世帯分離をすると自己破産をしても家族への影響を抑えられる?

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
世帯分離すると自己破産をしても家族への影響を抑えられる?

この記事は約 12 分で読めます。

「自己破産することを家族に知られたくない」という理由から、世帯分離を検討する方もいらっしゃいます。

世帯分離とは、同じ家に暮らしながらも住民票の世帯を分けることです。

通常、自己破産では同じ世帯の人の収入証明書や直近の収支を記した家計簿などが必要となります。それらの提出を回避するために世帯分離をしようと考えるのでしょう。

しかし、生計を一としている家族の場合、世帯分離をしても資料の提出が必要になります。

一方、生活の様態によっては世帯分離をすることで家族への影響を最小限に抑えられるケースもあります。

この記事では、世帯分離による自己破産への影響などについて解説します。ぜひ参考にしてください。

1章 自己破産前に世帯分離をすることで家族にばれないようにできるのか?

自己破産では同居している家族の収入や財産に関する書類も提出しなければいけません。

具体的には以下のような書類です。

  • 収入証明書(給与明細)
  • 銀行口座の通帳
  • 世帯全員の収支を記載した家計簿

自己破産前に世帯分離をすることで上記の書類の提出を回避し、家族にばれないようにしたいと考える方もいらっしゃるかと思います。

しかし、結論から言いますと、

  1. 同居し、生計を一とする家族では世帯分離をしても意味がない
  2. 生計が別であれば世帯分離をすることで家族にバレない可能性もある

ということになります。詳しく見ていきましょう。

家計簿の作成方法全体についてはこちらの記事も合わせてご覧ください。

1−1 同居し、生計を一とする家族では世帯分離をしても意味がない

同居して生計を一としていた家族の場合、たとえ世帯分離をしたとしても収入証明書や家族の銀行口座の通帳コピーの提出を求められることがほとんどでしょう。

自己破産を進める上で裁判所は「同世帯である」という形式上の事実よりも、破産者本人の家計を含めた収入や財産についての情報から「支払不能の状況であるのか」「財産隠しといった不審なお金の流れがないか」などを調査するほうがずっと重要だからです。

実際の申立書では住民票のほかに、賃貸物件であれば賃貸借契約書を提出します。そこに同居人が誰であるか書かれている場合もあるので、そこで気づかれます。

持ち家の場合も、家族構成や同居・別居の別などを報告する必要がありますので、家計の点だけごまかしても意味がないのです。もちろん、賃貸の場合でも同居・別居の別は報告しなければなりません。

具体的には、次のような場合に家族全員の家計を出す必要があります。

  • 実家暮らしで親の収入に頼って生活している
  • 夫婦共働きである

1−2 生計が別であれば世帯分離をすることで家族にバレない可能性もある

生計が別であれば、同世帯であっても世帯分離をすることで前出した書類の提出は必要なくなることもあります。

例えば以下のようなケースです。

  • 親と同居しているものの、家計は別々である
  • 兄弟や知人、恋人と同居している
  • 単身赴任などで配偶者と別居していて家計は別だが、住民票上は同世帯のままになっている

上記のようなケースでは、生計が別であり、世帯分離をしておけば破産者の自己破産とは関係ないとして、書類の提出が必要ないと判断される可能性があります。

借金を家族に打ち明けて一緒に立て直すことが大切

自己破産で借金がなくなったとしても、「借金をしなければいけないような経済状況」というのはなかなか変わりません。

生活を立て直すためには、配偶者に働いてもらったり、日々節約をしたりする必要があります。

そのため、家族にしっかりと説明した上で、協力してもらいながら生活を立て直すことが大切です。

仮に家族に隠したまま自己破産ができたとしても、その後の生活でローンが組めないなどでバレる可能性はあります。もしそこでバレたらライフプランが大きく崩れる可能性があります。目先の借金だけでなく、そういうところまで考えると、やはり最初から話して協力を得たほうが良いでしょう。

2章 自己破産をしても家族の収入・財産に影響はない

世帯分離の有無に関わらず、自己破産時には家族の収入や財産に影響を及ぼすことはありません。
というのも、自己破産によって自己破産によって影響が出るのは破産者本人が所有する財産のみだからです。

そのため、家族名義の下記の財産は自己破産後も没収されずに残せます。

  • 持ち家
  • 預貯金

ただし、自己破産前に預貯金を家族名義の銀行口座に移す、持ち家の名義変更を変更するなどの行為は財産隠しにあたり自己破産そのものが認められなくなる恐れもあるのでご注意ください。

また、下記のように破産者本人への影響は当然出る可能性があり、そのことによって間接的に家族の生活に影響が出る可能性があります。

  • 破産者名義の財産が没収されてしまう
  • 破産者名義でローンを組めなくなる
  • 携帯電話の機種代分割ができない

例えば、破産者名義の自動車が引き揚げられることで家族の移動の足がなくなる、破産者名義の自宅が強制的に売却され引っ越しを余儀なくさせるなどの理由により家族の生活に影響が出るケースもあるでしょう。なお、破産者名義ではローンが組めない場合でも配偶者名義では各種ローンを組めます。
ただし、配偶者の年収が低い、主婦などの場合には融資額が低くなってしまう恐れもあります。

このように、自己破産後に家族に影響が出る可能性はゼロではないので、事前に家族に自己破産することを話しておくのが良いでしょう。
自己破産をすることで家族に生じる影響についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

3章 自己破産をしたことを家族に隠すのが難しい理由

世帯分離をしたとしても、書類の準備など、家族の協力が必要になるケースがほとんどです。

また、その他にも、自己破産をした事実を隠すことが難しい理由は様々あります。

具体的には以下のとおりです。

  • 財産が処分される
  • クレジットカードが使えなくなる
  • 一定期間ローンを組むことができなくなる
  • 一定期間保証人になることができない
  • 裁判所から書面が届く

