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- 国民健康保険は債務整理で減額できないため必ず支払わなければいけない
- 滞納を続けていると財産が差押えになる
- 差押えを解除するには国民健康保険を完納する必要がある
- 払えない時点で市役所に分割払いや減免の相談をしよう
国民健康保険は、年10回に分けて支払いする社会保険です。国民健康保険は、病気や怪我をしたときの医療保険制度のため、必ず加入をして支払いしなければいけません。
そのため、国民健康保険の支払いを滞納すると差押えになるので注意が必要です。差押えになると、給料の一部や預金が強制的に納付に充てられるため、金銭的負担も大きくなるでしょう。
この記事では、国民健康保険の滞納による差押えを解除する方法を解説します。支払いに困っている方や既に滞納している方は参考にしてください。
目次 ▼
1章 国民健康保険の滞納が続くと差押えに!
国民健康保険は、収入や家族構成、年齢によっても納付額が変動しますが、無職や収入がゼロの状態でも国民健康保険に加入しなければいけないため、支払いが難しい方も珍しくないでしょう。
しかし、払えないからと滞納を続けると、最終的に差押えになるため支払わなければいけません。
では、国民健康保険を滞納してから差押えまでの流れを見ていきましょう。
STEP① 延滞金が加算される
国民健康保険は、毎回の支払いに応じて納期限が設定されています。納期限に間に合わずに滞納すると、滞納した時点で延滞金が加算されるので注意しましょう。
延滞金は、滞納した期間によっても金額が異なり、滞納すればするほど金額が大きくなります。
- 納期限の翌日から3か月を経過する日までに納付された場合
延滞金(A)=保険料額×延滞金割合×日数÷365 - 納期限の翌日から3か月を経過する日の翌日以降に納付された場合
延滞金(B)=延滞金(A)+(保険料額×延滞金割合×3カ月以降の日数÷365)
「延滞金の割合」は、延滞金に対してかかる年利率のようなもので、延滞した年によっても異なるので、ご自身のお住まいの市区町村の公式ホームページを確認しましょう。
STEP② 督促状が届く
延滞金の発生と同時に、自宅に督促状が届くようになります。督促状とは、入金を促すために送る書面のことです。
督促状には納期限が記載されているため、うっかり支払うのを忘れて督促状が届いた場合は、できるだけ早めに納付するようにしましょう。
もしすぐに払えない場合は、記載されている納期限以内に市役所に相談をするのをおすすめします。
STEP③ 催告書が届く
督促書を無視し続けると、やがて催告書が届きます。催告書とは、督促状よりも強い言葉で記載されていることが多く、差押え前の最終警告のようなものです。
つまり、催告書に記載されている納期限を無視すると、いつ差押えになってもおかしくない状況になります。当然ですが、延滞金も引き続き加算されているので、納付する総額が1日ずつ増えていることを忘れてはいけません。
STEP④ 財産が差押えられる
催告状も無視をすると、遂に財産が差押えられます。財産といっても、車やブランド品などの目に見えて分かる財産だけではなく、給料や預金口座など現金も差押えの対象です。
通常は毎月働いた分の給料が預金口座に振り込まれますが、給料が差し押さえられた場合は、その一部を国民健康保険の支払いとして強制的に充てるため、給料がその分減ってしまいます。預金口座が差し押さえられた場合には、滞納分まで全額が納付に充てられます。
それだけではなく、減った分からさらに今月分の国民健康保険を支払う必要があるため、より経済状況が厳しくなるでしょう。これからの生活のためにも、必ず差押え前に対処するのをおすすめします。
2章 差押えを解除するには国民健康保険を完納しよう
差押えになると、毎月のお金が少なくなったり預金を自由に引き出せなくなったりとデメリットが大きいです。それだけではなく、滞納を続けると通常は2~3割しか負担しなくていい医療費を全額負担しなければいけないため、経済状況によっては気軽に病院に行くことも難しくなるでしょう。
