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- 差し押さえられる財産ごとに家に来るかどうか
- 土日祝日や夜間に差押えが実行されるかどうか
- 差押えを回避するための方法
「差押えの際に家に来ることがあるのか?」
「土日祝日や財産がない場合でも差押えは来るのか?」
借金やクレジットカード、税金などの支払いを滞納し、差押えが家に来ることを心配している人がいるのではないでしょうか。
結論から言うと、差し押さえで家に来るかどうかは差押えの対象財産によって異なります。そこで本記事では、「不動産・自動車」「動産」「債権」の3種類の財産ごとに、差押えを行う執行官が自宅に訪問するかどうかを解説します。
差押えが来たときの対処法、そもそも財産を差し押さえられないための回避方法なども説明しているので、ぜひチェックしてください。
目次 ▼
1章 家に来るかどうかは差し押さえられる財産次第!全3パターンを解説
冒頭でも述べた通り、執行官が家に来るかどうかは差押えの対象となる財産の種類によって異なります。なぜなら、差押えの対象財産が「その場で確認・回収する必要があるもの」か「別の手段で差し押さえが可能なもの」かによって、手続きの方法が変わるためです。ここでは、差押えの対象財産を不動産・自動車、動産(66万円を超える現金や貴金属など)、債権(給与や預貯金など)の3つに分類し、それぞれのケースで家に来るかどうかを解説します。
1-1 【家に来る】不動産・自動車
不動産は売却に向けて現地確認が必要なので、執行官は債務者の自宅を訪問するのが一般的です。ただし、不動産はすぐに差し押さえられるわけではなく、自宅訪問時には建物や敷地の状態確認、写真撮影などが行われます。そして、調査が実施されるころには退去の日付が指定されているため、債務者はその日までに出て行かなければなりません。
また、自動車が差し押さえられる際も執行官が自宅に来ます。債務者は原則として拒否できず、その場で自動車が引き上げられる流れです。ただし、手続きの種類や状況によっては自動車が差押えの対象から外れる可能性もあります。以下の記事では、ケースごとに自動車が差し押さえられるかどうかを解説しているので、ぜひ確認してください。
不動産や自動車は高額な資産であるため、債権者が優先的に差押えを実施する対象にされる傾向にあります。したがって、所有している場合は差押えが家に来る可能性が高いことを覚えておいてください。
1-2 【家に来る】動産(66万円を超える部分の現金・貴金属・美術品など)
現金や貴金属、美術品などの動産を差し押さえる際は、執行官と古物商が一緒に債務者の自宅に訪問するケースが多いです。その場で鑑定が実施され、価値があると判断された動産が差し押さえらます。動産執行の対象と対象外の財産の一例は以下の通りです。
差し押さえられる動産 | 差し押さえられない動産 |
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ただし、換金性の低い動産は競売にかけても思うような金額で売却できないことが多いです。動産執行にかかる手間や費用に対して回収できる金額が見合わないケースも少ないため、債権者はより確実に回収が見込める預貯金や給与の差押えを優先する傾向にあります。
1-3 【家に来ない】債権(給与・預貯金・株式など)
給与や預貯金、株式などの差押えは金融機関や勤務先などの第三者を通じて行われるため、債権は自宅への訪問をともなわずに差し押さえられるのが一般的です。
例えば、預貯金の場合は銀行に差押命令が送付され、債務者はお金を引き出せなくなります。債権の差押えは自宅への訪問がともなわないため、差押えの対象となったことに気づかないまま進行することもあります。
2章 休日や夜間に財産を差し押さえに来るケースは少ない
財産の種類にかかわらず、休日や夜間に差押えが家に来るケースはほとんどありません。なぜなら、以下の民事執行法第8条に記載されている通り、正当な理由がない場合の執行が禁止されているためです。
(休日又は夜間の執行)
第八条執行官等は、日曜日その他の一般の休日又は午後七時から翌日の午前七時までの間に人の住居に立ち入つて職務を執行するには、執行裁判所の許可を受けなければならない。
2執行官等は、職務の執行に当たり、前項の規定により許可を受けたことを証する文書を提示しなければならない。