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3−1 財産が処分される

自己破産をすると、所有している自由財産(手元に残すことが認められている財産)以外の財産は処分されることとなります。

持ち家や20万円以上の価値がある自動車は処分される可能性が高いでしょう。

また、生命保険などの解約返戻金も財産に含まれます。そのため、高額の解約返戻金が出る保険については解約しなければならなくなる可能性があります。

暮らしている家や、愛用していた車が突然なくなったり、生命保険が解約されたりすれば、自己破産の事実を隠すことは難しいでしょう。

3−2 クレジットカードが使えなくなる

自己破産後は、信用情報機関に事故情報が登録されるため、それが消えるまでの一定期間(5年程度)クレジットカードの使用・新規作成ができなくなります。

これまで家族カードを家族に渡していた場合、突然使えなくなりますので、家族の方は疑問に感じるでしょう。

3−3 一定期間ローンを組むことができなくなる

信用情報機関に事故情報が登録されると、情報が消えるまでの間ローンを組むこともできなくなります。

銀行が加盟している信用情報機関の場合、クレジットカード会社よりも登録期間が長く、登録されている期間は5〜10年程度です。

ライフプランとして家や車を購入しようと考える機会もあるでしょう。その際にローンの審査が通らず、家族に自己破産の事実が知られてしまう可能性があります。

3−4 一定期間保証人になることができない

信用情報機関に情報が登録されると、情報が消えるまでの間保証人になることもできません。

配偶者の住宅ローンや、子供の奨学金の連帯保証人・保証人になることができないということです。

連帯保証人・保証人が必要になった場面が来た時、家族に自己破産のことを話さなければいけなくなるでしょう。

3−5 裁判所から書面が届く

自己破産の手続き中は、何度か裁判所から書類が届くことがあります。それを家族が見れば、自己破産に気づくでしょう。

なお、これは親から借金をしている場合など家族が債権者になっている場合に限られます。

また、そのような場合には申立て前にバレてしまうでしょう。個人だからと、本人に言わず勝手に債権者として届け出た場合でも、上記の裁判所からの通知でバレます。

逆に、家族が債権者になっていることを言わないままで自己破産すると、それが判明した際に免責が取り消される可能性があります。

いずれにしても、自己破産をすると決めた以上は事情を家族にしっかり伝えることが非常に重要です。

3−6 家族が保証人・連帯保証人になっている場合、家族が借金を負う

家族が借金の保証人・連帯保証人になっている場合、自己破産後にその家族が借金を負うことになります。

本人が破産した場合、債権者は何も言わずに保証人である家族へ請求をかけていきます。

その際には、債権者から家族に向けて事情を伝えられるため、家族が自己破産の事実を知ることを避けるのは難しいと言えます。

4章 家族への影響を抑えたいのであれば、他の債務整理も検討しよう

家族への影響を抑えたいのであれば、自己破産以外の債務整理も検討しましょう。

自己破産以外の主な債務整理は「個人再生」と「任意整理」です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4−1 個人再生

個人再生とは、裁判所に申し立てることで、所有する財産や借入総額に応じて借金を5分の1〜10分の1程度に減額する手続きです。

自己破産とは異なり、家や車などの財産を失うことはありませんので、手続き後も変わらず生活することが可能です。

ただし、家族の通帳や収入証明書、家計簿などは必要ですので、家族にバレずに手続きをすることは難しいでしょう。

4−2 任意整理

任意整理とは、債権者と交渉することで、将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。

自己破産や個人再生とは異なり、裁判所を通すことのない手続きですので、家族に関する書類の提出などは必要ありません。

そのため、債務整理の中で最も家族にバレにくい手続きと言えます。

ただし、任意整理はあくまで利息をカットするだけあり、借金の元金は減りませんので、自己破産や個人再生ほど借金の減額効果は見込めません。

任意整理を利用するには、支払える金額のうちに、なるべく早く相談に行くことが大事になります。

5章 借金問題でお困りでしたらグリーン司法書士法人にご相談ください

「自己破産を家族にバレたくない・・・」と思う気持ちは分かります。しかし、手続きや自己破産後の生活によって隠し通すのが難しいのが現実です。

もし、どうしても家族に知られずに借金問題を解決したい場合には、別の解決策を考えるべきかもしれません。

当事務所にご相談いただければ、累計1万件以上の借金に関する相談を受けた経験と実績を活かし、最適な解決策を提案することが可能です。

初回のご相談は無料です。オンラインでの相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。

自己破産に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。

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よくあるご質問

自己破産をすると家族にバレる?
自己破産は下記の理由により家族に隠し通すことは難しいでしょう。
・財産が処分される
・クレジットカードが使えなくなる
・一定期間ローンを組むことができなくなる
・一定期間保証人になることができない
・裁判所から書面が届く
・家族が保証人・連帯保証人になっている場合、家族が借金を負う
自己破産を家族に隠すことが難しい理由について詳しくはコチラ
自己破産をすると家族の収入はどうなる?
自己破産時には家族の収入や財産に影響を及ぼすことはありません。
自己破産によって影響が出るのは破産者本人が所有する財産のみだからです。
自己破産時の家族の収入や財産について詳しくはコチラ
自己破産ではどこまで調べられる?
自己破産の手続きを進めるにあたって調べられるのは、「所有財産」「借金の内容」「免責に関すること」の3点です。詳細を細かく調べられるので、財産を隠すなどはやめておきましょう。
財産を隠していた事実が発覚すれば、自己破産で借金を0にすることができなくなる可能性があり、破産詐欺罪となった場合は厳しい処罰を受けることになります。
自己破産について詳しくはコチラ
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