この記事は約 3 分で読めます。
私は長年司法書士として活動しており、多くの個人再生案件を扱ってきました。
この体験談は、その中のひとつであり、特に印象に残った出来事です。
目次 ▼
相談者との出会い
40代の男性自営業者(青木様・仮名)が私の事務所を訪れました。
青木さんは建設業を営んでおり、以前は事業が上手くいっていたようでしたが、ここ数年は上手くいかず約3,000万円の借金を抱え、返済に苦しんでいる状態でした。
会社の融資を受ける際に青木様も連帯保証人になっているため、会社をたたむと自分が借金を背負う必要があること、小学生と幼稚園の子供がいて今の生活をできるだけ維持したいことをお話されていました。
問題の分析
青木様は3,000万円の借金を返済するのは難しいから、子供や奥様には迷惑をかけるが自己破産するしかないと考えられているようでした。
しかし、初回相談時に青木様の収入や借金の状況を詳しく聞いたところ、個人再生の住宅ローン特則が利用できる可能性があったため、内容を詳しく説明させていただきました。
個人再生の住宅ローン特則を利用した場合、自己破産と異なり借金の返済義務をすべてなくすことはできないが、今の自宅に住み続けられると説明したところ、青木様も受け入れてくれました。
手続きの進行
初回相談、提案をした結果、青木様に正式なご依頼をいただいたため、個人再生に向け必要な書類の準備と申立ての進行を行いました。
事業を営んでいた経験があるからか、青木様は個人再生の手続きも専門家任せにすることはなく進捗をこまめに尋ねてくる様子が印象的でした。
私は青木様の不安をできるだけ解消するために、小まめな報告と今後の流れの説明を丁寧に行いました。
解決への道
裁判所の決定により、彼の借金は大幅に減額されました。
個人再生は手続き完了後に計画通りに返済していくことも重要となってくるため、青木様の家計に関するアドバイスや今後のご提案もさせていただきました。
相談者様の変化
個人再生の手続きが完了したとき、彼は明らかに安堵していました。
借金の重圧から解放された彼は、知人が営む会社に再就職し、いつかは再び自分の手で事業を行いたいとお話されていました。
まとめ
この経験を通じて、私は司法書士としての役割の重要性を改めて感じました。
相談者の希望や状況を伺い、本人に最も適したアドバイスを行うこと、提案を行うからには良いことだけでなく悪い側面も伝えることは今も意識していることのひとつです。
司法書士として借金問題の解決を行うことは、相談者様の人生を左右することだと考え、今も様々な人の相談をお受けしています。