この法律は、必要以上に債務者の生活を脅かさないために定められています。ただし、明らかに財産を隠匿しようとしている動きがあったり、緊急性が認められたりするケースでは、裁判所の許可が降りて休日や夜間に差押えが実行されるかもしれません。
3章 差し押さえる財産がない場合も家に来ない
債務者に差し押さえられる財産がない場合、執行官が自宅に訪問することはほとんどありません。なぜなら、差押えの手続きにかかる費用や労力に対して、回収できる財産の価値が見合わないためです。
訪問が必要な動産執行や不動産執行には、一定の手続き費用や人件費が発生します。しかし、現場で差し押さえられる財産がなければ、訪問にともなうコストを回収できません。そのため、費用倒れのリスクが高いと判断された場合、自宅への訪問は見送られる傾向にあります。
しかし、差押えを見送られたとしても、債務が免除されるわけではありません。今後収入や新たな財産が確認された場合には、再度差押えの手続きが行われる可能性が高いです。したがって、差押えの対象となる財産がないからといって安心せず、早めに専門家に相談して根本的な解決を図りましょう。
4章 差押えが家に来たときの対処法
差押えの手続きで執行官が自宅に訪問することに対して、不安な人も多いのではないでしょうか。執行官が自宅に来た際、以下の適切な対処法を知っておかなければ、状況が悪化する恐れがあります。
- 落ち着いて対応する
- 身分証を確認する
- 訪問理由を確認する
- 拒否はしない
- 書類を確認する
それぞれ見ていきましょう。
4-1 落ち着いて対応する
執行官は法律にもとづき、公正かつ適正に差押え手続きを実施する裁判所の職員です。差押え対象の財産を確認して差押えの手続きを遂行することが目的なので、暴力団や違法業者のように脅迫的な態度を取ることはありません。
突然の訪問に驚くこともあるでしょうが、慌てたり取り乱したりせずに落ち着いて対応しましょう。
4-2 身分証を確認する
執行官は執行官規則第11条によって、警察官と同様に身分証明書の携帯が義務付けられています。そのため、訪問してきた人物が執行官を名乗った場合、本当かどうかを確認するために必ず身分証の提示を求めてください。
本物の執行官であれば、職務の透明性を保つために身分証明書を提示してくれます。もし身分証の提示を拒否された場合や、不審に感じた場合は、執行官を名乗る人物が自宅に訪問していることを管轄の裁判所に連絡しましょう。
4-3 訪問理由を確認する
本物の執行官であることがわかれば、次は差押え対象の財産を確認しましょう。なぜなら、差し押さえるのが不動産なのか動産なのかによって、執行官の訪問理由が異なるためです。
不動産なら写真撮影や現況確認なのに対し、動産ならその場での差押えが目的です。目的を確認することで執行官に協力しやすくなり、スムーズに手続きを終えられるでしょう。
4-4 拒否はしない
執行官は法的な権限を持って差押えを行っているため、鍵をかけて訪問を拒否しても状況を悪化させるだけです。鍵の解錠業者も同行しており、執行官の指示に対して協力しなければ、強制的に鍵を開けて差押えが実行されます。
拒否や抵抗によってトラブルに発展する可能性もあるため、差押えのために執行官が自宅に来たら、拒否せずに協力しましょう。
4-5 書類を確認する
動産執行の場合、差押えの対象財産や手続きの内容などについて記載された書類への署名を求められます。 本物の執行官であることが確認できているので必要な書類であることがほとんどですが、内容を見ずに署名するのは避けるべきです。
書類に関する疑問点は執行官に尋ねられるので、署名をする前に内容を確認しましょう。もし書類の内容が理解できない場合や、不安を感じる場合は、その場で無理に署名せず、専門家に相談してください。
5章 差押えを回避したいなら債務整理を検討しよう
借金やクレジットカードの滞納による差押えを回避したいなら、なるべく早い段階で債務整理を検討しましょう。債務整理は返済負担を軽減するための手続きで、実施することで滞納による差押えを回避できます。
ただし、債務整理には3種類あり、状況に応じて適切な選択をする必要があります。ここでは、自身に合った債務整理方法を選択できるように、自己破産・個人再生・任意整理のそれぞれについて詳しく解説しましょう。
5-1 自己破産
自己破産とは、裁判所を通じてすべての借金を免除してもらう債務整理方法です。債務者は借金の返済義務が免除されて経済的に再出発できるため、減額や利息免除でも返済目処が立たない場合に選択される傾向にあります。
