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新型コロナウイルスの流行をきっかけに、将来のことを考えて投資を始める人の割合が増えています。
投資の中でも、手間がかからないマンション投資が注目されており、一般的なサラリーマンでも始める人が多いことから「サラリーマン大家」という言葉も出てきているほどです。
しかし、儲かると思って始めたマンション経営でも、何らかのトラブルによって自己破産まで陥ってしまうケースも少なくありません。
自己破産をしてしまうと、投資したマンションを失うほか、車や自分の持ち家など全ての財産を失ってしまいます。自己破産しないためにも、マンション経営は慎重に判断する必要があるでしょう。
この記事では、マンション経営で自己破産する理由について解説いたします。また、マンション投資に失敗しないための対処法もご紹介するので、ぜひご参考にしてください。
目次 ▼
1章 マンション経営で自己破産に陥る6つの原因
2020年の東京オリンピックを境に、下火になることが予想されたマンション投資ですが、まだまだブームが続いています。
投資は、当然やれば必ず儲かるわけではありません。とくに、マンション投資は金額が大きいことから失敗すると一気に資産を減らすことになってしまいます。
では、マンション経営で自己破産に陥ってしまう原因を解説いたします。
1-1 マンションに人が入らない
1つ目は、購入したマンションに人が入らないケースです。
マンション経営は、いかに空室を減らして入居者を増やすかが重要になります。
最近では、サラリーマン向けに「初期投資を抑えてマンション経営を始めることができる」と謳った物件も増えてきていますが、蓋を開けてみれば人気がない土地に建てられたマンションだったというケースも多いです。
人気がなく空室が多い物件は家賃収入がなく、儲かるどころかいつまで経っても赤字が続く状態になるので、マイナスの資産を抱えることになるでしょう。
1-2 修繕費や維持費の見通しが甘かった
2つ目は、修繕費や維持費を想定しない経営をしていたケースです。
人気がある立地だからといって、築年数が経っている中古物件を購入した場合、修繕費や維持費で大きな出費を繰り返す可能性があります。
入居者が多く、安定して家賃は入ってきているものの、その収入が維持費に使わなければいけないのでは収入が支出を上回ってしまう状態になるでしょう。
また、思ったよりも諸費用がかかることを想定せずに、月々のローン返済額を組んだ場合も自己破産の原因となるケースがあります。
十分に経営シミュレーションをしないまま購入をして「家賃がそのまま入ってくると思ったのに、こんなに支出が多いとは思わなかった」と失敗する方は意外と多いのです。
1-3 フルローンや高金利で返済が追いつかない
3つ目は、フルローンや高金利により返済が追いつかなくなったケースです。
近年でマンション経営がブームになった背景のひとつとして、頭金を含めた物件取得費用の全てをローンで賄う「フルローン」のプランが考えられます。
このプランによって、頭金がなくてもマンション経営を始めることができるようになったことから、資産形成としてマンション投資に飛びつく方が増えたのです。
しかし、フルローンということは、それだけ借入額が多いため月々の返済額が大きくなります。また、フルローンは頭金なしで始められることから高金利になるケースも少なくありません。
そのため、想定外に物件の空室が増えたときや修繕費用がかかったときなどに返済ができずに、赤字経営が続き自己破産に陥ってしまうのです。
1-4 買主が不利な契約をしてしまった
4つ目は、買主が不利な契約をしてしまったケースです。
マンション経営と聞くと、不労所得で稼げる副業のイメージを持っている方は少なくありません。
「もし経営が上手くいったら」と知識の少ないまま投資を始めてしまい、買主が不利な契約に気付かないまま経営を始めて失敗するケースもよくあります。
マンション経営を始めるにあたって、本当に収益を得られるのか、マンションの相場は合っているのかなど自分で判断するのは非常に難しいといえるでしょう。
「こんなに良い物件、今日決めないと絶対に取られてしまいますよ」と営業にすすめられ、その気になって経営を始めたものの損をしてしまい自己破産に陥ってしまうのです。
1-5 無計画に投資の規模を拡大してしまった
5つ目は、無計画に投資の規模を拡大してしまい失敗したケースです。
マンション経営を始めたら思ったよりも利益が出たことで、二匹目のどじょうを狙おうと、追加でマンション経営を始めて失敗することも少なくありません。
