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- フリーランスの借金解決のベストな方法は債務整理
- 借金で困っている際に利用できる制度
- 専門家への早期の相談がフリーランスの借金問題解決の1番の近道
フリーランスで働いている場合、収入が安定しないことも多く、生活費の補填のために借金をしてしまうこともあるでしょう。
しかし、それが続いて借入額が大きくなってしまうと、借金の解決が困難になってしまいます。
フリーランスの方が借金をする理由にはさまざまなものがありますが、借入額が大きくなってしまうと返済が苦しくなってしまうという点については皆さん同じです。
ここでは、フリーランスの方のベストな借金問題の解決法や、借金を放置した場合に起こることなどについて詳しく解説していきます。
目次 ▼
1章 フリーランスのベストな解決策は債務整理
フリーランスの方の借金問題のベストな解決法は、債務整理です。
債務整理には複数の方法がありますが、借入先によって最適な方法は異なります。
ただし、債務整理がフリーランスの借金問題の解決に最適な方法であると知っていても、具体的に、どの方法が最適かどうかを判断することは難しいでしょう。
そのため、早めに専門家に相談することが大切です。
1-1 銀行や消費者金融のカードローン・クレジットカードのキャッシング
銀行や消費者金融のカードローンやクレジットカードのキャッシングは、毎月15%程度またはそれ以上の利息が発生するため、すぐに返済が苦しくなってしまいます。
元金のみであれば問題なく返済を続けられる場合には、任意整理がおすすめです。
任意整理とは、借入先と交渉を行い将来発生する金利をゼロにしてもらうよう交渉し、合意ができれば残りの元金を3年から5年の期間で返済していくというものです。
この方法は債務整理の中でも最も手軽でリスクが低いので、フリーランスの方の借金問題の解決方法を検討する場合には、任意整理を選択するケースも多くみられます。
任意整理で借金問題を解決するのが難しい場合には、個人再生を行います。
任意整理では、元金を減額することは困難なため、総額が大きい場合には選択できないことがあります。
そのような場合には、元金も減額できる個人再生が有効です。
個人再生を行うと、将来発生する利息をカットできるだけではなく、元金の一部の返済も大幅に免除されるというメリットがあります。
減額される元金の金額は、以下の表の通りです。
借入額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 0円 |
100万円から500万円未満 | 100万円まで減額 |
500万円から1,500万円未満 | 債務の5分の1まで減額 |
1,500万円から3,000万円未満 | 300万円まで減額 |
3,000万円から5,000万円まで | 債務の10分の1まで減額 |
このように個人再生は、借入額が大きい場合に非常に高い借金減額効果が得られます。
また自己破産と異なり、財産を残すことが可能です。
個人再生は、フリーランスであっても減額された借入金を3年間の分割返済ができるだけの安定的かつ継続的な収入があれば行えます。
個人再生で減額した金額も支払うことが難しい場合に有効な債務整理の方法は、自己破産です。
自己破産手続きを行い裁判所から免責を受けると、すべての借金の返済が免除されます。
しかし自己破産を行うと、一定以上の価値がある財産を差押えられえるだけではなく、一部の国家資格や営業免許を使った仕事が行えない場合があります。
そのため、その期間はその仕事ができなくなってしまう点に注意が必要です。
1-2 日本政策金融公庫
日本政策金融公庫からの借金に対して債務整理を行う場合、任意整理を行うことはできません。
日本政策金融公庫は、任意整理に応じていないからです。
そのため、日本政策金融公庫からの借金を債務整理する場合には、個人再生や自己破産によって元金の一部または全部の返済を免除してもらうのが一般的です。
フリーランスの方が個人再生を行う場合、ほとんどのケースで小規模個人再生が選択されます。
小規模個人再生を行うためには、「債権者数の過半数」かつ「債権額の2分の1の金額を超える借入先」の賛成を得る必要があります。
フリーランスの方の場合は日本政策金融公庫からの借金が借金全体の大部分を占めていることも少なくないため、このような場合に日本政策金融公庫の承諾が得られない場合には、個人再生の手続きを行えません。
そのような場合には、自己破産を行うことになります。
個人事業主が自己破産手続きを行う際には、多くの場合破産管財人が選任されます。
破産管財人は、債務者の財産のありかを調査し、財産を売却して債権者に配当を行います。
