借金取りへの対処法とは?取り立てのルールと違法行為について簡単に解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
借金取りへの対処法とは?取り立てのルールと違法行為について簡単に解説

この記事は約 9 分で読めます。

借金を返済せず滞納していると、

「借金取りが自宅や勤務先に押しかけてくるのでは?」

「家に借金取りが来ると居座って返すまで帰ってもらえないかもしれない」

などの不安を感じることもあるでしょう。

過去には悪質な借金取りによる取り立てで、命を脅かされるような問題に発展したこともありましたが、現在では法律による金融会社に対する取り立てルールも厳しくなっています。

そこで、借金取りが来たときの対処法や、金融会社の取り立てルールと違法行為について、次の3つの章に分けて詳しく説明します。

  1. 借金取りは自宅まで来ない
  2. 借金取りが自宅訪問するケース
  3. 借金取りが自宅に来たときの対処法

借金取りが家に来て困っているときや、返済が遅れていて不安があるときには、この記事を参考にされてください。

1章 借金取りは自宅まで来ない

借金取りによる「取り立て」が、自宅に来ることは基本的にはありません

消費者金融など貸金業者は、「貸金業法」という法律で不適切な時間帯の訪問や指定された時間以外に家を訪ねることが規制されているからです。

そこで、具体的に貸金業法ではどのような「取り立てルール」になっているか説明していきます。

1-1 貸金業法による取り立てルール

貸金業法により、貸金業者が債務者の「自宅」を訪問し、借金を取り立てることは規制されています。

具体的な取り立ての「ルール」として、規制されている内容は主に次の9つです。

貸金業法第21条による取り立ての規制

  • 正当な理由なく社会的に不適当な時間帯(午後9時から午前8時の時間帯)での電話や訪問
  • 正当な理由なく債務者から連絡を受ける時期の申し出があった時間帯以外での電話や訪問
  • 正当な理由なく債務者の勤務先や自宅以外への電話や訪問
  • 債務者の勤務先または自宅への訪問に対し退去を求められても居座ること
  • 張り紙や看板などで債務者以外に借金や私生活に関する事実を明らかにすること
  • 他から借金をして返済に充てるように迫ること
  • 債務者以外に代わりに返済するように求めること
  • 債務者以外が拒否しているのにもかかわらず、債務者の居所や連絡先を知らせることや取り立ての協力を求めること
  • 弁護士や司法書士に債務の処理を委託したのにもかかわらず、債務者に返済を迫ること

ただし上記に該当する行為であっても、「正当な理由」があれば自宅に借金取りが取り立てに来る場合があるため、次の章で詳しく説明していきます。

2章 借金取りが自宅訪問するケース

借金取りが自宅に来て返済を迫ることは基本的にはないといえるものの、「正当な理由」があるときや、貸金業法を無視した営業をしている「悪質業者」からの借金なら自宅訪問されることになるでしょう。

具体的に借金取りが自宅訪問するケースとして、次の4つが挙げられます。

  1. 連絡が取れない
  2. 督促を繰り返しても返済がない
  3. 訪問に同意している
  4. ヤミ金融業者から借金している

それぞれのケースについて説明します。

2-1 連絡が取れない

借金取りが自宅訪問するケースとして、債務者と連絡が取れない場合が挙げられます。

電話をしてもつながらなかったり、ハガキで催促をしても応答がなかったりという場合、自宅訪問以外の方法では督促できないとも考えられるため、「所在確認」の意味も含め自宅訪問することになるでしょう。