差押えを解除して医療保険制度を利用するには、国民健康保険を完納するしか方法はありません。滞納していた分を完納すると差押えが解除されるので、とにかくできるだけ早い完納を目指しましょう。
2-1 差押えから時効を適用するのはほとんどできない
なかには、消費者金融の借金だけではなく、税金や国民健康保険の支払いでも時効が適用されると聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、健康保険料の滞納に時効が適用されるケースはほとんどないので注意しましょう。なぜなら、健康保険料や税金は、役所が督促状を送るだけで時効は更新し続けるため、無視を続けても督促状が届く限りは時効は適用されません。
また、督促状を無視していると差押えになり、強制回収が始まるので、滞納分を支払わずに逃げ切ることは不可能でしょう。
3章 例外として完納しなくても差押えが解除されるケースもある
納期限までに支払いができずに滞納が続くと「短期被保険者証」を交付される場合があります。短期被保険者証とは、保険料の滞納によって有効期間が短く設定された保険証のことです。
この時点では、保険証の扱いになるので医療保険制度を利用できますが、ここからさらに滞納が続くと「被保険者資格証明書」が交付されて一時的に医療費を全額負担しなければいけません。
一時的に負担する理由は、あとから市役所で申請すると、本来の負担割合(2~3割)を超える部分が還付されるからです。ただし、還付の前に滞納分に充当されるので、実際には戻ってこないケースが多いでしょう。
差押えの状態で医療費が全額かかると考えると、どう対処したらよいのか分からずに困ってしまいますよね。理想は、差押えになる前に市役所などの自治体に相談をするのがベストです。
しかし、既に差押えまで進んでしまった場合でも、状況によっては完納しなくても差押えを解除してくれるケースもあります。では、差押えが解除されるケースを見ていきましょう。
3-1 病気や怪我で治療費を支払うケース
お金を病気や怪我などの治療費に使いたい場合は、差押えを解除してくれる可能性があります。
国民健康保険の支払いができずに差押えになった場合、手元にお金が少なくなるほか、一時的に医療費が全額負担になるので治療が困難になるケースもあるでしょう。
もし、病気や怪我の治療費がかかる場合は、早めに市役所に相談することをおすすめします。
3-2 失業や年収が大幅に減少したケース
失業などによって年収が大幅に減少したり、給料が下がって生活苦に陥ったりと、経済的に支払いが難しい場合も差押えを解除してくれるケースがあります。
このように、一時的に支払いが難しい状況の場合は、市区町村に相談することで分割払いや減免を受けられる可能性があるので差押えを防ぎましょう。
3-3 災害で損害が発生したケース
地震や台風などで被害が出て、損害が発生した場合も差押えが解除される可能性があります。災害は減免の対象になるケースが多いので、早めに相談するとよいでしょう。
ただし、家の損害を受けた割合や世帯主の所得金額に制限があるので、状況によっては支払い続ける必要があるので注意が必要です。
3-4 差押え後の生活が困難で支払い能力がないケース
差押え後で手元に残るお金が少なく、生活が困難な場合は差押えを解除してくれるケースもあります。
差押えによって国民健康保険や税金が払えなくなったり、生活費が足りなくなるなどの支障がある場合は市役所に相談しましょう。
ただし、生活が困難であることを証明しなければいけないケースもあります。趣味への浪費や交際費用が足りないなどの理由では差押え解除ができないので覚えておきましょう。
4章 国民健康保険が払えない場合は市役所に相談しよう
差押えを防ぐためにも、国民健康保険を滞納しそうな時点で市役所に相談しましょう。国民健康保険は、さまざまな理由から支払いが困難な方に向けて、支払いがしやすいよう制度を設けています。
払えないことがわかっていて、納期限が過ぎるのを待っているのでは、延滞金が加算されたり差押えになったり従来の保険証が使用できなくなったりとデメリットしかありません。
