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「今月は固定資産税の支払いがあるけれど、後回しにして大丈夫かな?」
生活が苦しくて、固定資産税の支払いに悩まされている方は少なくないでしょう。
固定資産税は、持ち家や土地などに課税される税金のことで、他の税金と必ず期限内に支払う必要があります。
固定資産税を払わないでいると、預金や給与が差し押さえられ、最終的には土地や建物などの資産も差し押さえられる可能性があるのでご注意ください。
この記事では、固定資産税を払わないとどうなるのかを解説します。また、期限内に払えない場合の対処法についても紹介するので、支払いにお困りの方はご参考にしてください。
目次 ▼
1章 固定資産税とは土地や建物などに課税される税金のこと
固定資産税とは、土地や建物などに課税される税金のことです。
事業者以外は、下記のような所有物が固定資産税の対象になります。
土地 | 田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地(雑種地)など |
---|---|
家屋 | 住宅、店舗、工場(発電所及び変電所を含む)、倉庫、その他の建物など |
固定資産税は、地方税に分類され、期日内に不動産の管轄の市区町村に納付する必要があります。
一般の方であれば、住宅に対しての固定資産税が多いのではないでしょうか。
固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている所有者が納税をしなくてはいけません。
固定資産課税台帳は、不動産の管轄が東京23区の場合は都税事務所、それ以外の場合は所在地の市区町村の役所で閲覧・取得できるので確認しておきましょう。
1-1 固定資産税は年に4回納付する必要がある
固定資産税は、年に4回に分けて納付する必要があります。一括払いでも可能ですが、4回に分けて納付期限が設定されているため、それぞれの期限までに払いましょう。
東京都では、6月・9月・12月・2月の年4回ですが、名古屋市の場合は、4月・7月・12月・2月の年4回です。いつ支払うかは、お住まいの市区町村によって異なるため、市区町村の公式サイトや窓口で確認しましょう。
それぞれ、1期目の振込が近くなったタイミングで振込用紙と納税通知書が郵送されてくるので、記載内容に従って納付してください。
2章 固定資産税を払わないとどうなる?
では、固定資産税を払わないとどうなるのでしょうか。
答えは、固定資産税を滞納した分の給料や通帳が差し押さえられ、最終的に競売にかけられてしまいます。
この章では、競売にかけられるとどうなるのかを詳しく見ていきましょう。
2-1 最終的に競売にかけられて住めなくなる
競売とは、不動産を差し押さえて売却することです。
地方公共団体が、固定資産税を滞納している土地や建物を競売にかけて、その売却したお金を滞納している税金に充てます。
競売は、債務者や所有者の意思は一切考慮されずに強制的に進行するため、競売にかけられた時点で何もできることはありません。
競売にかけられると所有権を失うため、持ち家の固定資産税を滞納していた場合は住めなくなります。よって、競売が始まったら新しい家を探して引っ越しをしなくてはいけません。
3章 固定資産税を払わない状態から競売にかけられるまでの流れ
固定資産税などの税金だけではなく、消費者金融からの借金やスマホ代、クレジットカードの支払いなども滞納すると差し押さえになります。
ただし、税金や介護保険料などの公債権は、借金のような私債権とは異なり、裁判所を通さなくても差し押さえることが可能です。
裁判所を通さなくてはいけない私債権の場合は、裁判所の許可を得てから差し押さえに移るため、差し押さえまで段階を多く踏まなくてはいけません。
しかし、固定資産税の場合は裁判所の許可が不要なため、滞納するとあっという間に競売にかけられてしまいます。
では、固定資産税を払わない状態から競売にかけられるまでの流れを詳しく見ていきましょう。
STEP① 督促状が届く
期限内に固定資産税の納付ができない場合は、ハガキや封筒で督促状が届きます。
督促状には、滞納している金額と再設定された納税の期日が記載されているので必ず確認しましょう。うっかり払い忘れていた場合は、督促状に記載されている納税の期日までに支払う必要があります。
もし記載されている期日内に支払いが難しい場合は、お住まいの市区町村の窓口に相談しましょう。払えないからと再設定された期限も無視するのはおすすめしません。
STEP② 延滞金が発生する
固定資産税を滞納した時点で、延滞金が発生します。
延滞金とは、支払い期限が遅れた場合に支払うお金のことで、税金に限らず私債権でも発生するため注意が必要です。
