自己破産で免責不許可事由に該当する11のケースと具体的な対処法とは?

山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
所属東京司法書士会登録番号東京第8849号、 東京都行政書士会所属会員番号第14026号
保有資格司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート
関連書籍「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
自己破産で免責不許可に該当するケース
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個人が自己破産手続で借金をリセットしようとしても、免責不許可事由に該当してしまうこともあります。

免責不許可事由とは、自己破産で免責(借金を免除してもらうこと)が認められない原因となる事情のことです。

たとえば、

  • カード利用で購入した商品の現金化をしたことがある
  • ギャンブルや浪費などが原因の借金である
  • 返済可能なフリをして借りた借金である
  • 債権者を平等に扱わず一部の借金だけ優先させて返済した
  • 免責決定を過去7年以内に受けている

などがその例です。詳しくは2章で個別に解説しています。

他にも免責不許可事由に該当する理由はいろいろありますが、当てはまった場合でも必ずしも免責許可が下りないわけではありません。

そこで、どのようなケースが自己破産での免責不許可事由となるのか、該当してしまったときにはどうすればよいのかその対処法について解説していきます。

人生の再スタートに向けた自己破産を成功させるためにも、まずはどのようなケースが免責不許可事由に該当するのか確認していきましょう。

1章 自己破産の免責不許可事由とは

一定の事情があると裁判所に借金の返済免除を認めてもらえないのですが、この事情のことを免責不許可事由といいます。

破産法では、破産手続の開始申立てが行われたときに申立人が反対意思を表示しない限りは、免責許可の申立てをしたとみなされます。

自己破産の申立てと同時に借金を返済する義務を免除する許可を裁判所に願い出ていることとなり、免責不許可事由がなければ裁判所も免責許可の決定をしなければなりません。

しかしお金を貸した債権者に対し酷な行為を行った場合などは、例外として借金を免除しないことがあります。これが免責不許可事由です。

債権者にとっては、本来であれば返してもらえるはずのお金を、自己破産手続によって返してもらうことができなければ泣き寝入りするしかありません。

そこで、免責を認めてしまうと債権者があまりに不憫とされる場合などは免責は認められませんが、どのようなときに認められないかが免責不許可事由として明記されています。

2章 免責不許可事由に該当する11のケース

免責不許可事由を明記しているのは破産法であり、第252条にはどのような場合に免責が認められないかその内容が定められています。

具体的な免責不許可事由として挙げられるのは全部で11個あります。

  1. 不当に財産を減少させる行為
  2. 不当に債務を負担する行為
  3. 債権者を平等に扱わない行為
  4. 収入に見合わない浪費やギャンブルなどにより借金をする行為
  5. 相手を騙して信用取引をする行為
  6. 帳簿など業務や財産に関する書類を隠す行為
  7. 虚偽の債権者名簿を提出する行為
  8. 説明の拒否や虚偽の発言をする行為
  9. 管財業務を妨害する行為
  10. 過去7年以内に免責を受けている
  11. 自己破産手続に協力しない

それぞれ詳しくご説明していきます。

2-1 不当に財産を減少させる行為

自己破産手続直前または手続期間中において、所有する財産を隠したり誰かに譲ったりなど、不当に財産を減少させる行為は免責不許可事由となります。直前というのは、申立ての前2年間程度のことをいいます。

自己破産で免責が認められた場合、借金返済は免除される代わりに所有する財産は現金化し、債権者へ分配されます。

債権者に分配されるはずの財産を減少させることは許されず、破産手続に則り処分されなければなりません。

不当に財産を減少させる行為に該当する例

自己破産によって、所有している高級外車を処分されることを避けるため、知人に安く売却したり譲ってしまったりという場合などが該当します。

2-2 不当に債務を負担する行為

破産手続開始を遅延させることを目的として、著しく不利益な条件で債務を負担することや、信用取引で商品を購入し著しく不利益な条件で処分する行為は免責不許可事由となります。

不当に債務を負担する行為に該当する例

不当に債務を負担する行為に該当する例として、

  • ヤミ金融業者など法外な高金利で金銭を貸し付ける業者からお金を借りる行為
  • クレジットカードで商品を購入した後、売却して換金する行為(ショッピング枠の現金化)

などが挙げられます。

一般的な金融機関からの借入可能となる額が限度に達し、返済ができないのなら自己破産を検討することになります。

しかし違法なヤミ金融業者からお金を借りる行為や、キャッシングできないからショッピング枠を現金化する行為などを行えば、破産手続の開始を遅延させる目的があったとされ免責不許可事由に該当してしまいます。