中には、上手くいって調子に乗った経営者に、人気のない物件を買わせようとする悪質な不動産会社も珍しくないのです。
投資の恐ろしいところは、お金があるうちは良くも悪くも人が嗅ぎつけてくるので、ここで騙されてしまい破滅する人が後をたたないところです。
取り返そうとムキになって更に経営を拡大してしまい、あっという間に自己破産に陥ってしまう場合もあるので注意しましょう。
1-6 不測の事態に対応できなかった
6つ目は、不測の事態に対応できなかったケースです。
不足の事態とは、悪質な入居者や近隣トラブルなど、予想外のことで収入が減る状況になることを指します。
例えば、入居者の家賃の滞納や、近隣の競合による家賃の値下げなど、マンション経営をするにあたって思わぬ形で収入が減るケースは珍しくありません。
最悪な場合、近隣住民や入居者同士のトラブルが絶えず、まともな人がすぐに引っ越してしまい、なかなか埋まらないという事態に陥る場合もあります。
想定通り収入がないと経営していけない状態で続けていると、不測の事態に耐えられずに自己破産してしまうのです。
2章 マンション経営で自己破産までの流れ
マンション経営は、投資の中では初心者向けと言われていますが、高額なローンを背負うことから自己破産に陥ってしまうケースも少なくありません。
マンション経営が上手くいかずに、自己破産に陥ってしまうと全ての財産が失われてしまいます。
ここからは、マンション経営で自己破産するまでの流れを解説いたします。自己破産に陥らないためにも、早い段階で手を引くのも視野に入れましょう。
2-1 赤字経営が続き自己資金で賄うことになる
計画通り収入が入らないと、マンションの収入だけではローンの返済が難しくなります。
ローンの返済ができないとマンション経営が続けられないため、自分の貯蓄から捻出してローンの返済をしなければいけません。
この状態が慢性化してしまうと、やがて運営を続ければ続けるほど自分の貯蓄が減り続けていってしまいます。
2-2 ローン返済が滞り督促状が届くようになる
赤字の補填として捻出できる貯蓄は無限ではありません。自己資金では賄えなくなると、ローンの返済が滞るようになります。
滞納してから約1ヶ月で、借入をした金融機関から督促状が届くので、すぐに支払いをしなければいけません。
なんとか支払いを済ませると督促は止まりますが、払えない状態のまま数ヶ月が続くと、電話での督促や催告状が届くようになります。
この時点で、信用できない顧客だと見なされてしまいブラックリスト入りすることも多く、追加の借入を断られるケースが増えてくるので注意しましょう。
2-3 持っているマンションの売却や競売が行われる
ローンの滞納を数ヶ月から半年程度続くと、債権を回収しようと物件を売られてしまいます。
ローンを組んだ際に、抵当権としてマンションを担保にすることが多いです。そのため、ローンが返済できないと、マンションを強制的に売りに出されてしまいます。
マンションは、売却するケースもあれば競売にかけられるケースもあり、競売にかけられると相場よりも安く売りに出されることが多いため、マンションを売ってもローンが残ることが多いです。
残ったローンは、当然支払う必要があります。
2-4 残った債務の一括返済を求められる
残った債務がある場合は、一括返済を求められます。
例え、数千万、数百万単位で債務が残ったとしても一括返済しなければいけません。
他のところで借入をして返済しようと思っても、ブラックリスト入りしている上に多額のローンを借入していることが分かるため、借入するのは非常に難しいといえます。
支払えない場合は、債務整理をして返済、もしくは免責を受ける形を選ばなくてはいけません。
2-5 払えない場合は自己破産に
支払えない場合は、専門家に依頼して自己破産の手続きを行いましょう。
もし、債務を減額して分割払いをすれば5年間以内に完済できそうであれば、個人再生という選択肢もあります。
しかし、マンション経営のローンは、大抵が数年間で完済できそうもない額であることがほとんどです。そのため、自己破産を選ばざるを得ないケースが多いでしょう。
自己破産の手続きをすると、全ての債務が免除になります。債務が免除になるには、裁判所で自己破産に陥った理由を話して認められなければいけません。
自己破産が認められるために、投資で破産した経緯を正直に話す必要があるので注意しましょう。
また、自己破産が認められると、自分の財産も失ってしまいます。車や家、ブランド品など資産がある場合は、全て売却して換金してから債権者に配当し、自己破産の手続きが終了します。
3章 自己破産したあとはどうなる?
