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自己破産をするとほとんどの借金が全額免除(免責)されますが、中には免除されないものもあります。
免除されないものに含まれる可能性があるのが「賠償金」です。
一部の賠償金は非免責債権として、自己破産のよる免責の対象外となります。
一方で、賠償金の支払い義務があったとしても自己破産をすることは可能です。
この記事では、自己破産における賠償金について詳しく解説します。
目次 ▼
1章 自己破産をすれば損害賠償・慰謝料の支払いが免除される
自己破産をすれば、原則として損害賠償や慰謝料の支払い義務も免除されます。 ただし、破産者が悪意で加えた不法行為による損害賠償や慰謝料の支払い義務などは、自己破産をしても支払い義務が残り続けます。
次の章では、自己破産をしても損害賠償や慰謝料の支払い義務が残るケースを解説します。
2章 自己破産で賠償金が免除されない2つのケース
自己破産では、すべての賠償金が免除(免責)されるわけではありません。
賠償金であっても原則は免除されますが、例外的に免除されないことがあるのです。
具体的に、免除されない賠償金は以下の2つのケースです。
- 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
以下、それぞれ説明していきます。
2−1 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
そもそも、「賠償金」は法律上、一般には「不法行為に基づく損害賠償請求」として生じます。
ひとくちに不法行為といっても様々な態様のものがありますが、その中で悪意を持って加えた不法行為に対する損害賠償請求は自己破産では免除されません。
「悪意」とは相手に対して「損害を与えてやろう」という積極的な意図を持っていることです。
例えば、物を盗む・騙し取る・会社の金品を横領するといった行為や、暴力によって怪我や死亡させた、モラハラなどによって精神的に損害を与えたといったことが「悪意で加えた不法行為」に該当します。
2−2 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
故意又は重大な過失によって、人の生命に関わることや身体を傷つけるような不法行為に対する損害賠償請求は自己破産では免除されません。
「故意」とは相手に対して「損害があるだろう」と理解しながらも敢えて行為に及ぶことで、「重大な過失」とはほんの少しだけ注意しさえすれば損害を与えることを回避できたにもかかわらず、それを怠ったことを指します。
例えば、飲酒運転や暴走運転などによる交通事故で怪我/死亡させたなどの行為が該当します。
なお、いずれの場合も具体的な判断は非常に専門的なものになります。素人が独断できるようなものではありませんので、必ず法律の専門家に相談しましょう。
3章 賠償金以外の非免責債権
賠償金以外にも、自己破産で免除されないものもあります。
具体的には以下のとおりです。
非免責債権 | 具体例 |
各種税金等 | 所得税、住民税、自動車税 固定資産税などの税金国民年金国民健康保険料下水道料金 など |
慰謝料 | 悪意のあるもの(DVやモラハラに対する慰謝料 など) ※原則として、不倫慰謝料はこれに含まれない |
従業員の給料 | 給料、賞与 |
養育費 | 養育費 |
罰金 | 刑罰によるもの |
最も注意すべきなのが、各種税金等です。借金をされている方には、税金や年金・国民健康保険などを納めていない方も多くいらっしゃいます。
これらは自己破産をしても免除されることはなく、滞納し続けると最悪の場合財産や給与の差押えがなされる可能性があります。
そして、税金の差押えは裁判所を通さず、国税庁・税務署の独自の権限でいきなりやってきます。
支払う余裕がない場合には、各自治体や税務署に相談して、分納交渉をしましょう。
4章 賠償金などの非免責債権があっても自己破産は可能
賠償金の一部は自己破産で支払いを免除してもらうことはできませんが、賠償金の支払いがあることで自己破産できないというわけではありません。
自己破産は以下の3つの要件を満たしているかどうかで免責されるかが決まります。ここに「賠償金があること」といった要件はありません。
- 支払不能であること
- 借金が非免責債権だけでないこと
- 免責不許可事由に該当しないこと
また、賠償金があるからといって自己破産が管財事件になる可能性も一般には低いと言えます。
むしろ、自己破産で他の借金の返済が免除されることで余裕ができ、賠償金の支払いができるようになるでしょう。
自己破産の条件についてはこちらの記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください。
5章 自己破産の手続きはグリーン司法書士法人にご相談を
グリーン司法書士法人では、これまで多くの自己破産手続きに対応してまいりました。
賠償金がある場合にも、支払いが免除されるのか・されないのかを判断し、しっかりとご説明させていただきます。
初回のご相談は無料です。ご相談時に自己破産の手続きがどのように進むのか、自己破産以外の債務整理で解決できないかなどお話させていただきます。
オンラインでのご相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。
自己破産に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
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よくあるご質問
- 賠償金は自己破産で免責になる?
- 賠償金は原則として自己破産で免責になりますが、下記の2点は免責できません。
・悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
・故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
賠償金と自己破産の取り扱いについて詳しくはコチラ
- 賠償金があると自己破産に支障が出る?
- 賠償金の一部は自己破産で支払いを免除してもらうことはできませんが、賠償金の支払いがあることで自己破産できないというわけではありません。
賠償金と自己破産の関係について詳しくはコチラ