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- 任意整理の概要
- 任意整理で断られる7つのケース
- 任意整理で断られた場合の対処法
債権者(貸金業者・金融機関)と交渉することによって将来の利息をカットし、返済総額を減らせる任意整理。自己破産や個人再生のように裁判所を通す必要がないため、比較的手軽に手続きを進められる債務整理の方法です。
ただし、任意整理には条件が設けられており、債務者の状況によっては断られる可能性があります。そのため、「任意整理の手続きを確実に終えて借金額を減らしたい」「断られるケースを把握して万が一に備えたい」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、任意整理の基本情報を解説した後、任意整理で断られるケースについて解説します。また、任意整理で断られた場合の対処法もお伝えしているので、借金問題を解決したい方はぜひ参考にしてください。
目次 ▼
1章 任意整理の概要
任意整理とは、債権者と交渉して利息をカットしてもらい、元金を3年~5年程度に分割して返済する債務整理の方法です。完済までの目途が立ったり、第三者に知られずに手続きを進められたり、弁護士・司法書士に依頼した時点で督促が止まったりするメリットがあります。
また、借金を選んで交渉できるため、住宅ローンやマイカーローンを避けて手続きをすれば、任意整理が完了した後でも住宅や車を保有し続けられます。ただし、借金の元金は減らずに今後も返済が続く点、ブラックリストに登録される点に注意しておきましょう。比較的手軽に手続きを進められる任意整理ですが、実施するためには以下のような条件があります。
- 一定以上の収入を安定して稼いでいること
- 返済を継続する意思があること
- 元金を3~5年で完済できる目途が立っていること
これらの条件を満たしていなければ、基本的に任意整理はできません。任意整理を検討している方は、任意整理の条件をクリアできているか必ず確認してください。
2章 任意整理で断られる7つのケース
「家族にバレずに借金問題を解決したいので任意整理で断られたくない」「任意整理で断られるケースを知って事前に対策したい」と考えている方がいるのではないでしょうか。任意整理で断られるケースは以下の通りです。
- 返済の目途が立たない
- 債権者に交渉を拒否される
- すでに差押えや強制執行を受けている
- 生活保護を受給している
- 債務整理では解決できない借金がある
- 保証人や担保が付いている借金がある
- 会社や個人からの借り入れは断られやすい
それぞれについて詳しく解説します。任意整理で断られる可能性があるかどうかを判断したい方は、ぜひチェックしてください。
2-1 返済の目途が立たない
利息をカットした後は約5年以内に完済する必要があるため、返済の目途が立たない場合は任意整理を断られる可能性が高いです。任意整理後の支払いをイメージしやすいように、返済期間が5年の場合の月々の返済額を元本ごとにまとめてみましょう。
任意整理後の借金額(元金のみ) | 返済期間が5年(60か月)の場合の返済額(月) |
---|---|
50万円 | 8,333円 |
100万円 | 16,666円 |
150万円 | 25,000円 |
200万円 | 33,333円 |
250万円 | 41,666円 |
300万円 | 50,000円 |
収入から生活費を差し引いた後で、月々の返済額を残せるか確認しておきましょう。なお、一定の収入があれば、正社員でなくても構いません。そのため、アルバイト収入のある方や配偶者に安定した収入がある専業主婦でも、任意整理をできる可能性があります。
2-2 債権者に交渉を拒否される
任意整理では債権者ごとに交渉して手続きを進めるのですが、債権者は任意整理に応じる法的義務がありません。そのため、交渉にまったく同意してくれない厳しい債権者には、任意整理を断られる可能性があります。
また、借り入れから3か月以内だと拒否する貸金業者も。弁護士や司法書士が介入することで借金の返済は一括払いになるため、和解が調わなければ支払い条件がさらに厳しくなるリスクも把握しておく必要があります。交渉が拒否された場合でも、「元の契約に戻してほしい」というお願いは基本的に通りません。
これを理由に任意整理を断る弁護士や司法書士は逆に信頼できるといえるでしょう。個人再生や自己破産を提案してもらいましょう。
2-3 すでに差押えや強制執行を受けている
すでに差押えや強制執行を受けている場合も、交渉を拒否される可能性が高いです。債権者はすでに給与や財産を差し押さえて確実に返済してもらえる状況を整備できており、利息をカットする任意整理に応じるメリットがないからです。
任意整理を考えているのであれば、債権者が裁判所に訴える前に動いて差押えを受けないようにしましょう。
2-4 生活保護を受給している
生活保護費は最低限の生活を保障するお金として支給されており、借金返済のために使用することは原則として認められていません。手続き後に借金の返済が必要になる任意整理では、生活保護を受給していることは返済原資がないことを意味します。そのため、生活保護受給者の任意整理は断られるでしょう。
そればかりか生活保護費を借金返済に充てていることが発覚すれば、支給を打ち切られる恐れがあります。また、任意整理では債権者に対して「どのお金で返済するのか」を伝えますが、生活保護費が返済原資となると交渉に応じてくれない可能性が高いです。
生活保護を受けている方が借金問題を解決したい場合、収入や職業を問わない自己破産を選択することになるでしょう。
2-5 任意整理では解決できない借金がある
ローンやクレジットカードといった借金は任意整理ができますが、税金や公共料金の滞納は対象外です。任意整理によって利息をカットできないものは以下の通りです。
- 税金(所得税や住民税)
- 社会保険料(国民健康保険や国民年金保険)
- 公共料金(電気やガスなど)
- 損害賠償(慰謝料や養育費)
税金や社会保険料、公共料金の支払いを滞納していた場合、任意整理では解決できません。ただ、役所に相談することで返済日程を調整してもらえる可能性があります。
