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消費者金融から借りたお金を返すことができなくなったとき、ふと頭に踏み倒しできないかよぎることもあるでしょう。
すでに返済期限は過ぎているのに、手元にお金がなく返すことができなければ、いくら請求されても支払うことは難しいため逃げたくなってしまうものです。
しかし消費者金融もお金を貸すプロであり、債務者が支払う利息で儲けている以上は簡単に見逃してはくれないと考えられますが、時効が成立すれば可能性はゼロではないといえます。
消費者金融の時効は債権者がその権利を行使できると知ってから5年、債権者が権利を行使できるときから10年です。
本記事では、消費者金融の借金は踏み倒しできるのか、時効成立の条件と未払いリスク・解決法について、次の3つの章ごとに詳しく説明していきます。
- 借金の踏み倒しとは
- 消費者金融の借金踏み倒しと消滅時効の関係
- 消費者金融の借金踏み倒しの5つのリスク
- 消費者金融の借金の踏み倒しが不可能な3つの理由
- 消費者金融の借金を踏み倒しできないときの対処法
目次 ▼
1章 借金の踏み倒しとは
「借金の踏み倒し」とは、借りたお金をすでに返済期日が過ぎているのに返さない状態が続き、さらに借金を放置して返済のない状態にすることです。
消費者金融から借金をしているのに、「滞納」したままでいると督促状など届かなくなることがあります。
請求がなくなったことで、
「借金の踏み倒しに成功した!」
と安心する方もいるようですが、確かに消費者金融が経営破たんにより倒産すると、督促がストップすることはあり得ます。
しかし単に借金を返済しないまま「放置」していても、踏み倒しできるわけではありません。
2章 消費者金融の借金踏み倒しと消滅時効の関係
消費者金融の借金を踏み倒したいと考えたとき、真っ先に思い浮かぶのが「消滅時効」です。
「消滅時効」とは、一定期間に権利を行使しなかったことにより、その権利が消滅する制度です。
消費者金融は、債務者に対し貸したお金を返してほしいと請求する「債権」を保有しています。
しかし債務者が借金を返済しないまま逃げ続け、一定期間過ぎれば「消滅時効」によりその権利はなくなってしまいます。
消費者金融などが保有する債権の消滅時効は次のいずれかの「早い」タイミングで訪れます。
- 権利を行使することができるときから10年が経過したとき
- 権利を行使することができると知ってから5年が経過したとき
通常であれば消費者金融が請求する権利は5年で消滅するため、時効成立により「合法的」な踏み倒しが可能になるともいえます。
しかし実際には、消滅時効による消費者金融の借金踏み倒しは難しいといえますが、その理由は次の2つです。
- 時効の中断が生じている
- 時効の援用を忘れている
それぞれ詳しく説明します。
2-1 時効の中断が生じている
消滅時効による消費者金融の借金踏み倒しは難しい理由として、「時効の中断」が挙げられます。
時効が成立することを狙って返済し続けなかったとしても、次のような「行動」や「行為」があったときには時効は「中断」されます。
- 債務者が返済意思を示した場合
- 債務者が借金の存在を認める発言をした場合
- 債務者がたとえ1円でも返済した場合
- 消費者金融が返済を請求した場合
- 消費者金融が裁判上の請求を行った場合
- 消費者金融が差押え・仮差押え・仮処分などを行った場合
消費者金融もお金を貸すプロである以上、返済されないからといって借金を黙って見逃すことはなく、放置することはまずあり得ないといえます。
そのため消費者金融の借金で消滅時効を成立させることは、かなり難易度が高いことといえます。
もしも長期間放置している消費者金融からの借金がある方は、一度調べてみるとよいでしょう。
2-2 時効の援用を忘れている
消滅時効による消費者金融の借金踏み倒しは難しい理由の2つ目として、「時効の援用」が挙げられます。
時効の中断を何とかクリアして消費者金融の借金を5年以上返済しなかったとき、
「これで消滅時効が成立した!」
