資金繰りが苦しい状況が続くとどうなる?原因と検討すべきことを解説

司法書士渡邊優太

監修者:グリーン司法書士法人   渡邊優太
【所属】大阪司法書士会 登録番号大阪第4454号 / 大阪府行政書士会所属 会員番号第17260997号 【保有資格】司法書士・行政書士

借金返済の知識
資金繰りが苦しい状況が続くとどうなる?原因と検討すべきことを解説

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 この記事を読んでわかること
  • 資金繰りが苦しい状況とは必要な現金を確保できない状態のこと
  • 資金繰りが苦しい状況が続いてしまうと新たな資金調達が難しくなる
  • 資金繰りが厳しい場合は経営計画を見直して早めに対策を取る
  • 資金繰りが苦しい状況が続くなら会社の今後も考えよう

会社の経営が悪くなると、やがて会社の経費や債務の返済をするために必要な現金を確保できず、資金繰りが苦しい状況となります。

このまま資金繰りが厳しい状況が続くと、倒産に陥る可能性もあるので、なるべく早めに対策を取らなくてはいけません。

この記事では、資金繰りが苦しくなる原因と対処法を解説します。資金繰りが苦しいと感じている方や、経営状況が悪いと感じている方は参考にしてください。

1章 資金繰りが苦しい状況とはどのような状況?

資金繰りが苦しい状況とは、会社の経費や債務の返済をするために必要な現金を確保できない状態のことです。たとえば、従業員の給料の支払いや会社の家賃、税金など会社を経営するにあたってさまざまな支出があります。

手元にお金がない状態だと、支出を賄えなかったり債務の返済を滞納したりと、経営自体が難しくなっていくでしょう。このまま資金繰りが苦しい状況が続くと、会社の存続の危機になるので、早めの対策が求められます。

2章 資金繰りが苦しい状況が続くとどうなる?

結論からいうと、財務状況が悪化して倒産のおそれがあります。

資金繰りが厳しい状況だと、事業にかけるお金を減らしつつ資金調達をしないといけません。経費や投資など事業にかけるお金を減らせば売上も減るため、返済に充てるための利益も減ってしまい、財務状況がより悪くなるケースもあります。

財務状況が悪くなった段階で資金調達をすると、取引先や金融機関からの信用が低下するおそれもあるでしょう。

そのため、資金繰りが苦しい状況が続くと、連鎖して財務状況が悪化する要因が増えていきますので、早い段階での資金調達をするのが得策です。では、資金繰りが苦しい状況によってどのようなことが起こるのか見ていきましょう。

2-1 約束手形が不渡りになる

約束手形とは、企業間での支払い手段として使用されるものです。約束通りの支払いができないと「不渡り」となり、取引先からの信頼を失うおそれがあります。

新規取引や既存取引の継続が難しくなるので、今後の資金繰りが難しくなるでしょう。さらに、二度の不渡りが発生した場合は取引停止処分を受けるケースも少なくありません。

大口取引だった場合は事実上の倒産になる可能性もあるため、手形の決済に必要な資金を残しておく必要があります。

2-2 取引先の信用を失う

約束手形が不渡りになったり支払いが滞ったり、資金繰りが苦しい状況が続くと取引先からの信用を失う可能性があります。信用を失うと、取引先が新規注文を控えたり、既存の取引条件を厳しくしたりと会社の経営が厳しくなる事例も増えてくるでしょう。

取引が完全に中止になると、売上とそれに基づく入金がなくなるので、資金繰りが悪化するという悪循環に陥るケースも珍しくありません。

2-3 事業に投資ができなくなる

資金繰りが苦しくなると、新規プロジェクトや設備投資、マーケティング活動など事業の成長や改善のための投資ができなくなります。

新製品の開発や市場拡大のための費用が捻出できない場合、資金繰りが難しいなかで売上や利益が減少し、成果が出にくい状況に陥るでしょう。

2-4 社員の給与が払えなくなる

資金繰りが苦しいと、会社の支出の一つである社員の給与が払えなくなるおそれがあります。給与未払いは、社員の生活に直結するため、社員のモチベーションの低下や信頼関係を失うことになるでしょう。退職者が増加する可能性もあり、会社を立て直せるメンバーが減ってしまいます。

