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奨学金を借りている人は、日本学生支援機構が行った「令和2年度 学生生活調査結果」によれば約5割にものぼり、奨学金の借入は決して珍しいことではありません。
奨学金を借りている人は、社会人になってから何年にもわたり返済していく必要があります。
そのため、奨学金を借りてない人と比較して、給料や生活費の管理をきちんとしておく必要があるでしょう。
万が一、奨学金の返済が難しい場合には支援制度を利用できますし、奨学金以外にも借金をして返済が難しい場合は債務整理に詳しい司法書士や弁護士への相談も可能です。
本記事では、奨学金を借りている学生や新社会人に向けで、返済計画の立て方や予算管理の方法を解説します。
奨学金の返済に悩んでいる人は、下記の記事もご参考にしてください。
目次 ▼
1章 給料を賢く使う:奨学金返済スタートガイド
日本学生支援機構が貸し出している奨学金の場合、貸与終了翌月の7ヶ月目から返済がスタートします。
社会人として半年生活し、やっと給料のやりくりに慣れてきたと感じたら月数万円の奨学金の返済が始まり「家計が苦しい」「やりくりが難しい」と悩む人もいるのではないでしょうか。
本章では、新社会人向けに奨学金の返済計画について解説します。
1-1 新社会人のための奨学金の返済計画
奨学金を借りて大学や大学院に通っていた人は、社会人になるにあたり奨学金の返済計画や毎月の予算管理をしておく必要があります。
労働者福祉中央協議会が2019年に行った「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、奨学金の毎月返済額は平均16,880円です。
家賃や光熱費などの固定費に加え、奨学金の返済も毎月行うことを理解しておきましょう。
なお、奨学金は大学や大学院を卒業してすぐに返還が始まるわけではありません。
日本学生支援機構が貸与している奨学金は、貸与終了翌月の7ヶ月目から返済がスタートします。
例えば、2023年3月に貸与が終了した場合、2023年10月が返済開始月です。
奨学金の返済について忘れていて、いざ返済が開始されたときに給料が足りない、やりくりできないなんてことがないようにご注意ください。
可能であれば、奨学金の返済開始前から返済があることを見越して月々の返済額を先取り貯金しておきましょう。
万が一、収入が減少したときも貯金があれば奨学金の返済を続けられますし、先取り貯金を奨学金の繰り上げ返済にも充てられるからです。
労働者福祉中央協議会が2019年に行った「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、奨学金の返済期間は平均14.7年です。
例えば、23歳で社会人になり奨学金の返済を始めた場合、37~38歳頃まで奨学金を返す計算になります。
30代以降は結婚や出産、住宅購入など大きなライフイベントを迎える人も多いです。
人生で重要な決断をする際に、奨学金の返済が足かせにならないように可能であれば、繰り上げ返済も検討しておくのが良いでしょう。
1-2 はじめての給料から始めるマネーマネジメント
日本学生支援機構の奨学金の場合、返済開始月は貸与終了翌月から7ヶ月目であり、初任給を受け取った時点では奨学金の返済をしていないケースが多いです。
しかし、数ヶ月後に奨学金の返済が始まることを見越し、下記のように予算管理をして備えておくのが良いでしょう。
- 奨学金の返済も家賃や光熱費同様に固定費として予算に組み込んでおく
- 自分が何にお金を使っているのか知らない場合は家計簿をつけてみる
- 奨学金の返済開始前から奨学金の返済が始まったつもりで返済額を貯金しておく
- ボーナス月など家計に余裕があるときは貯金もしくは奨学金の繰り上げ返済をする
上記のように、初任給を受け取った時点から奨学金返済に向けて行動しておけば、返済が始まったときに慌てなくてすむはずです。
次の章では、奨学金を返済する新社会人に向けて、予算管理の方法や返済計画の立て方を詳しく解説します。
2章 給与明細を味方に:スマートな借金返済計画
大学や大学院を卒業し社会人になった人の中には、給与明細の見方がわからない、手取り給料からどのように生活費の予算管理や奨学金の返済計画をすればいいのかわからないと悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
給与明細を見れば自分の正確な収入がわかりますし、予算計画も立てやすくなるはずです。
