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- 借金・税金の滞納が続くと児童手当も差押え対象となるかどうか
- 子供名義の預金は差押えの対象となる場合があること
- 児童手当や子供名義の預金が差し押さえられた際の対処法
- 借金返済や税金の支払いが困難な場合の対処法
借金や税金滞納が続くと、児童手当や子供名義の預金も差し押さえられるのではないかと心配になる方も多いでしょう。児童手当そのものの差押えは法律で禁止されていますが、口座に入金された後は対象となる場合があります。
また、子供名義の預金が差し押さえられるケースも存在します。今回の記事では児童手当が差し押さえられる可能性や、実際に差し押さえられた場合の対処法についてくわしく解説します。
また、借金や税金の支払いが難しい場合の対処法についてもご紹介します。差押えに対する正しい知識と、適切な対応方法を知る機会としてください。
目次 ▼
1章 借金・税金滞納が続くと児童手当も差し押さえられる?
結論からいえば、児童手当の差押えは禁止されています。ただし、入金された児童手当は差押えの対象となる場合があるのも事実です。
とはいえ、児童手当入金直後の預貯金差押えは違法になる可能性もあります。これらの事情を、くわしく見ていきましょう。
1-1 児童手当の差押えは禁止されている
児童手当の差押えは禁止されています。これは、児童手当法にもとづくもので、児童の福祉を保護するために設けられた規定です。ほかの児童関連の給付金も、おおむね同様の取り扱いが原則です。
鳥取県での事例では、児童手当の差押えが違法とされた判決があります。さらに、令和3年度の子育て世帯等臨時特別給付金に関する法律でも、支給金の差押えが禁止されています。
このような法律は、児童手当の趣旨を守るために重要です。したがって、児童手当そのものは差押えの対象外です。万が一、差押えが行われた場合、それは違法となる可能性が高いです。
なお、差押えの強制執行や差押えの対象外となるものは何かについて、以下の記事でくわしく取り上げています。
ぜひ、そちらも参考にしてください。
1-2 入金された児童手当は差押えの対象となる場合がある
児童手当そのものは差押え禁止ですが、口座に入金された後は例外となることがあります。入金された児童手当は、預貯金として扱われるからです。そのため、差押え差押えが合法とされることもありえます。
実際に、過去の判例では、預金口座に入った児童手当が差し押さえられたケースが存在します。差押えを避けるためには、児童手当を受け取った後は、すぐに現金化するか、別の管理方法を検討しましょう。
1-3 児童手当入金直後の預貯金差押えは違法になる場合がある
児童手当が入金された直後に預貯金が差し押さえられる場合、それが違法とされることがあります。特に、入金されたばかりの児童手当を即座に差し押さえる行為は、法の趣旨に反する場合があるからです。
そのため、入金直後の児童手当の差押えは、裁判所が違法性を認め、差押えを無効とする可能性があります。法律は、児童の福祉を最優先に考えているため、入金直後の差押えには、特別な保護が適用されることがあります。
ひとつの対策として、児童手当の口座を専用にしておくという方法があります。その口座には徹底してほかの種類の入金をしないことで、預貯金であっても児童手当でが認められやすく、差押えの対象となること避けられます。
借金・税金滞納によって、児童手当も差し押さえられそうでお困りのみなさんは、ぜひグリーン司法書士法人にお気軽にご相談ください。借金問題のプロフェッショナルであるグリーン司法書士法人では、個々のケースに応じた解決方法をご提案し、その実行をサポートできます。
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2章 子供名義の預金は差押えの対象となる場合がある
子供名義の預金は、一見すると子供の財産として扱われるため差押えの対象外のように思われます。しかし、実際には親が管理している預金が子供名義である場合、「名義預金」と判断されて、差押えの対象となることがあります。
名義預金とは、実質的な所有者と名義が異なる預金です。これは、税務上や法的なトラブルの元となりえます。もし名義預金と見なされると、その預金は親の財産と見做され、差押えの対象となる可能性があります。
このような判断は、預金の入出金の状況や管理実態にもとづいて行われます。従って、子供名義の預金であっても、名義預金と認定されると法的な保護が及ばない場合があります。
特に、親が子供名義の口座に定期的に多額の預貯金を移動させている場合、その預金は名義預金とされやすいです。この場合、税務署による調査や差押えが行われるリスクが高まります。