管財人がつけられると、費用がかかる、裁判所へ行く回数が増える、時間がかかるといったデメリットがあります。
2章 フリーランスが債務整理を行う際のメリットとデメリット
フリーランスの方が債務整理を行う際には、その後事業を継続できるかなどといった心配があるため、なかなか手続きまで踏み切れないというケースも予想されます。
ここでは、3つの債務整理の方法を行った場合の、フリーランスならではのメリットとデメリットについて解説していきます。
2-1 任意整理
フリーランスが任意整理を行った場合には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
2-1-1 メリット
任意整理は、特定の借入先と交渉を行い将来利息をカットしてもらうという方法です。
当事者同士が交渉し、借金返済についての合意を行うというものなので、基本的に第三者に知られることはありません。
そのため、仕事上の信用を損なうことがなく、事業も任意整理前と同様に継続できるでしょう。
2-1-2 デメリット
任意整理は将来利息をカットし、元本のみを3年から5年の期間で返済していくという債務整理の方法なので、元本を減らすことができません。
また、個人信用情報機関のブラックリストに載ってしまい、クレジットカードの利用や新たにローンを組むことができなくなってしまうので、仕事においてクレジット払いを利用している場合は、支払い方法を変更する必要が出てきます。
2-2 個人再生
フリーランスが個人再生を行う際には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
2-2-1 メリット
個人再生の一番大きなメリットは、返済総額を大幅に減額できることと、私的なものも含めてほとんどの財産を手元に残せるということです。
また、職業や資格に対する制限もありません。
個人再生を行える借金の総額は5,000万円以内なので、借金を抱えているフリーランスの方のほとんどの借金問題は、この方法で解決できます。
また、前述したように財産を処分する必要がないため、仕事に車など比較的高価な財産を使用している場合でも、個人再生後は手元に残りそのまま利用できるので、事業継続に支障をきたすことはありません。
2-2-1 デメリット
個人再生を行うためには、今後安定した収入が得られる見込みがあるという要件を満たす必要があります。
その理由は、個人再生手続を行った後に3年から5年をかけて減額された残債を分割返済する必要があるからです。
フリーランスの場合には、個人再生の申立てを行う前年度の確定申告書の控えや帳簿などを提出し、収支を明らかにする必要があります。
継続して分割返済を行う能力があると裁判所が認めない限りは、個人再生を行うことはできないのです。
個人再生を行った場合でもブラックリストに載るため、完済までの期間とその後5年間は支払方法が制限されます。
2-3 自己破産
フリーランスの方が自己破産を行った際には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
2-3-1 メリット
自己破産を行うと、すべての借金の返済が免責されるため、その後借金の返済を行う必要がなくなります。
免責される借金は事業に関するものだけではなく、住宅ローンやカーローン、未払いのスマホ代や水道光熱費など個人の債務に分類されるものも含まれます。
2-3-2 デメリット
フリーランスの方が自己破産を行うデメリットは、一定以上の価値を持つ財産を失うということです。
この一定以上の財産の中には売掛金も含まれ、すべてが債権者への配当に充てられます。
そのため、生活が苦しくなる可能性が非常に高くなり、また事業の継続も非常に困難になってしまいます。
フリーランスの方が自己破産後の生活費に困らないようにするためには、自己破産をする前に安定した収入が得られる仕事に就いておき、収入を得られる状態にしておくことが重要です。
それ以外の自己破産をするデメリットには、自己破産の際に管財事件として扱われると、費用が掛かる、裁判所へ行く回数が増える、免責許可が下りるまで時間がかかるといったデメリットがあります。
自己破産をした場合もブラックリストに載るため、7年間はクレジットカードの利用や新たなローンを組むといったことができなくなります。
3章 フリーランスの事業による借金でも個人のものとなるので注意
法人が破産した場合、基本的に借金は会社の消滅とともに消滅するため、返済義務はなくなります。
会社に代わって会社の代表者が返済義務を負うこともありません。
しかしフリーランスの借金は、事業によってできた借金であっても個人の借金として使われます。
そのため借金の返済義務はフリーランスの方自身にあるので、この点に注意しましょう。
4章 フリーランスが借金を放置するとどうなる?