国民健康保険は、市役所に相談しない限り、どのような状況でも支払いをしなくてはいけないお金です。払えないのであれば、早めの相談をおすすめします。
4-1 分割払いや減免を受けられる可能性がある
国民健康保険が払えない状況の場合、理由によっては分割払いや減免、徴収猶予を受けられる可能性があります。
徴収猶予とは、一定期間国民健康保険料の支払いを猶予してもらえる期間のことです。たとえば、震災や火災、水害などの自然災害の被害に遭った場合や、失業などによって収入が激減してしまった場合などに「徴収猶予制度」を利用できます。
また、減免では経済状況によって「全額、4分の3、半額、4分の1」のいずれかを受けられるので、負担を軽減して、できる範囲で国民健康保険を払い続けられるのもメリットです。
ここで、大切なのは具体的に「いくらなら払えるか」を提示できるようにしましょう。「とにかく払えない」の一点張りでは、担当者も交渉に応じにくくなります。現在の経済状況を考えたうえで、相談することが大切です。
4-2 相談する際は離職票や診断書が必要になる場合も
市役所への相談のポイントとして、口頭で経済状況を説明するだけではなく、客観的に判断しやすい材料を持っていくようにしましょう。
たとえば、失業している場合は離職票、病気で思うように働けない場合は診断書など、経済的に厳しい理由を示すものが必要です。スムーズに手続きを受けられるためにも、支払いが困難な理由となるものを用意しておきましょう。
5章 別の借金が原因で国民健康保険が払えない場合は債務整理がおすすめ
生活費の補填や浪費など、別の理由でつくった消費者金融の借金がある場合は債務整理がおすすめです。債務整理の手続きでは、ローンやクレジットカードの滞納、消費者金融の借金などを減額したり免除したりできる可能性があります。
借金の返済分のお金を国民健康保険の支払いに充てることで、完納できる可能性があります。
債務整理は、大きく分けて3種類の手続きがあります。借金の総額や経済状況に合わせて適切な手続きを選びましょう。
債務整理の種類 | 手続きの方法 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
任意整理 | 利息や手数料など元金以外の支払いをカットする手続き | 返済が長期化して利息が膨らんでしまった人 借金を選んで整理したい人 |
個人再生 | 借金の元金を大幅にカットして完済を目指す手続き | 借金の総額が膨らんでしまった人 失いたくない財産がある人 |
自己破産 | 借金自体を免除して支払い義務をなくす手続き | 完済の目処が立たず返済不能に陥った人 借金を返済するための支払い能力がない人 |
なお、債務整理は専門的な手続きになります。そのため、司法書士などの専門家に相談して一緒に進めるのがおすすめです。
5-1 ただし国民健康保険は免除されないので注意

債務整理の手続きでは、滞納している借金を減額したり免除したりできますが、国民健康保険は免除されないので注意が必要です。国民健康保険は、支払いの義務があるため「非免責債権」に該当します。
同じく、慰謝料や罰金などの悪意のあるものや罰金、各種税金も同様に必ず支払わなければいけません。そのため、滞納しているものが国民健康保険や各種税金のみの場合は、債務整理をしても意味がないので注意しましょう。
しかし、逆に考えると、ほかに借金がある場合、国民健康保険料は免責されないので、他の借金を積極的に債務整理すべきといえるでしょう。
6章 国民健康保険を完納して差押えを解除しよう
国民健康保険は、病気や怪我をしたときに利用する医療保険制度です。全ての国民が十分な医療が受けることができるのが目的の制度のため必ず支払う必要があります。
そのため、国民健康保険を滞納した場合は、差押えとなり強制的に支払うことになります。差押えを解除するには完納しか方法がないため、できるだけ早い段階で市役所に相談をして、返済負担を軽減させることが大切です。
安心して医療保険制度を利用するためにも、差押えになることがないよう注意しましょう。
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