一度名義預金と認定されると、その財産は親のものとみなされ、債権者からの差押え対象となることが多いです。よって、子供名義の預金は名義預金とされないよう、適切な管理が必要です。
3章 児童手当や子供名義の預金が差し押さえられたときの対処法
児童手当や子供名義の預金が、差し押さえられたときの主な対処法としては、次の2項目が挙げられます。
- 差押禁止債権の範囲の変更の申立てを行う
- 子供に第三者異議の訴えを行ってもらう
それぞれの内容を、くわしく見ていきましょう。
3-1 差押禁止債権の範囲の変更の申立てを行う
児童手当が差し押さえられた場合、債務者は「差押禁止債権の範囲の変更」を裁判所に申し立てることが可能です。この申立てにより、生活に必要な最低限の財産を守れるでしょう。
民事執行法にもとづき、裁判所は債務者の生活状況やほかの事情を考慮して、差押えの範囲を変更できます。具体的には、債務者が生活を維持するために必要な部分の差押えを禁止できます。
申立ての際には、申請書や必要な証拠資料の提出が必要です。それにより、差押えによって生活に著しい支障が生じる場合でも、一部の財産を保護できます。
2020年の法改正により、差押命令が送達された日から4週間以内に申立てを行えるようになり、債務者の手続保障が強化されています。申立てを行うためには、裁判所からの通知をよく読み、速やかな対応が重要です。
なお、差押禁止債権の範囲変更の申立てを含めた、差押えを解除する手続とはどういうものか、その方法や期限について、以下の記事でくわしく解説しています。
ぜひ、参考にご覧ください。
3-2 子供に第三者異議の訴えを行ってもらう
子供名義の預金が差し押さえられた場合、子供は第三者異議の訴えを行えます。この訴えは、差押えが不当であることを主張し、財産の返還を求める手続です。
第三者異議の訴えを行うためには、裁判所に対して訴状を提出し、差押えの不当性を立証する必要があります。具体的には、預金が子供の名義であり、実質的に子供の財産であることの証明が求められます。
この手続を通じて、差押えが解除されることもあるでしょう。第三者異議の訴えを行う際には、弁護士の助言を受けることが推奨されます。
それによって、法的手続を適切に進め、差押えの影響を最小限に抑えられます。また、この訴えが認められることで、子供の財産が保護される可能性が高まります。
なお、第三者異議の訴えに関しては、差し押さえまでの流れも含めて、以下の記事でくわしく解説しています。
ぜひ、参考にご覧ください。
4章 借金返済や税金の支払いが難しいときの対処法
借金返済や税金の支払いが難しいときの主な対処法は、次の4項目あります。
- 家族や親族にお金を借りて支払う
- 副業や不用品販売などでお金を用意する
- 税金滞納については自治体に相談する
- 借金滞納については司法書士・弁護士に債務整理を相談する
ひとつずつ見ていきましょう。
4-1 家族や親族にお金を借りて支払う
家族や親族からお金を借りることは、金融機関を通じた借入よりも手続が簡単で、利息がかからない場合が多いため、一時的な資金繰りの解決策として有効です。しかし、この方法には慎重な対応が求められます。
まず、口頭だけではなく、借用書を作成したうえでの、返済計画の明確化が重要です。借用書には借入額、返済期限、利息の有無などを記載します。
特に注意すべきは、贈与と見なされるリスクを避けるために、利息を設定することです。無利息での貸し借りは贈与税の対象となる可能性があるため、市場金利を参考にした、適正な利息の設定が推奨されます。
また、借り入れを行う前に、家族や親族との信頼関係を維持するために、相手の状況を考慮しなければなりません。お金の貸し借りは、関係が悪化するリスクがあるため、トラブルを避けるために誠意を持って対応しましょう。
なお、夫婦や家族間の借金や借用書の書き方について、以下の記事でくわしく解説しています。
ぜひ、参考にご覧ください。
4-2 副業や不用品販売などでお金を用意する
借金や税金の支払いが難しい場合、副業や不用品販売などで追加の収入を得ることもひとつの対処法です。副業には、フリーランスとしての仕事やアルバイトなど多岐にわたる選択肢があります。
たとえば、コピーライティング、デザイン、プログラミングなどのスキルを活かして、オンラインプラットフォームで仕事を見つけることが可能です。
また、家の中にある使わなくなったものをフリマアプリやネットオークションで売却すれば、即時に現金を手に入れられます。
これらの方法は、すぐに始められるため、急な資金需要にも対応しやすい点がメリットです。ただし、副業を始める際には、本業への影響や税金の申告などを考慮する必要があります。
不用品販売においても、利益が一定金額を超える場合は所得として申告が必要になることを忘れないようにしましょう。
4-3 税金滞納については自治体に相談する
税金の支払いが困難な場合、まずは自治体に相談しましょう。自治体では、納税者の経済的な状況を考慮し、分割払いの相談や支払い猶予の手続を行えます。