2-2 督促を繰り返しても返済がない

借金取りが自宅訪問するケースとして、督促を繰り返しても「返済」がない場合が挙げられます。

債権者が繰り返し正しい方法で返済を求めているのに、返済されず連絡も取れないという場合、債務者が「消滅時効」の成立を待っている可能性もあります。

消滅時効は「返済」や借りていることを「承認」することで「中断」されるため、借金の存在を認めさせるためにも自宅を訪問することになると考えられます。

2-3 訪問に同意している

借金取りが自宅訪問するケースとして、債務者が訪問による取り立てに「同意」している場合が挙げられます。

事前に債務者へ連絡し、自宅訪問する時間帯を決めて取り立てに行くことは法律的にも問題がないといえます。

ただし、何らかの理由で振り込みによる返済ができないなど、「特別な事情」のある稀なケースに限られます。

2-4 ヤミ金融業者から借金している

借金取りが自宅訪問するケースとして、「ヤミ金融業者」から借金をしている場合が挙げられます。

法律による借金取り立てのルールは「正規の金融会社に対する規制」であり、貸金業登録をせず法外な金利で貸し付けを行うヤミ金融業者には通用しません。

債務者の自宅を訪問したり恐喝まがいの取り立てをしたりなど、法律に反する行為にも何のためらいも持つことはないでしょう。

もしもヤミ金融業者からお金を借りてしまったときには、専門家や警察に早急に相談するようにしてください。

3章 借金取りが自宅に来たときの対処法

借金取りが自宅に来た場合、焦りから手元のお金を渡してしまったり後日支払う約束をしてしまったりなどの行動をしてしまいがちです。

しかし適切に対処しなければ、後のトラブルに発展する場合もあるため、慎重に行動することが求められます。

借金取りが自宅に来たときの「対処法」として、次の3つが挙げられます。

  1. 用件を聞いて帰ってもらう
  2. 悪質な取り立ては警察に相談
  3. 債務整理を検討する
  4. ヤミ金融業者相手の場合は専門の弁護士に相談する

それぞれの対処法について説明します。

3-1 用件を聞いて帰ってもらう

借金取りが自宅に来たときの対処法として、まずは用件を聞いて帰ってもらうようにしましょう。

このとき、

「後日支払います。」

「返済を少し待ってください。」

などその場しのぎの言葉を伝えてしまうと、「消滅時効」成立の妨げになってしまいます

借金取りは消滅時効の進行をストップさせることを目的として自宅を訪問しており、借金の「存在」を認める上記の言葉を待っているともいえます。

借金取りが自宅訪問後に居座り、利息だけでも支払ってもらわなければ帰らないという姿勢を見せたとしても、退去しないこと自体が「禁止」された取り立て行為です。

そのため借金の存在を認める言葉を伝えたり返済したりせず、

「専門家に相談するのでひとまずお帰りください。」

とのみ伝えて帰ってもらうようにしましょう。

3-2 悪質な取り立ては警察に相談

借金取りが自宅に来たときの対処法として、悪質な取り立てであれば「警察」に相談することが挙げられます。

ヤミ金融業者などからお金を借りた場合に多いのが、以下に挙げる「刑事罰」に該当する取り立て行為です。

対象となる刑事罰該当する取り立て行為
暴行罪胸ぐらをつかむ・殴るなどの暴力や拡声器を用いて大声を発する
脅迫罪 恐怖を与える言葉や暴言で脅かす
恐喝罪暴行や脅迫により金品を渡すよう要求する
不法侵入罪許可していないのに自宅に上がり込む
不退去罪退去を求めても応じずに居座る
名誉毀損罪勤務先などに借金の存在を言いふらす
業務妨害罪執拗に勤務先を訪れ大声で取り立てる

以上のような「悪質」な取り立て被害に遭った場合には、警察に「通報」するようにしてください。

3-3 債務整理を検討する

借金取りが自宅に来たときの対処法として、「債務整理」を検討することが挙げられます。

司法書士や弁護士に債務整理を依頼すると、債権者には専門家が「介入」したことを伝える「通知」が届きます。

この「受任通知」を受けた債権者は、債務者に直接取り立てを行うことができなくなるため、借金取りが自宅訪問することもなくなります。

借金取りに怯えた生活を送っているときや、借金返済が苦しいため問題を解決したいときには、「専門家」に早急に相談することをおすすめします。

3-4 ヤミ金融業者相手の場合は専門の弁護士に相談する

借金取りが自宅に来たときの対処法として、相手がヤミ金融業者の場合には専門の弁護士に相談しましょう。

ヤミ金融業者からお金を借りていても、法外な金利で貸し付けること自体が違法であるため、借りた元金も利子も一切返済する必要はありません。

返済できず過酷な取り立て被害に遭っていても、直接暴力を受けたわけでなければ警察に相談しても動いてもらえない可能性もあるため、ヤミ金融業者に強い専門の弁護士に相談しましょう。

まとめ

借金取りが自宅に来ることはあるのか、返済が滞っていると不安に感じることでしょう。

正規の金融会社であれば法律による取り立てルールで規制されているため、借金取りが自宅訪問することはないといえますが、繰り返し督促されているのに返済せず無視していればその限りではありません。

また、ヤミ金融業者の借金に関しては、そもそも違法な金銭の貸付であるため取り立てルールが守られることはないでしょう。

もしも手元にお金がなく、返済できない借金を抱えており、借金取りの取り立てなどに不安な毎日を送っているのなら、一度グリーン司法書士法人グループへご相談ください。

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