後であれば問題なく使用できるようになります。

3章 自己破産後の家族の生活への影響

自己破産は手続する本人の生活に一部の影響はあっても、その家族の生活には基本的に影響しません。

ただ、次の場合には家族にも影響が及ぶ可能性があります。

  1. 持ち家に住んでいる場合
  2. 家族が借金の連帯保証人である場合
  3. 家族カードを利用している場合
  4. 奨学金を借りている場合
  5. 家族に譲渡した財産がある場合

それぞれどのような影響が考えられるか説明していきます。

3-1 持ち家に住んでいる場合

家族にも影響が及ぶ可能性があるケースとして、「持ち家」に住んでいる場合が挙げられます。

一般に不動産の価値は高額になるため、持ち家がある状態で自己破産すると、ほぼ必ず競売にかけられ、売却することになります。

持ち家を失えば新たに「住む場所」を探すこととなるため、生活が大きく変化してしまいます。また家族に隠すこともできないでしょう。

持ち家に住んでいる方が自己破産する場合には、家族に相談し手続後の生活について理解を得ることが必要です。

3-2 家族が借金の連帯保証人である場合

配偶者や成人した子が破産者の借金の「連帯保証人」だった場合には、代わりに返済することになります。

連帯保証人になっていると、期限到来まで返済しなくてもよいとされる「期限の利益」を失い、一括返済を求められる可能性もあるため注意してください。

3-3 家族カードを利用している場合

自己破産する本人が会員のクレジットカードに連携された「家族カード」を使っている場合、そのカードは利用できなくなります。

本人名義のクレジットカードは使用できなくなるため、そのカードが前提となった家族カードも同様に使えなくなってしまいます。

3-4 奨学金を借りている場合

親が自己破産する場合において、子の貸与奨学金(第二種奨学金)の「保証人」になっていると、そのまま継続して保証人でいることはできません。

そのため他の親族などに保証人を「交代」してもらうことが必要です。

3-5 家族に譲渡した財産がある場合

本来であれば、親の財産は親固有の財産であり、配偶者や子の財産もそれぞれの固有財産です。

しかし、親が自己破産を前提として配偶者や子に財産を「譲渡」している場合、譲渡した財産は「財産隠し」と判断され、免責が認められない可能性があるため注意してください。

まとめ

自己破産して借金をリセットし、人生をやり直したいと考えていても、自己破産後に無一文状態になれば生活に支障をきたします。

しかし生活できない状態に追い込まれることはなく、家族の財産まで取り上げられることもありません。

ただ、持ち家に住んでいるときなど一定の影響が家族に及ぶこともあるため、自己破産するときには家族の理解を得ることが必要になる場合もあります。

もしも自己破産したほうがよいか、家庭の事情も踏まえて迷いがあるときには、グリーン司法書士法人グループに安心してご相談ください。

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よくあるご質問

自己破産をした後の影響は?
自己破産をすると生活に下記の影響があります。
・必要最低限以外の財産の処分
・ブラックリストへの登録
・官報への掲載
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自己破産をすると信用情報は何年で消える?
自己破産をすると5~10年間は信用情報機関の事故情報に登録されます。
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