フリーランスの方が事業資金や生活費として借金を行い、それが膨らんでいくのをそのまま放置してしまうと、どのようなことが起こるのでしょうか。
ここでは、フリーランスの方が借金を放置した場合に起こることを解説していきます。
4-1 借金返済により生活が圧迫される
事業を継続していくためには光熱費や材料代など毎月の諸経費が必要になり、これらに圧迫されて借金をするケースが多いのですが、諸経費のスリム化や利益の増加ができない場合には、借金がさらに膨らむでしょう。
こうなると生活費を削る必用も出てくるため、自分自身や家族の生活が圧迫されてしまいます。
このような状態になってしまうと、経済的な余裕はもちろんのこと精神的な余裕もなくなってしまうため、非常に負担を感じる状態になってしまいます。
4-2 借金ができなくなる
事業で得られる利益が減少すると、事業継続や生活のために金策に走る必要が出てきます。
しかし、このような状態が続き借金の額が増えていくと、どこからも借金ができないという状態になってしまいます。
そうなると、事業の継続についても検討する必要が出てくるでしょう。
4-3 家族関係が悪化する
事業の経営状態が悪化すると精神的な負担が増大するということは前述しましたが、借金によって生活が苦しくなったうえに精神的な余裕も失った状態になってしまうと、家族間で喧嘩が起こるなどして家族の関係が悪化する可能性が非常に高くなります。
家族関係の悪化は徐々に深刻になっていき、最終的には離婚や一家離散といった事態になってしまうことも考えられます。
4-4 法的措置により差押えを受ける
借金や税金を滞納していると、最終的には財産を差し押さえられてしまいます。
差し押さえられる財産には、事業上の財産以外に、個人の財産も含まれます。
4-5 廃業を余儀なくされる
借金が返済不能状態となり資金繰りができなくなると、廃業を余儀なくされてしまいます。
5章 フリーランスが借金返済で苦しいときにすべきこと
フリーランスの方が借金返済で苦しんでいる場合に、できることはあるのでしょうか。
ここでは、フリーランスの方が借金返済で苦しいときにすべきことを解説していきます。
5-1 現在の売上で生活できるのかを検証
現在の売り上げで生活していくことができるのかを検証しましょう。
5-1-1 売り上げと経費の把握方法
フリーランスの方は、すべての法律や契約関係の事柄が全て自分に帰属します。
そのため、事業用の資産と私的な資産、事業用の負債と私的な負債を明確に分類するのが難しくなります。
さらに自分の所得が帳簿上の経費として支出されないため、実態として利益が出ているのかを自身で把握するのが難しい状況になっているケースも珍しくありません。
このような事態を避けるためには、日々きちんと帳簿をつけて事業にまつわるお金の出入りを記録しておくことが重要です。
今からでも遡れるところまで遡ってお金の出入りを帳簿に記入し、売り上げと経費を把握しましょう。
5-1-2 給与所得との比較をする
例を挙げると、1か月の間に10万円で購入した原材料を加工し15万円の製品を販売した場合、利益は5万円となりますが、利益の5万円だけで生活費を賄うことは非常に難しいでしょう。
原材料を加工する時間を他の収入が得られる労働に充てた場合に、どの程度の利益を得られるか比較する必要があります。
もし、他の労働を行った方が高い利益を得られるの出れば、現在の事業を見直す必要があります。
5-1-3 安定した収入が見込める副業を行う
単純に仕事が少なくなり借金をしたために生活が苦しくなった場合には、安定した収入が見込める副業を始めるのも生活を安定させるための有効な手段です。
この方法を実行すれば、フリーランスの方の多くが抱える「安定収入が見込めない」といった不安をある程度払拭できます。
5-1-4 事業継続か廃業化を検討する
このまま事業を継続していても借金を返済し生活を成り立たせるのが困難なことが予想される場合には、廃業し労働収入を得るという方法を検討する必要があります。
廃業し他の方法で労働収入を得られれば、借金の完済と生活の安定の両方をかなえることも不可能ではありません。
5-2 借入先への働きかけ
借金の返済が苦しい場合には、借入先に相談することで返済の条件を変更してもらえる可能性があります。
消費者金融や銀行カードローンの場合は、「お問い合わせ」や「返済に関するお問い合わせ」といった形の電話相談窓口が設置されているため、このような窓口に相談してみましょう。
問い合わせ窓口の電話番号は、多くの場合公式ホームページに掲載されています。
6章 フリーランスが利用できる公的な制度やその他の方法
フリーランスの方が借金の返済に困った場合に、公的な制度やその他の方法を利用して事業や生活を立て直す助けにすることができます。
ここでは、利用できる公的な制度とその他の方法について解説していきます。
6-1 公的な制度を利用する
フリーランスの方が借金解決のための助けにできる公的な制度には、以下のようなものがあります。
6-1-1 税金の猶予制度
税金の滞納があり期限内に送付できない場合には、税務署に相談すると納付期限の猶予をしてもらえる可能性があります。