本章では、新社会人に向けて給与明細の見方や予算計画の立て方を解説します。
2-1 明細書を読み解く金銭教育
給与明細のフォーマットは勤務先によって異なりますが、主に下記の内容が記載されています。
- 勤怠:出勤日数や残業時間などの勤務状況が記載されている
- 支給:基本給や残業手当など会社から支払われる給与の内訳が記載されている
- 控除:所得税や社会保険料など給与から差し引かれる金額が記載されている
給与明細を見れば、自分の額面での収入と手取り収入がわかります。
さらに、支給の内訳を確認すれば残業代がいくら出ているのか、基本給がいくら出ているのかも把握できるはずです。
例えば、ボーナスは基本給の〇ヶ月分などと計算されることもあるので、基本給がわかればボーナスの支給額も予想しやすくなります。
2-2 予算計画で安心の社会人生活を
令和4年に行われた「賃金構造基本統計調査」によると、大卒の新卒給与は平均228,500円です。
実家に住まわせてもらい奨学金の返済をするならまだしも、一人暮らしをして奨学金の返済もするのでは余裕のある生活を送るのが難しいと感じる人もいるでしょう。
また、残業やボーナスは会社状況によって大きく変わることがあるので、それらをあてにする計画は避けた方がいいでしょう。
奨学金の返済がある人は毎月の固定費が増えるため、予算管理が非常に重要です。
具体的には、下記の流れで毎月の予算を管理してみましょう。
- 自分の収入と支出を正確に把握する
- 収入の50%を固定費、30%を変動費、20%を貯蓄に充てた場合の予算計画を立ててみる
- 立てた計画を実行してみて適宜調整していく
自分の収入は給与明細を見れば確認できます。
そして、自分が何にいくらお金を使っているか把握できていない場合は、1~2ヶ月程度、家計簿をつけてみて支出の内訳や金額を確認してみるのが良いでしょう。
そして、自分のお金の使い方をもとにして予算計画を立ててみましょう。
固定費を収入の50%以内に抑えておくと、黒字家計を維持しやすいと一般的に言われています。
例えば、大卒の新卒給与の平均である228,500円を上記の割合で割り振ると、下記の結果になります。
支出 | 金額 |
---|---|
固定費(50%) | 114,250円 |
変動費(30%) | 68,550円 |
貯蓄(20%) | 45,700円 |
ただし実際には給料の額面がそのまま振り込まれることはなく、社会保険料や税金などが差し引かれ大卒の新卒手取りは平均19万円ほどになるはずです。
そのため、額面で予定を立ててしまわないように注意が必要です。
奨学金の返済額を固定費の中に含めてしまうのが理想ですが、実際には難しいでしょう。
その場合には、貯蓄の中に奨学金の返済を含めてしまい、奨学金の返済中は貯蓄に回すお金を減らすこともご検討ください。
2-3 スマートフォンで管理する財布の中身
クレジットカードやモバイル決済などのキャッシュレスが普及し、日々の支払いは現金以外で行っている人も珍しくありません。
キャッシュレス決済は現金を持ち歩く必要がなく、ポイントも貯まるので確かに便利です。
しかし、使用時には下記の点に注意しなければなりません。
- 使用履歴を定期的に確認する
- 支払いの締め日や引き落とし日を把握しておく
- 複数の決済方法を使用しているのであれば、家計簿などで毎月の使用額を管理しておく
使用履歴をこまめに確認して記録しておけば、使い過ぎも防止できますし、クレジットカードの不正利用などにもすぐに気付けます。
また、クレジットカードの引き落とし時に口座残高が不足していると、遅延損害金が発生してしまいます。
そのまま放置すると、クレジットカードが強制解約される、信用情報機関に事故情報が登録されるなどのデメリットもあるのでご注意ください。
2-4 パソコンを活用した返済スケジュール
奨学金の返済は長期にわたるため、エクセルやスプレッドシートなどを活用して返済計画表を作成するのも良いでしょう。
返済計画表を作成しておけば、自分がいくら奨学金を返済できたか、完済までどれくらいの期間がかかるのかを可視化できます。
毎月返済計画をコツコツ記録していけば、達成感も味わえるはずです。
同時に、エクセルやスプレッドシートで家計簿を作成してみるのもおすすめです。
エクセルやスプレッドシートであればアナログの家計簿と異なり、数値を入力すれば自動で計算してくれます。
クレジットカードやモバイル決済の使用履歴をパソコンで確認しながら、家計簿に入力できるのでアナログの家計簿が続かない人にも向いています。
2-5 予算内で返済するための生活費削減テクニック