税務署に直接訪問して相談するか、電話やオンラインでの相談も受け付けています。それによって、税金滞納による差押えや延滞金の発生を未然に防ぐことが可能です。
また、自治体によっては、生活困窮者向けの支援制度や、緊急的な資金援助プログラムもあります。こうした制度を活用すれば、一時的な経済的困難を乗り越える手助けとなるでしょう。
自治体の窓口で具体的な支援内容を確認し、自分に適した支援を受けるようにしましょう。
4-4 借金滞納については司法書士・弁護士に債務整理を相談する
借金の返済が困難な場合、司法書士などの専門家に債務整理を相談しましょう。債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産などの方法があります。
任意整理は、債権者と直接交渉し、返済条件を緩和する手続で、比較的簡単に行えます。個人再生は、裁判所を通じて債務の一部を免除し、残りの債務を分割して返済する方法です。
自己破産は、すべての債務を免除する代わりに財産を処分する手続です。これらの方法は、専門家のサポートを受けることで、適切に進められます。
専門家に相談すれば、自分の状況に最適な解決策を見つけ、法的に保護された形で再出発を図ることが可能です。
債務整理の主な種類ごとの特徴やメリット、デメリットについては、以下の表にわかりやすくまとめてあります。
横スクロールできます
債務整理の種類 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|---|
特徴 | 裁判所を通さずに、債権者と直接交渉して借金の減額や返済計画の見直しを行う方法 | 裁判所に申立てを行い、借金の減額と返済計画の認可を得る方法 | 裁判所に申立てを行い、全ての借金を免除してもらう方法 |
メリット | ・手続が比較的簡単で費用が安い ・裁判所への申立て記録が残らない ・家族や勤務先に知られない | ・借金を大幅に減額できる ・住宅ローンや車ローンなどの財産を守れる ・将来、再び借金問題に陥る可能性が低い | ・借金が全て免除される ・新しい生活をスタートできる |
デメリット | ・減額できる金額は債権者との交渉次第 ・将来、再び借金問題に陥る可能性がある | ・裁判所への申立て記録が残る | ・裁判所への申立て記録が残る ・官報に永久に掲載される ・一定期間、クレジットカードやローンを利用できない ・一定期間、就業制限を受ける |
適したケース | ・債務額が大きくなく、将来的に返済できる見込みがある場合 ・任意整理の詳細・解決事例はコチラ ↓ 借金をなくせる任意整理とは?メリット・デメリットや向いている人 任意整理の経験談・解決事例 | ・一定収入はあるが債務額が大きく、任意整理では難しい場合 ・個人再生の詳細・解決事例はコチラ ↓ 小規模個人再生とは|給与所得者再生との違いやメリット・デメリット 個人再生の経験談・解決事例 | ・債務額が非常に大きく、他の方法では返済が難しい場合 ・自己破産の詳細・解決事例はコチラ ↓ 自己破産とは?メリット・デメリットや手続きの流れを徹底解説 自己破産の経験談・解決事例 |
債務整理の種類と生活への影響に関しては、以下の記事でくわしく解説しています。
ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
以下の返済シミュレーションツール【バーチャル債務整理】を使えば、借金問題の解決のために債務整理を行った場合に、借金がどれくらい減るのかの目安がわかります。
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まとめ
児童手当自体は法律により、差押えが禁止されていますが、入金後の預貯金は対象となる場合があります。また、名義預金と判断されると子供名義の預金も差し押さえの対象となります。
こうした状況に対処するためには、差押禁止債権の範囲の変更の申立てや、子供による第三者異議の訴えが有効です。これらの手続を通じて、差押えから財産を守ることが可能です。
借金や税金の支払いが難しい場合には、家族や親族からの借入、副業や不用品販売、自治体への相談、司法書士などの専門家への債務整理の相談といった方法があります。
家族や親族から借りる際は、借用書を作成し、適正な利息の設定でトラブルを防ぎましょう。副業や不用品販売は即時に現金を得る手段として有効です。
税金の滞納については自治体に相談し、支払い猶予や分割払いの手続を行うことが大切です。借金の滞納に対しては、司法書士などの専門家に相談し、適切な債務整理を行うことで、法的に保護された形での再出発を目指しましょう。
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