また、給料の未払いは労働基準法に違反しているので、法的なトラブルや罰則を受けるリスクもあるでしょう。資金繰りが苦しい場合でも、社員の給与を滞納するのは絶対にやめたほうがよいです。

2-5 黒字倒産になる

黒字倒産とは、会社の利益が出ているにもかかわらず、現金が不足して倒産を選択せざるを得ない状況です。

売上が出ていても、入金が遅れるとその間に支出が発生することで、現金が不足してしまいます。現金が不足すると、社員の給料や仕入れ代金、借入金の返済などの支払いを滞納することになるため、いわゆる「資金ショート」に陥るでしょう。

借入金の返済が滞ると、追加の融資を受けられない可能性もあるため、さらに資金繰りが厳しくなります。結果として、帳簿上は黒字なのに倒産してしまうという状況に陥る可能性があります。

3章 資金繰りが苦しくなる原因とは?

資金繰りが厳しくなると、比例して信頼関係も悪化するため、資金調達できる方法がどんどん少なくなっていくのが分かったかと思います。

資金繰りが苦しい状況を解決するためには、まずはなぜ資金繰りが苦しくなったのか原因を探ることが大切です。ここからは、資金繰りが苦しくなる原因を見ていきましょう。

3-1 無理な経営計画を立てている

現実的ではない経営計画を立てている場合、想定外の出来事があった際に事業資金が不足し、経営が悪化するおそれがあります。

計画上の利益が出ることを前提として経費を使ってしまうと、売上が安定しなかったり前年よりも利益が少なくなっていたりした場合に、資金繰りが悪くなることがあります。経営計画のチェックを長いスパンで行うと、うまく軌道修正できない可能性があるでしょう。

とくに、競合他社の増加や顧客ニーズの変化などで売上が低下している状況を放置してしまうと、やがて債務超過が続き資金繰りが苦しくなるおそれもあります。

したがって、経営計画と現状とのギャップは短い期間でチェックすることが重要です。少なくとも月次、可能であれば週次でチェックを行うようにしましょう。

3-2 支出が多い

支出が多いと、製品開発や仕入れなど売上に直結する支出をまかなう資金が減少し、資金繰りが苦しい状況になる可能性があります。とくに、経費支払いや借入金の返済などで手元に現金が残りづらい状況が続いた場合は、支出と収入のバランスを慎重に見直す必要があるでしょう。

ただし、人件費や福利厚生費などの削減をすると、社員のモチベーションの低下や業務効率の低下などの原因につながるためおすすめしません。

消耗品の仕入れや交通費など、事業運営への影響が少ない項目から削減するのがよいでしょう。

3-3 売上が少ない

売上が少ないことで収入が減ると、資金繰りが苦しくなる原因につながります。

単純に、売上が増加すると入金額も増えて預金残高が多くなるので、新たな事業投資が可能となり、さらなる売上の増加が見込めるでしょう。また、借入金の返済に充てられるので支出の負担も減らせます。

しかし、売上が少ないとできることが減ってしまうため、事業投資ができなくなり返済の余裕もなくなっていきます。この状態で支出が増えると、資金繰りの悪化につながるでしょう。

3-4 入金と出金の管理ができていない

黒字倒産や資金繰りが苦しい原因で多いのが、入金と出金の管理ができていないケースです。入金と支出のタイミングが悪いと資金繰りに陥りやすくなります。

入金の前に多額の出金があった場合は、一気に資金繰りが難しくなるため、資金ショートにつながるでしょう。初めて起業をする場合は感覚がつかめず資金ショートにつながりやすいです。したがって、キャッシュフローについては、感覚で判断せず顧問税理士にしっかり見てもらうことが重要です。

3-5 投資を失敗している

新規事業の投資や上手くいっている事業に投資したからといって、必ずしも利益につながるとは限りません。事業設備の更新や店舗拡大などの設備投資には多額の費用がかかるため、失敗した場合は一気に経営状況を悪化させることになるでしょう。

とくに、借入金を利用して投資して失敗すると、借入金の返済だけが残ってしまうため注意が必要です。失敗したときのカバーを考えた上で投資計画を組んで失敗を防ぎましょう。