2-3 債権者を平等に扱わない行為

破産法の大原則として、すべての債権者を平等に扱わなければならないというものがあります。

これに反して特定の債権者にのみ返済を行うことを「偏頗(へんぱ)弁済」といいますが、このように債権者を平等に扱わない行為は免責不許可事由となります。

債権者を平等に扱わない行為に該当する例

債権者を平等に扱わない行為とは、特定の債権者のみ利益となる支払いをすることなので、たとえば親や友人からの借金を金融機関より優先し返済する行為などが該当します。

2-4 収入に見合わない浪費やギャンブルなどによる借金

趣味などに没頭するとついお金を使ってしまいがちですが、収入に見合わない浪費で借金を増やしたときや、ギャンブルや投資で多額の負債を抱えた場合などは免責不許可事由となります。

収入に見合わない浪費やギャンブルなどによる借金に該当する例

  • 浪費・賭博・射幸行為
  • パチンコやスロット、競馬・競艇・競輪などのギャンブル行為
  • 高額なブランド商品購入
  • ホストクラブやキャバクラに通う行為
  • 株やFXなどに投資する行為

このような行為を原因とした借入れが該当します。

2-5 相手を騙して行った信用取引

すでに借金を完済することは難しいとわかっていながら、返済可能なフリをしてお金を借りる行為は「詐術」による信用取引なので免責不許可事由となります。

相手を騙して行った信用取引に該当する例

相手を騙して行った信用取引に該当する例として、氏名・収入・借金の有無や額などを偽り、クレジットカードを作ってショッピングに利用した数か月後、専門家に自己破産を依頼する行為などが該当します。

悪質な場合には詐欺罪となる可能性もあるため注意してください。

2-6 帳簿など業務や財産に関する書類を隠す行為

帳簿を隠す行為や、業務や財産に関する書類を偽造・隠蔽した場合には免責不許可事由となります。

業務帳簿として挙げられるのは、出納帳・決算書・確定申告書などですが、これらを偽造したり隠したりすることは一種の財産隠しとなります。

返済能力がないことを証明しなければならない破産手続において、このような行為は当然ながら免責不許可事由となります。

2-7 虚偽の債権者名簿を提出する行為

自己破産手続ではすべての債権者を一覧表に記載し、債権者名簿として裁判所に提出する必要がありますが、一部の債権者を記載しない行為や架空の債権者を記載する行為は免責不許可事由に該当することになります。

たとえば親族や友人などには迷惑を掛けずに返済していきたいと考え、故意に債権者名簿に記載しないと免責を認めてもらえなくなりますので注意しましょう。

もちろん、特定の会社を記載しないことも同様です。破産手続においては、個人債権者も法人債権者も全く平等に扱わなければなりません。

2-8 説明の拒否や虚偽の発言をする行為

裁判所書記官または破産管財人に対して行う破産手続に関しての説明を拒絶することや、虚偽の発言をする行為は免責不許可事由に該当します。

本来であれば借りたお金は契約(約束)通りに返すことが原則ですが、自己破産により返済義務が免除されれば、債権者は大きな損失を被ることになります。

その埋め合わせとして、自己破産した方が所有していた財産は換金し、各債権者に公平に分配されなければなりません。

しかし説明の拒否や虚偽の発言をする行為は、債権者が分配を受け取る権利を侵害することになり、免責は認められなくなります。

2-9 管財業務を妨害する行為

管財業務を妨害する行為として挙げられるのは、

  • 破産管財人が行う調査の妨害をする行為
  • 管財人などを脅迫する行為
  • 管財人の指示に従わない行為

などです。

破産管財人の業務には、

  • 破産者との面談
  • 破産者の財産の売却(現金化)と管理(破産財団の形成と管理)
  • 破産者を免責するべき理由があるかの調査(免責許否の審査)
  • 債権者集会における、債権者に対する破産者の状況や手続進行状況の説明