また、慰謝料や養育費の支払いが厳しい場合は相手に伝えて、待ってもらえるように交渉しましょう。
2-6 保証人や担保が付いている借金がある
正確には断られるわけではありませんが、保証人や担保が付いている借金で任意整理をするのはおすすめできません。保証人に支払い義務が生じて迷惑をかけてしまったり、担保として設定している車や住宅が没収されてしまったりするからです。
債務者は保証人との信頼関係を損なったうえで、住宅や車を失って返済だけが残るという状況に陥ります。利息や遅延損害金のカット以上に失うものが大きいため、保証人や担保が付いている借金は任意整理の対象から外しておきましょう。
2-7 会社や個人からの借り入れ
会社や個人からの借り入れは利息や遅延損害金が発生しないケースがあり、任意整理をしても意味がありません。そもそも元本を返済するだけで良い場合は、カットできる利息がないからです。
また、利息がかかる場合でも、債権者に交渉を拒否されると任意整理はできません。ただし、任意整理ができないだけなので、借金を返済できない以上は何かしらの債務整理を選択する必要があります。
2-8 弁護士・司法書士が債務整理を取り扱っていない
弁護士・司法書士事務所が債務整理自体を受けていない場合は、断られる可能性が高いです。
無理に頼んでも良い結果が得られない可能性があるので、実際に債務整理を多く取り扱っている事務所に相談しましょう。
グリーン司法書士法人では、債務整理に関する相談実績が累計1万件を超え、実際に多くの借金問題を解決した実績があります。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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3章 任意整理で断られた場合の対処法
「任意整理で断られた=借金問題を解決できない」というわけではありません。債務整理には任意整理のほかにも自己破産と個人再生があり、これらの方法であれば手続きを進められる可能性があります。
ここでは自己破産や個人再生の特徴やそれぞれのメリットを解説しましょう。任意整理で断られた場合の対処法に困っている方は、ぜひ参考にしてください。
3-1 自己破産
自己破産は、手続きが完了すると借金の返済義務がなくなる債務整理の方法です。税金や社会保険料、公共料金を除いた借金が帳消しになるため、苦しい返済から逃れられます。
また、任意整理や個人再生と違って自己破産は手続き後の返済が不要で、安定した収入がなくても手続き可能です。そのため、収入や職業を問わずに誰でも申し立てることができます。一方で、クレジットカードやローンが利用できなくなったり、価値がある資産の処分によって家や車が没収されたりするデメリットもあります。
自己破産を選択すべきなのは、安定した収入がないうえに、借金額が高額で減額後も返済目途が立たない方だと言えるでしょう。
3-2 個人再生
個人再生は借金を5分の1~10分の1程度に減額し、3年程度で完済を目指す債務整理の方法です。任意整理のように利息をカットするだけではなく、借金の元本を減額可能です。借金額が大幅に減ることによって返済目途が立つのであれば、個人再生を選択する余地があります。
個人再生では、マイホームを手放す必要がない住宅ローン特則を利用できます。そのため、マイホームを処分せずに住宅ローンを支払いながら、そのほかの借金を減額できるのです。
また、財産を処分する必要がないため、ローンが残っていない車は手続き完了後も乗り続けられます。一方で、手続き完了から約3年で完済する目途が立たない場合、任意整理と同様に断られる可能性が高いでしょう。
4章 債務整理の手続きをスムーズに進めたいなら弁護士・司法書士に相談しよう
任意整理や自己破産、個人再生といった債務整理の手続きは複雑で、個人で行うと膨大な時間と手間がかかります。そして用意すべき書類や条件が多く、不備があるとなかなか手続きが完了しません。そのため、債務整理をする際は、弁護士や司法書士への相談をおすすめしています。
グリーン司法書士法人では、これまでに1万件以上の債務整理のご相談を解決してきました。そのため、手続きをスムーズに進めることはもちろん、個人の状況に合わせた債務整理の方法を提案可能です。任意整理で断られて対処法に困っている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
利息をカットして借金返済の目途を立たせられる任意整理は、「家族にバレずに手続きを進められる」「交渉する借金を選択できる」といったメリットがあります。ただし、以下のようなケースでは任意整理をできない可能性が高いです。
- 返済の目途が立たない
- 債権者に交渉を拒否される
- すでに差押えや強制執行を受けている
- 生活保護を受給している
- 債務整理では解決できない借金がある
- 保証人や担保が付いている借金がある
- 会社や個人からの借り入れは断られやすい
すでに借金問題が深刻化していると任意整理では対処しきれないため、債権者に断られるでしょう。もし任意整理で断られたとなると、借金問題の解決に向けて自己破産や個人再生を選択する必要があります。
どちらの手続きも複雑で時間がかかるので、確実に借金問題を解決したい方は弁護士や司法書士に相談しましょう。グリーン司法書士法人では、任意整理の交渉や債務整理のサポート、一人ひとりに合った債務整理を提案しています。無料相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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よくあるご質問
- 任意整理ができないケースとは?
- 任意整理ができないケースは、主に下記の通りです。
- 返済の目途が立たない
- 債権者に交渉を拒否される
- すでに差押えや強制執行を受けている
- 生活保護を受給している
- 債務整理では解決できない借金がある
- 保証人や担保が付いている借金がある
- 会社や個人からの借り入れは断られやすい
- 任意整理は誰でもできる?
- 任意整理の条件は、下記の通りです。
- 債務者に安定した一定収入がある
- 利息カット後の元金を3~5年で完済できる目処がある
- 今後も必ず返済する意思がある