この記事は約 10 分で読めます。
- 銀行系カードローンなど債務整理の対象となる借金
- 銀行系カードローンの債務整理でどのようなメリットがあるか
- 銀行系カードローンの債務整理でどのようなデメリットがあるか
- 銀行系カードローンを債務整理するとき何に注意すればよいか
銀行系カードローンとは、メガバンクや地方銀行、そのほか信用金庫などが提供するカードローンです。
直接、銀行が提供する金融商品といえますが、銀行系カードローンも「債務整理」すれば、借金返済の負担を軽減できます。
消費者金融系よりも「低金利」で借入れできることが銀行系カードローンの特徴といえますが、安心感があるゆえに利用しすぎて返済困難に陥るケースも少なくありません。
銀行系カードローンでも返済が難しくなった場合、債務整理で返済負担を軽くしたほうが完済への「近道」となることも期待できます。
そこで、銀行系カードローンの債務整理について、メリット・デメリットや注意点を解説していきます。
目次 ▼
1章 銀行系カードローンも債務整理できる
カードローンの返済が難しくなったとき、解決策として考えられるのが「債務整理」です。
そして、消費者金融系だけでなく銀行系カードローンでも債務整理をすることは可能です。
債務整理は、借金の返済猶予・減額などで債務者の経済生活を立て直すための手続であり、選択する手続によっては借金そのものが免除されることもあります。
借金に悩む方を「救済」するための手続といえますが、銀行系カードローンの他、以下の「借金」が対象です。
- カードローン(銀行系・消費者金融系)の借入れ
- クレジットカードの利用分(キャッシング・ショッピング)
- 目的別ローン(自動車・住宅・教育など)の借入れ
- 奨学金の借入れ
- 契約者貸付(生命保険)の利用分
- 公共料金の滞納分(下水道利用料金以外は自己破産でのみ免除対象)
- その他個人(親族・友人など)からの借金など
なお、以下の借金や支払いについては債務整理の対象にはならないため、手続の際には注意してください。
- 税金
- 社会保険料
- 公共料金の滞納分(下水道利用料金)
- 養育費
- 慰謝料(故意・重過失の不法行為による損害賠償など)
- 罰金・刑事訴訟費用
2章 銀行系カードローンを債務整理するメリット
銀行系カードローンを債務整理する場合、手続の種類によるものの、以下のメリットがあると考えられます。
- 専門家への依頼で督促が停止する
- 借金の返済負担を軽減できる
- 借金の支払いが免除される
債務整理には以下の3つの手続があります。
債務整理の種類 | 手続の内容 |
---|---|
任意整理 | 債権者と交渉し将来利息や遅延損害金を免除し、毎月の返済額を軽減させる手続 |
個人再生 | 裁判所に申立てて借金を5分の1程度に減額し、3~5年程度で返済する手続 |
自己破産 | 破産申立てをして借金を免除してもらう手続 |
いずれの手続においても、専門家に依頼すれば「督促」は止まります。
どの手続を選ぶべきか、種類ごとのメリットやデメリットを踏まえた上での検討が必要といえるでしょう。
3章 銀行系カードローンを債務整理するデメリット
銀行系カードローンも債務整理すれば、毎月の返済負担が軽減されたり免除されたりといったメリットがあります。
ただしその一方で、次の4つのデメリットには留意してください。
- 信用情報機関に事故情報が登録される
- 信用情報機関の事故情報が解消されてもローンを組めない可能性が高い
- 銀行口座が凍結される恐れがある
- 毎月の返済額が減らない可能性がある
それぞれのデメリットについて説明します。
3-1 信用情報機関に事故情報が登録される
銀行系カードローンを債務整理することにより、信用情報機関に「事故情報」が登録されてしまうことはデメリットといえます。
事故情報が登録される「期間」は、債務整理の種類によって以下のとおり異なります。
横スクロールできます
信用情報機関 | 加盟機関 | 完済解約から解除までの年数の目安 |
---|---|---|
CIC | 信販会社・クレジットカード会社 | 5年以内 |
JICC | 消費者金融・クレジットカード会社 | 5年以内 |
KSC | 全国の銀行 | 5年以内(自己破産は7年以内) |
信用情報機関に事故情報が登録されれば、 5〜10年は新規でローン契約を結ぶことやクレジットを利用することはできません。
分割払いで買い物できなくなることや保証人になれないことで、生活に影響が及ぶ恐れはあるでしょう。
3-2 信用情報機関の事故情報が解消されてもローンを組めない可能性が高い
銀行系カードローンを債務整理で信用情報機関に事故情報が登録されて、その後「削除」されたとしても再度ローン契約を結べない可能性が高くなります。
本来、信用情報機関に登録された事故情報は、金融事故の解消後、一定期間経過すれば削除されます。
削除後は、通常どおりローン契約やクレジットなどの審査を受けることが可能です。
しかし債務整理した金融会社が独自で管理する「社内ブラック」に登録されていると、半永久的に審査には通りません。
社内ブラックは、信用情報機関が管理する個人信用情報とは「別扱い」の事故情報であり、特定の金融会社の「独自」のブラックリストです。