一方で、自己破産を実施すると不動産や車などの高額な財産は、手放す必要があるケースが多いです。また、信用情報に記録される約7年間は審査を通過できないため、新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。
したがって自己破産は、「安定した収入がなく、返済計画を立てることが難しい人」や「高額な財産を手放すことに抵抗がない、またはすでに財産がほとんど残っていない人」に適しています。
5-2 個人再生
個人再生は裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年以内で完済を目指す債務整理方法です。自己破産とは異なり、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用することで、持ち家を手放さずに借金問題を解決できます。
一方で計画的な返済が条件となるため、安定した収入がなければ手続きは認められません。また、完済から5年〜7年間は信用情報に記録されるため、手続き後は新規の借入やクレジットカードの利用が難しくなります。
メリットとデメリットを踏まえると、個人再生は「住宅を手放したくない人」や「安定した収入があるものの、借金額が膨らんでしまっている人に」におすすめです。
5-3 任意整理
任意整理は裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、借金の返済条件を見直す債務整理方法です。 利息や遅延損害金をカットしたり、返済期間を延ばしたりすることで、毎月の返済額を無理のない範囲に調整できます。
また、裁判所を介さない任意整理は、ほかの債務整理方法と比較すると手続きに要する期間が短いです。一方で、元金自体は減額されず継続的な返済が求められるため、すでに多額の借金を抱えていたり、収入がなかったりする場合は交渉に応じてもらえない可能性があります。裁判所を通さない任意整理ですが、完済から3年〜5年間程度はブラックリストが消えません。
ここまでの内容を踏まえると、任意整理は「少しでも早く借金返済の目処を立てたい人」や「利息や遅延損害金のカットで完済の見込みがある人」に向いています。
6章 債務整理で借金問題の解決を目指すなら弁護士・司法書士に相談しよう
債務整理は、借金滞納による差押えを回避するための有効な手段です。 しかし自己破産や個人再生、任意整理はそれぞれ特徴が異なっており、状況に合わせて適切な債務整理方法を選択する必要があります。
また、債務整理は法的な手続きや債権者との交渉が必要になるため、専門的な知識や豊富な経験が欠かせません。 書類の不備や手続きの遅れがあると、手続きが進まなかったり、思わぬトラブルが発生したりするリスクもあります。
したがって、債務整理を検討しているならなるべく早い段階で弁護士・司法書士に相談しましょう。専門家に相談することで、自分に合った最適な方法を提案してもらえるだけでなく、手続きや交渉もスムーズに進められます。
グリーン司法書士法人では、適切な債務整理方法のご提案から手続きのサポートまで一貫して承っています。無料相談にも対応しておりますので、お気軽にお問合せください。
まとめ
数か月にわたって支払いを滞納すると、財産を差し押さえるために執行官が家に訪問します。しかし、必ず家に来るわけではなく、差押え対象となる財産の種類によって訪問の有無は異なります。例えば、不動産や自動車、動産は執行官が自宅を訪問して差し押さえられるのに対して、給与や預貯金などの債権の差押えには訪問がともないません。
また差押えを未然に防ぐためには、早い段階で弁護士・司法書士に相談して債務整理の手続きを進めましょう。専門家からのサポートを受けて自分に合った債務整理方法を選択することで、差押えのリスクを回避しながら生活を立て直せます。
グリーン司法書士法人では、債務整理に関する豊富な実績と専門知識をもとに、一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策を提案しております。借金やクレジットカードなどの返済を滞納し、差押えのリスクを感じている方はお気軽にご相談ください。
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