などがあります。

破産者は、破産管財人に全面的に協力する義務があります。これらの行為を妨害したり指示に従わなかったりすると、免責不許可事由に該当することになるため注意しましょう。

この点については、管財人面談の時に直接説明してくれることも多いので、質問があればその時に直接聞いてみることをお勧めします。

2-10 過去7年以内に免責を受けている

自己破産は、その難易度はさておき一度しかできないというわけではありません。
何度もできますが、例外があります。

  1. 自己破産における免責決定
  2. 給与所得者再生における認可決定
  3. 小規模個人再生におけるハードシップ免責

これらを7年以内に受けたことがある場合には、原則として2度目の免責は認めてもらえません。

2-11 自己破産手続に協力しない

自己破産手続に非協力的な態度を取っていると免責不許可事由に該当してしまいます。

破産法では破産者に対し、

  • 説明義務
  • 重要財産開示義務
  • 免責調査協力義務

があるとしています。

これらの義務に違反すると、手続に協力しないと判断され免責を受けることができなくなります。

自己破産手続に協力しないと判断される例

これまでの説明と重複しますが、所有する財産を隠すことや調査で虚偽の発言をすることなどが「破産法上の義務違反行為」に該当します。

自己破産手続を進めようとする裁判官や管財人などの指示に従わなければ、借金も免除されないと認識しておくべきです。

3章 免責不許可事由がある場合の対処法

自己破産手続で免責不許可事由に該当する場合には、原則、免責は許可されなくなってしまいます。

ただし例外として、仮に浪費やギャンブルなどで免責不許可事由に該当するとされた場合でも、裁判官の判断により免責となる「裁量免責」が認められることもあります。

実際には、この裁量免責によって最終的に免責許可が出ることがほとんどです。ただ、そこまでの道のりが非常に複雑かつ長期になります。

少しでも早く裁量免責を認めてもらうには、次のような対応により、二度と借金を繰り返さないことをアピールするようにしましょう。

3-1 反省文を書いて裁判所に提出する

これまで借金した事実の経過をしっかりと説明し、今後は同じことを繰り返さないための分析と対策を裁判所に伝え納得してもらうために、反省文を書いて提出するといったことも必要です。

裁判所や管財人から反省文の提出を求められることもあります。その場合は早急に提出しましょう。

3-2 誠実に手続に協力する

ギャンブルなどを原因とする借金で自己破産したときにおいて、破産管財人が選任されたときには財産や負債の状況、生活状況などの調査が行われます。

このうち生活状況については、破産管財人と面接を行う方法が取られることが多いですが、複数回に渡ることもあれば日記・家計簿・反省文などを提出するように求められることもあります。

産管財人の調査に非協力的な態度を取ったり期日を無視したり、指示に従わないということのないように、誠実に対応することが必要です。

本来返済するべき借金を、特別に免除してもらうという意識を持ち、協力的な姿勢で誠実に対応することが何よりも重要です。

いずれにしても、裁量免責を適用してもらいたい場合には、知識や経験が豊富な専門家に相談してほうがよいでしょう。

4章 裁量免責も認めてもらえない場合の対処方法

非常にレアケースですが、もしも裁量免責が認められないときには、

  • 即時抗告
  • 自己破産以外の債務整理

を検討することが必要となります。

それぞれどのような手続になるかご説明します。

4-1 即時抗告

免責が認められなかった決定に対し、異議申立てを行うのが「即時抗告」です。

即時抗告は、免責不許可が決定し官報に公告・掲載された翌日から2週間以内に行うことが必要となります。

ただ、裁量免責すら認めてもらえないケースというのは、実際のところ反省の色が全く見えないとか、手続への協力が全くないなどの非常に極端なケースであることが多いです。そのため、たとえ即時抗告しても不許可の決定は覆らない可能性が高いでしょう。

4-2 その他の債務整理

4-2-1 任意整理

免責不許可事由に該当することで免責が認められず、借金返済が免除されないのなら、借金をした理由は問われない債務整理の方法を選択することになります。

債務整理の中でも任意整理であれば、基本的に借金をつくった原因は問われることはなく、借金返済状況を見直し金利や遅延損害金などを削減できます。

基本的に元本だけの返済となるため、毎月の返済額を少なく抑えることができる方法ですが、安定した収入の可能性がなければ利用できません。

もっとも、現実的には、自己破産を検討しなければならない状況において、任意整理で返済を続けるだけの資力があるとは考えにくいため、自己破産を認めてもらうことができるように誠実に手続に対応していくことが求められます。

手続きの詳しい流れはこちらの記事で解説しています。

4-2-2 個人再生

個人再生は、借金を5分の1~10分の1に圧縮し、これを原則3年間で返す手続きです。返済があることから、自己破産に比べると免責不許可事由の審査は緩い手続きです。

自己破産が認められないときに個人再生に切り替えるというよりは、明らかに免責不許可事由が多い場合に、手続の最初からそもそも自己破産を回避して個人再生にするということがあります。

このような判断は、やはり専門家でなければできませんので、手続をスムーズにするためにも、借金でお悩みの方は専門家へ相談することを強くお勧めします。

個人再生の詳しい流れはこちらの記事で解説しています。

まとめ

自己破産手続を開始しても、すべての借金が返済免除となるわけではなく、免責不許可事由に該当するときには免責は許可されません。

しかし例外として裁判所の裁量により免責が許可される裁量免責が認められることもありますし、免責不許可となっても他に選択できる債務整理の方法はあります。

いずれにしても免責不許可事由に該当し、万一免責が許可されなかったときにはその後の対応が重要となるため、自己破産手続の知識や経験が豊富な専門家を頼ったほうが安心です。

もし自己破産を検討しているけれど、免責不許可事由に該当する可能性があると不安を感じるのなら、まずはグリーン司法書士法人グループに相談してみてはいかがでしょう。

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