猶予期間は最大1年で猶予中は延滞税の一部が猶予され、差押えを受ける心配もありません。
事業に著しい損失を受けた場合などの条件はありますが、事業収入が悪化している場合にはこの制度を利用できる可能性は非常に高いと言えます。
6-1-2 国民年金保険料の免除・納付猶予制度
保険料免除制度とは、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合などに、納める国民年金保険料が免除される制度で、申請が承認されると全額・4分の3・半額・4分の1のいずれかの額の納付が免除されるというものです。
この手続きを行っておくと、免除期間中は老齢基礎年金の受給資格期間へ算入されますが、受け取れる老齢基礎年金の金額は免除される納付額に応じて減額されます。
保険料納付猶予制度とは、20歳以上50歳未満の方で本人または配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、本人の申請が承認されれば保険料の納付が猶予されるというものです。
この制度はあくまで納付の猶予なので、この期間は老齢基礎年金の受給資格期間へ算入されますが、猶予を受けてから10年以内に保険料を追納すれば、受け取る老齢年金の金額を減らさずにすみます。
手続きを行わず未納になった場合には老齢基礎年金の受給資格期算間への算入や、老齢基礎年金の年金額への反映などができず、年金を受け取れなくなってしまう可能性が高いので、国民年金保険料の納付が難しい場合には、必ず申請を行いましょう。
6-1-3 小規模事業者経営改善資金
小規模事業経営者経営改善資金はマル系融資とも呼ばれるもので、商工会議所や商工会より指導を受けている事業者が、経営改善に使うために資金を最大で2000万円まで融資してもらえる制度です。
基本的に無担保・無保証で利用でき、返済期間は運転資金の場合は1年以内の据置期間を含めて7年以内、設備資金で2年以内の据置期間を含めて10年以内となっています。
この制度はあくまで融資なので、返済の必要があることを忘れないようにしましょう。
6-1-4 経営セーフティー共済
経営セーフティー共済は、小規模企業共済に加入している契約者向けの制度で、取引先の倒産により資金不足に陥ってしまった場合に、無担保・無保証で掛け金の10倍まで事業資金の借入が可能になる制度です。
こちらも小規模事業者経営改善基金と同様に融資であるため、返済の必要があります。
6-2 公的な制度以外で調達する方法
フリーランスの方が生活費などの資金を公的な制度以外で調達する方法には、以下の2つがあります。
6-2-1 資産の処分
手持ちの資産を処分することで、事業や生活に必要な費用を捻出できます。
不動産や車といった動産を処分することでまとまった資金を手にすることができますが、売掛債権を買い取ってもらうファクタリングという方法でも資金を調達できます。
ファクタリングとは、フリーランスの方が保有している売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうというもので、法的には債権の売買契約にあたる方法です。
ただし手数料が必要になるので、売掛金の全てを入手できない点に注意しましょう。
6-2-2 不動産担保ローンの利用
所有している不動産がある場合には、それを担保にして金融機関から借入を受けることができます。
これを不動産担保ローンといい、金利や借入限度額は借入を行うフリーランスの方の属性や不動産の担保価値によって決まります。
ただし滞納してしまうと不動産を手放さなければならなくなるため、特にマイホームを担保に借入を行う際には注意が必要です。
7章 闇金や個人間融資の利用は絶対にやめよう
近年では貸金業者を装った闇金や、SNSを利用した個人間融資が増えてきています。
しかし、これらを資金調達の手段とすることは絶対にやめましょう。
このような方法で借金を行うと、ほぼ100%トラブルに巻き込まれてしまいます。
SNSによる個人間融資については自分で利用しないという判断を下せますが、利用した貸金業者が実は闇金だったというケースは十分に考えられます。
貸金業者を利用する場合には、金融庁のホームページの登録貸金業者検索サービスを利用して、金融庁の許可を受けた正規の貸金業者であるかを調べてから利用しましょう。
8章 フリーランスのベストな債務整理の方法は状況により異なるので早期に専門家へ相談しよう
フリーランスの借金解決のベストな方法は、債務整理です。
債務整理には3つの方法がありますが、状況により1番有効な方法は異なります。
それを見極めるためには専門家への相談が必要不可欠ですが、相談するタイミングが遅れれば遅れるほど取れる手段は限られてしまいます。
そのため、一刻も早く専門家に相談することで、有利な条件で債務整理を行うことができるでしょう。
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一刻も早い専門家への相談は、借金問題を有利に解決するための近道となるでしょう。
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