多くの場合、グループ企業内で社内ブラックの情報を「共有」しているため、その場合は同じグループ内の金融会社の審査にも通りません。
信用情報機関の事故情報が解消されても、社内ブラックであることを理由に契約を断られる可能性があることは留意しておきましょう。
3-3 銀行口座が凍結される恐れがある
銀行系カードローンを債務整理することにより、銀行口座が「凍結」されてしまい、預金や給与の引き出しができなくなる恐れがあります。
凍結される口座は、借金のある銀行口座のみであり、債務整理の対象ではない口座については凍結されません。
債務整理の対象である口座を給与受取口座に指定していると、凍結により引き出しや引き落としができなくなってしまいます。
そのため債務整理を手続する前に、預金をすべて引き出し、給与受取口座を他行口座に「変更」しておく事前準備が必要です。
公共料金などの自動振替口座の場合も、他行口座へ変更するか、「振込票」を使った支払い方法に変えておくとよいでしょう。
3-4 毎月の返済額が減らない可能性がある
銀行系カードローンを債務整理しても、もともと設定されている金利が「低い」ため、毎月の返済額が減らない可能性があります。
さらに月々の支払い額が抑えられているカードローンを債務整理(任意整理)の対象とした場合、将来利息分が「カット」されることで支払い「総額」は軽減されても、「毎月」の支払いは増えることがあります。
また、次に該当する場合も、毎月の返済負担が増える可能性があると考えられます。
- 5年以上の長期返済でお金を借りている
- お金を借りてあまり時間が経っていない(ほぼ返済していない)
任意整理は通常3~5年で返済計画を立てるため、たとえば借金の返済期間が10年近い場合、将来利息はカットされても「返済期間」が圧縮されるため毎月の返済額は増えます。
ローン契約を結んでほとんど返済していない場合も、返済総額を減額する代わりに支払期間を短く設定されれば、毎月の返済負担が大きくなる恐れがあります。
そのため毎月どのくらいの支払いになるのか、専門家の無料相談で「シミュレーション」しておくことをおすすめします。
4章 銀行系カードローンを債務整理するときの注意点
銀行系カードローンの債務整理においては、先に説明したメリット・デメリットを踏まえた検討が必要です。
また、手続において次の3つの「注意点」には留意しましょう。
- 債務整理する銀行の口座から預貯金を引き出しておく
- 住宅ローンを借りている銀行は任意整理の対象から外す
- 銀行系カードローンの債務整理後は保証会社が債権者になる
それぞれ何を注意しておくべきか説明します。
4-1 債務整理する銀行の口座から預貯金を引き出しておく
銀行系カードローンを債務整理するときは、口座が凍結されるよりも前に、預貯金など引き出しておきましょう。
債務整理の対象である銀行口座が凍結されるのは、すでに口座に入っている預金と、借入れ分を「相殺」するためです。
給与の受取口座に指定している場合も、入金されたお金を引き出すことができなくなります。
そのため事前に引き出しておくことや、給与の受取口座を他行に変更してから、債務整理の手続を進めましょう。
4-2 住宅ローンを借りている銀行は任意整理の対象から外す
銀行系カードローンの債務整理においては、住宅ローン利用と同じ銀行のカードローンを任意整理の「対象」から外しましょう。
債務整理のうち任意整理は、原則、債権者が交渉に応じなければならないといった「法的責任」はありません。
そのため金融会社によっては、「交渉」に応じてもらえない可能性もあります。
銀行系カードローンと住宅ローンの銀行が同じ場合は、住宅ローン利用がカードローンの金利優遇の特典などに影響しているケースもあります。
住宅ローンと分離し、カードローンのみ任意整理に応じてもらうことはできないため、住宅ローンと同じ銀行系カードローンは手続から「除外」することが必要です。
4-3 銀行系カードローンの債務整理後は保証会社が債権者になる
銀行系カードローンを債務整理すると、代位弁済した「保証会社」が債権者になります。
債務整理をすると、債務者の返済を保証会社が全額立て替えます。
債務者は銀行に対する返済は免れることになっても、債権者が保証会社に代わるだけであるため返済義務は消えません。
任意整理を希望する場合、保証会社が交渉に応じてくれるか確認が必要となるため、経験豊富な専門家に相談して決めたほうが安心です。
なお、保証会社が倒産してしまうと任意整理はできないため、他の債務整理を検討することが必要となります。
まとめ
銀行系カードローンも債務整理できますが、銀行口座が凍結される恐れがあることや、毎月の返済額が減らない可能性がある点には注意しましょう。
ただし専門家への依頼で督促が停止することや、手続の方法によって借金返済の負担を軽減できたり支払いが免除されたりといったメリットはあります。
銀行系カードローンを含め他にも借金がある場合において、債務整理の手続方法など迷ったときには、グリーン司法書士法人グループへご相談ください。
任意整理に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
アクセス数が多いキーワード:任意整理 クレジットカード
任意整理の無料相談ならグリーンへ
お気軽にお問い合わせください!