延滞金が発生したら、滞納している固定資産税に加えて延滞金を支払わなければいけません。
お住まいの地域ごとに延滞金の率は異なりますが、東京都は下記の通りです。
横スクロールできます
期間 | 納期限の翌日から1ヶ月を経過する日までの期間 | 納期限の翌日から1ヶ月を経過した日以降の期間 |
---|---|---|
平成30年1月1日〜令和2年12月31日まで | 2.6% | 8.9% |
令和3年1月1日〜令和3年12 月31日 | 2.5% | 8.8% |
令和4年1月1日〜令和5年12 月31日 | 2.4% | 8.7% |
また、期間や延滞金特例基準割合によっても延滞金の割合が変動しているので、必ず確認しましょう。
STEP③ 催告状が届く
督促状に記載されている納付期限にも支払いが間に合わなかった場合は、催告状が届きます。
催告状は、いわゆる最終警告のようなものです。
「最終催告状」「差押予告書」「差押最終予告」などさまざまな呼び方がありますが、いずれにせよ緊急性が非常に高く、催告状が届いても支払わない場合は差押えや競売にかけられるため注意しましょう。
まだこの段階では、お住まいの自治体に相談すれば税金の分納や納期の延長などを相談できる可能性があります。期限内に払える見込みがない場合は、一刻も早く相談するのがおすすめです。
また、法律では督促状を送った日から10日を経過した日までに納付をしないと差押えができると定められています。
滞納者がこの督促を受けた場合で、その督促のため督促状又は納付催告書を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る国税を完納しないときは、差押えをすることができる。
引用:国税庁
よって、催告状が届かないケースもあるので、督促状が届いた段階で無視をするのは絶対にやめましょう。
STEP④ 給料や通帳が差し押さえられる
催告状の納付期限を過ぎた場合は、遂に財産が差し押さえられます。
具体的には、給料や銀行の預金口座などの現金や、車やジュエリーなど換金できる財産が差し押さえの対象です。
固定資産税の場合は、裁判所を通さずに強制執行ができるため、督促状や催告状を無視した時点でいつ来てもおかしくありません。生活のためにも差し押さえを回避しましょう。
STEP⑤ 土地や建物が競売にかけられる
現金や財産を差し押さえても、滞納している固定資産税が納めきれなかった場合、競売にかけられます。
競売は所有者の意思とは関係なく、とにかく早く売って現金化しなくてはいけないため、相場より低く売られるケースがほとんどです。
競売にかけられると、所有している資産が自分のものではなくなるため、もし家が競売にかけられた場合は強制的に退去しなくてはいけません。
4章 固定資産税が払えないときは自治体に相談しよう!
ここまで、固定資産税を払わないとどうなるかを解説しましたが、払えないときは大切な家や土地を失わないためにも早めに自治体に相談するのをおすすめします。
固定資産税の納付書や督促状には、期限内に払えない場合の連絡先が記入されているので、電話で相談するか自治体に直接足を運びましょう。
では、具体的にどのような措置が受けられるかご紹介します。
4-1 【税金の額が大きい場合】分納に変更する
固定資産税は、原則年に4回の納付ですが、事前に相談すれば分納の手続きを受けられる可能性があります。
分納とは分割払いのことで、分納が認められたら12回払いに変更して納付が可能です。4回に分けるよりも12回のほうが毎月の少額で納付できるため、支払い負担が軽減できます。
ただし、分納も同じく固定資産税の滞納をすると差し押さえになるため注意しましょう。
4-2 【病気などで一時的に払えない場合】徴収猶予を受ける
病気で入院をしたり、災害など働けなかったりと、一時的に収入がなく払えない場合は徴収猶予が受けられる可能性があります。
徴収猶予とは、固定資産税の支払いを先送りにできる制度です。やむを得ない理由で一時的に収入がなくなった場合は、申請をおすすめします。
ただし、自己都合での徴収猶予は認められないケースがあるので、申請したい場合は各自治体に確認しましょう。
4-3 【収入が減った場合】減免を受ける
自治体によっては、固定資産税の減免制度を設けています。減免制度では、税負担が減ったり納付が免除になる場合があるため長期的に納付負担が大きい場合は相談してみましょう。
ただし、収入が減った場合など、一定条件を満たしている必要があるため確認が必要です。
4-4 【既に差押えられている場合】換価の猶予を受ける
既に差し押さえられている場合でも、換価の猶予を受けられる可能性があるため諦める必要はありません。