自己破産は、債務整理の中でもっとも効力が強い手続きであることから、破産後もさまざまな制約があるので覚えておきましょう。
ここからは、自己破産したあとにどんなことが起こるのかを見ていきましょう。
3-1 全ての債務が免除になる
自己破産をすると、マンション経営でつくったローンを始めとする全ての債務が免除になります。
もしマンション経営のローンと並行して、自分の持ち家のローンや車のローンなどを支払いしていた場合はそちらも全て免除になります。
中には「マンション経営でつくったローンだけ免除にしてもらえれば、ほかのローンは返済できるからそのままにして欲しい」という方もいるかと思います。
しかし、自己破産において特定の債権者にだけ返済を続けるのは、不平等にあたるため禁止されています。
マンション経営でつくったローンの消滅=他のローンも消滅になることを覚えておきましょう。
ただし、マンションの固定資産税などの税金の滞納は免除になりません。税金は自己破産したとしても、国民の義務である以上はいかなるときも支払う必要があるからです。
3-2 財産が処分される
自己破産は、自分の財産が処分される代わりに、すべての債務が免除される手続きです。
ただし、現金や預金、または生活に必要不可欠な財産については合計99万円まで残すことができます。
それ以外の財産については処分され、債権者への配当の対象となり、平等に分配されることになるので注意しましょう。
たとえば、担保のついていない相続した不動産や高級な宝石、時計などは処分対象です。
自己破産は、ローンが免除になる代わりに、財産が処分される手続きだということを覚えておきましょう。
3-3 官報に名前が掲載される
無事に自己破産が認められた後は、官報に名前が掲載されます。
官報とは国が発行する機関紙であり、誰でも閲覧が可能です。
しかし、誰でも閲覧できるとはいっても、実際に官報を見たことがあるという方はほとんどいません。
加えて、官報には全国の多くの破産者が掲載されています。毎回、誰が破産したのか定期的にチェックでもしない限りはバレる可能性は考えなくてよいでしょう。
3-4 ブラックリストに掲載される
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が5~7年間登録されてしまいます。事故情報とは、いわゆるブラックリストのことで、金銭的に信用できない行為を取ったときに掲載されます。
このブラックリストに掲載されてしまうと、クレジットカードの新規作成や利用、新たなローンの借り入れなど「後払い制度」が利用できません。当然、家や車のローンも通らないので注意しましょう。
ブラックリストは、自己破産をしたら一生掲載されるわけではありませんが、5年〜7年は掲載されます。
その期間は、現金の一括払いやデビットカードを使うなどで工夫しなければいけません。
4章 マンション経営で自己破産しないための6つの対処法
自己破産に陥ってしまうと、今後の生活が一転してしまう可能性も出てきます。
マンション経営を始めようと考えている方の多くは、ある程度金銭的に余裕があるからこそ「まだ続けられる」と思って手遅れになりがちです。
できることであれば、失敗する可能性を少しでも減らして、マンション経営を長く続けられるのが理想ではないでしょうか。
ここからは、マンション経営で自己破産しないための対処法をご紹介いたします。
4-1 購入前に周辺環境のリサーチを行う
まずは、気になる物件があれば、周辺環境のリサーチを行うようにしましょう。
不動産会社のアピールポイントをそのまま鵜呑みにして購入してしまうと、後からマイナス面が出てきたときに対応しなければいけません。最悪の場合、どう考えても黒字化しない物件になる可能性もあるでしょう。
質の低い物件を購入しないためにも、実際に出向いて自分の目で確かめてみるのがおすすめです。
近年では、コロナウイルスの流行やリモートワークが普及したこともあり、郊外に住む方が増えてきています。郊外は人気がないと思っていても、実際には再開発の計画が立てられていたり、移住者が増えてきたりと今度期待できる物件が見つかる可能性も考えられます。
逆に、立地がよさそうと思っても、実際に見てみると治安が悪かったり、管理体制が杜撰だったりと移住者が安定しないケースも少なくありません。
時間帯を変えたり、近隣住民に話を聞いたりと念入りにリサーチを行いましょう。
4-2 不動産投資の知識を身に付ける
投資で損をしないための一番の方法は、自分で専門的な知識を身に付けることです。
誰でも簡単に儲かるのであれば、投資で破産者が出ることはまずありません。しかし、実際のところ投資で破産する方が後をたたない状況です。
破産の理由はいろいろあれど、知識があることで防げた破産は数多くあります。
悪質な不動産会社に相場より高い物件をすすめられたり、現実的に返済が厳しいローンを組まされたりしても気付かないのであれば、当然マンション経営が成功することはないでしょう。