4章 資金繰りが苦しいときの対処法

一度資金繰りが苦しくなったら、抜け出すのはなかなか難しいでしょう。しかし、少しでもこの状況を解決しなければ、やがて倒産に陥ってしまいます。

できるだけ早い段階でやれることをやって、会社を立て直すことを優先しましょう。では、資金繰りが苦しいときの対処法を解説します。

4-1 資産を売却する

保有している不動産や機械など、会社の資産を売却して資金調達をする方法です。

現状の経営において重要性が低い、維持費が高いなどの条件に該当する資産を売却することで、資金繰りが改善する可能性があります。また、維持費を削減する効果もあるので、今後の支出を抑えられるメリットもあるでしょう。

ただし、即効性が見込める対策ではありますが、あくまで一時的な資金調達になるため、今後の資金調達は別で考える必要があります。

4-2 経営計画の見直しをする

一時的に資金繰りに成功しても、経営計画がないと今後も資金に困る可能性があります。経営計画はビジネスの方向性を示し、資金繰りを管理するための大切な基盤です。

まずは、現時点の収益や費用、キャッシュフローなどを詳細に把握する必要があります。月の売上や入金、経費、借入金の返済額がいくらあるか知っていなければ経営計画が立てられません。

この時点で返済が厳しく、資金繰りも苦しい状況が続きそうだと判断したら、毎月の返済額の見直しなど金融機関に交渉することも検討しましょう。

4-3 融資を受ける

新規事業の投資などで資金繰りが苦しい場合は、銀行や金融機関からの融資を活用しましょう。ここでの融資は、利益が見込める事業の投資など、今後の状況がよくなることを見越しての融資を目的としなければいけません。

払えない分の経費の補填など、あくまで一時的なお金で根本的な解決にならない場合は、経営計画の見直しをして回復の見込みがあるのかを確認しましょう。

また、融資を受ける際は適切な返済計画を立てないと負債が増えて経営を悪化させることになるので、慎重に返済計画を立てた上で借入することが大切です。

売上と経費だけに目を向けていると、融資の返済を失念しがちです。利益が出ていても、現金が減っているという状況は珍しくありません。そういった場合には、借りていた金融機関に借り換え融資を打診することが重要です。

4-4 ファクタリングを利用する

ファクタリングとは、所持している売掛債権を現金化してもらうシステムです。金券ショップでの換金のように、いくらか割り引かれますが、即日から数日間で現金化できます。

今すぐに大きな支出を払わなければいけない場合や、現金が欲しい場合に有効です。ただし、現金がなくなるたびにファクタリングを利用すると、手数料が引かれる分だけ利益が減ってしまいます。

支出に間に合うように入金を調整するなど、資金繰りに困らないように対策をしましょう。

5章 資金繰りが苦しいときでもしてはいけないこと

資金繰りが苦しい状態が続くと、やがて融資を受けられなくなります。資金が減りながら利益が出せない状況が続くと支払いもままならなくなるため、なんとか資金繰りをしようと考えるのではないでしょうか。

しかし、資金繰りが苦しいときでもしてはいけないことがあります。より状況が悪化する原因になるので、必ず別の方法を考えましょう。

5-1 消費者金融で借入をする

小企業の場合、銀行で融資を断られたからと自分の名義で消費者金融で借入をする方もいますが、運転資金としては絶対に借りてはいけません。

なぜなら、個人向けの借入サービスをしている消費者金融の金利は高いので、一時的に資金を確保できても今後の返済負担が大きくなり、さらに資金繰りを悪化させる可能性があります。

たとえば、消費者金融によくある金利15~18%以上の営業利益を出さなければ赤字となりますが、営業利益が15%以上出ている企業はそうそう資金繰りに困ることは少ないでしょう。

とくに運転資金としての借入の場合、毎月の返済が経営の負担となり、本来の事業運営に支障をきたすことになるでしょう。最終的には借金の返済だけで手一杯になり、倒産のリスクが高まります。

入金と支払に数日の差しかない場合は、数日間のつなぎ資金として利用することは許容されますが、使わないに越したことはありません。

消費者金融での借入は短期的な解決策に過ぎず、根本的な問題解決にならないのでやめましょう。

5-2 闇金に手を出す

闇金とは、法外な高金利で違法に貸し付けを行う業者です。消費者金融と異なり、そもそも貸金業者として登録されていません。一度借りてしまうと、返済が困難なほどの高額な利息が膨れ上がり、借金の泥沼に陥るリスクが非常に高いです。