換価の猶予とは、財産の売却や差し押さえが猶予される制度です。収入など一定条件を満たしているほか、税金を納付する意思が見られる場合に猶予が認められる可能性があります。
換価の猶予は1年以内と決められており、その間は分納で固定資産税を納めなければいけません。換価の猶予を受けても納付が必須なので注意しましょう。
5章 長期的に固定資産税が払えない場合は任意売却がおすすめ
減免をしても固定資産税が払えない場合は、土地や家を任意売却するのも一つの手段です。
任意売却をしたあとは、固定資産税を払う必要がないため、安価な賃貸などに住み替えれば費用を抑えられます。もし、予定よりも高く売れた場合は引っ越し費用に充てることも可能です。
ただし、住宅ローンが残っている場合は、銀行などの債権者に抵当権の解除と承諾を得ないと売却できないため注意しましょう。
また、任意売却で入ったお金でも残りの住宅ローンが払えない場合は、手放した後も引き続き払う必要があります。
5-1 任意売却は競売よりも高く売れる可能性がある
任意売却は、競売とは異なり相場価格に近い金額で売れるため、売れたお金で滞納している固定資産税や残りの住宅ローンを払い切れる可能性があります。
所有者の意思で進められるので、引っ越しまでに余裕があるのもメリットです。
ただし、競売にかけている間は自分が所有者のため引き続き固定資産税を納付し続ける必要があります。そのため、ある程度余力が残っている間に任意売却を決断するのがおすすめです。
6章 借金の返済で固定資産税が払えない場合は債務整理を検討しよう
消費者金融の返済やクレジットカードの支払いなど、私債権によって固定資産税が払えない場合は債務整理を検討しましょう。
債務整理は下記のような手続きがあるので、どの債務整理が合っているか確認しましょう。
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債務整理の種類 | 手続きの内容 | こんなケースにおすすめ |
---|---|---|
任意整理 | 債権者と交渉して利息や延滞金などをカットする手続き | 債権を選んで債務整理したい方 |
個人再生 | 借金を大幅に減額して原則3年で完済を目指す手続き | 家や車など失いたくない財産がある方 |
自己破産 | 借金額に関わらず借金を全額なくす手続き | 借金の総額や支払い能力から完済できる見込みがない方 |
借金額や支払い能力によっても適切な債務整理が異なるため、司法書士などの専門家に相談して一緒に進めるのがおすすめです。
6-1 税金は債務整理で免除されないので注意
固定資産税などの税金は、どの債務整理を選んでも免除されないので注意しましょう。
自己破産は全ての借金をなくす手続きですが、税金や慰謝料など一部の債権は例外です。そのため、固定資産税のみ滞納している場合は債務整理をしても意味がありません。
固定資産税の納付のみ厳しい状況であれば、自治体に相談するのがおすすめです。
6-2 家を失わない任意整理か個人再生を選ぼう
持ち家の固定資産税が払えない場合は、債務整理の種類にも気をつけなければいけません。
自己破産する場合は、持ち家も含めて処分されるため、固定資産税の滞納に関わらず強制的に退去する必要があります。
持ち家を失わずに借金問題を解決するのであれば、任意整理か個人再生を選びましょう。どちらの債務整理も完済する必要がありますが、持ち家に住み続けながら借金を減額できます。
7章 固定資産税を払わないと競売にかけられる!税金は優先して支払おう
固定資産税を払わないと、最終的には競売にかけられてしまいます。
もし期限内に納付が難しい場合は、早めにお住まいの自治体に相談して、分納などの交渉をして放置しないことが大切です。
固定資産税などの税金は、滞納をすると差し押さえや競売までのスピードが速いため、他の借金よりも優先して支払いましょう。
もし借金問題を抱えて固定資産税の支払いが厳しい場合や任意売却を考えている場合は、グリーン司法書士法人にお気軽にご相談ください。債務整理のプロが一人一人に合ったサポートを提案いたします。
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よくあるご質問
- 固定資産税を払わないでいるとどうなる?
- 固定資産税を滞納した分の給料や通帳が差し押さえられ、最終的に競売にかけられてしまいます。
- 固定資産税を払えないときの対処法は?
- 固定資産税を払えないときの対処法は、下記の通りです。
【税金の額が大きい場合】分納に変更する
【病気などで一時的に払えない場合】徴収猶予を受ける
【収入が減った場合】減免を受ける
【既に差押えられている場合】換価の猶予を受ける