知識がないまま不動産会社に丸投げして、儲けられるほど投資は甘くありません。「儲かる」を鵜呑みにしてしまわないためにも、適切な相場価格や利回りなどの知識を理解してから始めましょう。
4-3 収支のシミュレーションを綿密に行う
良さそうな物件が見つかった場合、すぐに押さえるのではなく収支のシミュレーションを綿密に行いましょう。
当然、マンション経営を始める方のほとんどはローンを利用することになるでしょう。
購入する物件の収入でローンの返済が可能なのかどうか、何度もシミュレーションして確認することが大切です。
もちろん「全室埋まれば○年で返済できる」などの皮算用はしてはいけません。
前評判がよく、いくら100%近い入居率といわれている物件だったとしても、全く入居者が入らないこともあれば修繕が必要なこともあります。
不動産会社にもよりますが、平均入居率はおよそ90%前後が相場だといわれているため、それよりも低い入居率でも問題ないかチェックしてみましょう。
不測の事態に陥っても問題なく対応できるかどうかも、しっかり見極める必要があります。
4-4 信頼できる不動産会社を見極める
全国には数多くの不動産会社がありますが、中には「売れれば良い」と知識のない人を騙して売りつける悪質な不動産会社も存在しています。
不動産投資の知識や経験を持っている人であれば、まず購入しないような物件を初心者に売り付けることで利益にしようとするケースも珍しくありません。
そういった悪質な不動産会社で購入しないために、物件を探す前に信頼できる不動産会社を探すことをおすすめします。
Google MapやSNSなどで口コミや評判をリサーチしたり、成功している物件の担当会社をリサーチしたりと依頼する不動産会社をしっかりと見極めましょう。
4-5 返済が現実的な借り入れをする
投資するマンションが決まったら、頭金やローンの借入額、月々の返済額など、問題なく払えそうかどうか再度シミュレーションしましょう。
「なんとか払えそう」という状態だった場合、シミュレーションで想定していないことが起こった場合、返済が滞ってしまいます。物件の資産価値や、収入に見合わない金額の融資を受けることは現実的ではありません。
中でも、新築マンションを頭金なしでフルローンの契約をするのは大変危険といわれています。新築マンションの場合、一から入居者を募集するため当然すぐに埋まるわけではありません。
「修繕費がかからない」「新築だから人気が高い」など購入を決めたくなるような情報があるかもしれませんが、数年で資産価値が2割ほど下がるといわれています。
開始早々貯金を切り崩さないためにも、現実的な借入をすることが大切です。
4-6 任意売却を検討する
赤字経営が続いてしまい、これ以上状況が好転しないと判断したら、任意売却によって不動産を売る方法もあります。
任意売却は、ローンを完済しなくても売却が認められるので、売却額によっては自己破産を防ぐことができるかもしれません。
ローンが残っているものを売るため、売却には債権者の同意が必要ですが、競売よりも高く売れることから反対されるケースは少ないです。
任意売却は、競売よりも高く売れる可能性が高く、残ったローンも一括返済ではなく計画通り返済していけるのも大きなメリットでしょう。
投資は、早い段階で損切りすることも大切です。回収できないと思ったら決断するのも戦略の一つといえます。
5章 経営が厳しくなったら専門家に早めの相談を!
昔は敷居が高かったマンション経営ですが、近年ではサラリーマンでも始められるようになりました。
しかし「なんとなく儲かりそう」という軽い気持ちで始めると、自己破産に陥ってしまうこともあるので慎重に経営する必要があります。
マンションが売却されてしまうと、専門家でも対応できることの選択肢が少なくなってしまうため、可能であれば赤字が続いてローンを滞納し始めた段階で早めに相談することをおすすめします。
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よくあるご質問
- 自己破産するとマンションはどうなりますか?
- 自己破産をすると借金が免除されるかわりに生活に必要な財産以外は処分されてしまいます。
したがって、マンションのローンを完済していたとしても手放さなければならない可能性が高いです。
- 自己破産のデメリットとは?
- 自己破産のデメリットは、主に下記の通りです。
・持ち家や車などの資産を失う可能性が高い
・自己破産後はブラックリストに登録されてしまう
・住所・氏名が官報に掲載される
・連帯保証人・保証人は返済義務がなくならない
・自己破産手続き中は一部の職業が制限される
・自己破産手続き中は引っ越しや旅行に制限がかかる
・自己破産手続き中郵便物を管理される
自己破産のデメリットについて詳しくはコチラ