最初のうちは慣れない一人暮らしや覚えることだらけの社会人生活を送るのがやっとで、生活費を節約する工夫をするのが難しい人も多いのではないでしょうか。
しかし、一人暮らしや新しい仕事に慣れてきたら、徐々に生活を整え節約にチャレンジするのもおすすめです。
新社会人におすすめの生活費の節約方法は、下記の通りです。
- 先取り貯金をする
- 自炊をする
- 家計簿をつけて支出を管理する
- 銀行やATMの手数料を節約する
- 光熱費を節約する
2-6 女性ならではの借金返済のポイント
奨学金の返済期間は平均14.7年であり、女性の場合は出産や結婚後のキャリアの変化も見据えて返済を進めていく必要があります。
男女平等が進んできたとはいえ、結婚や出産などのライフイベントの影響で働き方を変える女性はいまだ少なくありません。
例えば、出産を機に派遣社員やパートタイマーなどの仕事に切り替えた場合、下記をパートナーと確認しておく必要があるでしょう。
- 奨学金を返済する余裕はあるのか
- 家計から奨学金返済額を負担してもらえるのか
パートナーと奨学金の返済について話し合うのが不安だ、結婚や出産時に奨学金の心配をしたくない場合は、独身時代に奨学金を繰り上げ返済してしまうことも検討しましょう。
3章 フレッシュマンのための給料分配:借金返済の優先順位設定
大学卒業を機に一人暮らしを始めた人などは、一人暮らしの初期費用や引っ越し時に購入し忘れていた日用品の買い足しなどで初任給以上にお金を使ってしまうこともあるでしょう。
人によっては、クレジットカードの分割払いやリボ払いなどに頼ってしまうこともあるかもしれません。
奨学金を含む複数の借金を抱えていて、返済の優先順位に悩んだときには下記の順番で返していくのがおすすめです。
- 金利の高い借金
- 担保や保証人のついた借金
- 少額の借金
複数の借金を返済している場合、金利の高いものから返していくのが良いでしょう。
日本学生支援機構の第二種奨学金の利率は1%未満となっていることがほとんどです。
クレジットカードの分割払いやキャッシングの利率は約12~15%程度であり、第二種奨学金の利率よりも圧倒的に高いです。
そのため、奨学金の返済とクレジットカードの分割払いやキャッシングを返済中の人は、奨学金は毎月決まった額の返済をするだけにとどめ、クレジットカード関連の返済を優先して行いましょう。
ただし、奨学金は機関保証を利用していない場合、親が連帯保証人、親族が保証人となっていることが多いです。
したがって、奨学金の返済を放置してしまうと連帯保証人や保証人に迷惑がかかる恐れがあります。
生活苦で奨学金を支払うことが難しい場合は、放置するのではなく下記の救済制度を利用しましょう。
制度 | 概要 |
---|---|
減額返還制度 | 返還期間を延長し、月々の返還額を減額する |
返還期限猶予制度 | 返還期間の猶予期間を設ける |
返還免除 | 死亡または精神・身体障害によって返還できない場合に、返還額の一部または全部が免除される |
奨学金以外にも借金を抱え返済が難しくなってきた場合は、奨学金以外の借金を債務整理して返済負担を軽くできる場合があります。
借金や収入状況、保証人の有無によっても取るべき行動が変わってきますので、奨学金や借金の自力返済が苦しくなってきた人は、司法書士や弁護士に相談しましょう。
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まとめ
日本学生支援機構の奨学金を利用していた場合、貸与終了翌月から7ヶ月目に返済がスタートします。
初任給を受け取ってから、家計に余裕がない、あればあるだけ使ってしまう状態の生活を続けていると、返済が始まったときに苦労する可能性があるのでご注意ください。
奨学金を借りている人は、初任給を受け取ったときから返済を見越して、予算管理をしておくのが大切です。
具体的には、自分の収入と支出を正確に把握し、計画を立て予算内でやりくりする習慣をつけましょう。
万が一、奨学金以外にもクレジットカードのキャッシングやカードローンなどの借金を抱えていて、返済が難しい場合はできるだけ早く専門家に相談するのがおすすめです。
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よくあるご質問
- 奨学金の平均額は?
- 奨学金の毎月返済額は平均16,880円です。
- 奨学金の返済期間はいつから?
- 日本学生支援機構が貸し出している奨学金の場合、貸与終了翌月の7ヶ月目から返済がスタートします。