と安心するのはまだ早いといえます。
単に一定期間が経過したというだけでは、借金は消滅しません。
消滅時効を成立させるためには、「時効の援用」という法的手続が必要です。
「時効の援用」とは、時効の完成で利益を受ける側が、時効完成を主張することです。時効の効果を確定し発生させるための意思表示であり、時効を援用しなければ時効の効果は発生しません。
時効の援用は、「時効援用通知書」を作成し、「配達証明付き内容証明郵便」で消費者金融に送るといった一連の手続が必要です。
しかしこの手続を行わず、消滅時効が成立したと思い込んでいると、借金返済から免れることはできなくなります。
3章 消費者金融の借金踏み倒しの5つのリスク
消費者金融と契約を結んでお金を借りた以上は、契約に基づいて返済することが必要です。
もっとも、返済できず、つい踏み倒そうとした場合や踏み倒した場合でも、基本的にはそのことで刑罰に処されるわけではありません。
ただ、消費者金融の借金踏み倒しには、次の5つのリスクがあります。
- ブラックリストから解消されない
- 遅延損害金が膨らむ
- 財産を差押さえられる
- 罪に問われる可能性がある
- 債権回収会社から請求される
3-1 ブラックリストから解消されない
消費者金融の借金を踏み倒そうと返済しない状態を続ければ、「信用情報機関」の事故情報に登録される「ブラックリスト」が解消することはありません。
ブラックリストに登録される時期は、返済が滞って2~3か月経過した頃ですが、延々と返済が遅れた状態が続くため「事故情報」として記録されたままになります。
その期間中、クレジットカードやローンの利用はできなくなってしまいます。
3-2 遅延損害金が膨らむ
消費者金融の借金を踏み倒すつもりで返済しない状態を続ければ、「遅延損害金」が膨らむことになります。
延滞すればするほど遅延損害金は「加算」されていきますが、遅延損害金の「上限利率」は借入総額により次の通り異なります。
借入れの種類 | 遅延損害金の上限利率 |
---|---|
消費者金融の借入れ | 年20.0% |
キャッシング利用 | 年20.0% |
ショッピング利用 | 年14.6% |
消滅時効を成立させるつもりで借金の踏み倒しを狙ったものの、結果的に失敗すれば多額の遅延損害金を支払うことになり、返済総額はかなり大きく膨らむことになるでしょう。
3-3 財産を差し押さえられる
借金を踏み倒すつもりで消費者金融からの連絡も無視し、返済しない状態を続けた場合には、「法的手続」に移行されることになると考えられます。
その結果、「訴訟」などの手続を経て、財産を差し押さえられることになります。
仮に差押さえ対象の財産が「給与」であれば、勤務先に通知が届き、消費者金融からお金を借りていることも踏み倒そうとしていることも知られてしまいます。
3-4 罪に問われる可能性がある
消費者金融の借金を踏み倒したとしても、借金返済義務はあくまで民事上の責任のため、刑事上の責任を負うわけではなく罪には問われません。
しかし返すつもりのない状態で借金を重ねた場合には詐欺罪に問われる可能性もあり、懲役10年以下の刑罰が処されることになります。
また、踏み倒しの方法が悪質な場合は強盗罪に問われる可能性も出て来ます。
消滅時効以外の方法で踏み倒すことはできないと考え、逃げずに対処することが重要です。
3-5 債権回収会社から請求される
消費者金融からの請求を無視し続けたとしても、「債権回収会社(サービサー)」から請求されることがあります。
長期に渡り滞納が続いた場合、消費者金融から債権回収会社に「債権譲渡」することもあるため、それにより返済する相手は債権回収会社に変更されます。
債権回収会社は「全額一括返済」を求めてくるため、非常に厳しい状態に追い込まれることになってしまいます。
知らない会社から請求が来た、と思って放置する可能性が高いものなので、一見すると見覚えのない会社であっても、しっかり請求内容を確認するようにしましょう。
4章 消費者金融の借金の踏み倒しが不可能な3つの理由
