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借金や税金などを長期間滞納し続けると、強制執行として財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
財産を差し押さえられるとなった時、「家族の財産も差し押さえられるのでは・・・?」と不安に思いますよね。
しかし、原則として、家族の財産は差押えの対象になりませんので安心してください。
この記事では、差押えの対象になる財産や、禁止されている財産などについて解説します。
目次 ▼
1章 家族の財産は強制執行による差押えの対象にならない
強制執行で差押えの対象となるのは、本人の財産のみです。そのため、家族の財産は差押えの対象にはなりません。
例えば、以下のような財産は差押えの対象外ですので心配する必要はありません。
- 配偶者名義の家や車
- 配偶者や子供名義の銀行口座の預金
- 配偶者や子供の給与
- 親が所有している土地・不動産
ただし、差押えがなされる前に、自身名義の財産を配偶者名義に変更するなどの行為は「詐害行為」として、無効になる可能性があります。
また、あまりにもその行為が悪質な場合には、刑事罰に処される可能性もありますので、決してしないようにしましょう。
2章 差押えの対象になる財産とならない財産
差押えでは、すべての財産が対象となるわけではありません。
何から何まで差し押さえられてしまってはその後の生活ができなくなってしまいますから、一部の財産は法律で差押えが禁止されています。
ここでは、差押えの対象となる財産・ならない財産について解説します。
2−1 差押えの対象になる財産
差押えの対象になる財産は、主に以下のとおりです。
なお、差押えの対象になる財産については法律で取り決められていませんので、あくまで「差押えの対象となりやすい財産」となります。
具体的に何が差押えられるかどうかは、差押え通知にしっかりと書かれていますので、実際の場面ではそれを確認してください。
財産の種類 | 備考 |
---|---|
預貯金 | 普通預金・定期預金・当座預金などです。 |
現金 | 66万円以上の現金は、差押えの対象となります。 |
給与など | 差押え時点では受け取っていなくても、将来受け取り予定の給与についても差押えの対象です。また、ボーナスや退職金も含まれます。 |
債権 | 預金債権、賃金債権、売掛債権などが対象です。 上記の給与も「給与債権」としてここに含まれます。 |
不動産 | 持ち家や土地、所有マンションなどの不動産です。 |
動産 | 貴金属や宝石、有価証券などの動産です。 |
上記の内、特に差押えの対象になりやすい(優先的に差し押さえられやすい)財産は、「預貯金」と「給与」です。収入がない方の場合、預貯金や現金が差し押さえられる可能性が高いでしょう。
なお、不動産や車といった財産は差押えの優先順位としては低い傾向があります。そのような財産は、査定や売却に手間がかかるからです。
とはいえ、価値の高い不動産や車などがある場合、差し押さえられる可能性があるので、その点は留意しておきましょう。
2−2 差押えが禁止されている財産
以下の財産は、法律で差押えが禁止されています。
- 66万円以下の現金
- 給与の4分の3※手取り金額が44万円を超える場合33万円まで
- 国民年金・厚生年金・生活保護費・児童手当費など
- 生活に必要な衣類や寝具・家具・家電・建具
- 1ヶ月に必要な食料や燃料
- 仕事に必要な器具・機械
- 実印や印鑑
- 仏具や位牌などの祭祀財産
- 勲章や賞状など名誉を表彰するもの
- 学習に必要な書類や器具
- 義手や義足など身体の補足に必要なもの
- 消防用の機械・器具・避難器具・備品
- 未公表な発明、著作に関わるもの
- 日記、商業帳簿など
上記のように、生活や仕事に最低限必要な財産は、差押えが禁止されています。
そのため、差押えを受けたとしても、すぐに生活ができなくなるようなことはないでしょう。
3章 強制執行になる前に、債務整理をしよう
最低限の財産が保証されているとはいえ、強制執行として財産が差し押さえられてしまうとその後の生活も苦しくなってしまいます。
そのため、強制執行となるまえに、債務整理をすることをおすすめします。手続きによっては、家や車などを残すことができる可能性があります。
債務整理の手続きには以下の3つがあります。
- 自己破産・・・借金の返済義務を免除してもらう手続き。収入がない方や借金額が高額な方に適している。
- 個人再生・・・借金を大幅に圧縮し、3年程度で返済を目指す手続き。安定した収入があり、家や車などの財産を残したい方に適している。
- 任意整理・・・債権者と交渉することで、将来発生する利息をカットする手続き。利息がなくなることで返済ができる方に適している。
それぞれ、詳しく解説します。
3−1 自己破産
自己破産とは、収入や資産が足りないことで借金の返済ができなくなった人が、裁判所へ申し立てることにより、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
公租公課を除く借金はすべてなくなりますが、その分、一定以上の財産は処分され、債権者に分配されます。なお、処分が禁止されている財産は、差押え禁止財産と同じです。
「これでは、差押えと変わらないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、差押えの場合、複数社から借り入れをしている場合、1社が差押えをしても、他社の借金は解決しません。
一方、自己破産であれば、すべての借金を一度に解決することができます。
とはいえ、失いたくない財産があるのであれば、自己破産は向いていません。
借金が高額で他の債務整理では解決できない方や、収入がない(少ない)方には自己破産をおすすめしています。
3−2 個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てることで、借金を5分の1〜10分の1程度に圧縮し、原則3年で完済する再生計画を立てる手続きです。
借金は一部残ることになりますが、自己破産とは違い家や車を残せる可能性があります。
ただし、手続き後も借金の返済は続けていかなければいけませんので、返済できるだけの収入が必要です。
安定した収入がある方、家などの残したい財産がある方には個人再生をおすすめしています。
3−3 任意整理
任意整理とは、債権者と交渉することで、将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。
元金は減りませんが、利息や遅延損害金がなくなることで月々の返済額を減らすことができるでしょう。
また、自己破産や個人再生とは異なり裁判所を通す手続きではありませんので、手続きは比較的手間が少なく、家や車などを手元に残すことも可能です。
利息をカットすることで返済が可能になるという方には任意整理をおすすめしています。
4章 借金トラブルはグリーン司法書士法人までご相談ください
借金の返済ができずにお困りの方は、ぜひグリーン司法書士法人までご相談ください。
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よくあるご質問
- 強制執行されると家族の財産はどうなる?
- 強制執行で差押えの対象となるのは、本人の財産のみです。そのため、家族の財産は差押えの対象にはなりません。
強制執行時の家族の財産について詳しくはコチラ
- 強制執行で差し押さえられる財産は何?
- 下記の財産は差し押さえられる可能性があります。
・給料
・預貯金
・生命保険金
・資産価値のある財産
・不動産
差押えについて詳しくはコチラ