返済が滞ると、会社に乗り込んで激しい取り立てをしたり嫌がらせをしたりするケースも珍しくありません。社員のストレスだけではなく身体的な危険を伴うおそれもあるので、会社の資金調達だけに限らず、個人でも借入するのは絶対にやめましょう。

5-3 税金や保険料を滞納する

会社としての支払いは、経費や借入の返済だけではなく税金や保険料もあります。税金や保険料を滞納すると延滞金が発生するため、最終的には負担が増えるので注意しましょう。

また、滞納が続くと税務署や保険機関からの督促が届き、財産の差押えや銀行口座の凍結といった強制執行に発展することもあります。差押えになると融資が審査落ちするだけではなく、事業運営が実質不可能になるでしょう。

税金や保険料の納付は法的な義務のため、必ず支払う必要があります。資金繰りが苦しい場合でも優先的に支払うよう心掛けましょう。

5-4 社員の給料の支払いを滞納する

社員の給料の支払いは、債務のなかでも優先度が高い項目です。優先度をつけるのであれば、借入の返済や経費の支払いよりも優先して支払わなければいけません。

社員の給料の支払いを滞納すると、労働基準法の違反に該当するため、罰金の対象になります。また、給料の未払いや不足分に対して3%の遅延損害金を追加で支払わなければいけないため、より支払い負担が大きくなるでしょう。

社員の給料の支払いは、よほどのことがあっても絶対に遅らせてはいけません。

6章 赤字で資金繰りが苦しいときに検討すべきこと

資金繰りが苦しいなかで状況が好転しない場合は、今後会社をどうするか決めておく必要があります。会社をたたむべきか、存続して再建すべきか状況によって判断しましょう。

では、資金繰りが苦しいときに検討すべき会社の手続きを紹介します。

6-1 民事再生

民事再生とは、民事再生法に基づく法的手続きです。債権者や裁判所の同意のもとで、債務を減額して債権者に返済していきます。

会社の再建を目指した手続きのため、債務を返済しながら会社を存続できるのがメリットです。また、社員や役員も解雇されることがありません。

ただし、税金や社会保険料、社員の給料は減額対象にならないので、全額支払う必要があります。あくまで減額できるのは、融資などでつくった債務のみです。

また、民事再生の手続きは出した利益から返済していく手続きであるので、そもそも赤字であるときには利用することが難しいかもしれません。

6-2 私的整理

私的整理とは、会社が金融機関などの債権者と直接交渉をして債務を減額してもらったり支払いを猶予してもらう方法です。こちらも、債務を減額しながら会社を再建することができます。

私的整理は裁判所を通す必要がないので、当事者同士で再建手続きを進められるのがメリットです。任意整理の交渉をしない取引先には知られにくいので、リスクを最低限に抑えることができます。

しかし、こちらも債務を軽減してもらいながら支払っていく方法なので、金利を下げてもらうことで黒字化するなどの事情がなければ、利用は難しいでしょう。

6-3 廃業・解散

廃業や解散とは、会社をたたむ手続きのことです。高齢化や後継者不足などが理由で自主的に廃業するケースもありますが、資金繰りが苦しい状況で廃業するケースが多く、民事再生や任意整理をしても返済が厳しい場合は廃業を選択せざるを得ないでしょう。

解散は廃業の手続きの一部です。会社を廃業するために解散の手続きが必要になるので、株主総会で解散の承認を得て、解散が決まれば廃業手続きを行います。

6-4 M&A

M&Aとは、企業の合併・買収のことです。中小企業でもM&Aをするケースも増えており、他の企業と取り組みをしたり自社を買ってもらったりします。

M&Aは、会社の事業を存続できるので、事業を成長させられる可能性があるのがメリットです。投資したいけれど投資のための資金がない場合や、経営難による離職が相次いでリソース不足になった場合などに有効でしょう。

7章 資金繰りが苦しい原因を把握して早めに対処しよう!

資金繰りが苦しくなると、会社全体がネガティブになり不安を抱える要素となります。倒産や廃業も視野に入れなくてはいけないため、経営者もストレスになるでしょう。

なんとなく回復するだろうと根本的な解決をしないと、取引先の関係が悪化して思うように資金調達ができなくなるおそれがあります。資金繰りが苦しいと感じた場合は、原因を把握して早めの対処をしましょう。

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