消費者金融の借金を踏み倒したいと考えていても実際には「不可能」と考えられますが、その理由として以下の3つが挙げられます。
- 時効は最終返済日から5年経過が必要
- 引っ越しても住民票で移転先を確認される
- 債権回収会社に債権譲渡される
それぞれ説明していきます。
4-1 時効は最終返済日から5年経過が必要
消費者金融の借金を時効で消滅させるためには、最終返済日から「5年」経過することが必要です。
しかし消費者金融は、先に説明したとおり、時効期間5年を「中断」させるため様々な方法で請求してきます。
さらに「時効の更新」で時効のカウントを「リセット」するために「裁判」や裁判所の命令による「強制執行」などの手段を行うこととなるため、踏み倒すことはできないと考えられます。
4-2 引っ越しても住民票で移転先を確認される
消費者金融の借金から逃れようと、「引っ越し」をして住所を変え、住民票を変更したとしても踏み倒しはできないと考えられます。
もしも引っ越しなどで連絡先が不明となった場合、一時的に督促は届かなくなります。
しかし消費者金融は、債務者の移転先を確認するため「住民票」を取得することができるため、いずれバレてしまいます。
4-3 債権回収会社に債権譲渡される
消費者金融が「債権回収会社(サービサー)」に債権譲渡した場合、督促が「再開」されることになります。
債権回収会社からの督促は「一括」返済が基本であるため、増えた遅延損害金も含め、すべて一度に支払わなければなりません。
5章 消費者金融の借金を踏み倒しできないときの対処法
消費者金融の借金は基本、踏み倒し不可能と考えておくべきです。
しかし、度重なる請求から逃げたり住む場所を変えたりしなくても、「法律」で認められた手続で借金問題は解決できます。
消費者金融の借金を踏み倒しできないときには、次の3つの「債務整理」を検討しましょう。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
それぞれの方法について説明していきます。
5-1 任意整理
「任意整理」は、債権者と直接交渉し、将来利息をカットした残りを3年で返済する手続です。
毎月の返済負担が重いと感じる場合、将来利息がカットされる分、支払いが楽になることがメリットといえます。
5-2 個人再生
「個人再生」は、裁判所を介して借金を大幅圧縮してもらうための手続で、住宅ローン返済中のマイホームを処分せずに借金を減額できます。
5-3 自己破産
「自己破産」は、裁判所に借金返済不能を理由に借金を免除してもらう手続であり、多額の借金を抱えていても借金を「ゼロ」にすることができます。
まとめ
消費者金融の借金を滞納した状態が続いた場合、いずれ踏み倒しできるのではないかと考える方もいるようですが、実際には不可能です。
10年または20年放置したとしても、消費者金融の借金は基本点に踏み倒しできません。
消滅時効の成立を待っていたとしても、あらゆる手段で時効の中断や時効の更新など、成立させない手続を行ってくるはずです。
そもそも消費者金融からの請求に逃げ回っていても、何の解決にもなりません。
もしも消費者金融など複数の貸金業者からお金を借りていて、返済負担に苦しむ状態が続いているのなら、借金問題解決のためにもまずはグリーン司法書士法人グループへ気軽にご相談ください。
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よくあるご質問
- 消費者金融の借金を踏み倒すとどうなる?
- 消費者金融の借金を踏み倒すと下記のリスクがあります。
・ブラックリストから解消されない
・遅延損害金が膨らむ
・財産を差し押さえられる
・罪に問われる可能性がある
・債権回収会社から請求される
借金の踏み倒しについて詳しくはコチラ
- 借金の時効は何年?
- 消費者金融の借金を時効で消滅させるためには、最終返済日から「5年」経過することが必要です。
「裁判」や裁判所の命令による「強制執行」などの手段が取られると時効が更新されるのでご注意ください。
消費者金融の借金の時効について詳しくはコチラ